113 / 181
110モモハラ草原の戦い
しおりを挟む
赤い夕陽の中を、騎馬隊がエミューに乗った一団を追いかけている。
エミューに乗った者等は、銃声の数だけエミューの上から零れ落ちていく。
三百メートルの間には、
百人以上の皮鎧の男たちが瀕死の状態で痙攣していた。
「お前らは、何者だ!俺らを襲っても何も持っていないぞ~ぉ。」
と、男は騎馬隊に向かって怒鳴ったが、
精根尽きたように顔を雑草の上に沈めた。
月明かりの草原には、
三百以上のテントが設営されている天上に、
まばゆい三十以上の光の玉がゆっくりと降り注いできた。
まばゆい光の玉の明るさの下、
三百以上のテントが設営されている周りには、
二万の武装集団が取り囲んでいた。
テント群の中あたりで爆裂が起きると、
すでに寝入っていた者達が起きだしてきた。
気の早い一団が抜刀して取り巻いる武装集団に向かっていくが、
抜刀して駆け出した全ての者達は、
テント群から二十メートも離れていない所で、
一斉射撃の怒涛の乾いた音の前に倒れてしまった。
カナリア街の若き中隊長は、ハンドマイクを片手に持ち、
「亜人協力国の領土に武装して侵入した者達よ、
抵抗しなければ捕虜として待遇する。
抵抗しないのであれば地に伏せよ。命は保証する。選べ!」
と、冷たい声で叫んだ。
テント群の周りでは、無手の者達はすぐに腹ばい、
剣を携えていた者達は、
互いに顔を向き合った後剣を投げ捨てて地に腹ばいだした。
千人近くの首と腕を数珠つなぎされた捕虜の列が十組並べられている。
テント外に捕縛されていた耳長種族男女は、
解放されると一目散に落ちている剣を拾って、
数珠つなぎされた捕虜の列に抜刀して向かっていった。
耳長種族男女は、数珠つなぎされている者達を選別しだすと、
持っていた剣で胸や腹を突き刺し始めたが、
取り巻いる武装集団は止めることなく黙って見ている。
選別された者達周りの数珠つなぎ者等は、
逃げようとする選別者により、
互いに繋がった綱によって首を絞められた。
曙の明かりの中では、寝ぼけ眼で起きだした男たちは、
二十丁程のテント群の外にひしめき合う、
見慣れぬ甲冑姿の兵に襟首を捕まえられていた。
陽は頭上に活力の光をさしている中で、
四方八方から同じ地点に向かうように、
武装した皮鎧の無数の集団が必死にエミューにまたがり、
何かに追われる様に駆けていた。
武装した皮鎧集団を追っているのは、
機動車輌隊や騎馬隊にエミュー隊であった。
武装した皮鎧集団同士が鉢合わせとなった所で、
すでに逃げ道はなく取り囲まれていた。
ここでもやはり、早とちりの者達は、
一斉射撃の怒涛の乾いた音の前に倒れてしまった。
乾いたモモハラ草原では、三日三晩この光景が続いた。
鹿島と運営委員会は、
第二師団ヒルルマ司令官からの通信で、
コーA.Iからの位置確認指図の後に、
残りの奴隷狩り武装集団三千人を、
一人残らず捕縛したとの連絡を受けた。
追伸として、五体満足者は、五割を切っているとの連絡もなされた。
ヒルルマ司令官からの連絡では、三千人の捕虜たちを、
モモハラ草原森林の伐採に使いたいとの要請を受け入れて、
それを許可した。
タブレットパソコンに映し出された闇の樹海では、
調査官と名乗る奴隷狩りの畜生は足を鎖に繋がれて、
エルフ種族青年の鞭を受けながら、伐採した丸太を担いでいる。
他の奴隷狩りの畜生共も鎖につながれたままで、
やはり樹海の中で林業にいそしんでいた。
コーA.Iからの通達では、
遥か南大陸のその先にある大陸には殆ど人がいないが、
鉱物資源が大量に埋まっていて、しかも浅い場所にあるために、
露天掘りが可能であるらしいので、人と採掘機械さえあれば、
かなりの資源を確保出来るとの事である。
