【何カ所か18禁]女神の伴侶戦記

かんじがしろ

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144冷戦

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 鹿島は虎種族集落から神降臨街に帰るとすぐに、
大蛇丸司令官からの報告を受けた。
 
 神降臨街で軍事と技術の情報を集めていたマタ.ハリと踊り子達に、
持ち出す連絡繋ぎの者達の釈放を要求して来た者が現れたとの事である。

 鹿島は直ぐにムネフユを呼び出した。

「マタ.ハリと踊り子たちに、連絡繋ぎの者たちの釈放の見返りは?」
と、鹿島はすらりとした品の良い美顔男に、
嫉妬している目と態度を向けた。

「ドドンパ国とエゲレス国の、情報では如何でしょうか?」

「内容による。」
「二国間で戦争になります。」

「原因は?」
「互いの情報漏洩事件です。」

「君らの得意分野だな。」
「情報は金になるので、我らの商売の一角です。」

「情報漏洩事件で多くの逮捕者が出たのか?」
「この街と合わせると、かなりの数になります。」

「分かった。二国間の戦争原因を買い取ろう。」
鹿島は、
エポキシ.ボンドと名乗った男は、
かなり切羽詰まっていると感じたのか微笑んだ。

 ドドンパ国とエゲレス国間戦争前夜の原因は、
国を持たない流浪の民組織である事をエポキシ.ボンドが証明してしまったようだが、鹿島は咎める気持ちはないようである

「後ろ込め連発銃の情報が、エゲレス国からドドンパ国に流れて、
ドドンパ国で無煙火薬とその物を創り出した者を、
エゲレス国は獲得しました。」

「それで両国では、三八歩兵銃を制作できたのだな。」
「互いにほしいものを、われらは提供し合いました。」

「互いにほしいものだろうが、自分が独占できたものを横からかっさわれたら、そりゃあ怒るだろう。」

「二国から我らの組織は狙い撃ちされたので、
互いに憎み合うように策しました。」

「それだけで、戦争原因になるのか?」
「互いに、西大陸の覇者を目指していました。」

「互いに激化するようさらに策せよ。逃亡した踊り子を除いて、
その条件でマタ.ハリと踊り子達に、連絡繋ぎの者達を釈放しよう。」

「逃亡した踊り子は、もう使い物になりません。
我らも捜す事はしません。」
「次に亜人共和国に手を出すと、皆殺しだぞ。」

 エポキシ.ボンドは静かに頭を下げて、部屋から出ていった。

 鹿島達にとっても、
証拠不十分で関係者を処罰しなくてもよくなったことで、
混乱とこれ以上の技術の流出防止になると思えた。

 亜人共和国では、
防護マスクの生産が遅れていたがために戦場拡大を避けていた間に、
亜人共和国が引き金を引いた西大陸での戦いは、
当初と違う模様になっていた。

 ドドンパ国のキャタピラー蒸気機関車は、
神降臨街から持ち出された技術により、
ガソリンを使った内燃機関車になり、
マカロニ国とラキン国を無理矢理に、
同盟とは名ばかりの武力を見せ付けて強引に傘下に収めた。

 ドドンパ国の勢いは、
エゲレス国と亜人協力国との二面作戦でもあるのにも関わらず、
周辺弱小国家を吸収しだした。

 西大陸の同盟関係は遂に分裂してしまい、
ドドンパ国は三八歩兵銃の大量生産が出来るようになったうえに、
毒ガスも持ち、気球も所有した上に内燃機関を生産できる事で、
強気な政策を打ち出したようである。

 ドドンパ国とエゲレス国の戦いには、
中立宣言をしていた西大陸では一番の兵士の数が多いフレンチ国に、
電撃の速さで攻め込んだのがドドンパ国であった。

 ドドンパ国の戦いは、
これまでの集団戦からキャタピラー機動車輌に連発銃を所有しているうえに、
気球からの爆撃等の戦術を亜人共和国との戦いで学んだようである。

 フレンチ国においては火縄銃は所有していたが、
あくまでも補助の活用としか思っていなかったのが原因で、
集団戦で対抗したが無駄であった。

 フレンチ国とドドンパ国の戦いは、三日で決着した。

 ドドンパ国は西大陸の覇者を宣言すると、
島国エゲレス国への宣戦布告を宣言した。

 その宣言の内容に、鹿島達は驚いた。

 それまでは全く無名国で、
西大陸とは海を挟んだ砂漠と肥沃な大地を所有しているオスマス国に、武器と経済援助をするとの発表であった。

 西大陸のすぐ傍にある、
殆どが島国エゲレス国の植民地である南大陸においても戦場は広がりだした。

 オスマス国の周りは、
軍隊とは名ばかりの弱小軍隊国家群ばかりであった。

 オスマス国は、
ドドンパ国からの三八歩兵銃の支給を受けるとすぐに、
弱小軍隊国家群相手に戦いだした。

その進撃は速く、支配地域は南大陸の半分を占めた。

 オスマス国は、
エゲレス国とフレンチ国の植民地となっていた南大陸から、
両国の軍隊をも追い出してオスマス帝国と名前を変えた。

 亜人共和国軍は、
両戦闘区域から一日十万の避難民対応に没頭させられてしまい、
軍事行動は停止してしまっていた。

 亜人協力国以外でも、避難民対応に煩わせられている国があった。

 その国では、多くの避難船が海岸に詰め掛けていた。

 避難民の多くは、
自国の植民地からの脱出者とフレンチ国からの避難民であった。

 その中には少数ながら、
ドドンパ国で迫害されていた国を持たない流浪の民も含まれていた。

 その国は島国エゲレス国である。

 島国エゲレス国は、
はるか遠くの新大陸と呼ばれている場所への、避難民の移住を始めた。

 第一次世界大戦において、
エゲレス国とドドンパ国との海戦は、
二本マストの帆船のエゲレス国と、
三本マスト帆船のドドンパ国との大規模な戦いになったが、
一方的に軽快俊足の二本マストの帆船エゲレス国の大勝利にて終わった。

