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if レオン&サイラスルート
………
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くしゃりと指を髪に突っ込んだ。
重い重いため息が出る。
………リーシャ
こんなことになるとは思わなかった。
彼女の全ては僕のものだ
身体も、心も、全て
その思いは今も変わらない。
たとえ二度と会えなくても。
だから、彼女が僕のことを考え続けている。それ自体はいい。
けれど…
あれからずっと、彼女は塞ぎ込んだままだと聞いている。僕が彼女に会えなくなってからずっと。
ただでさえ細かった身体は痩せ細り、碌に庭にも出ずサロンにさえ行かずに、ずっと自分の部屋に閉じこもって。そして……
ヤケになったように、息子たちに身を任せている……
そう聞いている……
そんな風に追いつめるつもりじゃなかった。
確かに僕は、彼女を傷つけたい。けれどそれは、あくまで僕の手で、僕の手が届く範囲での話だ。
勝手に傷ついていく彼女なんて嫌だ。
僕はもう、この手を伸ばせはしないのに……。
リーシャが僕がつけた傷で苦しむのはいい。今まで散々してきたことだ。
だけど今、彼女は僕がつけた傷から逃れようと、自分で自分を傷つけている。
そんなのは嫌だ。
そんなのは許せない。
僕はあくまで、この手でリーシャを傷つけたいのだ。傷つけられた分だけ僕に囚われてしまう、バカで可愛いリーシャを。
だから、彼女を僕以外に傷つけられるのは我慢ならない。たとえ彼女自身だって例外じゃない。
彼女を傷つけていいのは僕だけだ
こんなのは嫌だ。
彼女が自分で自分を傷つけることなんて、僕は望んでいない。
僕の手の届かないところで、彼女が苦しんで泣いている。
そんなのは嫌だ。
そんなのは嫌だ…。
そんな彼女は……嫌だ……
それくらいなら……
いっそ、レオンにでも奪われてしまった方が何千倍もマシだ。レオンの腕の中で、リーシャが幸せそうに笑っている方がずっとマシだ……
僕の、いや国王の敵は多い。
決して弱みは見せられない。
だからもう、彼女に関わることはできない。
彼女を気にかける素振りを見せれば、僕を脅す為、揺さぶる為、あるいはただの腹いせに彼女を狙う者が必ず出てくる。
だから僕は動けない。
どれだけ、そうしたくとも。
どうせこの手は、もう彼女に触れることなどできはしないのだから。
この手で傷つけられない彼女など、幸せになってしまった方がずっといい。
……どうやったって彼女には、僕がつけた傷が残るのだから。
レオンには、リーシャを傷つけることなどできない。
そもそも傷つけたがらない。
きっと、彼女自身がつけた傷も、僕がつけた傷も、必死に癒そうとするだろう。
治せばいいさ。
僕は、完全に消えるような浅い傷のつけ方なんてしていない。癒えた傷の下、彼女の心の奥深くに、僕がつけた傷痕は永遠に残り続ける。
彼女は僕のものだという印が。
彼女だって、それをわかっている。
だから僕はもう、それでいい。
彼女は僕のものだ。
誰の腕の中にいようとも、永遠に僕のものだ。
その事実は揺らがない。
…………ああ、でもいっそ。
もしも彼女がこのまま壊れてしまうくらいなら。この手に取り戻して、誰かに害され彼女を失うその日まで、この手の中に再び閉じ込めてしまおうか…
…そんな暗い願望が湧くけれど。
それはダメだ。
それだけはダメだ。
彼女を殺されたら、きっと僕はこの国のことなど考えられなくなってしまう。
耐えきれずにこの国を壊してしまう。
彼女を殺した人間も。
それを静観した奴らも。
そんな奴らの動かす国で、のうのうと生きている、何も知らずに笑っている民衆も。
誰も彼も許せなくて。
…………それは……ダメだ……
この国の王として、リーシャが産んでくれた子どもたちの父として。
それはできない…してはいけない……
