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124メイディと加護魔石
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モーゴー国軍を平定した近衛師団が次に向かった先は、
第二師団が進軍準備中の戦乱渦巻く西大陸方面であった。
鹿島は、行軍中の近衛師団の指揮をシュワルル連隊長に託して、
子供が生まれる予定のビリー知事夫妻に会うためにコオル街に向かった。
鹿島は王宮門を入ると、
王宮門に相応しくないこぢんまりとした建物に向かった。
真新しい玄関扉に付いているドアノッカーをたたくと、
「閣下。よく来て下さいました。」
と、ビリー知事は駆け出してきた。
「北の国フィルノル国はどうであった。」
「かなり寂れた漁村群国家の印象です。」
「海軍希望者は居るかい?」
「ほとんどの人々は海を生業としていて、
ついでのように、家畜を育てていて自前の耕作に勤しんでいました。
国家自体が海洋民族でしたが、
教育と知識に技術もいまいちかなって感じました。
ただ、気が荒いために戦闘力はかなりのものでしたので、
募集しさえしたならば、
かなり期待できるだろうとのメイディの意見です。」
そこにお腹を抱えて、メイディが駆け足で近づいてくると、
「オイオイ。走るな。危ないだろう。」
と、ビリー知事も駆け出してメイディを抱きしめた。
「お熱いことで。」
と、鹿島はドヤ顔になった。
二人の新婚家庭の居間に通されて、
「閣下お久しぶりです。子供達はお元気ですか?」
「元気すぎて、二人共俺をほったらかしだ。」
「子供達にヤキモチ焼かないように、ね!」
と、メイディは言いながら、鹿島を無視してビリー知事に微笑んでいる。
「北の国フィルノル半島の他の二国との関係は、どの様になっている?」
「フィルノル国を併合しさえすれば、
なし崩し的に併合できますでしょう。」
と、メイディは微笑んだ。
「メイディはフィルノル国併合に賛成ですか?」
「勿論。賛同しています。いいえ、併合してください。」
「フィルノル国王を始め、親戚一同を敵に回すと?」
「フィルノル国王はもうすぐ隠居しますが、父は後を継ぐ気がないので、私は継承を放棄していたのですが、私とメイドームの決闘を行い、
勝ちさえすれば後継ぎ復活が決まるので、私はやることに決めました。」
「は~。」
と、鹿島とビリーは立ち上がった。
「何を馬鹿な事を。」
とビリーは呆れている。
「私が負けると?」
「そんなお腹では勝てないでしょう。」
「メイドームごときに負けるはずはない。既に決まったことです。」
「は~」
また二人とも立ち上がった。
ビリーは頭を抱えてテーブルに両腕を乗せた。
「何の相談もなく、決めたと。」
「これは私の一族の掟です。」
ビリーはテーブルに額までをもつけてしまった。
「以前は淑(しと)やかであったのに、何時から手荒になったの?」
と、ビリーは再び頭を抱えたが、
鹿島はメイディの地が出たとしか感じてなかった。
鹿島は自分の手のひらを広げて、
「もし、希望するなら、良い物があるのだが、使いますか?
