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132防衛準備
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マーガレットは、
鹿島と監視衛星と念力通信での連絡が取れないことで、
不安は日増しに増加していた。
今やマーガレットが信用できる者は、
銀河連合軍出身者と戦略運営委員会の三人だと思いながらも、
戦略運営委員会の三人に対しても不安になりだしていた。
「コーA.I。閣下の監視はどうなっている。」
「閣下の監視に二台の監視衛星を付けてはいますが、
超新星爆発の影響で分厚い北極雲下の分析感度がよくない状態です。」
「いつ治る。」
「上手くいって、百二十時間は必要です。」
「ドローンを使うことは可能か?」
「各監視衛星に一基ずつ搭載していますから可能ですが、
ドローンのエネルギーは継続時間七十二時間だけなので、
閣下のいると思われる地点からでは、
貴重なドローンは輸送艦には帰っては来られません。」
「今使わずに、いつ使う!」
「今使っても、無駄だと思います。」
「なぜ無駄だ。」
「生存確認だけだからです。」
「その生存確認をするためだろう。」
「閣下は生存しています。」
「なぜわかる?」
「閣下の生存確率は99,999~パーセントだからです。」
「装備も武器もなしで、何故、99、999~パーセントなのだ。」
「閣下だからです。」
「あ~?」
「閣下とコーA.Iを信じてください。」
とコーA.Iはマーガレットを諌めるように、静かな声で話した。
マーガレットはコーA.Iの諫言で何かを悟ったのか、
両手でこぶしを握り締めると首を上下しだした。
「コーA.I。聖騎士団と司法長官サクラの身辺探りの監視衛星を引き抜いて、各師団の動きをも報告せよ。」
「了解しました。誰が敵か調査します。」
と、応えたコーA.Iにマーガレットは頼もしさを感じて、
身体中の緊張感が抜けたのか安心した様子でソファーにうずくまった。
テテサ教皇とメイディは、
互いにお腹の大きくなった状態を、互いに心配し合っていた。
「無理はしないで、メイディ。」
「大丈夫です。今無理をしないで、いつ無理ができましょう。
義姉様の危機を見過ごしたならば、私は一生涯後悔します。」
「では、聖騎士団長への復帰を認めます。
そして司法長官への返り咲きを、
聖騎士団の司法委員会に伝達しましょう。」
「頑張りましょう!」
と、メイディは腕を持ち上げて、腕の筋肉を盛り挙げる仕草をした。
テテサ教皇とメイディは、
聖騎士団詰所牢獄の前でお腹をさすりながら、
「義姉様お元気ですか。」
と、メイディは独房の中で膝に顔を埋めているパトラに声が掛けした。
パトラはびっくりした様子で、
テテサ教皇とメイディを交互に睨んで、
「何のつもりで、私を束縛する。すぐに開放しなさい。」
「もう少し辛抱してください。聖騎士団に復帰出来たので、
此れから司法委員会に出向いて、司法長官の交代を承認して貰います。でも義姉様は元気そうで安心しました。」
と、メイディは満面の笑顔をした。
「閣下とマーガレットは大丈夫ですか?」
「二人共ガイア様の加護を貰っています。大丈夫です!」
と、矢張りテテサ教皇も満面の笑みを浮かべて首を縦に振った。
テテサ教皇とメイディは、
聖騎士団詰所で司法委員会五人と対談している。
「貴方達とは、元騎士団長ヨーコーと、
袂を分かつ事となった時からの付き合いです。
もう一度協力してください。」
と、メイディは司法委員会五人の煮え切らない態度に、
涙を流さんばかりに懇願している。
「メイディ様を団長に復帰出来るのは、テテサ教皇様ですが、
司法長官を任期半ばでの途中交代は、悪例を残すでしょう。」
「騎士団の信用が掛かっています。」
「テテサ教皇様。
メイディ様を団長と認めますが、
司法長官の件は暫く検討させてください。」
と、司法委員会五人は頭を下げた。
「法律が変わる前に、早い結論を期待しています。」
「法律が変わる?」
「近いうちに、司法は変わります。
司法長官と司法官に裁判官の権限は亜人協力国の管轄になり、
ガイア教会から離れさせられます。」
と、テテサ教皇は厳しい目を司法委員会五人に向けると、
踵を返してドアの方へ向かった。
メイディがテテサ教皇にドアを開けてあげた時、
一本の矢がメイディに向かって飛んできた。
