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NG集的なオマケ

甘い微笑み

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「こうか?」

「違います」

「こうか?」

「全然ダメです。やるなら真面目にやってください」

先ほどからトニー相手に笑顔の練習をしているのだが、さっぱり上手くいかない。
小説に繰り返し出てくる「甘い笑み」とやらが、全く理解できない。

「…こうか?」

会心の出来だと思ったのだが、

「………冬眠明けに弱ってるウサギ見つけた熊ですか」

と言われてしまった。
ダメだ。わからない。

「手本を見せてくれ」

と頼むと、もの凄く嫌そうに顔をしかめられた。

「頼む!今度休暇やるから!」

「仕方ありませんね」

ほとんど休暇をやれていないのが幸いしたのか、下を向いて大きなため息を吐いたトニーが顔を上げた。

「こうやるんですよ」

笑ってみせたトニーからは、なるほど確かに色気のようなものを感じた。
こういうのが、女は…妻は好きなのか。
真顔に戻ったトニーに、先ほどの表情を思い出しながら笑いかける。

「こうか?」

「…多少はよくなりました」

よし。この調子だな。

「こうか?」

「…ちょっと遠くなりました」

「…こうか?」

返ってきたのはため息。

「…主、真面目にやる気あります?」

あるとも。
なければこんな、男二人で執務室で向かい合って微笑み合うなんて気持ちの悪い真似はしない。
それもこれも、全ては妻を喜ばせる為だ。

「もう一回、手本を見せてくれ!」

俺は気合十分だというのに、トニーは片手でコメカミを押さえて盛大にため息を吐いた。

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