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154浄化法執行軍討伐
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周りは銃声や砲弾の爆裂音の響く中で、
鹿島は周りの歓声を聞き取ることができないのか、
静寂な場所での面持ち状態でパトラの報告を真っ青な顔で聞いていた。
「閣下。ここは危ないので、後方の塹壕に避難してください。」
と、将校らしき男たちは鹿島の腕をつかみ、
抱きかかえるように銃弾飛び交う中で鹿島を塹壕の中に降ろした。
鹿島は先程まで立ち尽くしていた場所へ砲弾が落ちたことで我に返った。
「もう一度詳しく話してくれ。」
と、鹿島はパトラに再度の報告を求めた。
パトラはナナがテントからの脱出出来た事と、元長老たちへの行動をコーA.Iからの映像で知り得たことを伝えると、
「ランボーイ連隊長とナナは、乱戦の中で戦死しました。」
やはり聞き間違いではないと、鹿島は確信した。
鹿島はジョシュー知事からカナリア街から七人の若者戦士を預かり、
最悪の作戦を命じたが為にむざむざと殺されたなどとは、
カナリア街のランボーイ連隊長の優しい親切な母親には伝えきれる自信がなかった。
「閣下。どうなされたのですか?」
と、
カナリア街出身者七人の若者戦士の一人であるシュワルル連隊長は、鹿島を心配そうに声がけした。
「すまん。俺の采配ミスで、ランボーイ連隊長を戦死させてしまった。」
鹿島の絞り出すような声に驚いたシュワルル連隊長は、
瞳を濡らしながらも、
「閣下の責任ではありません。
ランボーイの戦死は、自分の判断責任においての行動結果です。
我らも同じ立場であったなら、同じ結果でした。
戦いの中では殺すか殺されるかです。」
シュワルル連隊長の言葉に鹿島はうなずいてはいるが、
胸のしこりは疼き続けていた。
北新大陸軍の残兵の抵抗は激しく、
中々投降の兆しを見せない中、作戦室では、
「閣下。正面の塹壕に、
立て続けに砲撃を打ち込んで、突撃しましょう。」
と、シュワルル連隊長は、珍しく無謀な提案をしてきた。
「犠牲が多く出るだろう。」
「我らが塹壕に突入する迄砲撃を続けくれるならば、
前線の敵塹壕を落とせます。」
鹿島はシュワルル連隊長の顔をじっと見つめながら、
「犠牲者は、ランボーイ連隊長だけで十分だ!」
と鹿島は怒鳴ってしまった。
作戦室では、鹿島の怒鳴り声で静まり返った。
「俺に考えがある。今夜から歩哨番は三倍にしろ。」
と言って、鹿島は作戦室を出た。
鹿島は、今では意思疎通ができるようになった自分の周りに集まってくる微粒子に声掛けした。
「これから俺は、隠密行動を取る。俺に近づかないでほしい。」
と言って、
手のひらに集まった赤い微粒子に声掛けすると、
鹿島の周りに浮遊していた赤い微粒子は、
手のひらの赤い微粒子と共に飛散した。
闇夜の中、
暗視鏡を付けた黒い影は一際派手なテントの前に忍び込んだ。
黒い影はテントを警護している二人の歩哨に静かに襲い掛かり、
静かにテント脇に横たえた。
「ベネディクト北新大陸将軍ですか?」
と、黒い影は寝ている男に声がけした。
「誰だ!」
と、寝ていた男は起きたと同時に声がけしたが、
黒い影の手拳を首元に受けて再び横になった。
黒い影は背中にベネディクト北新大陸将軍を背負い、
両脇腕には先に倒した歩哨を抱え込んで、
北新大陸軍のテント群を静かに通り過ぎていった。
すでに倒されている塹壕にいた兵の脇を抜けると、
まっしぐらに近衛師団の将校待機陣地へ駆け込んだ。
「誰だ!」
と、将校待機所にいた若い将校は腰の拳銃を抜くと、
拳銃を黒い影に向けた。