奴隷狩り畜生の伐採後の働き場所は確保できそうである。
独立師団ハービーハン司令官は、
一万の騎馬隊と猫亜人工作隊を引き連れて、
モモハラ草原民族を結集する為に、第二師団管轄の草原に向かった。
第二師団ヒルルマ司令官は、オトロシ国とオトロシ国真ガイア教会に、
『真ガイア教会の調査官が奴隷狩りと称して、
わが領土内で無法な誘拐を行い、
我が国の治安部隊によって捕縛されている。
なお我が民である、耳長種族の誘拐被害者を返してほしい。
各指導者は、調査官が行った奴隷狩りと誘拐被害者に対する、
監督責任者として責任ある対応を求める。』
との声明文を送ったが、返答はまだないようである。
ヒルルマ司令官の第二弾は、オトロシ国の農奴や小作人を解放すると、大胆にもオトロシ国内で交付した。
解放された農奴には、
モモハラ草原森林跡地の開墾された耕作地を、
無料提供するとの交付である。
しかも二年間は無税であり、その後は売上国の一割だけが、
税金であると付け加えられた。
ヒルルマ司令官の第二弾に協力してくれたのは、
亜人協力国の製品に飛びついてきたオトロシ国商人たちであった。
オトロシ国商人たちに誘導されて来る農奴たちは、
闇に隠れて山と山のすそ野に築かれた砦を目指して来る。
サーチライトにより、
夜の闇であるのに明るく照らし出されている砦の門に、
多くの農奴達は殺到してきだした。
ヒルルマ司令官の要請で、
モモハラ草原に残された三千人の奴隷狩りの畜生共も、
矢張り足を鎖につながれたままモモハラ草原森林の中で、
鞭でしばかれながら伐採を強要されていた。
その跡地には工作隊猫亜人による耕作地開墾が急ピッチで進んでいる。
増え続ける農奴たちに満遍なく耕作地を提供しなければならず、
忙しくなってきたようである。
ヒルルマ司令官の第二弾交付から十日もすると、
砦のオトロシ国側では、大量の移民希望者の人々が砦に向かう為に、
道は人々であふれ出してきた。
当然そうなると、オトロシ国側でも気づいて、
多くの衛士兵が駆けつけてきたが、第二師団の銃撃隊との戦闘で、
衛士兵はほとんどが倒されてしまった。
第二師団は更にオトロシ国深くまで侵入して、
逃亡耕作人の保護に努めだした。
ヒルルマ司令官の下にオトロシ国側から使者がやって来て、
逃亡耕作人の引き渡しを求めてきたが、
ヒルルマ司令官は要求声明文の返答がまだであると、
その理由を逆に要求した。
オトロシ国と真ガイア教会は、亜人協力国への宣戦布告を行い、
軍隊を整えだして隣国の国々に応援を要請すると、
モモハラ草原森林に居る耳長種族に対する奴隷狩りは、
制限なしで自由に所有が可能であるとも交付した。
耳長種族は美男美女が多い上に、スタイル抜群である。
特にパトラはその典型である。
そんな耳長種族奴隷は、この近隣では高い人気奴隷で、
特に社会的地位や身分をひけらかす、シンボルとなっている様である。
オトロシ国側は近隣の軍隊とならず者達に傭兵を加えた、
五十万の兵を揃えて砦の前に現れた。
オトロシ国側五十万の兵から、
三十万の兵に山を迂回させて砦の裏側に進出しようと動き出すと、
ヒルルマ司令官はオトロシ国兵の迂回する山の頂上に、
五万の歩兵銃隊を待機させた上に、
オトロシ国三十万の兵の進出場所に三列の柵を一キロ幅で設置した。
柵の設置方法は、長さ三メートルの柵を一メートル間隔幅に開けて、前後交互に通行場を設けたようである。
第二師団歩兵銃隊とモモハラ草原民族の戦士も加わり、
柵から飛び出す訓練中である。
訓練の内容は、互いの隊同士が混乱しないように、
柵の隙間から左に向かい、また隙間から前に出てさらに左に向かって、次の隙間から前進するようである。
第二師団とモモハラ草原民族の戦士の後ろには、
