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四月一日 夜ご飯

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途中何度か起きたけど、すぐにまた眠った。そうしてうつらうつらしてたら、玄関の開く音がした。

「ただいまー」

バッと目を開けて起き上がる。
シーツを巻きつけ直して、パタパタと出迎えに行く。……シーツでぐるぐる巻きだと、ちょっと動きにくい。
彼は私を見ると、目を細めで笑った。

「ただいま、猫さん」

そして抱きしめて頭を撫でてキスしてくれた。
嬉しくて頭を擦り付ける。

「にゃあーん」

ふふっ…

彼がくすぐったそうに笑う。
それが嬉しくて、更に頭をグリグリと擦り付ける。

「今日はお寿司買ってきたから、ちょっとだけ待ってて。すぐシャワー浴びてきちゃうから」

「にゃうん!(お寿司大好き)」



お風呂上がりの、ちょっといい匂いのする彼にまとわりつく。
私は彼の、濡れた髪を見るのが大好きだ。五割増し色っぽくてドキドキする。

「にゃうにゃう」

ついつい猫みたいに鳴いてしまう。
だってそうすると、もの凄く嬉しそうな顔を彼がするから。

「うん、早く食べようね」

頭を撫でられながら、髪を乾かす彼の毛先を眺める。しっとりと束になっていたのが、乾いてふわっとなっていく。
……ちょっとジャレたい。

程なくして乾いたので、リビングに移動。
お寿司のパックが、パカっと開けられた。


美  味  し  そ  う!!


思わずグッと身を乗り出す。
ネタもご飯も、部屋の明かりを反射してツヤツヤキラキラしてる。

絶対美味しいやつだこれ

じっと見てたら、醤油をちょっとつけて彼が口元に運んでくれた。
1個目はトロだ。
トロ大好き!

小さめなので、一口で入った。
モグモグする。
美味しい!
このじとっとした感じがたまらない。

彼も自分の口に一つ運んだ。
鯛かな?

……人が食べてるの見ると食べたくなる。
じいっと見てたら、同じのを食べさせてくれた。

ん。美味しい

モグモグ食べる。
お茶も飲ませてくれる。
うちには大っきな湯呑みがある。魚の名前がびっしり書いてあるやつ。お寿司を食べる時は大抵それ使うんだけど、テンションが上がる。

ネギトロ食べたい

視線でわかるのか、彼は私が食べたいものをテンポよく食べさせてくれる。

困った。
美味しいし快適過ぎる。
でも止まらない。

結局お腹いっぱいになるまで食べさせてもらってしまった。

凄い幸せ。
ゴロゴロと彼の腕に懐く。
彼は私の頭を撫でたり顎をくすぐったりしながら、引き続き食べている。

その後、朝と同じように歯を磨いてもらった。
気持ちいい。
何もしなくていいの楽。

これ本当、デブ猫まっしぐらコースだ

ヤバいとは思うけど、快適過ぎてされるがままになってしまう。

毎日これでもいいかも

なんて末期な考えが湧いてしまう。
一月で三キロ余裕だ。

けれど、そんな快適生活に、唐突に終わりがきた。


「さあ、猫さん。夜の運動会の時間だよ」


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