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未知の生命体との遭遇

171宇宙旅行

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 砂漠には珍しい光景と言えるぐらいのにぎやかさになっている。

 砂漠の中に建てられた個室の檻内では、
鹿島による口裂け亀亜人の尋問が行われていて、
審問が終わるとそれぞれ一匹ずつ甲羅型宇宙船に首輪をはめられて引かれていった。

「提督閣下は、やはりこの惑星へ降りたときに、猫亜人の子供と会話できたのと同じ感覚ですか?」
「ああ~。あ、この亀亜人との意思疎通か?
こいつらの場合は違っていたな。
こいつが触ってきたときに、ドバドバ、ドバッとすべての情報がなだれ込んできたのだ。」

「俺もそんな能力が欲しいな。」
「分けてやりたいが、俺も何で出来るのかわからないのだ。」

 甲羅型宇宙船の運用はすべてコンピューター制御になっていた。

 運用はすべて元コンピューター技官グレイの担当となり、
元レーダー技官マークと、
元機関部からアマヤモとサーサデに、
オードリー元重力探索技官や、
元電気技官サブウェイ元航宙軍はシステム調査をしだした。

 最後の尋問亀亜人の首輪を引いた鹿島と、
傍に連れそう元航宙技官ソシアルは、
甲羅型宇宙船の操縦室と思われる部屋に入った。

 鹿島は元航宙技官ソシアルの質問を亀亜人の言葉で質問している。

 ソシアル航宙技官は、コンピューター制御エラーに備えての質問を、飽きることなく長々と質問続けていた。

 密封防護服に身を包んだポールが操縦室に現れたことで、
ようやっと亀亜人への尋問は終わった。

「タコの処置はすべて終わりました。」
といって、タコの宿主がいなくなった生物兵器をかざした。

「まさか?それを装着する気じゃないだろうな?」
「試しちゃダメですか?」
「あったりまえだろう!」
「でも、、、少しだけ怪物経験がしたいな~。」
「やめたほうがいい。半端な疲れではない喉。
ビリーの女房ジャネットが、魔法大会で死にかけたのを思い出せ。
過分な体力を使うと危険なのだ。」
「あ~、そうだった。やはりやめとこう。」

 タローの持ち帰った玉手箱も大量に保管されいたので、
生臭さのまま各研究室へを送られた。
もちろん、サトイ研究者にも生臭いまま送られた。

 輸送艦の通路は行き交う人であふれていた。
展望室は特に人があふれている。

 鹿島達が、違う惑星から来たことが発表された後の混乱を鎮めるための処置として、
各知事夫妻や、司令官夫妻に、運営技官夫婦に、
テテサ教皇の選んだ司祭長たちが乗り込んでいた。

 特別展望室の窓際に押されているイアラは、
「ミルちゃん。ここがいい。絶対にここは確保していなさい。」
と、空軍司令官となったイアラ元女王は、
人混みの波に押されて浮浪そうになりかけているミルちゃんの母親の手を引いた。

 運営委員メンバーと五人の子供達に、マティーレの息子アグストスは、混雑している展望室や、外側通路の開けた窓周りをしり目に、司令官室でゆったりとしていた。

 輸送艦の屋上にいる白い宇宙船の反重力によって、
輸送艦の燃料を使うことなく離陸した。

 輸送艦は真っ直ぐに月に向かい、月の裏側に着くと、
上陸艇を使って十七匹の亀亜人と頭の無い遺体を月面に降ろした。

 銀河の渦巻斜め上から、
銀河から枝状に伸びた恒星の輝きに照らされた惑星のそばを通り抜け、色とりどりの宝石をちりばめた星雲に向かった。

 輸送艦の中では感動の声が響き渡り、
各ホール室に並べられたテーブルの上は食事の用意がなされてはいたが、十二時間の宇宙旅行中、各ホール室には人の姿はまったくなかった。

 十二時間後、輸送艦は神降臨街の定位置に着陸すると、
ホール室は混雑しだした。

 ホール室の隅の方で、もと王女のシリーは、
義理の姉オトロシ州知事夫人メイディと、
元帥夫人ジャネットに支えられて大きなおなかを抱えていた。

「すごい混乱で、やっとこれだけを確保しました。」
と夫のフィルノル州知事メイドームは、
大皿いっぱいの料理を運んできた。

「星々は、宝石箱から散らばった宝石ではなくて、
太陽の輝きだったのね。」
「だれが何のために、太陽をいっぱい造ったのかしら?」
と、シリーは窓の外から空を見た。

 神様だけが住んでいる空のかなたから帰ってきたみんなは、
返事に困ってしまっている。

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