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未知の生命体との遭遇
160伝染病
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戦略作戦室には、
運営委員の他に元航宙軍乗務員と元陸戦隊全員が集まっていた。
「コーA.I。説明して。」
とマーガレットは深刻な顔でスクリーンを見つめた。
「三百万光年先に、非常に重量のある、物質的な無が、現れました。」
「重量はあるが、物質的な無とは?」
「光の波長を含め、
宇宙から発生するあらゆる電波を歪曲させる重量空間があり、
絶対零度の重量を持った波長を空間から発しています。
だが、目視出来ません。」
「なんでわかった?」
「上陸時に、この惑星の座標をセットした救助要請弾丸五十発を、
あらゆる方向に発射したので、
その結果報告とあらゆる電波を常時受けています。
その過程で、理論上絶対零度の波長を感じたので、調べていました。」
全員が全く理解できない様子である。
「で、何か問題があるのか?」
「この惑星の星座に向かって来ています。
絶対零度の空間に惑星が入ると、すべてが凍り付いてしまいます。」
「それ大変じゃん。氷河期の到来じゃん。」
と、脳筋ムキムキ主婦シーラーは叫んだ。
全員は事の重大性を要約理解しだした様である。
「絶対零度の空間が到着するとして、時間の余裕は?」
「早くて十二三年後、遅くとも、十五年位でしょうが、予断はできません。」
戦略作戦室のドアが開き、
幼い男の子の手を引いた四人子供達と闇の樹海老樹霊が現れてた。
テテサ教皇の娘キズナは、
隠し様の無いガイア女神様の姿そっくりであった。
ガイア女神様と面識があるのは、
運営委員以外ではトーマス元帥だけであったので、
キズナの髪の毛が燃え盛っているのではないかとの思いからか、
戦略作戦室では驚きのどよめきが起きた。
老樹霊は子供達の前に立ち、
「超越して来た物体よりも、深刻な出来事が起きました。」
と、老樹霊は部屋を見回した。
「この惑星の存亡よりも、深刻なことがあると?」
「不死者の棺が、行方知れずになっています。」
「不死者?」
「テテサ教皇様。あなたが一番真実に近い話に詳しいでしょうから、
タローの昔話と、あなたの疑念を話してください。」
テテサ教皇は静かに立ち上がり、
「真ガイア教会の司祭長が話した昔話です。
亀亜人種を助けたタローは、かの地に連れていかれたが、
再び帰って来た時には不死者となっていました。
そして雷と竜巻を起こす武器を使って、次々と部族を制圧したが、
その身は乙女の血を欲しがっていたがために、
指導者らによって石棺に閉じ込められたが、国を追われた時の混乱で、石棺は神殿深くに置き去られたか、忘れられたかは不明です。
「乙女の血を欲しがる?俺の故郷で聞いたことのある?
ドラキュラ伝説か?」
と鹿島は不思議がった。
「ドラキュラなるものが逃げたと?」
「若しくは、誰かが運び出した?」
「もう一つあります。約束の土地で狂犬病が発生しだすと、
次々と隣町まで広がりだして、
最終的には、南大陸の港町まで広がったのです。
そして現在、鉄州クレ港街で発生しながら、
バーミーズ州の街を経てカントリ国境町にも発生しています。
何らかの関係がありそうなので、調査をお願いします。」
マーガレットは何かに気づくと、中野学校諜報員から送られて来た書類の束を取り出した。
「あった!」
と言って、一枚の(約束の地、神殿調査報告書)と書かれた書類に目を通した。
「約束の神殿に、何者かの墓荒らしが目的と思われる、
痕跡が発見された。」
と、読み上げた。
「コーA.I。カントリ国の夜景を映して。」
と、マーガレットは不安げに声掛けした。
「十日前と、現在の夜の航空写真です。」
そこには明らかに、夜のとばりでの灯の差がはっきりと表されていた。
「現在の状態は、全くとばり用の灯が見当たらない。
何が起きているのだ?」
「カントリー樹海と深い樹海の老樹霊に連絡できますか?」
と、テテサ教皇は闇の樹海老樹霊に声掛けした。
「しばらくお待ちください。」
老樹霊は静かに目をつぶると、
身体中を葉っぱでくるんだ二人の老樹霊が現れた。
「カントリ国で何かが起こっていますか?」
「何故か魔物も魔獣も狂暴化しだした様です。
特に豚似コヨーテは魔物にさえ襲い掛かっています。」
「まさか?豚似コヨーテが魔物に?」
「真実です。」
ともう一人の葉っぱをつけた老樹霊が答えた。
「すべての魔物も魔獣もコントロールは不可能になっています。
周辺の集落には警戒態勢をお願いします。」
