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80巴姫の初恋
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鹿島は、寡黙な男ヤンにも春が来ることを、
地元の神であるガイア様に頼んでいると、
トーマスから三個の炭素材注文が入ったが、
三個だけとの注文を不思議に思い川原に着くと、
三個のかまどの周りには、薪が山と積まれていた。
三個の炭素材をそれ連れに設置すると、
トーマスとポールは上から薪を並べた。
「隊長。着火してください。」
と、ポールがふざけ気味に叫ぶので、
鹿島は仕方なしに魔石の代わりに、魔石を埋め込んだ尾刃剣を抜いて、
「発火」と叫ぶと、尾刃剣の先から炎が飛び出した。
「俺の尾刃剣は着火バーナーか?」
と、二人に愚痴ると、
「隊長の尾刃剣は。最早万能着火バーナーです。」
と、二人は笑い焦げながら答えた。
成程、等々(とうとう)鹿島の尾刃剣は、
パトラの指導で魔法の真似事ができるために、
着火バーナーに成り下がってしまったようである。
鹿島たちのかまどは勢い良く燃えているが、
少年達のかまどは未だくすぶっているだけの様子である。
鹿島たちは勢い良く燃えているかまどを眺めていると、
三人の少年がかけてきて、
恐怖顔のまま無言で、山と積まれた全ての薪を窯に投げ込んだ。
少年達が無言での行動と目を合わせないのは、
鹿島達は呪いをかける魔法使いか、
鬼神か魔神ではとも恐れている様子である。
「隊長。ヤンは?」
「今は、恋のアプローチ中。」
「あの男女に?」
「ヤンには男の姿でも、巴姫は可愛い女に見えているようだ。」
「巴姫?」
「日出国の王女らしい。」
「では、隊長も条約項目から解放されて、ヤンにも春が来るのだ。」
「何とかしてやりたい。」
「全力で協力しましょう。」
と、二人はハモった。
コーA.Iからヤンに向かって、
二十メートル先林の中に三頭のダーホーが潜んでいるとの通報がなされた後、手榴弾の爆発音が二度した。
「ヤン。大丈夫か?」
「三頭のダーホーはケガしながらも逃げ去りました。
これより、川原へ帰ります。」
と、二人は無線越しに会話した。
鹿島はコーA.Iから、
三頭のダーホーが現れたときのモニター画面を送ってもらい確認すると、
先行している巴姫の乗ったエミューは、ダーホーの手前で固まってしまった。
モニター画面のヤンもエミューを何とかして、
巴姫のそばに向かわせようと手綱を絞っている様子だが、
エミューは言うことを聞かないで、
その場から逃げ去ろうと抵抗するだけである。
仕方なしにヤンは二個の手榴弾を巴姫とダーホーの間に投げた。
爆裂によりダーホーを撃退したようである。
ダーホーの寸前での爆発に、二頭のダーホーはずっこけたが、
残りの一頭は驚いたように逃げ去り、
その後をずっこけた二頭も片足を庇うようにかがめたまま逃げ去ったので、ヤンは乗ったエミューをやっとコントロールできたのか、
巴姫の傍に与り、巴姫の握り占めた手綱を受け取り、
川原へと帰ってこられたようである。
ヤンと巴姫は、エミューに乗ったまま川原へ現れると、
巴姫は、恐怖のあまり硬直しているかのようで、
エミューの首にしがみついているが、
ヤンは、巴姫に優しく声をかけながら巴姫を抱いてエミューから降ろすと、巴姫はヤンの首にしがみついている。
ヤンは巴姫を姫抱っこして鹿島達のかまどの前に着くと、
大きめの石にかけさせた。
その光景に少年達全員は、姉御肌の番長巴姫が姫抱っこされていることに、唖然としているようであるが、直ぐに我に返ったようで、
巴姫の周りに集まりだした。
「番長、何かありましたか?」
「ダーホーに襲われかけたが、ヤン殿に助けられた。」
「お怪我は?」
「見ての通り、何ともない。」
と巴姫は元気なくヤンを見つめているが、
少年達は巴姫の全身を目視点検している。
巴姫は襲われた後の記憶は曖昧な記憶のようで、