何より………リーシャの死に顔など、僕は絶対に見たくない……
だから……もう……
レオンでもサイラスでも、どっちでもいいから……早く僕のリーシャを救ってやってくれ………
重い重いため息が出る。
………リーシャ
こんなことになるとは思わなかった。
彼女の全ては僕のものだ
身体も、心も、全て
その思いは今も変わらない。
たとえ二度と会えなくても。
だから、彼女が僕のことを考え続けている。それ自体はいい。
けれど…
あれからずっと、彼女は塞ぎ込んだままだと聞いている。僕が彼女に会えなくなってからずっと。
ただでさえ細かった身体は痩せ細り、碌に庭にも出ずサロンにさえ行かずに、ずっと自分の部屋に閉じこもって。そして……
ヤケになったように、息子たちに身を任せている……
そう聞いている……
そんな風に追いつめるつもりじゃなかった。
確かに僕は、彼女を傷つけたい。けれどそれは、あくまで僕の手で、僕の手が届く範囲での話だ。
勝手に傷ついていく彼女なんて嫌だ。
僕はもう、この手を伸ばせはしないのに……。
リーシャが僕がつけた傷で苦しむのはいい。今まで散々してきたことだ。
だけど今、彼女は僕がつけた傷から逃れようと、自分で自分を傷つけている。
そんなのは嫌だ。
そんなのは許せない。
僕はあくまで、この手でリーシャを傷つけたいのだ。傷つけられた分だけ僕に囚われてしまう、バカで可愛いリーシャを。
だから、彼女を僕以外に傷つけられるのは我慢ならない。たとえ彼女自身だって例外じゃない。
彼女を傷つけていいのは僕だけだ
こんなのは嫌だ。
彼女が自分で自分を傷つけることなんて、僕は望んでいない。
僕の手の届かないところで、彼女が苦しんで泣いている。
そんなのは嫌だ。
そんなのは嫌だ…。
そんな彼女は……嫌だ……
それくらいなら……
いっそ、レオンにでも奪われてしまった方が何千倍もマシだ。レオンの腕の中で、リーシャが幸せそうに笑っている方がずっとマシだ……
僕の、いや国王の敵は多い。
決して弱みは見せられない。
だからもう、彼女に関わることはできない。
彼女を気にかける素振りを見せれば、僕を脅す為、揺さぶる為、あるいはただの腹いせに彼女を狙う者が必ず出てくる。
だから僕は動けない。
どれだけ、そうしたくとも。
どうせこの手は、もう彼女に触れることなどできはしないのだから。
この手で傷つけられない彼女など、幸せになってしまった方がずっといい。
……どうやったって彼女には、僕がつけた傷が残るのだから。
レオンには、リーシャを傷つけることなどできない。
そもそも傷つけたがらない。
きっと、彼女自身がつけた傷も、僕がつけた傷も、必死に癒そうとするだろう。
治せばいいさ。
僕は、完全に消えるような浅い傷のつけ方なんてしていない。癒えた傷の下、彼女の心の奥深くに、僕がつけた傷痕は永遠に残り続ける。
彼女は僕のものだという印が。
彼女だって、それをわかっている。
だから僕はもう、それでいい。
彼女は僕のものだ。
誰の腕の中にいようとも、永遠に僕のものだ。
その事実は揺らがない。
…………ああ、でもいっそ。
もしも彼女がこのまま壊れてしまうくらいなら。この手に取り戻して、誰かに害され彼女を失うその日まで、この手の中に再び閉じ込めてしまおうか…
…そんな暗い願望が湧くけれど。
それはダメだ。
それだけはダメだ。
彼女を殺されたら、きっと僕はこの国のことなど考えられなくなってしまう。
耐えきれずにこの国を壊してしまう。
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何より………リーシャの死に顔など、僕は絶対に見たくない……
だから……もう……
レオンでもサイラスでも、どっちでもいいから……早く僕のリーシャを救ってやってくれ………
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