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第2章
7 揺らいでしまいます
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こんなにも簡単に心が揺らいでしまう私は、なんなのだろう。
あれほどレオンに惹かれておいて、求めておいて。
なのに気づいたら、殿下に愛されたいと願ってしまっていて。いきなり捨てられたら、どうしたらいいのか分からなくなってしまって。
そしてまた、レオンにもう一度惹かれかかっている。
寂しいから?
辛いから?
だから、優しくしてくれるレオンに惹かれるの?
縋ってしまうの?
こんな私を受けとめてくれる、望んでくれる、優しいレオンに。
それでいいの?
そんなことでいいの?
私はレオンの幸せを奪ってしまっているのではないの?
レオンの未来を、奪ってしまっているのではないの?
いくらレオンがいいと言ってくれたって。私では何もかも釣り合いが取れないのに。
与えてあげられるものなんて、ほとんどないのに。
欲しいものを、もらってばかりなのに。
離れた方がいいのではないの?
彼のことを想うのなら。
でも…
彼は私の息子で…
弱い自分が狡い言い訳を見つけた。
この先にあるのは、息子としての関係などではないのに。
彼が望んでいるのも、私が望まれて密かに喜んでいるのも、親子としての関係性ではないのに。
それを理由に離れられないと言う…。
「兄上のモノにならないのなら、僕が母上をもらうよ」
このところずっと悩んでいたら、サイラスに突然そんなことを言われた。
驚きに目を丸くする。
「僕のモノになったら、前にも後ろにも挿れてあげる」
いつもの調子で
「そしたら僕とも子づくりしようね?」
そんなことを言うサイラス。
なんて返事をしたらいいのか分からない。
「で…も…あなた…私のことは別に…」
「うーん。その筈なんだけどね?」
サイラスが少し顔をしかめた。
「そんな顔の母上を見てるくらいなら、僕のモノにしちゃった方がマシ」
意味が分からない。
私はいったい、どんな顔をしてしまっているのだろう。
「だからね、母上」
サイラスの手が、私の肩に置かれた。
「僕に抱かれるか兄上に抱かれるか選んでよ。二択だよ?僕らのどちらかを選んで」
サイラスに抱かれるという選択肢は流石にない。だってこの子は、そんなこと望んでない。
私の表情から、それを読み取ったのだろう。
「ほら、結論は出てるんだから足掻くのやめたら?」
「でも…」
惑う私を、サイラスがソファに押し倒した。
「ほら、兄上を呼びなよ。すぐ近くにいるから。そしたら逆上した兄上が僕を殴って母上を抱きしめて一件落着。母上の為なら、一発殴られるくらいどうってことないからさ」
気にしなくていいよ、と笑うサイラスに、胸が痛くなった。
堪えきれず顔を覆って泣きだした私に、サイラスが困ったような声をあげる。
「え…泣くことないじゃん。この流れで僕がやるわけないって分かってるでしょ?」
喉が詰まって声が出ないから、黙って首を横に振った。
そうじゃないの。
レオンもサイラスも、どうしてこんなに優しいの…私はこんな、自分の気持ちひとつ満足に決められないような情けない人間なのに…
与えられる優しさが、嬉しくて苦しかった。
あれほどレオンに惹かれておいて、求めておいて。
なのに気づいたら、殿下に愛されたいと願ってしまっていて。いきなり捨てられたら、どうしたらいいのか分からなくなってしまって。
そしてまた、レオンにもう一度惹かれかかっている。
寂しいから?
辛いから?
だから、優しくしてくれるレオンに惹かれるの?
縋ってしまうの?
こんな私を受けとめてくれる、望んでくれる、優しいレオンに。
それでいいの?
そんなことでいいの?
私はレオンの幸せを奪ってしまっているのではないの?
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いくらレオンがいいと言ってくれたって。私では何もかも釣り合いが取れないのに。
与えてあげられるものなんて、ほとんどないのに。
欲しいものを、もらってばかりなのに。
離れた方がいいのではないの?
彼のことを想うのなら。
でも…
彼は私の息子で…
弱い自分が狡い言い訳を見つけた。
この先にあるのは、息子としての関係などではないのに。
彼が望んでいるのも、私が望まれて密かに喜んでいるのも、親子としての関係性ではないのに。
それを理由に離れられないと言う…。
「兄上のモノにならないのなら、僕が母上をもらうよ」
このところずっと悩んでいたら、サイラスに突然そんなことを言われた。
驚きに目を丸くする。
「僕のモノになったら、前にも後ろにも挿れてあげる」
いつもの調子で
「そしたら僕とも子づくりしようね?」
そんなことを言うサイラス。
なんて返事をしたらいいのか分からない。
「で…も…あなた…私のことは別に…」
「うーん。その筈なんだけどね?」
サイラスが少し顔をしかめた。
「そんな顔の母上を見てるくらいなら、僕のモノにしちゃった方がマシ」
意味が分からない。
私はいったい、どんな顔をしてしまっているのだろう。
「だからね、母上」
サイラスの手が、私の肩に置かれた。
「僕に抱かれるか兄上に抱かれるか選んでよ。二択だよ?僕らのどちらかを選んで」
サイラスに抱かれるという選択肢は流石にない。だってこの子は、そんなこと望んでない。
私の表情から、それを読み取ったのだろう。
「ほら、結論は出てるんだから足掻くのやめたら?」
「でも…」
惑う私を、サイラスがソファに押し倒した。
「ほら、兄上を呼びなよ。すぐ近くにいるから。そしたら逆上した兄上が僕を殴って母上を抱きしめて一件落着。母上の為なら、一発殴られるくらいどうってことないからさ」
気にしなくていいよ、と笑うサイラスに、胸が痛くなった。
堪えきれず顔を覆って泣きだした私に、サイラスが困ったような声をあげる。
「え…泣くことないじゃん。この流れで僕がやるわけないって分かってるでしょ?」
喉が詰まって声が出ないから、黙って首を横に振った。
そうじゃないの。
レオンもサイラスも、どうしてこんなに優しいの…私はこんな、自分の気持ちひとつ満足に決められないような情けない人間なのに…
与えられる優しさが、嬉しくて苦しかった。
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