陽炎のようにしか思い出せないが、快感の残っている幸せな気分のままで、川原の石に掛けたヤン殿の腕の中に顔を埋めていた。
「隊長。ひと月休みをください。」
と、ヤンから突然の休暇願いである。
「いいですが、何があった。」
「巴殿から帆船訓練に乗せてもらえる、許可をいただきました。」
「帆船訓練?」
「この少年達は、訓練専用の大型帆船の訓練生です。
帆船に積み込むヒトコブ兎の捕獲中に、豚似に襲われたそうです。」
「巴姫から、乗船を許可されたと?」
「はい。是非にと。」
「彼女は今何かにおびえているようだが、彼女だけの許可で大丈夫ですか?」
「怯えているのは、手榴弾の炸裂を爆裂魔法と勘違いしていますが、
ダーホーに遭遇する前に、許可をいただいています。」
「ひと月休みについてはわれらに異存はないが、
万一のためにコーA.Iからの注意点を確認していてください。」
どの様に巴姫からの許可を取ったのかは、
後日に問い詰める必要はありそうであるが、
鹿島は、恋に落ちたヤン専用の監視衛星は、
安全確保の為に二機必要であろうと思いながら微笑んでいた。
三つの窯には、少年達により解体された豚似は、
腹を開かれていた串刺しされた三頭の豚似が運ばれてきた。
三頭の豚似は炭火だけの炎にさらされたが、
少年達は、鹿島達と目を合わせることなく矢張り無言での作業である。
三頭の豚似も程よく焼けた頃、三台の荷車が着くと、
荷車から四つの樽を下ろしだした。
一つの樽は塩のようで、少年達は内臓を細かくに切って、
内臓に塩をまぶしながら三つの樽に内臓を詰め込んでいくのは、
どうやら塩の産地であるからなのか、多くの塩を使う塩辛製造のようである。
塩辛など、亜人協力国にない発酵食品である。
塩がぜいたくに使えるようになった暁には、
ぜひ亜人協力国でも作ってもらいたいと、鹿島は想いをはせている。
荷車の蘭丸と共に五頭のエミューが現れた。
エミューからすぐに飛び降りた五人は、
鹿島達の前に整列して、
「子供らの危機的状況でのお力添えと救助して頂き、
その上に治療をもしていただいたおかげで、子供らは助かりました。
感謝します。」
と言って、革製の巾着を差し出した。
「治療費はいただけません。ただ、頼みができました。
訓練専用大型帆船の訓練生として、
仲間のヤン.リンを迎えていただきたいのです。」
「訓練専用大型帆船の乗務員は、姫君殿下の管轄です。」
「わらわは、ヤン.リンの乗船を許可した。」
と、巴姫は後ろから声掛けすると、ヤンの腕にしがみついた。
巴姫は叔父である白石老中が現れて、
ヤン殿の訓練専用大型帆船乗務は決定していることを告げたが、
ヤンの腕にしがみつく巴姫の行為か、
乗船を許可したとのことかは分からないが、
エミューに乗って現れた五人は明らかに、
巴姫の行動に固まっているようである。
巴姫はそんな感じ諸出しの、五人の態度を無視するかのように、
それ以上の追及を避ける為に、
「ヤン。爆裂魔法は誰にでもできるのであれば、
爆裂魔法をわらわにも教えてくれ。」
と、子供が物を欲しがる素振りで、ヤンの腕を強く引いているのは、
ヤンに爆裂魔法を教えてもらうとの、
理由をつけてその場から逃げ去りたいためだろう。
「いったい、男に媚びることなどなかった姫君殿下に何が起きた?」
「此れは夢でしょうか?」
「女と自覚したのならいいことだがーーー?」
白石の後ろで四人の男たちは小声でささやき合っている。
巴姫のヤンに対する行動は、
普段から巴姫を垣間見ている四人の男たちにとっては、
理解不能のようである。
ヤンは鹿島達の傍に来て、鹿島達から一個ずつの手榴弾を受け取ると、
巴姫と共に川岸へと向かい、巴姫は小石を川に向かって投げだしたのは、
手榴弾をどの位の安全距離まで投げられるかの判定であるようだ。
「申し遅れました。私は日出国老中、新井白石と言います。」
「亜人協力国シン.カジマです。
こちらがトーマス.ワシントン元帥に、