二百門の大砲が並べられていて、万全の構えである。
独立師団騎馬隊一万と対魔物用レール砲を搭載した機動車輌に、
かなりの数の火炎放射砲を積んだ機動車輌は、
柵の外両側端に二手に分かれて待機しているようである。
戦闘開始は、山と山のすそ野を閉めている砦前で始まった。
砦の後ろに控えている百門の大砲は、
戦闘が始まっても静かに待っている。
オトロシ国二十万の兵は、
次々と防壁攻略櫓(やぐら)を並べて突進してくるが、
砦防壁の五メートル手前は急な勾配になっている為に、
そこまでしか進む事が出来ずに、櫓からは橋が差し伸べられだした。
櫓から伸びた橋の手前では、火炎放射器を担いだ兵二人が控えていて、櫓から飛び出してきた敵兵が橋の中間に来た時点で、
二台の火炎放射器から炎が勢いよく噴き出した。
橋上にいた敵兵等は炎に包まれながら落下して行き、
やぐらに残っていた者共もやぐらと共に炎に包まれている。
砦防壁上から銃弾と火炎瓶の攻撃により、
オトロシ国兵どもは逃げ出した。
それを合図に全砲門は炎と煙を噴きだした。
逃げる前方から爆裂が近づいてきて、砦側に逃げてくる兵どもと、
砦側から逃げ去る兵どもは重なり合うように密集しだした所へ、
更に砲弾の無情な惨劇雨が降り注ぎだした。
重なり合った兵士たちの恐怖の声は、
爆裂音にかき消されたはずなのに、
怒涛の悲鳴は戦場に響き渡りコダマのように連続している。
山と山のすそ野を閉めている砦前では、
正常に立ち上がる者はいなくなり、
全ての二十万オトロシ国兵どもは皆倒れていて、
辛うじて立ち上がる者がいても、
足を進める事が出来ない状態の様子である。
砦を守っていたのはエミュー銃撃隊だったようで、
砦守備エミュー銃撃隊全員は、
オトロシ国兵が山を迂回した道を辿る様にその跡道を駆けて行く。
砦前の戦闘が終わった頃、
山を迂回したオトロシ国兵は要約柵が設置されている前方に到着した。
三十万オトロシ国兵はこの大陸の戦法である、
密集整列戦法で柵に向かって進みだした。
山の頂上に控えていた第二師団五万の歩兵銃隊は、
三十万オトロシ国兵が山のすそ野を過ぎたあたりで下山を始めだして、ゆっくりと三十万オトロシ国兵の後ろからついて行く。
三十万オトロシ国兵は、前衛、中衛、後衛を一組にして、
百組を横に並べて進みだした。
三十万オトロシ国兵が柵の手前五十メートル先に差し掛かると、
歩兵銃弾とモモハラ草原民族の戦士の矢が一斉に三十万オトロシ国兵に向かって襲い掛かっていった。
銃声を合図に、二百の砲門が火を噴きだして、
砲弾の雨を三十万オトロシ国兵に浴びせ出すと、
オトロシ国兵は驚いたようで、走れる者共は我先にと逃げ出した。
逃げ出した生存者は十五万位のようである。
逃げ出すオトロシ国兵を、
柵の両横で控えていた独立師団騎馬隊一万とレール爆裂砲を搭載した機動車輌に、
火炎放射砲を積んだ機動車輌は、両側から挟むように攻撃しだした。
独立師団から何とか逃げ出せた三万の兵は元来た道を、
武器と鎧を脱ぎ捨てて駆け出していたが、迂回した山すそ野には、
さらに第二師団エミュー銃撃隊が待ち伏せしていて、
そこから何とか生き延びた五千のオトロシ国兵は、
草原先の砂漠側へと落ち延びていく。
オトロシ国との決戦は何と五十万人相手に、
たったの半日でけりがついた。
モモハラ草原民族の十五支族長老達の感動は、
最高点に達している。
「直ぐに貢物を用意して、皇帝ハン.パトラ様に会わなければならない。」
モモハラ草原民族の貢ぎ物は、珍しい薬原料であるようで、
薬草と木の実に草木の根っこが、山と積まれるほど集められた。
独立師団ハービーハン司令官は、
十五支族長老達と珍しい薬原料を運ぶ機関車を用意してくれたようである。