でも、終わったら返してね。」
と言って、鹿島は胸の魔石に呼び掛けて、
黄金色の魔石を手のひらから出した。
二人は鹿島の予想通り、唖然としている。
「この魔石は、自称守りますと、言っているのだが?取り込んでみます?」
「自称?」
「守る?」
と二人は別々の疑問を口にした。
「縞模様の鬼顔熊似の魔石だが、俺に取り付いたのだ。」
「魔石が取り付いた?この魔石は幽体ですか?」
と、ビリーは如何ぶんだ。
「意思を持っているらしい。」
メイディも怪訝そうに、
「守るとは?」
「攻撃をはじいたり、避けたりするようです。」
「身体は何ともないのでしょうか?副作用とか?」
「俺の場合はまだ何もない。」
メイディはビリーを見つめると、眼をウルウルにしだした。
「ダメダメ。そんな目で見てもダメだろう。
そもそも決闘などはだめだろう。」
それでもなおメイディはビリーを見つめて、
「お、ね、が、い。」
と懇願しだした。
「隊長!止めてください。」
とビリーが鹿島を向いた瞬間、
メイディは鹿島の手にある黄金色の魔石を掴んだ。
黄金色の魔石はメイディの手から消えたのは、
おそらく胸へと流れ込んだと鹿島は思った。
「あ、返って来い魔石。」
と鹿島が叫ぶと、
「ここが居心地いい。」
と、鹿島の頭の中でエコーのように響いた。
するとメイディは、頭を押さえて目を丸くしたのは、
頭の中で何かが響いたのを感じたようである。
「ハハハハハ、私の事を、きれいだから守ります。
と魔石は言っています。」
と、メイディは目を白黒しだした。
ビリーだけは何が起こったのか理解できない様子で、
「俺の嫁は魔石持ちだと!」
「魔石の野郎、俺に帰ってこなくなったが、
メイディは別に魔物になったわけではないだろう。」
「だけど。」
「だいじょうぶ!何ともないし。
攻撃を防いでくれるなら、歓迎しないと。」
とメイディは喜んでいる。
鹿島は攻撃を防いでくれるとの、メイディの言葉が胸に刺さった。
「ビリー。メイディは司法長官として、
かなりの恨みを買っているだろうから、
この魔石は必要なのかもしれない。」
と、ガイア様の意志を感じた様に話しだした。
「必要?」
「そうよ、ガイア様の加護を受けたのよ」
と、メイディも何かを感じたのか納得していた。
メイディに目隠しをして、十メートル位の間隔を開けて立たせると、鹿島はビリーにコップを渡して、
「コップをメイディに投げてみろ。」
と言ったら、ビリーは怒り顔で、
「そんな事など出来るわけがないだろう。」
と、真剣に怒っている。
鹿島はビリーから無理やりコップをもぎ取ると、
メイディに向かってコップを投げた。
コップはメイディの顔に向かって飛んで行く。
「ア、ヤバイ」
と鹿島とビリーが叫ぶと、コップはメイディの顔の前で宙に浮いていた。
ビリーが唖然としていると、
メイディは目隠しを外すと目の前のコップを握り、
「なにも起こさなかったの?」
と、拍子抜けした声を出した。
「今掴んだコップが答えだ。」
と、ビリーは信じられないと言わんばかりである。
鹿島はトーマス元帥に渡すつもりの魔石を、
メイディに譲ることとした。
メイディの弟メイドームが、
二日後にコオル街に来るとの事であったので、
鹿島は新婚夫婦の新居に留まらされるはめとなった。
コオル街の広場で、メイディと弟メイドームの果し合いが行われた。
多くの観客がお祭り騒ぎとなって、
「おい弟。みごもっている姉様に一太刀でも当てたら許さんぞ!」
と周りの人だかりから罵声が響くと、
ほかの者たちも弟メイドームのあらを探しては罵倒する。
「姉様。場所を変えましょう。」
「臆したか?立会人は多い方がいいだろう。」
「皆は俺が勝ったら、こいつら暴動を起こすだろう。」
「暴動が起きる?その前に、お前が這いつくばるよ。」
「昔の俺ではないのだぞ。」
「ヒヨコが。剣術しか取り柄がないとの噂だが、
一太刀でも当てきれたなら、その後で大口叩け!」
と、言い終わらないうちにメイドームは撃ち込んできた。
メイディは撃ち込んできた木刀をただ払いのけただけであった。
メイドームは渾身の力で撃ち込んだはずが、
メイディの木刀が払いのけに来るまで、
木刀が急に重たくなった様に感じていた。
再度メイドームは更に渾身の力で撃ち込んだが、
矢張り途中から木刀を掴まれたかのような、
自分の意志と違う動きをさせられた。
メイディの木刀はメイドームの肩をしこたま叩いた。
「ひよこ。まだ十年早い!」
と、メイディは勝ち誇ったように言い放つと、
メイディがメイドームに背を向けたと同時に、
メイドームは再び後ろから切り掛かって来た。