巴姫と共にいるのが軍参謀ヤン.リンと、
こちらが同じ参謀のポール.ジャイアントです。」
「これは不用心な。亜人協力国の指導者と軍事中枢が、
護衛なしでの行動とは?」
「われら四人でも、国一つ潰せます。」
鹿島の言葉に唖然とした白石は顔を赤らめて、目を白黒させたが、
「確かに、豚似との格闘は鬼神か魔神のごとくと聞いていますが、
外交連絡なしでの何用で我が国にいらしているのでしょうか?」
「塩製造施設の建設に同行してきて、
海洋民族である日出国の国是を知りたいと思い、
日出国の漫遊を決めたのです。」
「我が国の国是は、礼儀と人命の尊重を持って、法治での統制です。」
「素晴らしい。この大陸では武断政治がすべてだと思っていたのですが?」
「武断政治は次の争いの火種を残します。
その火種を残さないために、法治政治は必要です。」
鹿島は直感的に、新井白石は使える男と見た。
「しばらくの間は商人として、
滞在許可を頂きたいのですが,如何でしょうか?」
「此方から護衛を受け入れて下さるならば、私の権限で許可します。
と同時に、軍参謀ヤン.リンの訓練専用大型帆船への乗船をも認めます。」
白石からの提案中に、川の方から手榴弾の炸裂する音が響いてきた。
川原にいる五人を含めて日出国人全員は剣の柄を握りしめて、
ヤンと巴姫の居る川岸に向かって駆け出した。
ヤンの方を見やると、巴姫はヤンの首にしがみついての興奮状態である。
川原にいる日出国人全員に囲まれて、二投目の手榴弾を炸裂させた巴姫は、手榴弾を投げた後、ヤンによりうつ伏せされているが、
起き上がると再びヤンの首に手をまわして、ヤンに接吻をしてしまった。
巴姫の持つ爆裂魔法を石の中に閉じ込めた手榴弾の爆裂は、
巴姫の指先をも含めた全身に快感が走り、しびれさせた様子である。
巴姫は快感をヤン殿に伝えたいが、伝える表現言葉が思い浮かばないのか、快感表現を伝えるために唇を合わせてしまったが、
そのことで更に全身に快感を増幅させられていた。
性のエクスタシーは打ち上げ花火でも起こると例えられるが、
その状態なのかと鹿島は卑猥な想像をしている。
巴姫の興奮状態は、ヤン以外周りに人が見えてない行動である様で、
巴姫の行動に皆は魂を抜かれたごとく静寂になり、
身動きできないのか唖然としている。
それでも白石はいくらか冷静なのか、
「姫君殿下があの様にはしたない事をしているのに、
なぜ止めない!お前! 切腹ものだぞ!」
「姫様があんな事などした事が無いので、
どうすればよいのかわかりません。」
蘭丸は白石から咎められている様子で、
二人共かなりの狼狽ぶりで受け答えしている。
地元の神であるガイア様に頼んでいると、
トーマスから三個の炭素材注文が入ったが、
三個だけとの注文を不思議に思い川原に着くと、
三個のかまどの周りには、薪が山と積まれていた。
三個の炭素材をそれ連れに設置すると、
トーマスとポールは上から薪を並べた。
「隊長。着火してください。」
と、ポールがふざけ気味に叫ぶので、
鹿島は仕方なしに魔石の代わりに、魔石を埋め込んだ尾刃剣を抜いて、
「発火」と叫ぶと、尾刃剣の先から炎が飛び出した。
「俺の尾刃剣は着火バーナーか?」
と、二人に愚痴ると、
「隊長の尾刃剣は。最早万能着火バーナーです。」
と、二人は笑い焦げながら答えた。
成程、等々(とうとう)鹿島の尾刃剣は、
パトラの指導で魔法の真似事ができるために、
着火バーナーに成り下がってしまったようである。
鹿島たちのかまどは勢い良く燃えているが、
少年達のかまどは未だくすぶっているだけの様子である。
鹿島たちは勢い良く燃えているかまどを眺めていると、
三人の少年がかけてきて、
恐怖顔のまま無言で、山と積まれた全ての薪を窯に投げ込んだ。
少年達が無言での行動と目を合わせないのは、
鹿島達は呪いをかける魔法使いか、
鬼神か魔神ではとも恐れている様子である。
「隊長。ヤンは?」
「今は、恋のアプローチ中。」
