サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽

Pero

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第三章 バンコク近郊・意外展開旅行記

サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 104

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      カンチャナブリ

 カンチャナブリに着いた僕はバンコク銀行でドルからバーツへ両替を済ませたあと、サムローのを運転するアニイに導かれて宿を探すこととなった。

 賑やかな町並みをギコギコとチャリンコを漕ぐ彼は、時々道行く人々から声をかけられたりかけたり、ちょっとした有名人のようだった。

 ガイドブックによればこのようなリサムローは複数人いるように書かれていたが、今回はあとにも先にもこのアニイ以外は一人も見かけなかった。

 しばらく進むと街の喧騒がなくなり、クウェー川沿いの道路に出た。
 この通りに安宿や食堂などが並んでいる。

 気の毒なくらい細い足で漕ぎながら、僕を乗せたサムローは一軒のゲストハウスに到着した。
 そこは川に桟敷を浮かべてバンガローとしていて、景色は絶好の宿だった。

 サムローのアニイは既に僕がここに泊まるものと勝手に決めつけたのか、重いバックパックを降ろしはじめた。

 ともかく値段を訊いてみるとシングルが二百五十バーツだという。

 この綺麗な景色に少し心が動いたが、なんといってもちょっと高すぎるような気がしたので僕は断った。
 それに川の上に浮かんで寝るというのは、ちょっと落ち着かないような気もしたのだ。

 サムローアニイはちょっと残念そうだったが、次の宿へと再び僕を乗せて漕ぎ出した。

 来た道を少し戻って路地に入り、それを突き当たると今度はかなり大きなバンガロー風ゲストハウスに着いた。

 敷地の中央が庭になっていて、綺麗に芝が刈り込まれていた。
 その庭を囲むように部屋が並んでいるが、建物自体はかなり古そうだった。

 案内の女性に部屋を見せてもらうと、蚊帳つきのベッドにシャワーとトイレ付きだった。

 シーツが少し湿気ているような気がしたが、百五十バーツ(五百円ほど)というので、面倒なのでここに決めた。

 サムローアニイはホッとした表情で、ゲストハウスのスタッフからバックマージンを受け取って帰って行った。

 バックパックを部屋に置き、早速シャワーで汗を流した。

 水シャワーは問題なく出る。トイレは和式で、終わったあと横の水槽の水を桶でザーと流す形式のものだ。

 窓の網戸もところどころ破けていて、これで蚊帳がなければ夜は眠れないだろう。
 決して快適とはいえないゲストハウスだったが、蚊帳もあるし料金的には満足である。

 ここでカンチャナブリについて少し書いておくと、カンチャナブリ県はタイの中西部に位置し、バンコクからは約百三十キロの距離になる。人口は約七十七万だが、県都のあるムアン地区には十六万人ほどが居住しているらしい。

 十六万人といえばたいした人口ではないと思うが、クウェー川沿いにあるここの町は周囲を山林に囲まれており、平地自体はそれほど広くないので、町としてはかなり活況を感じる。

 観光ポイントといえば、やはり映画「戦場にかける橋」で有名なクウェー川鉄橋と泰緬鉄道ということになる。

 郊外には国定公園もあり、さらに県を北西部に進むとサンクラブリーというミャンマーとの国境の町に突き当たる。

 さて、すっきりして早速街歩きに出た。

※ この時はデジカメではなく普通のコンパクトカメラを持っていて、たくさん撮影をしたのですが、写真は大阪の次男のもとにあるのでアップ出来ません。(涙)

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