【完結】失恋した者同士で傷を舐め合っていただけの筈だったのに…

ハリエニシダ・レン

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日曜日の寝落ち

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「今日は帰るのか?」

日曜日、朝食を食べながらそう問われて頷こうとしたのだけれど、何だか彼が寂しそうに見えて、一昨日の泥酔した様子を思い出してしまって、

「迷惑じゃなければ今日も…」

と首を横に振った。
最近は仕事が忙しすぎてほぼ料理してなかったから、冷蔵庫にも大した物は入っていない。だから帰らなくても別にいい。

「そうか」

頷いた彼が酷く嬉しげに見えて、心臓が大きく脈打った。

そういう顔は、本当にやめて欲しい。…勘違いしてしまうから…。



朝食を食べてから、二人で近所の公園に散歩に行った。彼のマンションの近くには、大きな公園があるのだ。
そこの芝生の上に転がってゴロゴロする。大きな木が影を作っていて、なかなかいい感じだ。

久々の自然を堪能していたら、いきなり彼が覆い被さってきてキスをした。
驚いたけれど触れるだけのキスなので、まぁいいかとされるままになる。

…でも、終わらない。
何度も何度もそっと触れるだけのキスをされて、落ちつかない気分になってくる。ペシペシと胸を叩いて抗議すると、やっとやめてくれた。
彼は何だか妙に機嫌良さそうに笑って私を見ている。
それが何だか面白くなくて、

「何?」

ちょっと不貞腐れて問うと

「別に?」

ニヤニヤ笑ってはぐらかされた。クルリと背を向けて不満を表したのに、彼は楽しそうに笑いながら私の髪を撫で始めた。
その手つきが気持ちよくて、つい眠くなってきてしまう………



気がつくと午後二時を過ぎていた。熟睡してしまったらしい。
身体の一部が何かを訴えている。

寝転がったまま、隣に座ってくつろいでいる彼の顔を見上げた。

「お腹すいた」

すると彼が面白そうに笑った。

「たまには外で食べるか」

「ん」

コクンと頷く。
今から自分で作るような心の余裕はない。今すぐ食べたい。


早くて美味しいものということで、彼がよく行くラーメン屋に連れて行ってもらった。
半端な時間帯のせいかお店は空いていて、すぐに注文の品が運ばれてきた。

麺もスープも納得の逸品で、とても美味しかった。ネギをトリプルトッピングしたら、彼どころか店員さんにまで引かれたけど。

いいじゃない。ネギ好きなんだから

ギョーザなどのサイドメニューも頼んで彼とシェアして、お腹がいっぱいになったので部屋に帰ってきた。


芝生でゴロゴロして少し汚れたので服を着替える。
もう替えの服も何着か置かせてもらっているのだけれど、彼は何故か部屋にいる時は私に自分の服を着せたがる。

…こういうのって、何フェチなんだろう?詳しくないからよくわからない。

彼のシャツの長い袖を折って、ハーフパンツの紐をぎゅっと絞る。それを見た彼が、嬉しそうに目を細めた。
いつものことだけど、何となく落ちつかない。

本当は自分の服の方が生地が余らないから楽なんだけど、「平日に一人で女物の服を洗っていると変な気分になる」と言われると言い返せない。
さっき外出した時の服は女物だし、と言いたい気持ちはあるのだけれど、洗ってもらう身としては強くは出れないのだ。

…それに私も、彼の匂いのする服を着るの、別に嫌じゃないし。


夕飯はピザをとって、後はひたすらダラダラした。
だいぶ疲れが溜まっていたみたいだ。
彼と一緒にいて楽になっていくことでそれに気づく。

ふと顔に影が差して目を開けると、彼が私を見下ろしていた。ゆっくり近づいてくる彼の顔に、再び目を閉じる。唇が柔らかいもので塞がれた。



夜中に目が覚めて起き上がった。
トイレに行って帰りにキッチンで水を飲んでベッドに戻る。すると、彼が不機嫌そうな顔で身体を起こしていた。

「…あ…起こしちゃった?ゴメン…」

気まずく謝ると、無言で手首をつかまれ引っ張られて、彼の腕の中に抱きしめられた。

「…それよりもっと、謝らなきゃいけないことがあるよな?」

ムスっとした声に首を傾げると、大きくため息を吐かれた。

「途中で寝るって何だよ…」

情け無い声だった。
え………。私、最中に寝ちゃったの?

そっと彼の顔を伺う。

「続きするぞ」

問答無用な口調で宣言された。
口ごたえは禁止らしい。
そう察して、今夜はこれ以上の睡眠はあきらめた。

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