メイディは妊婦であるのを気にするそぶりもなく、
蝶のようにひらりと交わして、メイドームの木刀を空高くに飛ばした。
鹿島とビリーは、メイドームの木刀が一瞬止まったのを見抜いていた。
「魔石の加護ですか?」
とビリーがつぶやくと、
「ガイア様の加護だろう」
と、鹿島は、
魔石に対しては不信感しかないので、女神様への思いの丈で応えた。
ビリーとメイディの家の居間で、メイドームは小さくなっている。
「メイドーム。お前は明日、
寝台列車で神降臨街に行って法律と行政を勉強しろ。
旅費と滞在費は私が出す。
亜人協力国の運営委員会に認められたら、
北の国フィルノル半島州知事に推挙してやる。
運営委員会に認められなかったら、
永久に北の国フィルノル半島州に帰ることを許さない。」
と、メイディは厳しく言い放つと、
金貨の入った革袋をテーブルに乗せた。
メイドームは明日寝台車で一人だけの旅とメイディに決められたので、
メイドームと共に来たフィルノル兵は、
食料と銀貨を渡されて国に帰された。
メイドームは神降臨街に留学生として行くことが決まった事で、
メイディの家に泊まる事となった。
メイドームは疲れたと言って、
革袋片手にお客用の寝室に向かいながら、
昼間の姉との手合わせに何かまだ納得してない様子で、
木刀を持った仕草で腕を上げ下げしながら居間の扉を閉めた。
ビリーは鹿島に、
「昼間の立ち合い少し変でしたが、あれが魔石の力ですか?」
「そうみたいですね。」
「隊長が困るのでは?」
「ぜん~ぜん。俺の役になど、たたなかった事があったし。」
「役に立たない?」
「マーガレットとパトラに殴られたとき、まったく防いでくれなかった。」
ビリーはドヤ顔をして、
「さ~俺も寝よう。」
と、鹿島に背を向けたまま手を振って居間から出ていった。
第二師団が進軍準備中の戦乱渦巻く西大陸方面であった。
鹿島は、行軍中の近衛師団の指揮をシュワルル連隊長に託して、
子供が生まれる予定のビリー知事夫妻に会うためにコオル街に向かった。
鹿島は王宮門を入ると、
王宮門に相応しくないこぢんまりとした建物に向かった。
真新しい玄関扉に付いているドアノッカーをたたくと、
「閣下。よく来て下さいました。」
と、ビリー知事は駆け出してきた。
「北の国フィルノル国はどうであった。」
「かなり寂れた漁村群国家の印象です。」
「海軍希望者は居るかい?」
「ほとんどの人々は海を生業としていて、
ついでのように、家畜を育てていて自前の耕作に勤しんでいました。
国家自体が海洋民族でしたが、
教育と知識に技術もいまいちかなって感じました。
ただ、気が荒いために戦闘力はかなりのものでしたので、
募集しさえしたならば、
かなり期待できるだろうとのメイディの意見です。」
そこにお腹を抱えて、メイディが駆け足で近づいてくると、
「オイオイ。走るな。危ないだろう。」
と、ビリー知事も駆け出してメイディを抱きしめた。
「お熱いことで。」
と、鹿島はドヤ顔になった。
二人の新婚家庭の居間に通されて、
「閣下お久しぶりです。子供達はお元気ですか?」
「元気すぎて、二人共俺をほったらかしだ。」
「子供達にヤキモチ焼かないように、ね!」
と、メイディは言いながら、鹿島を無視してビリー知事に微笑んでいる。
「北の国フィルノル半島の他の二国との関係は、どの様になっている?」
「フィルノル国を併合しさえすれば、
なし崩し的に併合できますでしょう。」
と、メイディは微笑んだ。
「メイディはフィルノル国併合に賛成ですか?」
「勿論。賛同しています。いいえ、併合してください。」
「フィルノル国王を始め、親戚一同を敵に回すと?」
「フィルノル国王はもうすぐ隠居しますが、父は後を継ぐ気がないので、私は継承を放棄していたのですが、私とメイドームの決闘を行い、
勝ちさえすれば後継ぎ復活が決まるので、私はやることに決めました。」
「は~。」
と、鹿島とビリーは立ち上がった。
「何を馬鹿な事を。」
とビリーは呆れている。
「私が負けると?」
「そんなお腹では勝てないでしょう。」
「メイドームごときに負けるはずはない。既に決まったことです。」
「は~」
また二人とも立ち上がった。
ビリーは頭を抱えてテーブルに両腕を乗せた。
「何の相談もなく、決めたと。」
「これは私の一族の掟です。」
ビリーはテーブルに額までをもつけてしまった。
「以前は淑(しと)やかであったのに、何時から手荒になったの?」
と、ビリーは再び頭を抱えたが、
鹿島はメイディの地が出たとしか感じてなかった。
鹿島は自分の手のひらを広げて、
「もし、希望するなら、良い物があるのだが、使いますか?