メイディに飛んできた矢は、
メイディの胸を射抜いたのか、胸のあたりから血がにじんできた。
刺さった矢をメイディは握りしめながら、
「生まれそう。」
と、指の間から血を滴らしながら、か細い声を出してうずくまった。
テテサ教皇に付いて来ていた三人の修道女は、
胸を真っ赤に染めたメイディがうずくまってしまったので狼狽しだしている。
騎士団詰所のドアの正面廊下から、
サクラ司法長官とジューベーにショーセツ等の後ろには、
配下らしき五人の傭兵姿が見られた。
「皆には、再度部屋に帰ってもらおう。」
と、弓を持ったジューベーがテテサ教皇を弓で押した。
「メイディをベッドルームに、すぐに運びなさい。」
と、テテサ教皇はジューベーの弓を払いのけてメイディを抱きかかえると、
三人の修道女と司法委員会五人はメイディを抱きかかえながら、
廊下を走りベッドルームにせわしなく駆け込んだ。
「男の人は、出ていきなさい。」
と言って、テテサ教皇がドアを閉めると、
廊下側のドアは熱を発しないで、真っ赤に燃え上がりだした。
配下らしき傭兵姿の一人がドアノブを握ると、
その体は熱を出さないで燃えだしている様子で、
周りには肉を焼いている臭いが充満し出した。
男は苦しむ様子もない静寂の中で、
露出している顔と手の細胞が溶け出している。
「魔法を使える奴が居るようだ。
どうせ、メイディは死んでしまうだろう。
ここはほっといて、次の段階だ。」
と、言いながら、
ジューベーはベッドルーム内に残ったであろう一人の司法委員を無視して、部屋から出てきた司法委員四人に詰め寄り、
面(つら)かせやと言わんばかりに催促しながら再度聖騎士団詰所の司法委員会室に向かわせた。
メイディを保護する目的で神降臨街に来ていたビリー知事は、
情報共有化に従って、メイディからの情報をトーマス元帥に伝えた。
メイディの推測の話として、
サクラ司法長官とジューベーは恋仲であるかもと、
ビリーは自信なさそうに伝えた。
その情報が真実ならば、
大きなうねりの脅威を感じたトーマス元帥は、
マーガレットにビリーの情報を推測ながらと伝えて、
監視衛星からの日出国州の強化監視手配を頼んだ。
ヤン海軍元帥にもビリーの情報を伝えると、
日出国州と十万の第一海兵団の動向と、柳生一族を調べるよう命じた。
更にトーマス元帥は地図を広げて、兵棋駒を動かしながら、
第一師団には大河近くまで後退を命じた。
第二師団には、ドドンパ国との戦闘を回避するように命令すると、第三師団には神降臨街に入らないで、
ゲルググ州とサンビチョ州境に展開するよう指示を出した。
耳長種族第四師団には、
針葉樹地帯の中にある提督閣下の居る伐採場の近くで、
村や町一帯で生活している耳長種族の協力を確実に実行して、
提督閣下の居る伐採場周りの監視を命じた。
耳長種族第五師団には、
第二師団の後衛を命じると共に、コオル街に駐屯するよう命じた。
耳長種族第六師団には、モモハラ草原と砂漠の境で駐屯を命じた。
ポール司令官率いる第七師団においては、
副司令官をポールに任命させると、
副司令官に指揮権を譲渡してそのまま平京に駐屯を命じた。
ポール司令官には近衛師団の指揮権を与えて、
神降臨街に入らずに樹海伐採跡地に待機を命じた。
トーマス元帥は、
現在信用できるのはポール司令官率いる近衛師団しかないと思ってはいるが、
どの様な事態が起きるか不明であるので、
神降臨街への侵入は控えさせた。
トーマス元帥は、
ビリーとポールを加えた神降臨街に居る銀河連合軍全員に、
完全武装を指示して輸送艦作戦室に集まるよう命じた後に、
マティーレには残ってもらい、
輸送艦に居る残留要請されてない部外者全員の退去を命じた。
ポール司令官は、
近衛師団のシュワルル連隊長に近衛師団の指揮を預けることを宣言すると、
何事があってもトーマス元帥と自分の命令があるまで、
総督閣下を陥れる自分勝手な行動をしない事と、
部下に先走りをさせるなとガイア女神様に誓わせた。
柳生宗矩のもとには、次々と草と呼ばれている忍者らが、
情報を伝えるために集まりだしていた。
宗矩は一族全員を集めて、現状で知り得た把握事を、
一族全員との共有化に努めだした様子である。
ヤン海軍元帥と巴夫人は、
ガラス製の水槽で泳いでいる色とりどりの小魚達に、
餌を与えながらお茶を飲んでいると、
第一海兵団イエミツ司令官が訪ねて来た。
「お父上様、かなりご無沙汰でしたが、お元気ですか?