「あの男女に?」
「ヤンには男の姿でも、巴姫は可愛い女に見えているようだ。」
「巴姫?」
「日出国の王女らしい。」
「では、隊長も条約項目から解放されて、ヤンにも春が来るのだ。」
「何とかしてやりたい。」
「全力で協力しましょう。」
と、二人はハモった。
コーA.Iからヤンに向かって、
二十メートル先林の中に三頭のダーホーが潜んでいるとの通報がなされた後、手榴弾の爆発音が二度した。
「ヤン。大丈夫か?」
「三頭のダーホーはケガしながらも逃げ去りました。
これより、川原へ帰ります。」
と、二人は無線越しに会話した。
鹿島はコーA.Iから、
三頭のダーホーが現れたときのモニター画面を送ってもらい確認すると、
先行している巴姫の乗ったエミューは、ダーホーの手前で固まってしまった。
モニター画面のヤンもエミューを何とかして、
巴姫のそばに向かわせようと手綱を絞っている様子だが、
エミューは言うことを聞かないで、
その場から逃げ去ろうと抵抗するだけである。
仕方なしにヤンは二個の手榴弾を巴姫とダーホーの間に投げた。
爆裂によりダーホーを撃退したようである。
ダーホーの寸前での爆発に、二頭のダーホーはずっこけたが、
残りの一頭は驚いたように逃げ去り、
その後をずっこけた二頭も片足を庇うようにかがめたまま逃げ去ったので、ヤンは乗ったエミューをやっとコントロールできたのか、
巴姫の傍に与り、巴姫の握り占めた手綱を受け取り、
川原へと帰ってこられたようである。
ヤンと巴姫は、エミューに乗ったまま川原へ現れると、
巴姫は、恐怖のあまり硬直しているかのようで、
エミューの首にしがみついているが、
ヤンは、巴姫に優しく声をかけながら巴姫を抱いてエミューから降ろすと、巴姫はヤンの首にしがみついている。
ヤンは巴姫を姫抱っこして鹿島達のかまどの前に着くと、
大きめの石にかけさせた。
その光景に少年達全員は、姉御肌の番長巴姫が姫抱っこされていることに、唖然としているようであるが、直ぐに我に返ったようで、
巴姫の周りに集まりだした。
「番長、何かありましたか?」
「ダーホーに襲われかけたが、ヤン殿に助けられた。」
「お怪我は?」
「見ての通り、何ともない。」
と巴姫は元気なくヤンを見つめているが、
少年達は巴姫の全身を目視点検している。
巴姫は襲われた後の記憶は曖昧な記憶のようで、
陽炎のようにしか思い出せないが、快感の残っている幸せな気分のままで、川原の石に掛けたヤン殿の腕の中に顔を埋めていた。
「隊長。ひと月休みをください。」
と、ヤンから突然の休暇願いである。
「いいですが、何があった。」
「巴殿から帆船訓練に乗せてもらえる、許可をいただきました。」
「帆船訓練?」
「この少年達は、訓練専用の大型帆船の訓練生です。
帆船に積み込むヒトコブ兎の捕獲中に、豚似に襲われたそうです。」
「巴姫から、乗船を許可されたと?」
「はい。是非にと。」
「彼女は今何かにおびえているようだが、彼女だけの許可で大丈夫ですか?」
「怯えているのは、手榴弾の炸裂を爆裂魔法と勘違いしていますが、
ダーホーに遭遇する前に、許可をいただいています。」
「ひと月休みについてはわれらに異存はないが、
万一のためにコーA.Iからの注意点を確認していてください。」
どの様に巴姫からの許可を取ったのかは、
後日に問い詰める必要はありそうであるが、
鹿島は、恋に落ちたヤン専用の監視衛星は、
安全確保の為に二機必要であろうと思いながら微笑んでいた。
三つの窯には、少年達により解体された豚似は、
腹を開かれていた串刺しされた三頭の豚似が運ばれてきた。
三頭の豚似は炭火だけの炎にさらされたが、
少年達は、鹿島達と目を合わせることなく矢張り無言での作業である。
三頭の豚似も程よく焼けた頃、三台の荷車が着くと、
荷車から四つの樽を下ろしだした。
一つの樽は塩のようで、少年達は内臓を細かくに切って、
内臓に塩をまぶしながら三つの樽に内臓を詰め込んでいくのは、
