【完結】意地っ張りで口の悪い受けと、拗らせて執着する攻めの日常

付き合う前

告白1 (藤堂サイド)

衝動的に東雲のマンションを飛び出してきてしまった。
顔がすげー熱い。

ふらふらと、たまに東雲と使ってた近くの公園に入ってベンチに座り込んだ。

何が起きた？

心臓が、凄い速さで脈打っている。
掌で覆った顔が熱い。

なんだこれ。
なんだよこれ。

落ち着こうとしても、さっきの東雲の真剣な目や、唇をなぞった指の感触、好きだと囁いたかすれ声なんかが勝手にフラッシュバックして、その度に熱が上がる。
それの繰り返しで。

なんだよもう…。

俺はずっと、両手で顔を押さえたままベンチから立てずにいた。

日が傾いて、空気が少し冷たくなってきた頃、ようやく顔を上げることができた。

「はぁーーーーーー」

顔はまだ熱いけど、最初ほどじゃない。暑い中ずっと外にいたので、喉がカラカラに乾いていた。
近くの自販機で水を買って、またベンチに戻る。
情け無い話だが、足元がふわふわして、まだ家まで帰れそうになかったから。

ふぅ。

一口飲むと、少し落ち着いた。

さっきのーーー

うっかり思い出した途端、また顔に血が集まるのがわかった。

…………………………。
ダメだ。これ。
いったん保留だ。

ひとまず家まで帰る気力を確保するために、俺は問題を先送りにした。
逃げたんじゃねぇ。戦略的撤退だ。

…じゃないと今夜はここで野宿する羽目になりそうだったから。