母様も演習場からお父上様が帰ってこないと嘆いていますよ。」
と、巴夫人はにこやか顔で、ヤン海軍元帥のいる居間に案内した。
ヤンは立ち上がって歓迎の挨拶をすると、
イエミツ司令官はにこやかに、
「婿殿も元気で、
巴との仲の良さは評判であるから、すべてがこの世の春だな。」
と、満面の笑みを二人に向けた。
「有難うございます。
私は巴殿といる時がこの世の春だと実感しています。」
「私の愛する人よ、気負付けなさい。
お父上様がこの世の春だなと言う時は、
良からぬ事を期待しているときです。」
と、巴夫人は何かを思い出したように怒り顔になった
「良からぬ事?」
「そうよ。私の十六の成人祝いパーティーを勝手に計画して、
豪華なドレスを持って現れる前に、
『この世の春だな。』と言った言葉です。」
「あれは、お前の誕生日が近づいたので、うれしいから出た言葉だ。」
「パーティーとドレスは、
私には苦痛だけだと何度も言っていたでしょう。」
「今も嫌いか?」
「今は愛する人に喜んでもらえるなら、嬉しいです。」
「父親の前で、のろけ過ぎだ。
俺も婿殿に喜んでもらえるなら、嬉しいぞ。」
と言って、イエミツ司令官は大げさに笑い出した。
鹿島と監視衛星と念力通信での連絡が取れないことで、
不安は日増しに増加していた。
今やマーガレットが信用できる者は、
銀河連合軍出身者と戦略運営委員会の三人だと思いながらも、
戦略運営委員会の三人に対しても不安になりだしていた。
「コーA.I。閣下の監視はどうなっている。」
「閣下の監視に二台の監視衛星を付けてはいますが、
超新星爆発の影響で分厚い北極雲下の分析感度がよくない状態です。」
「いつ治る。」
「上手くいって、百二十時間は必要です。」
「ドローンを使うことは可能か?」
「各監視衛星に一基ずつ搭載していますから可能ですが、
ドローンのエネルギーは継続時間七十二時間だけなので、
閣下のいると思われる地点からでは、
貴重なドローンは輸送艦には帰っては来られません。」
「今使わずに、いつ使う!」
「今使っても、無駄だと思います。」
「なぜ無駄だ。」
「生存確認だけだからです。」
「その生存確認をするためだろう。」
「閣下は生存しています。」
「なぜわかる?」
「閣下の生存確率は99,999~パーセントだからです。」
「装備も武器もなしで、何故、99、999~パーセントなのだ。」
「閣下だからです。」
「あ~?」
「閣下とコーA.Iを信じてください。」
とコーA.Iはマーガレットを諌めるように、静かな声で話した。
マーガレットはコーA.Iの諫言で何かを悟ったのか、
両手でこぶしを握り締めると首を上下しだした。
「コーA.I。聖騎士団と司法長官サクラの身辺探りの監視衛星を引き抜いて、各師団の動きをも報告せよ。」
「了解しました。誰が敵か調査します。」
と、応えたコーA.Iにマーガレットは頼もしさを感じて、
身体中の緊張感が抜けたのか安心した様子でソファーにうずくまった。
テテサ教皇とメイディは、
互いにお腹の大きくなった状態を、互いに心配し合っていた。
「無理はしないで、メイディ。」
「大丈夫です。今無理をしないで、いつ無理ができましょう。
義姉様の危機を見過ごしたならば、私は一生涯後悔します。」
「では、聖騎士団長への復帰を認めます。
そして司法長官への返り咲きを、
聖騎士団の司法委員会に伝達しましょう。」
「頑張りましょう!」
と、メイディは腕を持ち上げて、腕の筋肉を盛り挙げる仕草をした。
テテサ教皇とメイディは、
聖騎士団詰所牢獄の前でお腹をさすりながら、
「義姉様お元気ですか。」
と、メイディは独房の中で膝に顔を埋めているパトラに声が掛けした。