それまで静かに椅子に座っていた子供達からざわめきが起こりだすと、
「何か言いたいことがあるの?」
と、マーガレットは微笑みながらキズナを見つめた。
「よくない伝染病が広がります。未然に防いでください。」
と、何故かキズナではなくてレイが応えた。
「なんで?キズナちゃんが答えないで、レイちゃんなの?」
「キズナちゃんは、見たままを報告するだけですので、
代わりに私が解説付きで答えます。」
「伝染病が広がる原因は?」
「一つの個体からウイルスが移り、ネズミ算的に爆発的に広がり始めます。」
「既にその傾向は出ています。」
と、レイの言葉にキズナが補足した。
「傾向が出ている?」
「見えたから。」
「キズナちゃん、私が説明します。
キズナちゃんが答えると、いつまでも質問攻めにあってしまうわ。」
と言って、改めてレイはマーガレットに向き直した。
「ウイルスに犯された豚似コヨーテを捕獲して、
直ぐにウイルスを特定したならば、
防護と治療法の対策をして頂きたい。
事は急を要します。」
子供達の事情を知らない元航宙軍士官達は、
「レイちゃん達はまだ五歳のはずだが、
なのになんで十歳以上の体格になっていて、
それに大人びた言葉を使っているのだ?」
「ジンちゃんもまだ一才だろう。
すでに五歳ぐらいに見えるぜ?」
「俺の子供は、普通なのに?何が原因だ?」
と、話題そっちのけでひそひそと話しだしていた。
そんな会話を聞き取ったのか、
レイはひそひそ話中の元航宙軍士官達に微笑んむと、
元航宙軍士官達は罰悪そうに硬直した。
「わかりました。
カントリ国の監視は続けますが、二人の老樹霊にも協力願います。」
「もしも?
絶対零度の重量波長の空間の事を、知っているなら教えてほしい。」
と、鹿島はキズナの方を向いた。
「彼岸から来た、超越空間者ですね。」
「彼岸から来た?」
キズナは、闇の樹海老樹霊に耳打ちすると、
「その話は、かなり時間を要します。
後日改めてゆっくりと説明します。
今は、邪悪な伝染病の対策を急いでほしい。」
と、老樹霊が答えた。
運営委員の他に元航宙軍乗務員と元陸戦隊全員が集まっていた。
「コーA.I。説明して。」
とマーガレットは深刻な顔でスクリーンを見つめた。
「三百万光年先に、非常に重量のある、物質的な無が、現れました。」
「重量はあるが、物質的な無とは?」
「光の波長を含め、
宇宙から発生するあらゆる電波を歪曲させる重量空間があり、
絶対零度の重量を持った波長を空間から発しています。
だが、目視出来ません。」
「なんでわかった?」
「上陸時に、この惑星の座標をセットした救助要請弾丸五十発を、
あらゆる方向に発射したので、
その結果報告とあらゆる電波を常時受けています。
その過程で、理論上絶対零度の波長を感じたので、調べていました。」
全員が全く理解できない様子である。
「で、何か問題があるのか?」
「この惑星の星座に向かって来ています。
絶対零度の空間に惑星が入ると、すべてが凍り付いてしまいます。」
「それ大変じゃん。氷河期の到来じゃん。」
と、脳筋ムキムキ主婦シーラーは叫んだ。
全員は事の重大性を要約理解しだした様である。
「絶対零度の空間が到着するとして、時間の余裕は?」
「早くて十二三年後、遅くとも、十五年位でしょうが、予断はできません。」
戦略作戦室のドアが開き、
幼い男の子の手を引いた四人子供達と闇の樹海老樹霊が現れてた。
テテサ教皇の娘キズナは、
隠し様の無いガイア女神様の姿そっくりであった。
ガイア女神様と面識があるのは、
運営委員以外ではトーマス元帥だけであったので、
キズナの髪の毛が燃え盛っているのではないかとの思いからか、
戦略作戦室では驚きのどよめきが起きた。
老樹霊は子供達の前に立ち、
「超越して来た物体よりも、深刻な出来事が起きました。」
と、老樹霊は部屋を見回した。
「この惑星の存亡よりも、深刻なことがあると?」
「不死者の棺が、行方知れずになっています。」
「不死者?」
「テテサ教皇様。あなたが一番真実に近い話に詳しいでしょうから、
タローの昔話と、あなたの疑念を話してください。」
テテサ教皇は静かに立ち上がり、
「真ガイア教会の司祭長が話した昔話です。
亀亜人種を助けたタローは、かの地に連れていかれたが、
再び帰って来た時には不死者となっていました。
そして雷と竜巻を起こす武器を使って、次々と部族を制圧したが、
その身は乙女の血を欲しがっていたがために、
指導者らによって石棺に閉じ込められたが、国を追われた時の混乱で、石棺は神殿深くに置き去られたか、忘れられたかは不明です。
「乙女の血を欲しがる?俺の故郷で聞いたことのある?