エミューに乗った者等は、銃声の数だけエミューの上から零れ落ちていく。
三百メートルの間には、
百人以上の皮鎧の男たちが瀕死の状態で痙攣していた。
「お前らは、何者だ!俺らを襲っても何も持っていないぞ~ぉ。」
と、男は騎馬隊に向かって怒鳴ったが、
精根尽きたように顔を雑草の上に沈めた。
月明かりの草原には、
三百以上のテントが設営されている天上に、
まばゆい三十以上の光の玉がゆっくりと降り注いできた。
まばゆい光の玉の明るさの下、
三百以上のテントが設営されている周りには、
二万の武装集団が取り囲んでいた。
テント群の中あたりで爆裂が起きると、
すでに寝入っていた者達が起きだしてきた。
気の早い一団が抜刀して取り巻いる武装集団に向かっていくが、
抜刀して駆け出した全ての者達は、
テント群から二十メートも離れていない所で、
一斉射撃の怒涛の乾いた音の前に倒れてしまった。
カナリア街の若き中隊長は、ハンドマイクを片手に持ち、
「亜人協力国の領土に武装して侵入した者達よ、
抵抗しなければ捕虜として待遇する。
抵抗しないのであれば地に伏せよ。命は保証する。選べ!」
と、冷たい声で叫んだ。
テント群の周りでは、無手の者達はすぐに腹ばい、
剣を携えていた者達は、
互いに顔を向き合った後剣を投げ捨てて地に腹ばいだした。
千人近くの首と腕を数珠つなぎされた捕虜の列が十組並べられている。
テント外に捕縛されていた耳長種族男女は、
解放されると一目散に落ちている剣を拾って、
数珠つなぎされた捕虜の列に抜刀して向かっていった。
耳長種族男女は、数珠つなぎされている者達を選別しだすと、
持っていた剣で胸や腹を突き刺し始めたが、
取り巻いる武装集団は止めることなく黙って見ている。
選別された者達周りの数珠つなぎ者等は、
逃げようとする選別者により、
互いに繋がった綱によって首を絞められた。
曙の明かりの中では、寝ぼけ眼で起きだした男たちは、
二十丁程のテント群の外にひしめき合う、
見慣れぬ甲冑姿の兵に襟首を捕まえられていた。
陽は頭上に活力の光をさしている中で、
四方八方から同じ地点に向かうように、
武装した皮鎧の無数の集団が必死にエミューにまたがり、
何かに追われる様に駆けていた。
武装した皮鎧集団を追っているのは、
機動車輌隊や騎馬隊にエミュー隊であった。
武装した皮鎧集団同士が鉢合わせとなった所で、
すでに逃げ道はなく取り囲まれていた。
ここでもやはり、早とちりの者達は、
一斉射撃の怒涛の乾いた音の前に倒れてしまった。
乾いたモモハラ草原では、三日三晩この光景が続いた。
鹿島と運営委員会は、
第二師団ヒルルマ司令官からの通信で、
コーA.Iからの位置確認指図の後に、
残りの奴隷狩り武装集団三千人を、
一人残らず捕縛したとの連絡を受けた。
追伸として、五体満足者は、五割を切っているとの連絡もなされた。
ヒルルマ司令官からの連絡では、三千人の捕虜たちを、
モモハラ草原森林の伐採に使いたいとの要請を受け入れて、
それを許可した。
タブレットパソコンに映し出された闇の樹海では、
調査官と名乗る奴隷狩りの畜生は足を鎖に繋がれて、
エルフ種族青年の鞭を受けながら、伐採した丸太を担いでいる。
他の奴隷狩りの畜生共も鎖につながれたままで、
やはり樹海の中で林業にいそしんでいた。
コーA.Iからの通達では、
遥か南大陸のその先にある大陸には殆ど人がいないが、
鉱物資源が大量に埋まっていて、しかも浅い場所にあるために、
露天掘りが可能であるらしいので、人と採掘機械さえあれば、
かなりの資源を確保出来るとの事である。
奴隷狩り畜生の伐採後の働き場所は確保できそうである。
独立師団ハービーハン司令官は、
一万の騎馬隊と猫亜人工作隊を引き連れて、