パトラはびっくりした様子で、
テテサ教皇とメイディを交互に睨んで、
「何のつもりで、私を束縛する。すぐに開放しなさい。」
「もう少し辛抱してください。聖騎士団に復帰出来たので、
此れから司法委員会に出向いて、司法長官の交代を承認して貰います。でも義姉様は元気そうで安心しました。」
と、メイディは満面の笑顔をした。
「閣下とマーガレットは大丈夫ですか?」
「二人共ガイア様の加護を貰っています。大丈夫です!」
と、矢張りテテサ教皇も満面の笑みを浮かべて首を縦に振った。
テテサ教皇とメイディは、
聖騎士団詰所で司法委員会五人と対談している。
「貴方達とは、元騎士団長ヨーコーと、
袂を分かつ事となった時からの付き合いです。
もう一度協力してください。」
と、メイディは司法委員会五人の煮え切らない態度に、
涙を流さんばかりに懇願している。
「メイディ様を団長に復帰出来るのは、テテサ教皇様ですが、
司法長官を任期半ばでの途中交代は、悪例を残すでしょう。」
「騎士団の信用が掛かっています。」
「テテサ教皇様。
メイディ様を団長と認めますが、
司法長官の件は暫く検討させてください。」
と、司法委員会五人は頭を下げた。
「法律が変わる前に、早い結論を期待しています。」
「法律が変わる?」
「近いうちに、司法は変わります。
司法長官と司法官に裁判官の権限は亜人協力国の管轄になり、
ガイア教会から離れさせられます。」
と、テテサ教皇は厳しい目を司法委員会五人に向けると、
踵を返してドアの方へ向かった。
メイディがテテサ教皇にドアを開けてあげた時、
一本の矢がメイディに向かって飛んできた。
メイディに飛んできた矢は、
メイディの胸を射抜いたのか、胸のあたりから血がにじんできた。
刺さった矢をメイディは握りしめながら、
「生まれそう。」
と、指の間から血を滴らしながら、か細い声を出してうずくまった。
テテサ教皇に付いて来ていた三人の修道女は、
胸を真っ赤に染めたメイディがうずくまってしまったので狼狽しだしている。
騎士団詰所のドアの正面廊下から、
サクラ司法長官とジューベーにショーセツ等の後ろには、
配下らしき五人の傭兵姿が見られた。
「皆には、再度部屋に帰ってもらおう。」
と、弓を持ったジューベーがテテサ教皇を弓で押した。
「メイディをベッドルームに、すぐに運びなさい。」
と、テテサ教皇はジューベーの弓を払いのけてメイディを抱きかかえると、
三人の修道女と司法委員会五人はメイディを抱きかかえながら、
廊下を走りベッドルームにせわしなく駆け込んだ。
「男の人は、出ていきなさい。」
と言って、テテサ教皇がドアを閉めると、
廊下側のドアは熱を発しないで、真っ赤に燃え上がりだした。
配下らしき傭兵姿の一人がドアノブを握ると、
その体は熱を出さないで燃えだしている様子で、
周りには肉を焼いている臭いが充満し出した。
男は苦しむ様子もない静寂の中で、
露出している顔と手の細胞が溶け出している。
「魔法を使える奴が居るようだ。
どうせ、メイディは死んでしまうだろう。
ここはほっといて、次の段階だ。」
と、言いながら、
ジューベーはベッドルーム内に残ったであろう一人の司法委員を無視して、部屋から出てきた司法委員四人に詰め寄り、
面(つら)かせやと言わんばかりに催促しながら再度聖騎士団詰所の司法委員会室に向かわせた。
メイディを保護する目的で神降臨街に来ていたビリー知事は、
情報共有化に従って、メイディからの情報をトーマス元帥に伝えた。
メイディの推測の話として、
サクラ司法長官とジューベーは恋仲であるかもと、
ビリーは自信なさそうに伝えた。
その情報が真実ならば、
大きなうねりの脅威を感じたトーマス元帥は、
