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新学期
友人への嫉妬1
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まただ。
また、あいつと話している。
胸の中にどす黒い感情が湧き上がる。
俺の恋人のくせに、あんなに楽しそうな顔を他の男に向けるなんて…。
許せない。
独占欲が、胸の中で暴れ回る。
わかっている。
冷静な頭の片隅ではわかっている。
友人と話すことくらいあるって。
俺以外に笑いかけるのだって当たり前だって。
でも、あいつは。
俺より前から藤堂のことを知っていて。
俺の知らない藤堂を知っていて。
俺と藤堂が付き合い始めてからだって、しょっちゅう藤堂の側にいて。
今だって、俺がこんなに近くにいるのに…。
取り巻き達に邪魔されるのが嫌で、未だに学内では藤堂に近づかないようにしているのは俺だけど。でもーー
気づいたら、間に割って入っていた。
「藤堂」
俺を見上げる大きな瞳が驚きに揺れた。
「ちょっと来て」
何て言ったらいいのかわからず、手首を掴んで教室から連れ出した。
これからどうしたらいいのかなんてわからない。
当たり前だ。
別に用なんてなかった。
ただ、藤堂があいつに笑顔を向けるのをこれ以上見ていたくなかっただけなんだから。
半ば無意識に人気のない階段の陰に連れ込み、その細い体を抱きしめた。
「は?え?いきなりどうしたんだよ…」
戸惑う藤堂に、何も言葉を返せずただ抱きしめる。
本当はキスしたい。今すぐ唇を奪って、口の中を舌で蹂躙して甘い声が聞きたい。
でも、そんなことをしたらこいつは絶対怒るってわかっているから我慢する。それにキスだけで止まれる自信なんてない。
「好きだ」
だから代わりに言葉を口にする。
「お、おう」
戸惑ったような声。
「おまえが、好きだ」
「ああ」
困ったように、でも少し嬉しそうに返事をするおまえがーー
「好きだ。好きで好きでたまらない」
「わ、わかったから。だから外ではやめーー」
「好きなんだ」
そう繰り返して、きつく抱きしめた。
もう、それしか言葉が出てこなかった。
気持ちが高ぶって、泣きそうだった。
突然教室から連れ出して、バカみたいに好きだと繰り返して。
流石に藤堂も引いただろうか。嫌がっているだろうか。
急に不安になって体を離そうとした時、藤堂にそっと抱きしめ返された。
外での接触を嫌う藤堂にしては珍しい。
というか、俺の部屋でだってこいつから触れてくることはあまりないのにーー
呆然としている俺の耳に
「…俺も好きだ」
ギリギリ聞き取れるくらいの小さな声で、藤堂が言った。
衝動的に、腕に力を込めた。
今、死んでも構わない。
本気でそう思った。
また、あいつと話している。
胸の中にどす黒い感情が湧き上がる。
俺の恋人のくせに、あんなに楽しそうな顔を他の男に向けるなんて…。
許せない。
独占欲が、胸の中で暴れ回る。
わかっている。
冷静な頭の片隅ではわかっている。
友人と話すことくらいあるって。
俺以外に笑いかけるのだって当たり前だって。
でも、あいつは。
俺より前から藤堂のことを知っていて。
俺の知らない藤堂を知っていて。
俺と藤堂が付き合い始めてからだって、しょっちゅう藤堂の側にいて。
今だって、俺がこんなに近くにいるのに…。
取り巻き達に邪魔されるのが嫌で、未だに学内では藤堂に近づかないようにしているのは俺だけど。でもーー
気づいたら、間に割って入っていた。
「藤堂」
俺を見上げる大きな瞳が驚きに揺れた。
「ちょっと来て」
何て言ったらいいのかわからず、手首を掴んで教室から連れ出した。
これからどうしたらいいのかなんてわからない。
当たり前だ。
別に用なんてなかった。
ただ、藤堂があいつに笑顔を向けるのをこれ以上見ていたくなかっただけなんだから。
半ば無意識に人気のない階段の陰に連れ込み、その細い体を抱きしめた。
「は?え?いきなりどうしたんだよ…」
戸惑う藤堂に、何も言葉を返せずただ抱きしめる。
本当はキスしたい。今すぐ唇を奪って、口の中を舌で蹂躙して甘い声が聞きたい。
でも、そんなことをしたらこいつは絶対怒るってわかっているから我慢する。それにキスだけで止まれる自信なんてない。
「好きだ」
だから代わりに言葉を口にする。
「お、おう」
戸惑ったような声。
「おまえが、好きだ」
「ああ」
困ったように、でも少し嬉しそうに返事をするおまえがーー
「好きだ。好きで好きでたまらない」
「わ、わかったから。だから外ではやめーー」
「好きなんだ」
そう繰り返して、きつく抱きしめた。
もう、それしか言葉が出てこなかった。
気持ちが高ぶって、泣きそうだった。
突然教室から連れ出して、バカみたいに好きだと繰り返して。
流石に藤堂も引いただろうか。嫌がっているだろうか。
急に不安になって体を離そうとした時、藤堂にそっと抱きしめ返された。
外での接触を嫌う藤堂にしては珍しい。
というか、俺の部屋でだってこいつから触れてくることはあまりないのにーー
呆然としている俺の耳に
「…俺も好きだ」
ギリギリ聞き取れるくらいの小さな声で、藤堂が言った。
衝動的に、腕に力を込めた。
今、死んでも構わない。
本気でそう思った。
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