「悪い。俺だ。カジマだ。」
と言って、
鹿島はツル服装店で作って貰った地球星日本区の、
古い書物に描かれていた忍者衣装姿で三人の男を地べたに落とした。
朝の陽ざしの中で、
北新大陸軍は伝令が走り回って活発化し始めたのは、
ベネディクト北新大陸将軍と、
護衛の二名が居なくなったのであるから当然であろう。
北新大陸軍からは亜人協力国軍には何の影響もない、
やけっぱちと思える攻撃が何カ所からか起きたがすぐに静かになった。
その夜から毎晩、
北新大陸軍幹部将校と思われる男たちが、
亜人協力国軍の将校待機所に放り投げ込まれ出した。
多い時は、続けざまに六人が放り投げこまれた。
ベネディクト北新大陸将軍が消えた五日後には、
すべての兵士は武器を放棄して投降しだした為に北新大陸軍は壊滅した。
鹿島は近衛師団に配属されていた、カナリア街出身者六人の若者戦士を集めて、
「浄化法執行軍は根絶やしにする。協力してくれ。」
と、鹿島は寂しげな顔で頭を下げた。
「ありがとうございます!!」
とシュワルル連隊長は感激からか、涙を流しながら頭を下げると、
ほかの五人の若者戦士も涙を流しながら頭を下げた。
その日のうちに、
四丁のレーザー銃と二台の火炎放射器をカナリア街出身者六人の若者戦士に支給してのちに、
レーザー銃の扱いを説明して訓練を始めた。
六人の若者戦士に、
既に支給してある鱗甲冑の上に黒いマントを羽織らせて、
暗視装置の使い方を説明してから全員に支給した。
鹿島は六人の若者戦士を引き連れて、
かなりの数に分散している浄化法執行軍を求めて討伐に向かった。
鹿島達は最初の討伐対象としての浄化法執行軍は、
ランボーイ連隊長とナナを殺害した部隊を選んだ。
森の入り口に既に出来ていた森横断道路わきに機動車輌を残して、夜の帳が下りてテント内の明かりも消えた頃、
鹿島達は静かに浄化法執行軍のテント群に向かった。
鹿島は三人の歩哨を難なく倒すと、
テント群の中央に六人を引き連れて、
「マントを脱いで、腰に巻き付けろ。」
と鹿島は低い声で指示すると赤い微粒子を両掌に集めた。
マントを脱いだ六人の若者戦士の下着は真っ赤な色であった。
「六人を包め。」
鹿島は赤い微粒子を六人の赤い下着の若者戦士に貼り付けた。
赤い微粒子に包まれた若者戦士は燃え盛る炎にも見えた。
六人の若者戦士はたがいの状態に驚きながらも、
声を発することはなかった。
「火炎放射器で、周りのテントを焼き払え。」
と鹿島は冷酷顔で指示した。
火炎放射器は、四方隣すべてのテントから炎を立ち昇らせた。
「走れ!」
と鹿島が号令すると、
前衛の四人の若者戦士は、
行く手を阻もうと向かってくる浄化法執行軍をレーザー銃で次々と倒していくと、
中衛の二台の火炎放射器から出た炎は、
周り隣のテントを焦熱地獄名様と思える程に焼き払っていった。
鹿島は後衛を務めながら、
寄せ手を怒りのままの形相で切り払っていった。
六人は同じ速度でテント群を駆け抜けていくが、
鹿島は後ろに走り込んでは塊となった集団に飛び込むと、
手当たり次第に切る伏せ続けた。
鹿島は再び六人の後衛を務めることを繰り返しながら、
テント外の森に向かい駆けていった。
鹿島は、杭に縛られている見覚えのある二人のインデアンエルフに気が付いて、
「先に森の中で待っていてくれ。
森に着いたら黒いマントを、また着用して欲しい。」
と、鹿島は六人に声がけした。
鹿島はぐったりとしている二人のインデアンエルフを捕縛している綱を切り落とすと、
軽々と二人を脇に抱え込んで森に向かって走り出した。
鹿島は森に着くと、
「十五秒後にセットした手りゅう弾を、向かってくる奴らに投げろ。」
と、後ろを振り向くことなく命じた。
テント群からは、