でも、終わったら返してね。」
と言って、鹿島は胸の魔石に呼び掛けて、
黄金色の魔石を手のひらから出した。
二人は鹿島の予想通り、唖然としている。
「この魔石は、自称守りますと、言っているのだが?取り込んでみます?」
「自称?」
「守る?」
と二人は別々の疑問を口にした。
「縞模様の鬼顔熊似の魔石だが、俺に取り付いたのだ。」
「魔石が取り付いた?この魔石は幽体ですか?」
と、ビリーは如何ぶんだ。
「意思を持っているらしい。」
メイディも怪訝そうに、
「守るとは?」
「攻撃をはじいたり、避けたりするようです。」
「身体は何ともないのでしょうか?副作用とか?」
「俺の場合はまだ何もない。」
メイディはビリーを見つめると、眼をウルウルにしだした。
「ダメダメ。そんな目で見てもダメだろう。
そもそも決闘などはだめだろう。」
それでもなおメイディはビリーを見つめて、
「お、ね、が、い。」
と懇願しだした。
「隊長!止めてください。」
とビリーが鹿島を向いた瞬間、
メイディは鹿島の手にある黄金色の魔石を掴んだ。
黄金色の魔石はメイディの手から消えたのは、
おそらく胸へと流れ込んだと鹿島は思った。
「あ、返って来い魔石。」
と鹿島が叫ぶと、
「ここが居心地いい。」
と、鹿島の頭の中でエコーのように響いた。
するとメイディは、頭を押さえて目を丸くしたのは、
頭の中で何かが響いたのを感じたようである。
「ハハハハハ、私の事を、きれいだから守ります。
と魔石は言っています。」
と、メイディは目を白黒しだした。
ビリーだけは何が起こったのか理解できない様子で、
「俺の嫁は魔石持ちだと!」
「魔石の野郎、俺に帰ってこなくなったが、
メイディは別に魔物になったわけではないだろう。」
「だけど。」
「だいじょうぶ!何ともないし。
攻撃を防いでくれるなら、歓迎しないと。」
とメイディは喜んでいる。
鹿島は攻撃を防いでくれるとの、メイディの言葉が胸に刺さった。
「ビリー。メイディは司法長官として、
かなりの恨みを買っているだろうから、
この魔石は必要なのかもしれない。」
と、ガイア様の意志を感じた様に話しだした。
「必要?」
「そうよ、ガイア様の加護を受けたのよ」
と、メイディも何かを感じたのか納得していた。
メイディに目隠しをして、十メートル位の間隔を開けて立たせると、鹿島はビリーにコップを渡して、
「コップをメイディに投げてみろ。」
と言ったら、ビリーは怒り顔で、
「そんな事など出来るわけがないだろう。」
と、真剣に怒っている。
鹿島はビリーから無理やりコップをもぎ取ると、
メイディに向かってコップを投げた。
コップはメイディの顔に向かって飛んで行く。
「ア、ヤバイ」
と鹿島とビリーが叫ぶと、コップはメイディの顔の前で宙に浮いていた。
ビリーが唖然としていると、
メイディは目隠しを外すと目の前のコップを握り、
「なにも起こさなかったの?」
と、拍子抜けした声を出した。
「今掴んだコップが答えだ。」
と、ビリーは信じられないと言わんばかりである。
鹿島はトーマス元帥に渡すつもりの魔石を、
メイディに譲ることとした。
メイディの弟メイドームが、
二日後にコオル街に来るとの事であったので、
鹿島は新婚夫婦の新居に留まらされるはめとなった。