モモハラ草原民族を結集する為に、第二師団管轄の草原に向かった。
第二師団ヒルルマ司令官は、オトロシ国とオトロシ国真ガイア教会に、
『真ガイア教会の調査官が奴隷狩りと称して、
わが領土内で無法な誘拐を行い、
我が国の治安部隊によって捕縛されている。
なお我が民である、耳長種族の誘拐被害者を返してほしい。
各指導者は、調査官が行った奴隷狩りと誘拐被害者に対する、
監督責任者として責任ある対応を求める。』
との声明文を送ったが、返答はまだないようである。
ヒルルマ司令官の第二弾は、オトロシ国の農奴や小作人を解放すると、大胆にもオトロシ国内で交付した。
解放された農奴には、
モモハラ草原森林跡地の開墾された耕作地を、
無料提供するとの交付である。
しかも二年間は無税であり、その後は売上国の一割だけが、
税金であると付け加えられた。
ヒルルマ司令官の第二弾に協力してくれたのは、
亜人協力国の製品に飛びついてきたオトロシ国商人たちであった。
オトロシ国商人たちに誘導されて来る農奴たちは、
闇に隠れて山と山のすそ野に築かれた砦を目指して来る。
サーチライトにより、
夜の闇であるのに明るく照らし出されている砦の門に、
多くの農奴達は殺到してきだした。
ヒルルマ司令官の要請で、
モモハラ草原に残された三千人の奴隷狩りの畜生共も、
矢張り足を鎖につながれたままモモハラ草原森林の中で、
鞭でしばかれながら伐採を強要されていた。
その跡地には工作隊猫亜人による耕作地開墾が急ピッチで進んでいる。
増え続ける農奴たちに満遍なく耕作地を提供しなければならず、
忙しくなってきたようである。
ヒルルマ司令官の第二弾交付から十日もすると、
砦のオトロシ国側では、大量の移民希望者の人々が砦に向かう為に、
道は人々であふれ出してきた。
当然そうなると、オトロシ国側でも気づいて、
多くの衛士兵が駆けつけてきたが、第二師団の銃撃隊との戦闘で、
衛士兵はほとんどが倒されてしまった。
第二師団は更にオトロシ国深くまで侵入して、
逃亡耕作人の保護に努めだした。
ヒルルマ司令官の下にオトロシ国側から使者がやって来て、
逃亡耕作人の引き渡しを求めてきたが、
ヒルルマ司令官は要求声明文の返答がまだであると、
その理由を逆に要求した。
オトロシ国と真ガイア教会は、亜人協力国への宣戦布告を行い、
軍隊を整えだして隣国の国々に応援を要請すると、
モモハラ草原森林に居る耳長種族に対する奴隷狩りは、
制限なしで自由に所有が可能であるとも交付した。
耳長種族は美男美女が多い上に、スタイル抜群である。
特にパトラはその典型である。
そんな耳長種族奴隷は、この近隣では高い人気奴隷で、
特に社会的地位や身分をひけらかす、シンボルとなっている様である。
オトロシ国側は近隣の軍隊とならず者達に傭兵を加えた、
五十万の兵を揃えて砦の前に現れた。
オトロシ国側五十万の兵から、
三十万の兵に山を迂回させて砦の裏側に進出しようと動き出すと、
ヒルルマ司令官はオトロシ国兵の迂回する山の頂上に、
五万の歩兵銃隊を待機させた上に、
オトロシ国三十万の兵の進出場所に三列の柵を一キロ幅で設置した。
柵の設置方法は、長さ三メートルの柵を一メートル間隔幅に開けて、前後交互に通行場を設けたようである。
第二師団歩兵銃隊とモモハラ草原民族の戦士も加わり、
柵から飛び出す訓練中である。
訓練の内容は、互いの隊同士が混乱しないように、
柵の隙間から左に向かい、また隙間から前に出てさらに左に向かって、次の隙間から前進するようである。
第二師団とモモハラ草原民族の戦士の後ろには、
二百門の大砲が並べられていて、万全の構えである。
独立師団騎馬隊一万と対魔物用レール砲を搭載した機動車輌に、
