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プリンを食べ終わって一緒に二階に上がって、遠矢の部屋の前を通り過ぎようとしたところで肩をつかまれた。
「…姉さん、大丈夫?」
いつの間にか「沙耶さん」から「姉さん」に戻ってたのが少しショックだった。そしてそれにショックを受けた事にショックを受けた。
「…大丈夫って何よ……当たり前じゃない……」
肩に乗せられた手をそっと払う。
そしたら手首をつかまれた。
「…………やっぱり心配」
じっと顔を覗き込まれて思わず目を伏せる。そんな事言われたって……。
「…だから………………一緒にお風呂入ろっか」
けれど悪戯っぽく笑った顔で突拍子もない事を言われて目を見開いた。
「はあ!?っ…バッカじゃないの!?お風呂とかっ…本当バカっ…!」
思わず両手で遠矢を叩く。
遠矢は可笑しそうに笑っている。どうやら揶揄われたみたいだ。
悔しくて更に顔や胸を叩く。遠矢は手でガードしてるから、どうせ当たらないけど。
しばらくそうしていたら、遠矢の部屋の隣のドアが開いた。
そして明が出てきた。
「…姉さんと遠矢、帰ってたんだ」
ちょっとイライラしてる顔。
弟たちは私の事は姉さんと呼ぶけれど、お互いのことは名前で呼んでいる。
最近明と会うと緊張してしまう。いつもピリピリしてるから。明の受験は再来年なのに、もうナーバスになっているみたいなのだ。明は頭いいけど、かなり難しいところを狙ってるらしくて。
私や今年大学に入った遠矢が受験生の時は、そんな事なかったんだけどな。そこまでピリピリしなくても……
と思いはするけれど、既に受験の終わった私たちがすぐ横で気楽にはしゃいでたら苛立ちもするだろうと納得できるので謝った。
「…ごめんね、うるさくして」
「……別に」
不機嫌そうに目を逸らす明。
何だか気まずい。
「えっと、じゃあ部屋に戻るね」
そそくさと遠矢から離れる。
「うん、また後でね」
遠矢の笑顔に曖昧に頷いて、廊下の向かいの自分の部屋に入った。
「…姉さん、大丈夫?」
いつの間にか「沙耶さん」から「姉さん」に戻ってたのが少しショックだった。そしてそれにショックを受けた事にショックを受けた。
「…大丈夫って何よ……当たり前じゃない……」
肩に乗せられた手をそっと払う。
そしたら手首をつかまれた。
「…………やっぱり心配」
じっと顔を覗き込まれて思わず目を伏せる。そんな事言われたって……。
「…だから………………一緒にお風呂入ろっか」
けれど悪戯っぽく笑った顔で突拍子もない事を言われて目を見開いた。
「はあ!?っ…バッカじゃないの!?お風呂とかっ…本当バカっ…!」
思わず両手で遠矢を叩く。
遠矢は可笑しそうに笑っている。どうやら揶揄われたみたいだ。
悔しくて更に顔や胸を叩く。遠矢は手でガードしてるから、どうせ当たらないけど。
しばらくそうしていたら、遠矢の部屋の隣のドアが開いた。
そして明が出てきた。
「…姉さんと遠矢、帰ってたんだ」
ちょっとイライラしてる顔。
弟たちは私の事は姉さんと呼ぶけれど、お互いのことは名前で呼んでいる。
最近明と会うと緊張してしまう。いつもピリピリしてるから。明の受験は再来年なのに、もうナーバスになっているみたいなのだ。明は頭いいけど、かなり難しいところを狙ってるらしくて。
私や今年大学に入った遠矢が受験生の時は、そんな事なかったんだけどな。そこまでピリピリしなくても……
と思いはするけれど、既に受験の終わった私たちがすぐ横で気楽にはしゃいでたら苛立ちもするだろうと納得できるので謝った。
「…ごめんね、うるさくして」
「……別に」
不機嫌そうに目を逸らす明。
何だか気まずい。
「えっと、じゃあ部屋に戻るね」
そそくさと遠矢から離れる。
「うん、また後でね」
遠矢の笑顔に曖昧に頷いて、廊下の向かいの自分の部屋に入った。
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