夥しい浄化法執行軍の群れが森に向かってきていた。
鹿島達が森の中を三台の機動車輌で駆けていると、
森の外で手榴弾の爆裂音が響くき、
その後から無数のうめき声が森の木々の間にこだました。
鹿島達はナナのいた集落に着くと、
多くのけが人が治療を受けていた。
治療は矢張りエルフ種族特徴の万能傷薬のようで、
鹿島は自分の持っている万能薬を握りしめていたが、無言でそのまま腰のバッグにしまった。
「このけが人は?」
「ナナの仇を討ちたくて、浄化法執行軍に挑んだのですが、
槍と弓矢では銃には対抗できませんでした。」
「お土産がある。」
と鹿島は言ってシュワルル連隊長に顔を向けると、
シュワルル連隊長は森に走り出した。
四人に首の襟をつかまれて二人の元長老が引きずられてきた。
引きずられてきた二人の元長老に気づいた集落の全員は歓喜の声を挙げた。
二人の長老は集落の全員に取り囲まれて、罵声に晒されだした。
二人の長老の前に中年後期の男女と、
その後ろには若い娘と二十代後半の男が控えていた。
「許してくれ。只、文句だけを言うつもりであったが、
人種のやつらがナナを連れ去ったのだ。」
「そうだ。人種がナナを殺したのだ。」
中年後期の男女は真っ蒼な顔に涙を流しながら、
静かな動作で地獄の窯を開ける鬼の顔になり、
手に持った棍棒に慈悲の心はなく、
二人に渾身の怒りを込めて振り下ろした。
二人の棍棒は怒りと呪いを込めて体中の皮膚を破き、
身体中に赤い血をにじませた。
控えていた若い娘と二十代後半の男も、
中年後期の男女の脇に進み出て、
やはりこん棒で二人の元長老に殴りかかった。
別の場所下は、
綱に縛られた男女十数名に棍棒によるリンチが始まった。
棍棒をもって綱に縛られた男女十数名の方へ走り出している女インデアンエルフの腕を鹿島はつかんで、
「あの者たちは?」
と、鹿島は、綱に縛られた男女十数名の方に向かって顎を振った
「三人の元長老の妻と子供らです。同時に実施するのが掟です。
このたびは元長老達の引き渡しに感謝します。」
「しかしながら、妻と子供等は関係ないだろう。」
「殺人者の家族全員は、
ナナを誘拐する元長老達の行動に手を貸したのだから、
罰を受けなければなりません。」
鹿島は唖然としているが、ランボーイ連隊長の顔がよぎったのか、止めようとは思わないようである。
鹿島達は雑然としだした集落を後にして、
森の方へ向かって歩き出した。
六人の若い戦士たちも、無言で森に向かって歩いていた。
鹿島と六人の若い戦士達にすれば、
ランボーイ連隊長の戦死の原因は三人の長老でありながらも、
それに協力した家族に対しても、いい印象は持ってなかった様子である。
鹿島は小鳥のさえずりに起こされて、
朝焼けのスターマインに感動しながらゆっくりとした動作で身支度を始めていると、
鹿島の気配を感じたのか六人の若い戦士達も起きだし始めた。
速射連発花火の様な朝焼けの光を受けて、
集落の方から足を引きずる者達や肩を借りながら、
元長老達の家族らしき集団は森を避けるように、
遠くの山並みの方へ向かっていた。
しかしながら、家族らしき集団の中には、元長老たちの姿はなかった。
鹿島等全員が身支度を終わらせた頃、
タイミングよく三頭のダーホーが森の中からが現れた。
若い戦士達は身構えると、
三人の若い戦士達だけが先に走り出したのを確認した残りの三人の若い戦士達は、
悔しそうにあからさまに舌打ちした。
三人の若い戦士達は、
瞬時に三頭のダーホーの首を身から切り飛ばした。
三頭のダーホーの首が飛んだ瞬間には、
既に残りの三人も走り出して解体と運搬を手伝いだした。
三頭のダーホーは解体されて、
集めた枯れ木の炎によってアサード式の姿焼きにされていると、
