【完結】番が見つかった恋人に今日も溺愛されてますっ…何故っ！？

第1章

更に翌日

翌日も、アレウスに担がれて出勤した。
後ろで何か叫んでいる番の声が哀れを誘ったけれど、情けは無用だ。
私はアレウスを譲る気はないし、アレウスも譲られる気はないようだから。

「ケリをつける」とアレウスが言っていたので、どうにかするのだろう。
ここまであからさまに番を避けているアレウスを疑うのもバカバカしいので信じている。
私が何かする必要がある時は、言ってくれる筈だ。

もしこれが、ただの横恋慕だったなら、ガンガン前に出て撃退していたと思う。必要ならば、殴り合いも辞さない心づもりもある。
けれど番となると、ちょっとどうしたらいいのか分からない。

だってそんな、大喜びで受け入れられるのが当然の相手に拒否されて諦められるの？

番の衝動を知らない私には、番に拒絶された彼女が今どう感じているのか分からない。
分からないから、行動するのを躊躇ってしまう。


帰りはまた、違う省から帰った。
アレウスの番は鳥系なので嗅覚が弱いからか、そうしてしまうと匂いに気づけないようだった。