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第一部
17 エピローグ 魔族視点
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女が去った後、俺は寝たふりをやめて目を開いた。
「…………あ~~~~っ!!」
呻きながら、膝に両肘をついて苛立ち紛れに頭をガシガシとかきむしる。周囲の視線を感じるが知るものか。
………途中までは上手くいっていたんだ。いや、なんなら最後まで上手くいった。
何も知らない子どもの振りをして、人間の女を騙して犯す。
そういう遊びの筈だった。
俺がたまにやる遊び。
今日引っ掛けた女は、随分と度の外れたお人好しだった。俺の嘘にコロッと騙されて、最後まで自分から受け入れたのでかなり楽しめた。
顔も身体もなかなかで、おまけに快楽に弱い女だった。
…それだけだったら「あー、面白かった」で済んだのに。終わった後で俺が魔族だとバラして、おまえは魔族に騙されて犯されてよがったのだと笑ってやってもよかったのに。
あの女ときたら……
「俺」の為を思って、俺との行為を無かったことにしようとしやがった。
保身の為ではなく、ただ俺の為に……
俺には、触れるくらいの距離にいる相手の考えを読み取る能力がある。だから、あの女が何を考えて、どんな気持ちで俺に抱かれたのか大体わかっている。
あの女は、俺に惚れた癖に身を引いた。ただの事故だったと自分に言い聞かせて、俺との行為を無かったことにしようとした。あれが現実だと知ったら、俺が傷つくと思って。俺への気持ちを殺して。
………この俺に、騙されたとも知らないで。
…ムカつく。
俺は魔族だ。
こんな形をしてはいるが、もう100年以上は生きている。
子どもの見た目で人間を騙すのが面白いから、あそこ以外はわざと成長を止めていただけだ。
その気ならば、今頃はとっくに大人の身体になっていた。
中身は当然、既にいい年の大人だ。
なのにあの女、俺を子ども扱いしやがって…
無性にイライラする。
あの女が俺をガキ扱いして守ろうとした事が、苛立たしくてたまらない。
今まで騙した女は、ごちゃごちゃ言い訳したり、一旦その気になった癖に途中で我に返って逃げようとしたりする奴が多かった。そういう態度はムカついたから、無理矢理力づくで犯してやった。
子どもの姿とはいえ、魔族の腕力に叶う人間の女などいない。
だから簡単だった。
だが中には、発情して自分から誘ってくる女もいた。見た目はほんの小さなガキの俺相手に、大の大人がその気になる様は無様で笑えた。だから何も分からず怯える子どもの振りをしたまま相手をしてやったら、終わった後、俺の所為にして責任を取らせようとしてきやがった。女の認識では、ほぼ無理矢理俺を犯した癖に。
それには流石に引いたしイラっとした。
だからそういう女には、終わった後で『化身』の偽装を解いて頭の角を見せてやった。
お前が喜んで腰を振った相手は、人間が忌み嫌い怖れる魔族だったと教えて嘲笑ってやった。
怯えて逃げだすやつ。
ショックで狂うやつ。
神に縋ろうとして神官たちにうっかり俺とヤった事を告白して破門され、行き場を失うやつ。
そんな姿を見ては、また笑ってやったものだ。
なのにあの女ときたら…………
なんなんだ。
本当にイラつく。
商売女でもない癖に。
見ず知らずのガキに同情して流されて最後までヤらせて。挙句そのガキに惚れて。
なのに無かったことにするだと?
俺に忘れられても構わないだと?
俺の将来の為には、その方がいいから。
何もわからない子どもがしたことだから。
全部、流された自分が悪いのだからと……。
……ふざけるな。
なんだその理屈は。
俺はそんなの認めない。
俺はあの女を騙したんだ。
あの女は俺に騙されたんだ。小さな子どもに縋られて放り出せなくて、身体を差し出したんだ。
…そうしないと俺が泣くと思って。
俺の嘘を信じて最後までヤらせたんだ。そこまでする気など無かった癖に。
………そして…俺に惚れた。
俺のあんな、その場の雰囲気で放った言葉なんかに喜んで…。
そう。
あの女は俺を好きになった。
俺に抱かれて。
何度もイって。
俺ともっと一緒にいたいと願った。
それを無かった事にするなど許さない。
俺は、あの女を忘れてやらない。
あの女の顔。
あの女の身体。
あの女の声。
あの女の眼差し。
全て、忘れてなどやるものか。
あいつは俺のものだ。
俺に惚れているのだから俺のものだ。
自分の女を忘れるバカはいない。
あいつは、二度と俺以外の男には抱かせない。死ぬまで俺が抱く。
あいつは俺のものだ。
そうだ。この手でまた抱いてやる。
一度で済ませてやるものか。
ガキだから無かった事にするというのなら、成長した身体で会いに行ってやる。そして何度も何度も、嫌というほどそのいやらしい身体に思い知らせてやる。おまえは俺に抱かれたのだと。おまえは俺に惚れているのだと。夢だなんて言い訳、二度とできないように。
抱き尽くして、俺の存在をあの女の身体に刻み込んでやる。「忘れられてもいい」なんてふざけた事、二度と言えなくしてやる。
「忘れないで」と、泣いて縋らせてやる。
……だが、今はダメだ。
今の身体では、会いに行っても「子どもだから」とあの女はどうせ拒むのだろうから……。
今から成長を始めれば、あと5年もすれば成人を迎えた人間程度の身体になる。そうすればあの女も、俺のことを子どもだなどとは言えなくなる。
そうしたら会いに行ってやる。
会いに行って、この俺をここまで苛立たせた責任を取らせてやる。