 両国はたがいに相手国に攻め込むことができないまま自然休戦になったが、いまだに互いは戦争状態である。

 亜人共和国においても、
予算と犠牲者の多さに運営委員会から苦情が出て、
暫くは内政に力を入れることとなった。

 新大陸の資源は豊富で、忽ち工業化が始まった。

 皮肉にも戦争によって、
マーガレットが望んでいた科学と工業化の始まりを予感させた。

 世界地図は、大きく三つに色分けがなされた。

 東の亜人共和国と、
西大陸の覇者ドドンパ国に、
新大陸を所有したエゲレス国である。

 オスマス帝国の色はドドンパ国の付属国であるために、
ドドンパ国色に染められている。

「オスマス帝国も南大陸をほぼ制圧できたのに、
何でドドンパ国の色なの?」
と、セツはマーガレットに質問した。

「オスマス帝国の命運は、
ドドンパ国次第だから、仕方がないでしょう。」
と、鹿島は我が子に微笑んだ。

「違うでしょう。正しく教えなさい。
その地図の色分け理由は、冷戦状態の勢力図を表しているのです。」
と、マーガレットは鹿島に怒鳴った。

「何で冷たい戦争と呼ぶの?」
「お互いに戦争すると、滅んでしまうとわかったので、
直接戦闘が行われなくなったの。」

「なんでみんな滅んじゃうの?」
「直ぐに毒ガスを使用するから、両方とも死んでしまうでしょう。
誰もいなくなってしまい戦闘が終わっても、
それは勝利とは言えないでしょう。」

「毒ガスを使わない戦争をすればいいでしょう。」
「負けそうになったら、使うのよ。
その結果、敵も味方も死んじゃうのよ。」
と、マーガレットは困った顔をした。

 流浪の民エポキシ.ボンドから、
大蛇丸司令官に連絡が入り、
指名手配中のショーセツが日出国州に入ったとの連絡を受けたとのことである。

 ムネフユは老人と子供達を残して、
柳生の里の全員を総動員してショーセツを探索しだした。

 大蛇丸司令官も現地入りして、ショーセツの探索を行いだした。

 日出国州にはショーセツへの協力者がいるようで、
なかなか尻尾をつかめないでいたが、
「おう。サクラさん元気でしたか?」
「あら、ショーセツさん。気が付かなかったわ。その風貌どうしたの?」

「今はベネディクトと名乗っています。」

 サクラ元司法長官は日出国州の朝市屋台で果物を売っているとの情報が入り、
柳生の監視対象者に置かれていた。

 サスケは屋台客の対応中であったが、
「ショーセツ」との呼び名にすぐに反応した。

 サクラ元司法長官とショーセツが、
立ち話をしている屋台の眼前屋台にサスケは居た。

 二人の会話に聞き耳を立てているサスケは、
ショーセツの外見上の身なりには以前の面影はなかった。

「今は何をお仕事にしているのです。」
「情報の売り買い。」

「自称策士も形無しね。」
「あれは、俺の計画を理解しなかった、イエミツの責任だ。」

「鱗甲冑と勇者の剣を持った、新選組も形無しだったわ。」
「いい目見せてやる。協力しないか?」
「碌な目に合わないから、やめとくわ。」
「ま、少し待て。うまくいったら、誘いに来る。」
とショーセツは小声になった。

 果物屋台からショーセツが立ち去ると、
サスケは素知らぬ顔で後ろから付いて行った。

 サクラはショーセツの背中を見送りながら、
小馬鹿にした風に鼻で笑った。

 サスケはショーセツに気づかれないように、
少し進んでは屋台に立ち寄ると、
サスケの周りには少しずつ人の輪ができていった。

 朝市も終わり時刻になってきた様子で、人がまばらになってくると、サスケの周りに輪になっていた者達は一人二人といなくなり、
朝市場の屋台が途切れた場所では、サスケは一人であった。

 朝市で今夜の食料を買い込んだ主婦や、
朝市で仕入れた大きな荷物をしょった商人風を追い抜いていくショーセツの後ろから、
つかず離れずサスケは付いていった。

 四ツ辻を右に曲がったところで、ショーセツは駆け出した。

 サスケも駆け出したが、
四ツ辻を曲がったところでショーセツを見失った。

 向かいから、ショーセツに追い越されたはずの、
朝市で食料を買い込んだ主婦は塀を指さす素振りで、
「塀の裏に隠れた。」
と声を出さないで、口だけを動かして通り過ぎた。

 サスケは主婦の意図を理解したのか、
そのまま駆け出して、三ツ辻を右に曲がった。

 駆け出したサスケは、辻々を右右と走り込んで、
元の四ツ辻に向かった。

 四ツ辻の角では、
朝市で仕入れた大きな荷物をしょった商人風の男は、
疲れたように休んでいた。

 矢張り、主婦と同じように無言で、
ショーセツの隠れてた塀の道とは反対側の道を指示した。

 サスケは急ぎ足で次の四ツ辻に差し掛かると、
これから仕事に出かける職人風の男はすれちがいながら、
やはり同じように道を指示した。

 サスケが次の辻を曲がったところで、ショーセツの背中が見えると、その後ろを男が歩いていた。

 後ろの男はサスケに気づくと、細い路地に入って消えた。

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