【何カ所か18禁]女神の伴侶戦記

かんじがしろ

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 カジマ提督の招集命令によって戦略作戦室には運営委員会四人と、二人の元帥に、全師団長が集められた。

 オブザイヤーとして、オトロシ州知事夫人で、
フィルノル半島州メイディ知事と、
アーマート族長代理としてロンメルも参加させられていた。

「新たなる事変を計画している。
よって、各師団長は、これまでの経緯と現状を説明願いたい。」
と、鹿島は各師団長を見回した。

 トーマス元帥は第一師団長マルティーン司令官に向かって顎を上に挙げて催促した。

 マルティーン司令官は胸に手を当てて鹿島に一礼したのは、
この大陸での忠誠の証であった。

「ドドンパ国による最初の毒ガス兵器攻撃対照とされたポーラド国は、
ほとんどの軍隊を失い、占領されたのちに、
軍将校や警官に多くの官史はカチンの森で惨殺されてしまいました。
ポーラド国からオトロシ州知事へ救援要請を受けていた事で、
今はポーラド国内のドドンパ国兵士を押し返しの最中です。」

「ポーラド国民からの支持は、如何ですか?」
「さすがに惨殺事件を起こしたドドンパ国に加担する者はいないようで、色んな抵抗組織はバルチザンと名乗って、
ドドンパ国軍にゲリラ戦を挑んでいます。」

「では引き続き、ポーラド国からドドンパ国軍を追い出してくれ。」
「力の限り、全力を傾けてがんばります!」
と、マルティーン司令官はやはり胸に手を当てて一礼しながら鹿島に微笑んだ。

 マルティーン司令官は多くの犠牲者を出して沈み込んでいると聞いていた鹿島は、晴れやかな顔になっている事に安心した。

 第二師団長ヒルルマ司令官は立ち上がり、
「バルカ地方への難民は既に五千万人に達しましたが、
まだまだ増えるでしょう。
難民の処理が終わり次第、防護マスクも全員に配り終えたので、
ドドンパ国へ再度攻め込む予定です。」

「軍事行動に置いて、こちらの事情が変わったので、
再侵攻は、トーマス元帥から指示があるまで、待機していてくれ。」
「了解しました。元帥閣下からの指示を待ちます。
それまでは多くの移住者を確保します。」
と、やはり胸に手を当てて一礼しながら、
鹿島に満面の笑顔を向けている。

 いつもは豪快に笑い、
いつもにこやかな顔の第三師団長大蛇丸司令官は、
かなり落ち込んだ顔で立ち上がり、
「私の不徳で、亜人協力国に置いて、
大規模な諜報活動が行われていたのに、
気づかなかったことをおわびしたい。
更に恥の上塗りと言えるショーセツ捕縛が出来なかったうえに、
暗殺をも防げなかった。
如何様な処分をも受ける覚悟です。」
と、大蛇丸司令官はうなだれた。

「諜報活動を感知できなかったのは、聖騎士団の解散により、
その補充をしなかった作戦参謀室の失態であったはずだ。
大蛇丸司令官の責任ではない。」

「ショーセツをみすみす暗殺されて、
どの様な情報をつかまれていたかが不明です。」
とうなだれたので、鹿島はさらに、

「多くの敵を作っていたショーセツは、なるようになったのだ。
仕方がないことだ。」
と、鹿島は大蛇丸司令官をねぎらった。

 既に、ショーセツが暗殺されたとの情報は、
運営委員会では、ムネフユとコーA.Iから報告を受けていた。

 ショーセツが殺害された現場第一発見者は、
元聖騎士団長サクラであった。

 サスケ達の警戒する中で、
ショーセツを訪ねて来たサクラは、既にショーセツは殺害されていたと主張した。

 殺害した凶器はどこからも発見できなかったので、
サクラを逮捕するには証拠不十分であったがために、
大蛇丸司令官はサクラを逮捕できなかった。

 コーA.Iからの報告では、サクラは国を持たない商船に乗り込んで、南に向かったとの連絡と、
ムネフユからは、造船所の管理責任者と技術者三人が、
事故死したとの連絡がなされていた。

 第四師団長ハービーハンは、
「前線からの撤退命令を受けて、
第一師団と二師団から受け継いだ、移住希望者の搬送を手伝っています。」
と、言ってトーマス元帥をにらんで、