ドラキュラ伝説か?」
と鹿島は不思議がった。
「ドラキュラなるものが逃げたと?」
「若しくは、誰かが運び出した?」
「もう一つあります。約束の土地で狂犬病が発生しだすと、
次々と隣町まで広がりだして、
最終的には、南大陸の港町まで広がったのです。
そして現在、鉄州クレ港街で発生しながら、
バーミーズ州の街を経てカントリ国境町にも発生しています。
何らかの関係がありそうなので、調査をお願いします。」
マーガレットは何かに気づくと、中野学校諜報員から送られて来た書類の束を取り出した。
「あった!」
と言って、一枚の(約束の地、神殿調査報告書)と書かれた書類に目を通した。
「約束の神殿に、何者かの墓荒らしが目的と思われる、
痕跡が発見された。」
と、読み上げた。
「コーA.I。カントリ国の夜景を映して。」
と、マーガレットは不安げに声掛けした。
「十日前と、現在の夜の航空写真です。」
そこには明らかに、夜のとばりでの灯の差がはっきりと表されていた。
「現在の状態は、全くとばり用の灯が見当たらない。
何が起きているのだ?」
「カントリー樹海と深い樹海の老樹霊に連絡できますか?」
と、テテサ教皇は闇の樹海老樹霊に声掛けした。
「しばらくお待ちください。」
老樹霊は静かに目をつぶると、
身体中を葉っぱでくるんだ二人の老樹霊が現れた。
「カントリ国で何かが起こっていますか?」
「何故か魔物も魔獣も狂暴化しだした様です。
特に豚似コヨーテは魔物にさえ襲い掛かっています。」
「まさか?豚似コヨーテが魔物に?」
「真実です。」
ともう一人の葉っぱをつけた老樹霊が答えた。
「すべての魔物も魔獣もコントロールは不可能になっています。
周辺の集落には警戒態勢をお願いします。」
それまで静かに椅子に座っていた子供達からざわめきが起こりだすと、
「何か言いたいことがあるの?」
と、マーガレットは微笑みながらキズナを見つめた。
「よくない伝染病が広がります。未然に防いでください。」
と、何故かキズナではなくてレイが応えた。
「なんで?キズナちゃんが答えないで、レイちゃんなの?」
「キズナちゃんは、見たままを報告するだけですので、
代わりに私が解説付きで答えます。」
「伝染病が広がる原因は?」
「一つの個体からウイルスが移り、ネズミ算的に爆発的に広がり始めます。」
「既にその傾向は出ています。」
と、レイの言葉にキズナが補足した。
「傾向が出ている?」
「見えたから。」
「キズナちゃん、私が説明します。
キズナちゃんが答えると、いつまでも質問攻めにあってしまうわ。」
と言って、改めてレイはマーガレットに向き直した。
「ウイルスに犯された豚似コヨーテを捕獲して、
直ぐにウイルスを特定したならば、
防護と治療法の対策をして頂きたい。
事は急を要します。」
子供達の事情を知らない元航宙軍士官達は、
「レイちゃん達はまだ五歳のはずだが、
なのになんで十歳以上の体格になっていて、
それに大人びた言葉を使っているのだ?」
「ジンちゃんもまだ一才だろう。
すでに五歳ぐらいに見えるぜ?」
「俺の子供は、普通なのに?何が原因だ?」
と、話題そっちのけでひそひそと話しだしていた。
そんな会話を聞き取ったのか、
レイはひそひそ話中の元航宙軍士官達に微笑んむと、
元航宙軍士官達は罰悪そうに硬直した。
「わかりました。
カントリ国の監視は続けますが、二人の老樹霊にも協力願います。」
「もしも?
絶対零度の重量波長の空間の事を、知っているなら教えてほしい。」
と、鹿島はキズナの方を向いた。
「彼岸から来た、超越空間者ですね。」
「彼岸から来た?」
キズナは、闇の樹海老樹霊に耳打ちすると、
「その話は、かなり時間を要します。
後日改めてゆっくりと説明します。
今は、邪悪な伝染病の対策を急いでほしい。」
と、老樹霊が答えた。
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