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本編

12 他の女性

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ザーク様はお忙しい方だ。
いつも帰りが遅い。
仕事が大変なのだろうと、そう思っていた。

でもある日、ザーク様がお風呂に入っている間に脱いだ服をハンガーにかけていたら、あることに気づいてしまった。
シャツに染みついた香水の匂い。
ザーク様のものではない。
…女性ものの、甘い香り…。

思わずシャツをぐしゃぐしゃに握り締めた。

ザーク様は、抱きしめた…のだろうか…誰か…女性を…
ザーク様には…そういう方が…いるのだろうか……家の都合で結婚した私などではなく…心から愛する…方が…

今までそんな可能性を考えもしていなかった私は、頭を殴られたような衝撃を受けた。めまいがする…。
震える手をシャツから引き剥がし、寝室に戻りベッドに潜り込んだ。頭から毛布を被る。それでも小さくお風呂から水音が聞こえる。

他の女の人の匂いを…消しているんですか…?

そんな考えが浮かんでしまう。
嫌だ。ザーク様が…他の女性を…なんて…そんなの…嫌だ…


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