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第1章
7 屋敷を与えられました
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それから、自室に戻る暇も与えられないまま殿下に馬車で連れられて行ったのは、立派なお屋敷だった。
馬車から降り立った殿下を、ズラリと並んだ使用人たちが出迎えた。
殿下は、
「この屋敷の女主人だ」
と彼らの前に私を立たせた。みすぼらしいメイド服姿の私を。
使用人達は教育が行き届いているのか、それでも恭しく頭を下げた。
「風呂に入れて着替えさせてやってくれ。夕食は私も一緒に摂る」
私は、屋敷の奥へとメイドたちに連れられていった。
屋敷の中の大きな部屋、そこに続く浴室で、服を脱がされ体を洗われる。
他人にされることなど当然初めてで、抵抗しようとしたけれど、
「おとなしくなさってくださいませ」
とピシャリと叱られた。
居心地が悪かったけれど
「仕事を奪って私たちをクビにしたいのですか?」
と言われれば、もう抵抗はできなかった。クビになる怖さは、よく知っている。
隅々まで体を洗われ、高価そうなドレスを着せられ、化粧をほどこされる。
「こちらです」
と案内された食堂では、綺麗に盛り付けられた料理が何皿も運ばれてきた。
恐らくとても美味しいのだろう。けれど、すぐ側に座る殿下と使用人たちに見られ、ドレスにこぼしてしまうのではないかと緊張しながら食べたので、ほとんど味がしなかった。
食事が終わると、殿下に手を引かれ、別の部屋に連れて行かれた。
どうやらこちらは殿下の私室のようだった。
「君に、ひとつ言っておくことがある」
改まった口調に、嫌な予感がした。
殿下がゆっくりと口を開く。
「まぁそんなことはないと思うけれど、もし万が一、君がここから逃げ出すようなことがあれば、ここで働く全員の命はない」
「っ!?」
驚きのあまり、膝から崩れ落ちそうになったところを抱きとめられた。
「身重の体には刺激が強かったかな?」
殿下が微笑む。
「そういうわけだから、ここでおとなしくしていてくれるよね?」
耳元で甘く囁かれるけれど、震えが止まらない。
殿下が楽しそうに笑う。
「可愛いリーシャ」
その晩殿下は、私の髪を撫で肩を撫で、そこかしこにキスをすると、お腹に頭を乗せて腰に抱きつくようにして眠りに落ちた。
翌朝、一緒に朝食を摂ったあと、
「また来るよ」
と言い置いて、殿下は去っていった。
「屋敷から出てはダメだよ?」と釘を刺して。
馬車から降り立った殿下を、ズラリと並んだ使用人たちが出迎えた。
殿下は、
「この屋敷の女主人だ」
と彼らの前に私を立たせた。みすぼらしいメイド服姿の私を。
使用人達は教育が行き届いているのか、それでも恭しく頭を下げた。
「風呂に入れて着替えさせてやってくれ。夕食は私も一緒に摂る」
私は、屋敷の奥へとメイドたちに連れられていった。
屋敷の中の大きな部屋、そこに続く浴室で、服を脱がされ体を洗われる。
他人にされることなど当然初めてで、抵抗しようとしたけれど、
「おとなしくなさってくださいませ」
とピシャリと叱られた。
居心地が悪かったけれど
「仕事を奪って私たちをクビにしたいのですか?」
と言われれば、もう抵抗はできなかった。クビになる怖さは、よく知っている。
隅々まで体を洗われ、高価そうなドレスを着せられ、化粧をほどこされる。
「こちらです」
と案内された食堂では、綺麗に盛り付けられた料理が何皿も運ばれてきた。
恐らくとても美味しいのだろう。けれど、すぐ側に座る殿下と使用人たちに見られ、ドレスにこぼしてしまうのではないかと緊張しながら食べたので、ほとんど味がしなかった。
食事が終わると、殿下に手を引かれ、別の部屋に連れて行かれた。
どうやらこちらは殿下の私室のようだった。
「君に、ひとつ言っておくことがある」
改まった口調に、嫌な予感がした。
殿下がゆっくりと口を開く。
「まぁそんなことはないと思うけれど、もし万が一、君がここから逃げ出すようなことがあれば、ここで働く全員の命はない」
「っ!?」
驚きのあまり、膝から崩れ落ちそうになったところを抱きとめられた。
「身重の体には刺激が強かったかな?」
殿下が微笑む。
「そういうわけだから、ここでおとなしくしていてくれるよね?」
耳元で甘く囁かれるけれど、震えが止まらない。
殿下が楽しそうに笑う。
「可愛いリーシャ」
その晩殿下は、私の髪を撫で肩を撫で、そこかしこにキスをすると、お腹に頭を乗せて腰に抱きつくようにして眠りに落ちた。
翌朝、一緒に朝食を摂ったあと、
「また来るよ」
と言い置いて、殿下は去っていった。
「屋敷から出てはダメだよ?」と釘を刺して。
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