コオル街の広場で、メイディと弟メイドームの果し合いが行われた。
多くの観客がお祭り騒ぎとなって、
「おい弟。みごもっている姉様に一太刀でも当てたら許さんぞ!」
と周りの人だかりから罵声が響くと、
ほかの者たちも弟メイドームのあらを探しては罵倒する。
「姉様。場所を変えましょう。」
「臆したか?立会人は多い方がいいだろう。」
「皆は俺が勝ったら、こいつら暴動を起こすだろう。」
「暴動が起きる?その前に、お前が這いつくばるよ。」
「昔の俺ではないのだぞ。」
「ヒヨコが。剣術しか取り柄がないとの噂だが、
一太刀でも当てきれたなら、その後で大口叩け!」
と、言い終わらないうちにメイドームは撃ち込んできた。
メイディは撃ち込んできた木刀をただ払いのけただけであった。
メイドームは渾身の力で撃ち込んだはずが、
メイディの木刀が払いのけに来るまで、
木刀が急に重たくなった様に感じていた。
再度メイドームは更に渾身の力で撃ち込んだが、
矢張り途中から木刀を掴まれたかのような、
自分の意志と違う動きをさせられた。
メイディの木刀はメイドームの肩をしこたま叩いた。
「ひよこ。まだ十年早い!」
と、メイディは勝ち誇ったように言い放つと、
メイディがメイドームに背を向けたと同時に、
メイドームは再び後ろから切り掛かって来た。
メイディは妊婦であるのを気にするそぶりもなく、
蝶のようにひらりと交わして、メイドームの木刀を空高くに飛ばした。
鹿島とビリーは、メイドームの木刀が一瞬止まったのを見抜いていた。
「魔石の加護ですか?」
とビリーがつぶやくと、
「ガイア様の加護だろう」
と、鹿島は、
魔石に対しては不信感しかないので、女神様への思いの丈で応えた。
ビリーとメイディの家の居間で、メイドームは小さくなっている。
「メイドーム。お前は明日、
寝台列車で神降臨街に行って法律と行政を勉強しろ。
旅費と滞在費は私が出す。
亜人協力国の運営委員会に認められたら、
北の国フィルノル半島州知事に推挙してやる。
運営委員会に認められなかったら、
永久に北の国フィルノル半島州に帰ることを許さない。」
と、メイディは厳しく言い放つと、
金貨の入った革袋をテーブルに乗せた。
メイドームは明日寝台車で一人だけの旅とメイディに決められたので、
メイドームと共に来たフィルノル兵は、
食料と銀貨を渡されて国に帰された。
メイドームは神降臨街に留学生として行くことが決まった事で、
メイディの家に泊まる事となった。
メイドームは疲れたと言って、
革袋片手にお客用の寝室に向かいながら、
昼間の姉との手合わせに何かまだ納得してない様子で、
木刀を持った仕草で腕を上げ下げしながら居間の扉を閉めた。
ビリーは鹿島に、
「昼間の立ち合い少し変でしたが、あれが魔石の力ですか?」
「そうみたいですね。」
「隊長が困るのでは?」
「ぜん~ぜん。俺の役になど、たたなかった事があったし。」
「役に立たない?」
「マーガレットとパトラに殴られたとき、まったく防いでくれなかった。」
ビリーはドヤ顔をして、
「さ~俺も寝よう。」
と、鹿島に背を向けたまま手を振って居間から出ていった。
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