あのいやらしい身体で、償わせてやる。
一生かけて、責任を取らせてやる。
………だから、覚悟しておけ。
「…………あ~~~~っ!!」
呻きながら、膝に両肘をついて苛立ち紛れに頭をガシガシとかきむしる。周囲の視線を感じるが知るものか。
………途中までは上手くいっていたんだ。いや、なんなら最後まで上手くいった。
何も知らない子どもの振りをして、人間の女を騙して犯す。
そういう遊びの筈だった。
俺がたまにやる遊び。
今日引っ掛けた女は、随分と度の外れたお人好しだった。俺の嘘にコロッと騙されて、最後まで自分から受け入れたのでかなり楽しめた。
顔も身体もなかなかで、おまけに快楽に弱い女だった。
…それだけだったら「あー、面白かった」で済んだのに。終わった後で俺が魔族だとバラして、おまえは魔族に騙されて犯されてよがったのだと笑ってやってもよかったのに。
あの女ときたら……
「俺」の為を思って、俺との行為を無かったことにしようとしやがった。
保身の為ではなく、ただ俺の為に……
俺には、触れるくらいの距離にいる相手の考えを読み取る能力がある。だから、あの女が何を考えて、どんな気持ちで俺に抱かれたのか大体わかっている。
あの女は、俺に惚れた癖に身を引いた。ただの事故だったと自分に言い聞かせて、俺との行為を無かったことにしようとした。あれが現実だと知ったら、俺が傷つくと思って。俺への気持ちを殺して。
………この俺に、騙されたとも知らないで。
…ムカつく。
俺は魔族だ。
こんな形をしてはいるが、もう100年以上は生きている。
子どもの見た目で人間を騙すのが面白いから、あそこ以外はわざと成長を止めていただけだ。
その気ならば、今頃はとっくに大人の身体になっていた。
中身は当然、既にいい年の大人だ。
なのにあの女、俺を子ども扱いしやがって…
無性にイライラする。
あの女が俺をガキ扱いして守ろうとした事が、苛立たしくてたまらない。
今まで騙した女は、ごちゃごちゃ言い訳したり、一旦その気になった癖に途中で我に返って逃げようとしたりする奴が多かった。そういう態度はムカついたから、無理矢理力づくで犯してやった。
子どもの姿とはいえ、魔族の腕力に叶う人間の女などいない。
だから簡単だった。
だが中には、発情して自分から誘ってくる女もいた。見た目はほんの小さなガキの俺相手に、大の大人がその気になる様は無様で笑えた。だから何も分からず怯える子どもの振りをしたまま相手をしてやったら、終わった後、俺の所為にして責任を取らせようとしてきやがった。女の認識では、ほぼ無理矢理俺を犯した癖に。
それには流石に引いたしイラっとした。
だからそういう女には、終わった後で『化身』の偽装を解いて頭の角を見せてやった。
お前が喜んで腰を振った相手は、人間が忌み嫌い怖れる魔族だったと教えて嘲笑ってやった。
怯えて逃げだすやつ。
ショックで狂うやつ。
神に縋ろうとして神官たちにうっかり俺とヤった事を告白して破門され、行き場を失うやつ。
そんな姿を見ては、また笑ってやったものだ。
なのにあの女ときたら…………
なんなんだ。
本当にイラつく。
商売女でもない癖に。
見ず知らずのガキに同情して流されて最後までヤらせて。挙句そのガキに惚れて。
なのに無かったことにするだと?
俺に忘れられても構わないだと?
俺の将来の為には、その方がいいから。
何もわからない子どもがしたことだから。
全部、流された自分が悪いのだからと……。
……ふざけるな。
なんだその理屈は。
俺はそんなの認めない。
俺はあの女を騙したんだ。
あの女は俺に騙されたんだ。小さな子どもに縋られて放り出せなくて、身体を差し出したんだ。
…そうしないと俺が泣くと思って。
俺の嘘を信じて最後までヤらせたんだ。そこまでする気など無かった癖に。
………そして…俺に惚れた。
俺のあんな、その場の雰囲気で放った言葉なんかに喜んで…。
そう。
あの女は俺を好きになった。
俺に抱かれて。
何度もイって。
俺ともっと一緒にいたいと願った。
それを無かった事にするなど許さない。
俺は、あの女を忘れてやらない。
あの女の顔。
あの女の身体。
あの女の声。
あの女の眼差し。
全て、忘れてなどやるものか。
あいつは俺のものだ。
俺に惚れているのだから俺のものだ。
自分の女を忘れるバカはいない。
あいつは、二度と俺以外の男には抱かせない。死ぬまで俺が抱く。
あいつは俺のものだ。
そうだ。この手でまた抱いてやる。
一度で済ませてやるものか。
ガキだから無かった事にするというのなら、成長した身体で会いに行ってやる。そして何度も何度も、嫌というほどそのいやらしい身体に思い知らせてやる。おまえは俺に抱かれたのだと。おまえは俺に惚れているのだと。夢だなんて言い訳、二度とできないように。
抱き尽くして、俺の存在をあの女の身体に刻み込んでやる。「忘れられてもいい」なんてふざけた事、二度と言えなくしてやる。
「忘れないで」と、泣いて縋らせてやる。
……だが、今はダメだ。
今の身体では、会いに行っても「子どもだから」とあの女はどうせ拒むのだろうから……。
今から成長を始めれば、あと5年もすれば成人を迎えた人間程度の身体になる。そうすればあの女も、俺のことを子どもだなどとは言えなくなる。
そうしたら会いに行ってやる。
会いに行って、この俺をここまで苛立たせた責任を取らせてやる。
あのいやらしい身体で、償わせてやる。
一生かけて、責任を取らせてやる。
………だから、覚悟しておけ。
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