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第三章 バンコク近郊・意外展開旅行記
サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 87
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第三章 バンコク近郊・意外展開旅行記
★第三話★ワット・ファウロンワ その1
「サーイ・ターイ?」とHさんはおばちゃんに訊いていたが、おばちゃんはどうやらこのバスでは南バスターミナルへは行かないと身振り手振りで表現しているようだった。
するともう一人の中年女性が、「これでは行きまへん。乗り換えなはれ」という感じのことを同じく身振り手振りで言っているような気がするのだった。
ようやく何とかおばちゃん達と車掌が乗換えが必要だと言っていることを理解し、あるバス停で停車したところ、反対側のバスに乗るように指で指示をしてくれたので、僕達は急いで下車して道路を横断した。
【ヤレヤレ、バンコクのバスを乗りこなすのは大変だ】
バンコク市内にはバスターミナルが北と南と東と三ヶ所あり、それぞれ目的地の方向によって決まっている。
2021年現在の僕は、タイには通算すると60回以上も訪れているので、今でこそタイのバス網はかなり分かっているつもりだが、このころは無知に近かった。
ワット・ファウロンワはバンコクから北西方向に位置すると思われるが、地図には載っていないので、その位置を確認することはできない。
ともかく南バスターミナルからバスで1時間半程度とはWebなどで確認していた。
寺院の名前も、ある本ではワット・ファイロンファとなっていたり、ワット・パイロンワとも呼ばれているが、僕はワット・ファウロンワで向かいたいと思う。
さて、なんとかバスを乗り換えて、宿を出てから一時間程を要してようやく南バスターミナルに到着した。
バスターミナルの係員に、「ワット・ファウロンワに行くのはどのバスですか?」と訊いても、「何だそれは?」という感じだった。
女性の係員は面倒がらずに他の係員数名に、「ワット・ファウロンワ?」とリレー形式で訊いてくれたところ、四、五人バトンを受けたあと一人の係員が、「あのバスよ。今出発したばかりの!」と叫ぶのだ。
バス会社の制服の良く似合った彼女の指差す方向には、赤色のノンエアコンのオンボロガタピシバスが、今まさにバスターミナルを出ようとするところだった。
僕とHさんは急いでそのバスの方向へ走り出した。
しかしどういうわけか、Hさんのほうが僕よりも足が速く、彼女がバスの後部から乗り込んだ時点では、ぼくはまだ二十メートルも後方を必死になって走っていた。
彼女が乗務員に何か叫んでくれたおかげでバスはややスピードを落とし、ようやく僕もバスに乗車することができたが、既にバスは国道のかなりの距離を走っていたのだった。(ヤレヤレ)
バスは八割がた座席が埋まっていた。
僕とHさんとは並んで座り、しばらくして車掌がアルミでできた丸い物を持って運賃を集めに来た。
「ワット・ファウロンワ」と言うと彼は十五バーツを徴収し、「カ~」と返事して頷いて前方に戻って行った。
カラスの鳴きまねをしているのではなく、カ~とはタイ語で「分かった」とか「オッケー」とかの同意を示す言葉ですね。
しばらくは幅の広い道路沿いに商店などが続いたが、数十分走ると、景色は田園風景に変った。すっかり実った稲穂の中をバスはドンドン走って行く。
果たして無事に着けるのだろうか?
👇このヘンテコな寺院へ。
第三章 バンコク近郊・意外展開旅行記
★第三話★ワット・ファウロンワ その1
「サーイ・ターイ?」とHさんはおばちゃんに訊いていたが、おばちゃんはどうやらこのバスでは南バスターミナルへは行かないと身振り手振りで表現しているようだった。
するともう一人の中年女性が、「これでは行きまへん。乗り換えなはれ」という感じのことを同じく身振り手振りで言っているような気がするのだった。
ようやく何とかおばちゃん達と車掌が乗換えが必要だと言っていることを理解し、あるバス停で停車したところ、反対側のバスに乗るように指で指示をしてくれたので、僕達は急いで下車して道路を横断した。
【ヤレヤレ、バンコクのバスを乗りこなすのは大変だ】
バンコク市内にはバスターミナルが北と南と東と三ヶ所あり、それぞれ目的地の方向によって決まっている。
2021年現在の僕は、タイには通算すると60回以上も訪れているので、今でこそタイのバス網はかなり分かっているつもりだが、このころは無知に近かった。
ワット・ファウロンワはバンコクから北西方向に位置すると思われるが、地図には載っていないので、その位置を確認することはできない。
ともかく南バスターミナルからバスで1時間半程度とはWebなどで確認していた。
寺院の名前も、ある本ではワット・ファイロンファとなっていたり、ワット・パイロンワとも呼ばれているが、僕はワット・ファウロンワで向かいたいと思う。
さて、なんとかバスを乗り換えて、宿を出てから一時間程を要してようやく南バスターミナルに到着した。
バスターミナルの係員に、「ワット・ファウロンワに行くのはどのバスですか?」と訊いても、「何だそれは?」という感じだった。
女性の係員は面倒がらずに他の係員数名に、「ワット・ファウロンワ?」とリレー形式で訊いてくれたところ、四、五人バトンを受けたあと一人の係員が、「あのバスよ。今出発したばかりの!」と叫ぶのだ。
バス会社の制服の良く似合った彼女の指差す方向には、赤色のノンエアコンのオンボロガタピシバスが、今まさにバスターミナルを出ようとするところだった。
僕とHさんは急いでそのバスの方向へ走り出した。
しかしどういうわけか、Hさんのほうが僕よりも足が速く、彼女がバスの後部から乗り込んだ時点では、ぼくはまだ二十メートルも後方を必死になって走っていた。
彼女が乗務員に何か叫んでくれたおかげでバスはややスピードを落とし、ようやく僕もバスに乗車することができたが、既にバスは国道のかなりの距離を走っていたのだった。(ヤレヤレ)
バスは八割がた座席が埋まっていた。
僕とHさんとは並んで座り、しばらくして車掌がアルミでできた丸い物を持って運賃を集めに来た。
「ワット・ファウロンワ」と言うと彼は十五バーツを徴収し、「カ~」と返事して頷いて前方に戻って行った。
カラスの鳴きまねをしているのではなく、カ~とはタイ語で「分かった」とか「オッケー」とかの同意を示す言葉ですね。
しばらくは幅の広い道路沿いに商店などが続いたが、数十分走ると、景色は田園風景に変った。すっかり実った稲穂の中をバスはドンドン走って行く。
果たして無事に着けるのだろうか?
👇このヘンテコな寺院へ。
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