マーガレットにビリーの情報を推測ながらと伝えて、
監視衛星からの日出国州の強化監視手配を頼んだ。
ヤン海軍元帥にもビリーの情報を伝えると、
日出国州と十万の第一海兵団の動向と、柳生一族を調べるよう命じた。
更にトーマス元帥は地図を広げて、兵棋駒を動かしながら、
第一師団には大河近くまで後退を命じた。
第二師団には、ドドンパ国との戦闘を回避するように命令すると、第三師団には神降臨街に入らないで、
ゲルググ州とサンビチョ州境に展開するよう指示を出した。
耳長種族第四師団には、
針葉樹地帯の中にある提督閣下の居る伐採場の近くで、
村や町一帯で生活している耳長種族の協力を確実に実行して、
提督閣下の居る伐採場周りの監視を命じた。
耳長種族第五師団には、
第二師団の後衛を命じると共に、コオル街に駐屯するよう命じた。
耳長種族第六師団には、モモハラ草原と砂漠の境で駐屯を命じた。
ポール司令官率いる第七師団においては、
副司令官をポールに任命させると、
副司令官に指揮権を譲渡してそのまま平京に駐屯を命じた。
ポール司令官には近衛師団の指揮権を与えて、
神降臨街に入らずに樹海伐採跡地に待機を命じた。
トーマス元帥は、
現在信用できるのはポール司令官率いる近衛師団しかないと思ってはいるが、
どの様な事態が起きるか不明であるので、
神降臨街への侵入は控えさせた。
トーマス元帥は、
ビリーとポールを加えた神降臨街に居る銀河連合軍全員に、
完全武装を指示して輸送艦作戦室に集まるよう命じた後に、
マティーレには残ってもらい、
輸送艦に居る残留要請されてない部外者全員の退去を命じた。
ポール司令官は、
近衛師団のシュワルル連隊長に近衛師団の指揮を預けることを宣言すると、
何事があってもトーマス元帥と自分の命令があるまで、
総督閣下を陥れる自分勝手な行動をしない事と、
部下に先走りをさせるなとガイア女神様に誓わせた。
柳生宗矩のもとには、次々と草と呼ばれている忍者らが、
情報を伝えるために集まりだしていた。
宗矩は一族全員を集めて、現状で知り得た把握事を、
一族全員との共有化に努めだした様子である。
ヤン海軍元帥と巴夫人は、
ガラス製の水槽で泳いでいる色とりどりの小魚達に、
餌を与えながらお茶を飲んでいると、
第一海兵団イエミツ司令官が訪ねて来た。
「お父上様、かなりご無沙汰でしたが、お元気ですか?
母様も演習場からお父上様が帰ってこないと嘆いていますよ。」
と、巴夫人はにこやか顔で、ヤン海軍元帥のいる居間に案内した。
ヤンは立ち上がって歓迎の挨拶をすると、
イエミツ司令官はにこやかに、
「婿殿も元気で、
巴との仲の良さは評判であるから、すべてがこの世の春だな。」
と、満面の笑みを二人に向けた。
「有難うございます。
私は巴殿といる時がこの世の春だと実感しています。」
「私の愛する人よ、気負付けなさい。
お父上様がこの世の春だなと言う時は、
良からぬ事を期待しているときです。」
と、巴夫人は何かを思い出したように怒り顔になった
「良からぬ事?」
「そうよ。私の十六の成人祝いパーティーを勝手に計画して、
豪華なドレスを持って現れる前に、
『この世の春だな。』と言った言葉です。」
「あれは、お前の誕生日が近づいたので、うれしいから出た言葉だ。」
「パーティーとドレスは、
私には苦痛だけだと何度も言っていたでしょう。」
「今も嫌いか?」
「今は愛する人に喜んでもらえるなら、嬉しいです。」
「父親の前で、のろけ過ぎだ。
俺も婿殿に喜んでもらえるなら、嬉しいぞ。」
と言って、イエミツ司令官は大げさに笑い出した。
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