昨夜の棍棒を持って二人の元長老に殴り掛かっていたナナの家族と、その後ろから戦士と思しき一団がダーホーの姿焼き場所に向かってきた。
鹿島は周りの歓声を聞き取ることができないのか、
静寂な場所での面持ち状態でパトラの報告を真っ青な顔で聞いていた。
「閣下。ここは危ないので、後方の塹壕に避難してください。」
と、将校らしき男たちは鹿島の腕をつかみ、
抱きかかえるように銃弾飛び交う中で鹿島を塹壕の中に降ろした。
鹿島は先程まで立ち尽くしていた場所へ砲弾が落ちたことで我に返った。
「もう一度詳しく話してくれ。」
と、鹿島はパトラに再度の報告を求めた。
パトラはナナがテントからの脱出出来た事と、元長老たちへの行動をコーA.Iからの映像で知り得たことを伝えると、
「ランボーイ連隊長とナナは、乱戦の中で戦死しました。」
やはり聞き間違いではないと、鹿島は確信した。
鹿島はジョシュー知事からカナリア街から七人の若者戦士を預かり、
最悪の作戦を命じたが為にむざむざと殺されたなどとは、
カナリア街のランボーイ連隊長の優しい親切な母親には伝えきれる自信がなかった。
「閣下。どうなされたのですか?」
と、
カナリア街出身者七人の若者戦士の一人であるシュワルル連隊長は、鹿島を心配そうに声がけした。
「すまん。俺の采配ミスで、ランボーイ連隊長を戦死させてしまった。」
鹿島の絞り出すような声に驚いたシュワルル連隊長は、
瞳を濡らしながらも、
「閣下の責任ではありません。
ランボーイの戦死は、自分の判断責任においての行動結果です。
我らも同じ立場であったなら、同じ結果でした。
戦いの中では殺すか殺されるかです。」
シュワルル連隊長の言葉に鹿島はうなずいてはいるが、
胸のしこりは疼き続けていた。
北新大陸軍の残兵の抵抗は激しく、
中々投降の兆しを見せない中、作戦室では、
「閣下。正面の塹壕に、
立て続けに砲撃を打ち込んで、突撃しましょう。」
と、シュワルル連隊長は、珍しく無謀な提案をしてきた。
「犠牲が多く出るだろう。」
「我らが塹壕に突入する迄砲撃を続けくれるならば、
前線の敵塹壕を落とせます。」
鹿島はシュワルル連隊長の顔をじっと見つめながら、
「犠牲者は、ランボーイ連隊長だけで十分だ!」
と鹿島は怒鳴ってしまった。
作戦室では、鹿島の怒鳴り声で静まり返った。
「俺に考えがある。今夜から歩哨番は三倍にしろ。」
と言って、鹿島は作戦室を出た。
鹿島は、今では意思疎通ができるようになった自分の周りに集まってくる微粒子に声掛けした。
「これから俺は、隠密行動を取る。俺に近づかないでほしい。」
と言って、
手のひらに集まった赤い微粒子に声掛けすると、
鹿島の周りに浮遊していた赤い微粒子は、
手のひらの赤い微粒子と共に飛散した。
闇夜の中、
暗視鏡を付けた黒い影は一際派手なテントの前に忍び込んだ。
黒い影はテントを警護している二人の歩哨に静かに襲い掛かり、
静かにテント脇に横たえた。
「ベネディクト北新大陸将軍ですか?」
と、黒い影は寝ている男に声がけした。
「誰だ!」
と、寝ていた男は起きたと同時に声がけしたが、
黒い影の手拳を首元に受けて再び横になった。
黒い影は背中にベネディクト北新大陸将軍を背負い、
両脇腕には先に倒した歩哨を抱え込んで、
北新大陸軍のテント群を静かに通り過ぎていった。
すでに倒されている塹壕にいた兵の脇を抜けると、
まっしぐらに近衛師団の将校待機陣地へ駆け込んだ。
「誰だ!」
と、将校待機所にいた若い将校は腰の拳銃を抜くと、
拳銃を黒い影に向けた。
「悪い。俺だ。カジマだ。」
と言って、
鹿島はツル服装店で作って貰った地球星日本区の、
古い書物に描かれていた忍者衣装姿で三人の男を地べたに落とした。
朝の陽ざしの中で、
北新大陸軍は伝令が走り回って活発化し始めたのは、
ベネディクト北新大陸将軍と、
護衛の二名が居なくなったのであるから当然であろう。
北新大陸軍からは亜人協力国軍には何の影響もない、
やけっぱちと思える攻撃が何カ所からか起きたがすぐに静かになった。
その夜から毎晩、
北新大陸軍幹部将校と思われる男たちが、
亜人協力国軍の将校待機所に放り投げ込まれ出した。
多い時は、続けざまに六人が放り投げこまれた。
ベネディクト北新大陸将軍が消えた五日後には、
すべての兵士は武器を放棄して投降しだした為に北新大陸軍は壊滅した。
鹿島は近衛師団に配属されていた、カナリア街出身者六人の若者戦士を集めて、
「浄化法執行軍は根絶やしにする。協力してくれ。」
と、鹿島は寂しげな顔で頭を下げた。
「ありがとうございます!!」
とシュワルル連隊長は感激からか、涙を流しながら頭を下げると、
ほかの五人の若者戦士も涙を流しながら頭を下げた。
その日のうちに、
四丁のレーザー銃と二台の火炎放射器をカナリア街出身者六人の若者戦士に支給してのちに、
レーザー銃の扱いを説明して訓練を始めた。
六人の若者戦士に、
既に支給してある鱗甲冑の上に黒いマントを羽織らせて、
暗視装置の使い方を説明してから全員に支給した。
鹿島は六人の若者戦士を引き連れて、
かなりの数に分散している浄化法執行軍を求めて討伐に向かった。
鹿島達は最初の討伐対象としての浄化法執行軍は、
ランボーイ連隊長とナナを殺害した部隊を選んだ。
森の入り口に既に出来ていた森横断道路わきに機動車輌を残して、夜の帳が下りてテント内の明かりも消えた頃、
鹿島達は静かに浄化法執行軍のテント群に向かった。
鹿島は三人の歩哨を難なく倒すと、
テント群の中央に六人を引き連れて、
「マントを脱いで、腰に巻き付けろ。」
と鹿島は低い声で指示すると赤い微粒子を両掌に集めた。
マントを脱いだ六人の若者戦士の下着は真っ赤な色であった。
「六人を包め。」
鹿島は赤い微粒子を六人の赤い下着の若者戦士に貼り付けた。
赤い微粒子に包まれた若者戦士は燃え盛る炎にも見えた。
六人の若者戦士はたがいの状態に驚きながらも、
声を発することはなかった。
「火炎放射器で、周りのテントを焼き払え。」
と鹿島は冷酷顔で指示した。
火炎放射器は、四方隣すべてのテントから炎を立ち昇らせた。
「走れ!」
と鹿島が号令すると、
前衛の四人の若者戦士は、
行く手を阻もうと向かってくる浄化法執行軍をレーザー銃で次々と倒していくと、
中衛の二台の火炎放射器から出た炎は、
周り隣のテントを焦熱地獄名様と思える程に焼き払っていった。
鹿島は後衛を務めながら、
寄せ手を怒りのままの形相で切り払っていった。
六人は同じ速度でテント群を駆け抜けていくが、
鹿島は後ろに走り込んでは塊となった集団に飛び込むと、
手当たり次第に切る伏せ続けた。
鹿島は再び六人の後衛を務めることを繰り返しながら、
テント外の森に向かい駆けていった。
鹿島は、杭に縛られている見覚えのある二人のインデアンエルフに気が付いて、
「先に森の中で待っていてくれ。
森に着いたら黒いマントを、また着用して欲しい。」
と、鹿島は六人に声がけした。
鹿島はぐったりとしている二人のインデアンエルフを捕縛している綱を切り落とすと、
軽々と二人を脇に抱え込んで森に向かって走り出した。
鹿島は森に着くと、
「十五秒後にセットした手りゅう弾を、向かってくる奴らに投げろ。」
と、後ろを振り向くことなく命じた。
テント群からは、
夥しい浄化法執行軍の群れが森に向かってきていた。
鹿島達が森の中を三台の機動車輌で駆けていると、
森の外で手榴弾の爆裂音が響くき、
その後から無数のうめき声が森の木々の間にこだました。
鹿島達はナナのいた集落に着くと、
多くのけが人が治療を受けていた。
治療は矢張りエルフ種族特徴の万能傷薬のようで、
鹿島は自分の持っている万能薬を握りしめていたが、無言でそのまま腰のバッグにしまった。
「このけが人は?」
「ナナの仇を討ちたくて、浄化法執行軍に挑んだのですが、
槍と弓矢では銃には対抗できませんでした。」
「お土産がある。」
と鹿島は言ってシュワルル連隊長に顔を向けると、
シュワルル連隊長は森に走り出した。
四人に首の襟をつかまれて二人の元長老が引きずられてきた。
引きずられてきた二人の元長老に気づいた集落の全員は歓喜の声を挙げた。
二人の長老は集落の全員に取り囲まれて、罵声に晒されだした。
二人の長老の前に中年後期の男女と、
その後ろには若い娘と二十代後半の男が控えていた。
「許してくれ。只、文句だけを言うつもりであったが、
人種のやつらがナナを連れ去ったのだ。」
「そうだ。人種がナナを殺したのだ。」
中年後期の男女は真っ蒼な顔に涙を流しながら、
静かな動作で地獄の窯を開ける鬼の顔になり、
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二人に渾身の怒りを込めて振り下ろした。
二人の棍棒は怒りと呪いを込めて体中の皮膚を破き、
身体中に赤い血をにじませた。
控えていた若い娘と二十代後半の男も、
中年後期の男女の脇に進み出て、
やはりこん棒で二人の元長老に殴りかかった。
別の場所下は、
綱に縛られた男女十数名に棍棒によるリンチが始まった。
棍棒をもって綱に縛られた男女十数名の方へ走り出している女インデアンエルフの腕を鹿島はつかんで、
「あの者たちは?」
と、鹿島は、綱に縛られた男女十数名の方に向かって顎を振った
「三人の元長老の妻と子供らです。同時に実施するのが掟です。
このたびは元長老達の引き渡しに感謝します。」
「しかしながら、妻と子供等は関係ないだろう。」
「殺人者の家族全員は、
ナナを誘拐する元長老達の行動に手を貸したのだから、
罰を受けなければなりません。」
鹿島は唖然としているが、ランボーイ連隊長の顔がよぎったのか、止めようとは思わないようである。
鹿島達は雑然としだした集落を後にして、
森の方へ向かって歩き出した。
六人の若い戦士たちも、無言で森に向かって歩いていた。
鹿島と六人の若い戦士達にすれば、
ランボーイ連隊長の戦死の原因は三人の長老でありながらも、
それに協力した家族に対しても、いい印象は持ってなかった様子である。
鹿島は小鳥のさえずりに起こされて、
朝焼けのスターマインに感動しながらゆっくりとした動作で身支度を始めていると、
鹿島の気配を感じたのか六人の若い戦士達も起きだし始めた。
速射連発花火の様な朝焼けの光を受けて、
集落の方から足を引きずる者達や肩を借りながら、
元長老達の家族らしき集団は森を避けるように、
遠くの山並みの方へ向かっていた。
しかしながら、家族らしき集団の中には、元長老たちの姿はなかった。
鹿島等全員が身支度を終わらせた頃、
タイミングよく三頭のダーホーが森の中からが現れた。
若い戦士達は身構えると、
三人の若い戦士達だけが先に走り出したのを確認した残りの三人の若い戦士達は、
悔しそうにあからさまに舌打ちした。
三人の若い戦士達は、
瞬時に三頭のダーホーの首を身から切り飛ばした。
三頭のダーホーの首が飛んだ瞬間には、
既に残りの三人も走り出して解体と運搬を手伝いだした。
三頭のダーホーは解体されて、
集めた枯れ木の炎によってアサード式の姿焼きにされていると、
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