【R18】新婚夫婦と洗濯機

四月一日 朝

「今日は一日、猫さんでいなきゃダメな日だよ」

朝一で彼に言われたのは、そんな言葉だった。
驚きながらも

「に、にゃあ？」

と反射で返してしまったら、彼がもの凄く嬉しそうに笑った。

「うん、そうだよ」

そしてパジャマを脱がされ、朝から抱かれてしまう。
終わって服を着ようとした私にかけられたのは

「こら、猫は服着ないでしょ？」

そんな言葉だった。
思わず呆然として彼を見上げる。

………本気？

言葉もなくじっと見つめると、クスリと笑われた。

「布団に潜り込むくらいなら、していいよ」

…………本気だ！

思わず全身の毛が逆立つ。
でもそれだけじゃなかった。

「料理も掃除も、もちろんしないよね？だって猫だもん」

呆然とする私を置いて、彼は上機嫌でキッチンに向かうと、サッとご飯を用意した。

いや、知ってるけど。
彼が料理得意なのは知ってるけど。
いつも平日は私が作ってるのは、ただの役割分担だけど……

せめてもの抵抗で、シーツを身体に巻きつけてキッチンに向かう。
これはギリギリ有りだったようで、シーツを剥がれる事はなかった。
でも、彼が引いてくれた椅子に座って、彼の手でご飯を食べさせられた。
パンも卵もサラダも全部。
だって

「猫さんは手を使ったりしないよね？」

って真顔で言うから………

朝ご飯を食べさせられて、歯も磨かれて、何だかとても落ちつかない。
でも彼は凄く満足そうで

「今日は猫らしく、何もしちゃダメだよ？」

って笑ってちゅーされて、いつも通り颯爽と出かけて行くのを半ば呆然と見送った。