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第二章 2002年 春
サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 67
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第二章 2002年 春
67 ビエンチャンに帰ろう
一時間あまりうたた寝して午前十時過ぎに目が覚めて中庭に出た。
そこではタビソックが宿帳の表紙に落書きをしたり、なにやらイタズラの真っ最中で、しばらくすると案の定女将さんに叱られべそをかいていた。
この様子を、いつもミニバックに入れているカメラできっちり撮影をした。
「彼女は行っちゃったのかね?」というふうに女将さんが問いかけてきた。
「そうなんです、振られちゃいました。だから一人じゃ寂しいので今日の午後のバスでビエンチャンに帰ろうと思います」
「なんだい、もう一泊しないのかい?」
「ごめんなさい。来年また必ず来ますから」
もう一泊でも二泊でもゆっくりしたいが、このような気持ちのときはじっとしているのが辛い。動いていると少しは気分も紛れるというものだ。
部屋に戻り、パッキングをして下に降り、宿代を支払ってバックパックを預けて、昨日昼食を食べたレストランに行った。
再びフランスパンサンドイッチとシェイクを注文し、腹ごしらえをきちんとして宿に戻ると、女将さんが出かけているとのことだったので、ご主人の弟さんにサヨナラを言って別れた。
来年もまたここに帰って来ようと思った。タビソックの写真以外に、今度こそ何か日本のお土産を持参して。
時刻はまだ十二時十五分なのに、午後一時のバスは半分ほどの座席が埋まっていた。
早速チケットを購入し、最も前の右端の一人席を確保した。
たまたまこうなったのだが、この席はR子さんがルアンパバーンに向うバスの席と同じ場所である。
バスの車内を振り返ると、日本人の若者が最後部の座席に三、四人いて、大声でなにやら話しているのが見えたが、どうも見た感じ僕とは合いそうにないから近づくのはやめた。
バスを降りて店でペプシとお菓子を買っていたら、日本人のキュートな女性がいた。
お互いに挨拶を交わして、その場は別れた。
実はこの女性が今回の旅の後半、ずっと共に移動することになるY子さんである。
それはともかくとして、バスはみるみる満席になり、僕も早々と座席に戻り出発を待った。
またまた意外にも午後一時きっかりにバスは発車した。
見覚えのある集落で手を上げている現地人を次々と乗せて行く。
走り出して三十分も経っていないのに、車内の通路にはプラスチック製の椅子が並べられていたが、すべて埋まってしまい、運転席の後ろの少し広いスペースには荷物が重ねられ、その上にも人が座っているという有様だ。
再びオンボロガタピシノンエアコン窓から埃バスは、一路ビエンチャンに向って走る。
ビエンチャンからの往路と違って、バスはやや下り気味の道路なので、スムーズに走って行く。
しばらくウトウトと寝ていたが、目が覚めると、何と僕の膝の上に生暖かくて柔らかいものが乗っかっていた。
なんだろうと見ると、それは若い女性のヒップだった。
そのヒップはシンというラオス人女性が普段身に着ける巻きスカートでガードされているが、明らかに彼女のヒップの感触が僕の左の太ももから膝の間に伝わってくるのだ。
スタイルの良い美人のラオス女性だった。
僕は席を立って彼女と代わろうかと思ったが、周りには同じ様な状況にあるラオス人が一杯で、彼女だけを代わることはおかしな感じに思えたので諦めた。
こんな状態のバスなのに、ラオスの人々は全く不平不満を顔にも出さず、大変さを笑いで流しているかのように、車内のあちらこちらで笑い声が聞こえるのだった。
僕の膝に乗っかっている女性も、隣に立っている友人の女性と談笑をしている。
ラオスという国は、本当に真剣に人間性の大きな国民なのではないかと思うのであった。
67 ビエンチャンに帰ろう
一時間あまりうたた寝して午前十時過ぎに目が覚めて中庭に出た。
そこではタビソックが宿帳の表紙に落書きをしたり、なにやらイタズラの真っ最中で、しばらくすると案の定女将さんに叱られべそをかいていた。
この様子を、いつもミニバックに入れているカメラできっちり撮影をした。
「彼女は行っちゃったのかね?」というふうに女将さんが問いかけてきた。
「そうなんです、振られちゃいました。だから一人じゃ寂しいので今日の午後のバスでビエンチャンに帰ろうと思います」
「なんだい、もう一泊しないのかい?」
「ごめんなさい。来年また必ず来ますから」
もう一泊でも二泊でもゆっくりしたいが、このような気持ちのときはじっとしているのが辛い。動いていると少しは気分も紛れるというものだ。
部屋に戻り、パッキングをして下に降り、宿代を支払ってバックパックを預けて、昨日昼食を食べたレストランに行った。
再びフランスパンサンドイッチとシェイクを注文し、腹ごしらえをきちんとして宿に戻ると、女将さんが出かけているとのことだったので、ご主人の弟さんにサヨナラを言って別れた。
来年もまたここに帰って来ようと思った。タビソックの写真以外に、今度こそ何か日本のお土産を持参して。
時刻はまだ十二時十五分なのに、午後一時のバスは半分ほどの座席が埋まっていた。
早速チケットを購入し、最も前の右端の一人席を確保した。
たまたまこうなったのだが、この席はR子さんがルアンパバーンに向うバスの席と同じ場所である。
バスの車内を振り返ると、日本人の若者が最後部の座席に三、四人いて、大声でなにやら話しているのが見えたが、どうも見た感じ僕とは合いそうにないから近づくのはやめた。
バスを降りて店でペプシとお菓子を買っていたら、日本人のキュートな女性がいた。
お互いに挨拶を交わして、その場は別れた。
実はこの女性が今回の旅の後半、ずっと共に移動することになるY子さんである。
それはともかくとして、バスはみるみる満席になり、僕も早々と座席に戻り出発を待った。
またまた意外にも午後一時きっかりにバスは発車した。
見覚えのある集落で手を上げている現地人を次々と乗せて行く。
走り出して三十分も経っていないのに、車内の通路にはプラスチック製の椅子が並べられていたが、すべて埋まってしまい、運転席の後ろの少し広いスペースには荷物が重ねられ、その上にも人が座っているという有様だ。
再びオンボロガタピシノンエアコン窓から埃バスは、一路ビエンチャンに向って走る。
ビエンチャンからの往路と違って、バスはやや下り気味の道路なので、スムーズに走って行く。
しばらくウトウトと寝ていたが、目が覚めると、何と僕の膝の上に生暖かくて柔らかいものが乗っかっていた。
なんだろうと見ると、それは若い女性のヒップだった。
そのヒップはシンというラオス人女性が普段身に着ける巻きスカートでガードされているが、明らかに彼女のヒップの感触が僕の左の太ももから膝の間に伝わってくるのだ。
スタイルの良い美人のラオス女性だった。
僕は席を立って彼女と代わろうかと思ったが、周りには同じ様な状況にあるラオス人が一杯で、彼女だけを代わることはおかしな感じに思えたので諦めた。
こんな状態のバスなのに、ラオスの人々は全く不平不満を顔にも出さず、大変さを笑いで流しているかのように、車内のあちらこちらで笑い声が聞こえるのだった。
僕の膝に乗っかっている女性も、隣に立っている友人の女性と談笑をしている。
ラオスという国は、本当に真剣に人間性の大きな国民なのではないかと思うのであった。
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