かなりの数の火炎放射砲を積んだ機動車輌は、
柵の外両側端に二手に分かれて待機しているようである。
戦闘開始は、山と山のすそ野を閉めている砦前で始まった。
砦の後ろに控えている百門の大砲は、
戦闘が始まっても静かに待っている。
オトロシ国二十万の兵は、
次々と防壁攻略櫓(やぐら)を並べて突進してくるが、
砦防壁の五メートル手前は急な勾配になっている為に、
そこまでしか進む事が出来ずに、櫓からは橋が差し伸べられだした。
櫓から伸びた橋の手前では、火炎放射器を担いだ兵二人が控えていて、櫓から飛び出してきた敵兵が橋の中間に来た時点で、
二台の火炎放射器から炎が勢いよく噴き出した。
橋上にいた敵兵等は炎に包まれながら落下して行き、
やぐらに残っていた者共もやぐらと共に炎に包まれている。
砦防壁上から銃弾と火炎瓶の攻撃により、
オトロシ国兵どもは逃げ出した。
それを合図に全砲門は炎と煙を噴きだした。
逃げる前方から爆裂が近づいてきて、砦側に逃げてくる兵どもと、
砦側から逃げ去る兵どもは重なり合うように密集しだした所へ、
更に砲弾の無情な惨劇雨が降り注ぎだした。
重なり合った兵士たちの恐怖の声は、
爆裂音にかき消されたはずなのに、
怒涛の悲鳴は戦場に響き渡りコダマのように連続している。
山と山のすそ野を閉めている砦前では、
正常に立ち上がる者はいなくなり、
全ての二十万オトロシ国兵どもは皆倒れていて、
辛うじて立ち上がる者がいても、
足を進める事が出来ない状態の様子である。
砦を守っていたのはエミュー銃撃隊だったようで、
砦守備エミュー銃撃隊全員は、
オトロシ国兵が山を迂回した道を辿る様にその跡道を駆けて行く。
砦前の戦闘が終わった頃、
山を迂回したオトロシ国兵は要約柵が設置されている前方に到着した。
三十万オトロシ国兵はこの大陸の戦法である、
密集整列戦法で柵に向かって進みだした。
山の頂上に控えていた第二師団五万の歩兵銃隊は、
三十万オトロシ国兵が山のすそ野を過ぎたあたりで下山を始めだして、ゆっくりと三十万オトロシ国兵の後ろからついて行く。
三十万オトロシ国兵は、前衛、中衛、後衛を一組にして、
百組を横に並べて進みだした。
三十万オトロシ国兵が柵の手前五十メートル先に差し掛かると、
歩兵銃弾とモモハラ草原民族の戦士の矢が一斉に三十万オトロシ国兵に向かって襲い掛かっていった。
銃声を合図に、二百の砲門が火を噴きだして、
砲弾の雨を三十万オトロシ国兵に浴びせ出すと、
オトロシ国兵は驚いたようで、走れる者共は我先にと逃げ出した。
逃げ出した生存者は十五万位のようである。
逃げ出すオトロシ国兵を、
柵の両横で控えていた独立師団騎馬隊一万とレール爆裂砲を搭載した機動車輌に、
火炎放射砲を積んだ機動車輌は、両側から挟むように攻撃しだした。
独立師団から何とか逃げ出せた三万の兵は元来た道を、
武器と鎧を脱ぎ捨てて駆け出していたが、迂回した山すそ野には、
さらに第二師団エミュー銃撃隊が待ち伏せしていて、
そこから何とか生き延びた五千のオトロシ国兵は、
草原先の砂漠側へと落ち延びていく。
オトロシ国との決戦は何と五十万人相手に、
たったの半日でけりがついた。
モモハラ草原民族の十五支族長老達の感動は、
最高点に達している。
「直ぐに貢物を用意して、皇帝ハン.パトラ様に会わなければならない。」
モモハラ草原民族の貢ぎ物は、珍しい薬原料であるようで、
薬草と木の実に草木の根っこが、山と積まれるほど集められた。
独立師団ハービーハン司令官は、
十五支族長老達と珍しい薬原料を運ぶ機関車を用意してくれたようである。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる