【何カ所か18禁]女神の伴侶戦記

かんじがしろ

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102 戦場の三国同盟国

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鹿島は、厳格な九つ徳を唱える祈りが響いてくる中で、
昼食後、テテサの横でくつろぎながら、
タブレットパソコンを開き、柳生領地の砦を映し出したが、
砦はもぬけの殻で誰一人いないが、
砦の周りでは白い煙が彼方此方から上がっていた。

 独立師団副司令官ハスネの現在地を検索すると、
塩の国国境を越えた街城壁を半分程破壊し終わっている。

 昨夜の戦闘シーンを再現してもらい照覧すると、
夜間に砦を攻撃しようと多くのたいまつを持った、
塩の国軍と鉄の国軍が整列している頭上で、
多くの閃光弾が真っ暗な雨の中で光りだした。

 閃光弾を見つめている塩の国軍と鉄の国軍に向かって、
サーチライトが浴びせられると、
その頭上に炎の膜が次々と広がり落ちていく。

 その光景は炎の雨でなく、密集した塩の国軍と鉄の国軍に向かって、炎の絨毯が落ちていくようである。

 ナパーム弾での攻撃は、受ける側は逃げ場のない悲惨であろう。

 多くのナパーム弾を落とした後に、
閃光弾に照らされた五機のヘリコプターは編成を組んで、
炎から逃れた兵たちに機銃を連発している。

 次々と閃光弾は撃ち込まれて、
砦からの砲撃と無反動砲を積んだ機動車からの砲撃に耐えきれないと、
塩の国軍と鉄の国軍は、塩の国国境に向かって逃走し始めた。

 砲撃がやむと、ハスネ率いるエミュー銃撃隊は丘を下り、
逃走して来る敵兵に銃弾の雨を降らして、逃走を阻止している。

 敵の頭上には絶え間なく、閃光弾が光り輝き続けているなかで、
砦から出たエミュー銃撃隊も戦場に残った敵兵を駆逐している。

 闇夜での砦攻撃は、多勢を隠すには無謀と言えない作戦だが、
数で押す作戦も閃光弾が光り輝く中では無意味な攻撃であった。

 塩の国軍と鉄の国軍は、闇夜での攻撃を選んだことが、
少数である亜人協力国の劣勢を確認できずに、
闇夜の恐怖からただ逃げ惑うだけであった。

 関が原での内戦も激闘中である。

 一五千万と一五千万の兵たちの激突による正面からの戦いで、
日出国皇王軍の中央軍は何とか耐えてはいるが、
左翼と右翼は少しずつ押され気味である。

 白石城を包囲していた反乱軍をせん滅終えたハービーハン独立師団司令官は、
三千の銃撃騎馬隊に、千人のエミュー銃撃隊を引き連れて、
タダナガ反乱軍右翼側面に攻撃を加えた。

 タダナガ反乱軍右翼は総崩れとなり、ほとんどの兵は銃撃されて、
タダナガ反乱軍右翼中衛と後衛はがら空きとなった。

 日出国皇王軍左翼は前面の敵を押し返して包み込み、
それをせん滅して、
タダナガ反乱軍中央軍の前衛と中衛の側面をも攻撃しだした。

 日和見を決め込んだ領主たちは、
日出国皇王軍が勝利すると確信したようで、
山や丘の頂上から、
逃走しだしたタダナガ反乱軍右翼後衛に向かって駆け下って来た。

 タダナガ反乱軍右翼後衛は逃げ足が速く、
それを追いながらタダナガ反乱軍中央後衛をも攻撃しようとハービーハン銃撃騎馬隊が駆けていると、
山や丘の頂上から駆け下って来た日和見を決め込んだ領主軍と鉢合わせになってしまった。

 日和見領主軍はタダナガ反乱軍後衛を攻撃しようと思っていたが、
ハービーハン銃撃騎馬隊の早い出現に戸惑い停止したが, 
ハービーハン銃撃騎馬隊は躊躇(ちゅうちょ)することなく、
行く手を阻む日和見領主軍に攻撃を加えた。

 鉢合わせとなった日和見領主軍は総崩れとなり、
隣の日和見領主軍に逃げ込もうと駆け出したが、
隣の日和見領主軍にすれば、
武装した集団が向かってくれば対応しなければならず、
味方であるはずの双方での戦いになった。

 更にハービーハン師団エミュー銃撃隊と、
白石城三八歩兵銃を持ったエミュー銃撃隊も加わり、
タダナガ反乱中央軍の敗走しだした中衛と後衛を攻撃しつつ、
混乱中の各日和見領主軍にも攻撃しだした。

 各日和見領主軍はたがいに逃げ惑う相手同士攻撃し合い、
混乱の中逃げ惑う中での日和見領主軍は、三つ巴四つ巴で戦いだした。

 タダナガ反乱軍左翼では、
日出国皇王軍右翼軍前衛が後退しだしたので、勝利を確信した時に突然、
ジューベー率いる柳生二百のエミュー銃撃隊は現れると直ぐに、
タダナガ反乱軍左翼の側面に突撃による銃撃を加えながら、
長い三八歩兵銃剣で串刺ししていた。

 ジューベー率いる柳生の戦い方は、銃剣での突撃戦である。

 タダナガ反乱軍が槍で向かってくると銃撃と銃剣にて倒し、
剣を振りかざして向かってくると銃剣で対応している。

 柳生の戦い方は銃剣が主体で、
この戦場でのジューベー率いる柳生軍は、
銃による弾丸の威力は補足品のようである。

 ジューベー率いる柳生軍は戦場の鬼と化して、
タダナガ反乱軍左翼の遺体だけを残し、
盛り返した日出国皇王軍右翼軍と共に完全に駆逐し終えていく。

 ハービーハン師団銃撃騎馬隊は敵本陣に襲いかかり、
逃げ去るタダナガ公を後ろから銃弾で倒した。

 タダナガ反乱軍と日和見領主軍全てが総崩れとなり、
関が原に立っているのは日出国皇王軍だけである。

 ジューベーは総崩れとなって逃げ去る敗走軍を追うことはせず、
日出国皇王イエミツのもとへ向かった。
そこにはすでに父である宗矩と元老中白石が、
日出国皇王イエミツを守るように両脇に立っている。

 そして、日出国皇王イエミツの前に、反乱首謀者タダナガの遺体が、
ハービーハン司令官から届けられた。
 
日出国皇王イエミツの宣言で、
関ヶ原の勝利が全兵士に伝えられている最中に上陸艇が着き、
日出国の都ガイア教会の修道女たちに率いられた、
医術養成中の生徒ら三百人が現れた。

 ヒルルマ第二師団主力は各領主を容易く蹴散らして、
領主たちを処分しながら、各領地を傘下に収めている。

 火の国都に到達するのは、まだかなりかかりそうである。

 ヒルルマ第二師団別動隊は、
難無く反乱軍と反獅子王領主たちをまとめた様で、火の国都に向かいながら、ヒルルマ第二師団主力に合流する予定のようである。

 双子の修道女率いる医術養成中の生徒と共に、
二機のエアークラストは、
間もなくヒルルマ第二師団に合流できそうである。

 バーミーズ国と鉄の国の国境では、
マルティーン司令官率いる第一師団が交戦状態になり、
鉄の国軍守備隊を敗走させて、鉄の国軍の再集結地点を目指している。

 大蛇丸司令官率いる第三師団は、
鉄の国からの抵抗もなく難無く国境を越えて、
崖となっている谷道で待ち伏せしている鉄の国軍を、
第三師団を三つに分けて二隊をそれぞれに迂回させたのは、
谷道で待ち伏せしている鉄の国軍を背後から襲うようである。

 各戦場が静かに次の段階に向かっている間中、
テテサと鹿島が愛のいちゃつきを続けている最中に、
第三師団の攻撃が始まったとのコーA.Iからの通信が入った。

 第三師団砲撃隊三十門の砲門が、
一斉に崖上に砲弾の雨を降らしだした。

 崖上の鉄の国軍では、
突然の爆裂と鼓膜が破れたのではと思える爆裂音に、
神への祈りをする者や、岩場の影に逃げ込む者達、
走り出す者達等、迎撃包囲隊としての役割をなさなくなった。

 更に、背後から乾いた音が響くが、その音に気づく者はなく、
ただ、激痛に耐えられず気失っていった。

 動ける者等は、隣の同僚がなぜ倒れるのか不審がるが、
自分の番になって気が付いた。

 背後から向けられた筒の先から炎が出ると、
そこからの何かが飛び出して迎撃包囲隊に向かって来ている。

 崖上の鉄の国軍では互いに声を掛け合っているが、
互いの耳の機能が失われているのか、
互いの声と指揮官の命令は聞き取れ合えないようである。

 二次爆裂が起こり、
それは永遠に続くのではと思わせるほど長く続いた。

 谷道で待ち伏せしている鉄の国軍のいた崖上は、
砲弾による爆裂で周りより一段低くなってしまった。

 第三師団から離れて背後から襲う予定で迂回した二部隊は、
反撃を受けることなく、
崖上に居た鉄の国軍跡の場所に突進して行ったが、
そこにはすでに五体満足な遺体はなく、
全ての無残な鉄の国軍の累々としている屍(しかばね)を確認した。

 マルティーン司令官率いる第一師団二万は、
其々は丘の上に陣を構築した。

 鉄の国軍主力と思われる三万の正規軍は、
多数の五千はいると思える重甲冑兵や軽甲冑から成るエミュー隊を揃えいる。

 両軍は丘の上から設楽が原裾野を挟んで向き合っている。

 第一師団からの第一目標の砲撃は、鉄の国軍本陣であった。
砲撃が始まったと同時に、鉄の国軍主力三万の全兵士は、
この大陸の特徴である密集整列三段陣容の群を三部に分けて、
丘の上から突進しだした。

 鉄の国軍はこの戦いに全てを賭けている様な、
殺気をどす黒い氷霧をツララみたいに滴らせている異常状態である。

 砲弾は丘の上本陣攻撃を終えて、
砲弾の落下地点は徐々に丘の斜面沿い下方へと落ちだす様に、
鉄の国軍後衛へと向かって落ちだした。

 裾野下の鉄の国軍弓矢隊が一斉に矢を離した先には、
整列しながら横二列に広がり、丘の斜面沿いにゆっくりと降りてくる第一師団銃撃隊に向かって矢の雨を降らせ続けた。

 向かい風のためか、弓の威力のなさか、
遥か先の第一師団銃撃隊までは届かないのに、
第一師団銃撃隊の動きを止めようとしているのか、
分断を狙っているのか不明だが、
第一師団への矢の雨はそれでも止むことがなかった。

 横二列に整列しながら横に長く広がった第一師団銃撃隊に対して、
三段陣容の群に分けた鉄の国軍両側のエミュー隊の群れは、
其々に駆け出すと、第一師団左右に攻撃しようと丘を登りだした。

 第一師団銃撃隊から一斉の銃撃音が響くと、
弓矢隊と鉄の国軍両側の群れ先頭のエミューが倒れ込んでいくが、
鉄の国軍はそれを乗り越えて無謀な突進を続けている。

 無謀な突進をして来たエミュー隊は、
第一師団銃撃隊に肉薄することもなく、
屍の上にさらに屍を重ねるだけであった。

 さらにその後から来る、
歩兵槍隊と抜刀した兵に起こされた甲冑姿も見受けられる一団が、
第一師団左右銃撃隊の前で、
さらに次々と抗することなく倒れ込んでいく。

 鉄の国軍は第一師団に向かっているのではなくて、
死に場所に向かっているようである。

 鹿島はタブレットパソコンの画面を見ていて、
ジューベーとポールの真剣での立ち合いを思い出した。

 ジューベーの最後の切込みは、たとえ倒されようとも、
一太刀だけでも当てようとして来た捨て身の姿であった。

 設楽が原裾野では、
鉄の国軍最後の一兵卒までもが突進した所で静寂が訪れた。

 静寂を破ったのが、着陸してくる輸送機であった。

 輸送機から続々と猫亜人衛士兵と、
神降臨街医術者養成大学の回復治癒士に、
医術養成中生徒らが意気揚々と降りてきた。

 設楽が原裾野では、輸送機から降りてきた看護担当者等が、
まだ息のある鉄の国軍の負傷者を介護しだすと、
マルティーン司令官率いる第一師団は、
野戦病院とは呼べない粗末な多数の天幕群を設置しだしている。

 設楽が原の鉄の国軍に死亡者よりも負傷者が多い訳は、
殺傷能力の弱い89式5,56mm連発小銃のためだろう。

 これがエルフエミュー銃撃隊の持つ、
強力な64式7.62mm小銃であったならば即死の者達だらけで、
負傷者の数は極端に少なかったであろう。

 89式5,56mm小銃を推薦したトーマス元帥の先見の目は、
正しかったようである。

 マルティーン司令官率いる第一師団が、
鉄の国軍主力部隊をせん滅したとの報告を受けたトーマス元帥は、
大蛇丸司令官率いる第三師団の鉄の国都への進軍先を、
塩の国首都に変更したとトーマス元帥から鹿島に報告がなされた。

 大蛇丸司令官は直ちに鉄の国を横断して、
塩の国首都へ向かったようである。
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