本編完結R18)メイドは王子に喰い尽くされる

if マーカスルート

ifのif 意外な展開になりました

その後私は、メイドを辞めマーカスの屋敷に移り住んだ。
そしてマーカスは、本当に私を正式な妻にした。離婚などほぼできない一夫一妻制のこの国で。彼のただ一人の妻に。

正直驚いた。
私はまだ、マーカスのことをそこまで信じてはいなかったから。
いくらマーカスが「妻に」と言っても、私は所詮メイドでマーカスは貴族だ。精々、屋敷の離れに囲われて、衣食住を世話される。その程度でも上等だと、そんな風に思っていたのに。

私に与えられたのはマーカスの正式な妻の地位だった。
使用人たちに「若奥様」と呼ばれ頭を下げられる立場。
マーカスや彼の両親たちと同じテーブルで食事を取り、肉体労働など一切必要ない立場。
そして…パーティーなどでは、マーカスにエスコートされ一緒に出席する立場…。

マナーも何もかも習い始めたばかりなので、正直最後のは胃が痛い。けれどマーカスが「何分、新婚なもので」と私を片時も離さないので、私は挨拶以外は黙って笑っていればよく、今のところは何とかなっている。

マーカスの両親は穏やかな人たちで、貴族の一人息子の妻になど到底相応しくない私を、暖かく迎え入れてくれた。
息子が選んだ女性ならと。


そんな彼らに囲まれて暮らしながら、私は初めての子を産んだ。
マーカスによく似たその子は、フレデリックと名づけられ、祖父母に毎日溺愛されている。

自分で産んだ子なので、私もフレディを可愛く思うのだけれど、マーカスが「私が家にいる時は私だけを見ていてください」などと言って引き離されてしまうので、マーカスが仕事に出ている昼間しか一緒に過ごせない。

それはちょっと不満だけれど、よく笑う明るいいい子に育っているので嬉しい。それに母親の特権なのか、私の顔を見ると凄く嬉しそうに笑うし。

もうすぐ二人目の子も生まれそうで、とても幸せだ。
そう、驚いたことに私は幸せになってしまった。
マーカスと結婚なんて、絶対に上手くいく訳がないと思っていたのに。絶対に、幸せになんてなれる訳がないと思っていたのに。

今の私は、彼とこの先も一緒に生きていく未来を、とても楽しみにしている。


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マーカスさん救済企画でした！