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第三章 バンコク近郊・意外展開旅行記
サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 91
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第六話 ワットファウロウンワ その4
結論から言って、このワットファウロンワは僕としてはじっくり見物したかったが、Hさんに遠慮して切りのよいあたりで打ち切った。
おそらく近いうちに再訪することになると思うが、その時はこのおかしな寺院を徹底的に検分しようと今から心がワクワクしているのである。
要するに、僕はノンカイのワットケークや、ラオスの首都・ヴィエンチャン郊外に所在するブッダパークなどの変てこな寺院にすこぶる興味があるのだが、普通の人はおそらく辟易すると思うのだ。
◆ラオスのビエンチャン郊外にあるブッダパーク
◆タイ・ラオスの国境の町、ノンカイにあるワットケーク
従って、Hさんもこのワットファウロンワを訪れた時、最初のうちは、「ワー、何ですかこれは?」「ひえー、恐ろしく意味不明の像ですね」などと、若干興味深げに見て回っていたが、裸の美女が胸を一突きされて血ミドロになっている像や、胸から下が土に埋まった女人像、髭を生やしたイスラム風男性のお祈り像や、お坊さんが手にヤカンとこん棒を持って一列に並んで歩いている像などを見て回るにつれて、彼女も次第に言葉を失い始めた。
「まだまだいろんな像があっちにもこっちにもあるよ」という僕の言葉も耳に入らなくなったようなので、ここが潮時とばかり、日本の大黒様のような像の前で記念写真を撮ったのを最後に、丁度バスが止まっていたからそれに飛び乗ったのだった。
そういうわけで、ワットファウロンワの詳細な紹介は、次回訪問後に再び僕が旅行記を書いた時までお待ちくださいということで、この日は結局、田園風景の田舎町で降ろされ、そこで親切な少女や小錦関と出合ったあとようやく目的の寺院に到着しながらも、僅か一時間程度見物をして帰路についた。
確か帰りのバスに乗ったのが午後二時にもなっていなかったと思うのだが、何とこのバンコク行きのバスが猛烈にゆっくりで、午後四時を過ぎてもまだ周りは田園風景なのだ。
バンコクのバスは慣れないと全く分からない。
このままでは夕食までにマッサージを受けるという計画は大きく狂ってきそうになったので、オンボロノンエアコンバスから降りて、間もなく走行してきたエアコンVIPバスに乗り換えた。
エアコンバスはさすがに早く、午後五時過ぎにはミナミバスターミナル付近に到着した。ここからBTSの最寄り駅まで行って、スカイトレインでエカマイに行くつもりだった。
しかしバスを降りてから今度は最寄りの駅も分からない。Hさんと議論の末、エカマイまで百バーツと少しくらいだと思うので、タクシーで一気に行こうということとなった。時間もドンドン過ぎて行くからね。
ようやく捕まえたタクシーでBTSのエカマイ駅まで行ったわけだが、予想外にかなりの距離があり、結局、二百数十バーツ支払うこととなった。
「ようやく待望のマッサージが受けられます」とHさんはホッとした表情で微笑みながら呟いた。
「今日はあれこれ疲れたね。マッサージを受けるのに丁度いい心地よい疲労じゃないの」
僕達はエカマイ駅のすぐ近くにある、目の不自由な女性ばかりのタイ式マッサージの店に入って行った。
ドアを開けて一歩中に入ると、何とそこは外の灼熱・激烈バンコクとは大きく異なり、ペンギンでも出そうなくらい冷え冷えの室内であった。
「南極みたいだなぁ」と僕達は呟きながら心地よいマッサージを受けたのだった。
結論から言って、このワットファウロンワは僕としてはじっくり見物したかったが、Hさんに遠慮して切りのよいあたりで打ち切った。
おそらく近いうちに再訪することになると思うが、その時はこのおかしな寺院を徹底的に検分しようと今から心がワクワクしているのである。
要するに、僕はノンカイのワットケークや、ラオスの首都・ヴィエンチャン郊外に所在するブッダパークなどの変てこな寺院にすこぶる興味があるのだが、普通の人はおそらく辟易すると思うのだ。
◆ラオスのビエンチャン郊外にあるブッダパーク
◆タイ・ラオスの国境の町、ノンカイにあるワットケーク
従って、Hさんもこのワットファウロンワを訪れた時、最初のうちは、「ワー、何ですかこれは?」「ひえー、恐ろしく意味不明の像ですね」などと、若干興味深げに見て回っていたが、裸の美女が胸を一突きされて血ミドロになっている像や、胸から下が土に埋まった女人像、髭を生やしたイスラム風男性のお祈り像や、お坊さんが手にヤカンとこん棒を持って一列に並んで歩いている像などを見て回るにつれて、彼女も次第に言葉を失い始めた。
「まだまだいろんな像があっちにもこっちにもあるよ」という僕の言葉も耳に入らなくなったようなので、ここが潮時とばかり、日本の大黒様のような像の前で記念写真を撮ったのを最後に、丁度バスが止まっていたからそれに飛び乗ったのだった。
そういうわけで、ワットファウロンワの詳細な紹介は、次回訪問後に再び僕が旅行記を書いた時までお待ちくださいということで、この日は結局、田園風景の田舎町で降ろされ、そこで親切な少女や小錦関と出合ったあとようやく目的の寺院に到着しながらも、僅か一時間程度見物をして帰路についた。
確か帰りのバスに乗ったのが午後二時にもなっていなかったと思うのだが、何とこのバンコク行きのバスが猛烈にゆっくりで、午後四時を過ぎてもまだ周りは田園風景なのだ。
バンコクのバスは慣れないと全く分からない。
このままでは夕食までにマッサージを受けるという計画は大きく狂ってきそうになったので、オンボロノンエアコンバスから降りて、間もなく走行してきたエアコンVIPバスに乗り換えた。
エアコンバスはさすがに早く、午後五時過ぎにはミナミバスターミナル付近に到着した。ここからBTSの最寄り駅まで行って、スカイトレインでエカマイに行くつもりだった。
しかしバスを降りてから今度は最寄りの駅も分からない。Hさんと議論の末、エカマイまで百バーツと少しくらいだと思うので、タクシーで一気に行こうということとなった。時間もドンドン過ぎて行くからね。
ようやく捕まえたタクシーでBTSのエカマイ駅まで行ったわけだが、予想外にかなりの距離があり、結局、二百数十バーツ支払うこととなった。
「ようやく待望のマッサージが受けられます」とHさんはホッとした表情で微笑みながら呟いた。
「今日はあれこれ疲れたね。マッサージを受けるのに丁度いい心地よい疲労じゃないの」
僕達はエカマイ駅のすぐ近くにある、目の不自由な女性ばかりのタイ式マッサージの店に入って行った。
ドアを開けて一歩中に入ると、何とそこは外の灼熱・激烈バンコクとは大きく異なり、ペンギンでも出そうなくらい冷え冷えの室内であった。
「南極みたいだなぁ」と僕達は呟きながら心地よいマッサージを受けたのだった。
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