「わが師団をもっと前線でも活用してください。」
を懇願しだした。

「防護マスクは、全員に装備させましたか?」
と、トーマス元帥は尋ねた。

「全軍装備できたと報告したつもりですが。」

「失礼した。
人数分の半分しか届かなかったと報告を受けていたので、
まだそろっていないと思っていた。
情報が混乱しているようだ。以後気を付けよう。」

「ハービーハン司令官、特別な任務がある。
すぐに第四師団を神降臨街に集合しておくように。」
と鹿島は命じた。

 トーマス元帥はトラ顔ロンメルに向かって、
「ロンメル殿。
第一師団の傘下に入って、連隊長を受けることは出来ますか?」

「この組織編成は兄様から聞いていたが、感服しました。
是非とも仲間に加えていただきたい。」
と言って、胸に手をあてて片膝をついた。

「では、ロンメル殿を亜人協力国に歓迎する。」
と、鹿島はにこやかに言って、

「俺の弟の弟なら、俺の弟だ。世々しく頼む。」

「もったいないお言葉ありがとうございますが、
私は閣下さまの弟とは名乗れません。
配下に加えていただくだけで満足です。」
と、床に両手をつけた。

 トーマス元帥は少し困ったような顔をフィルノル半島州メイディ知事に向けると、
「フィルノル半島州軍には、ポーラド国と虎森の海岸線に展開して、ロンメル連隊と第一師団の援護をしてほしいのだが、
如何でしょうか?」

「やっと、フィルノル半島の重要性に、気づいていただけたようですね。
すでに準備はできています。
弟メイドームはマーガレット首席行政長官とパトラ副首席行政長官からお墨付きをもらって、
ただいま知事見習い中ですが、カジマ提督の許可をいただけるなら、
すぐに知事職を譲りたいのです。
そして、トーマス元帥からメイドームを独立師団長にも任命していただきたい。」

 鹿島はにこやかに、
「もちろんお願いしたい。」
と言った。

トーマス元帥も
「良かった。では、メイドームを独立師団長に任命する。
後日マルティーン司令官とロンメル連隊長にメイドーム独立師団長で、作戦会議を開く。連絡をお願いします。」
と、トーマス元帥はメイディに頭を下げた。
 
 対ドドンパ国への対応が決定されたのちに、
トーマス元帥は立ち上がり、
「ヒビイ司令官とトトラ司令官指揮する、
第五師団と第六師団は完全装備で、第一師団の後衛を命ずる。
第七師団には、フタコブエミューを預ける。
モモハラ草原の砂漠入り口あたりで野営しながら、
砂漠戦を想定しての訓練を命じる。
残りの師団は、現在の移民受け入れを続行してくれ。
以上をもって会議を終わる。」
と、トーマス元帥は解散を命じた。

 鹿島とトーマス元帥にヤン海軍元帥は、戦略作戦室に居残り、
「植民地であった国々の情勢はどうだ。」
と、鹿島はヤンに尋ねると、

「独立意欲をあまり感じないのです。」
と、ヤンは悲観的な顔をした。

「政治や権力に興味が無いという事か?
それとも人と人の関わりが薄いのか?」

「南の島々や、国々では、あまり働かなくても、食料には困らないからかもしれません。」

「食料が豊富なのか。」

「森や川に海岸にさえ行けば、多くの食材が豊富にあるのです。
植民地になって搾取されていたが、
実感としては、支配者に搾取されているとの感じは薄かったようです。」

「搾取者を憎まなかったと。」
「憎む対象者を、支配者はすり替えていました。」

「すり替えていた?どういう事だ。」
「同じ国同士の中で、
部族の違う一方に権力を与えて、間接的に搾取する方法です。」

「詳しく知りたい。」
「少数部族に権力を持たせて多くの人を支配させると、
憎む対象者は支配代行少数部族に向きます。」

「卑劣なやり方だったな。」
「今もそれが、大きなネックです。」
「時間をかけてでも、何とか教育でカバーするしかないだろう。」

 鹿島が大きく息を吸うと、
トーマス元帥とヤン海軍元帥はこれまでの経験で、
鹿島は重大な決意をしたと感じた。

 二人は身構えながら鹿島の次の言葉を待っている。

 鹿島は二人を交互に見ながら、
「二十万の軍勢で、大海洋を渡る。」
「向きは?」
「東。」

 トーマス元帥は安どの顔をしたが、
ヤン海軍元帥は苦悩した顔であった。

「ヤン。可能か?」
「大海洋を渡るとなると、全ての輸送艦が必要でしょうが、
艦隊にとってはかなりの不充になる事でしょう。」

「実行しなければならないのだ。すぐに二人は取り掛かってくれ。
予算は必要なだけ分捕る。」

 強引なカジマ提督によって、軍事費の増加が行われたために、
軍事予算追加によって貨幣の増産が進み、
マティーレが恐れていたインフレーションが亜人国で起きだした。

「預金利息を年間三パーセントに宣言しますので、
公的貸出し金利は七パーセントにします。」
と、マティーレは宣言した。

「弱者救済の貸付けもですか?」
と、テテサ教皇は不満顔をした。

「全てです。更に農産物と酪農品を除く、
全商品に消費税として十パーセントの追加税を要求します。」

「それでは、更にインフレーションを加速させるでしょう。」
と、パトラは叫んだ。

「物価の変更価格は五パーセント以内と、
法規を定めることもあわせて提案します。」
とのマティーレの提案に、皆はあぜんとしだした。

「では、皆さん。よく検討してください。」
とマーガレット首席行政長官は宣言した。
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