どうやら塩の産地であるからなのか、多くの塩を使う塩辛製造のようである。
塩辛など、亜人協力国にない発酵食品である。
塩がぜいたくに使えるようになった暁には、
ぜひ亜人協力国でも作ってもらいたいと、鹿島は想いをはせている。
荷車の蘭丸と共に五頭のエミューが現れた。
エミューからすぐに飛び降りた五人は、
鹿島達の前に整列して、
「子供らの危機的状況でのお力添えと救助して頂き、
その上に治療をもしていただいたおかげで、子供らは助かりました。
感謝します。」
と言って、革製の巾着を差し出した。
「治療費はいただけません。ただ、頼みができました。
訓練専用大型帆船の訓練生として、
仲間のヤン.リンを迎えていただきたいのです。」
「訓練専用大型帆船の乗務員は、姫君殿下の管轄です。」
「わらわは、ヤン.リンの乗船を許可した。」
と、巴姫は後ろから声掛けすると、ヤンの腕にしがみついた。
巴姫は叔父である白石老中が現れて、
ヤン殿の訓練専用大型帆船乗務は決定していることを告げたが、
ヤンの腕にしがみつく巴姫の行為か、
乗船を許可したとのことかは分からないが、
エミューに乗って現れた五人は明らかに、
巴姫の行動に固まっているようである。
巴姫はそんな感じ諸出しの、五人の態度を無視するかのように、
それ以上の追及を避ける為に、
「ヤン。爆裂魔法は誰にでもできるのであれば、
爆裂魔法をわらわにも教えてくれ。」
と、子供が物を欲しがる素振りで、ヤンの腕を強く引いているのは、
ヤンに爆裂魔法を教えてもらうとの、
理由をつけてその場から逃げ去りたいためだろう。
「いったい、男に媚びることなどなかった姫君殿下に何が起きた?」
「此れは夢でしょうか?」
「女と自覚したのならいいことだがーーー?」
白石の後ろで四人の男たちは小声でささやき合っている。
巴姫のヤンに対する行動は、
普段から巴姫を垣間見ている四人の男たちにとっては、
理解不能のようである。
ヤンは鹿島達の傍に来て、鹿島達から一個ずつの手榴弾を受け取ると、
巴姫と共に川岸へと向かい、巴姫は小石を川に向かって投げだしたのは、
手榴弾をどの位の安全距離まで投げられるかの判定であるようだ。
「申し遅れました。私は日出国老中、新井白石と言います。」
「亜人協力国シン.カジマです。
こちらがトーマス.ワシントン元帥に、
巴姫と共にいるのが軍参謀ヤン.リンと、
こちらが同じ参謀のポール.ジャイアントです。」
「これは不用心な。亜人協力国の指導者と軍事中枢が、
護衛なしでの行動とは?」
「われら四人でも、国一つ潰せます。」
鹿島の言葉に唖然とした白石は顔を赤らめて、目を白黒させたが、
「確かに、豚似との格闘は鬼神か魔神のごとくと聞いていますが、
外交連絡なしでの何用で我が国にいらしているのでしょうか?」
「塩製造施設の建設に同行してきて、
海洋民族である日出国の国是を知りたいと思い、
日出国の漫遊を決めたのです。」
「我が国の国是は、礼儀と人命の尊重を持って、法治での統制です。」
「素晴らしい。この大陸では武断政治がすべてだと思っていたのですが?」
「武断政治は次の争いの火種を残します。
その火種を残さないために、法治政治は必要です。」
鹿島は直感的に、新井白石は使える男と見た。
「しばらくの間は商人として、
滞在許可を頂きたいのですが,如何でしょうか?」
「此方から護衛を受け入れて下さるならば、私の権限で許可します。
と同時に、軍参謀ヤン.リンの訓練専用大型帆船への乗船をも認めます。」
白石からの提案中に、川の方から手榴弾の炸裂する音が響いてきた。
川原にいる五人を含めて日出国人全員は剣の柄を握りしめて、
ヤンと巴姫の居る川岸に向かって駆け出した。
ヤンの方を見やると、巴姫はヤンの首にしがみついての興奮状態である。
川原にいる日出国人全員に囲まれて、二投目の手榴弾を炸裂させた巴姫は、手榴弾を投げた後、ヤンによりうつ伏せされているが、
起き上がると再びヤンの首に手をまわして、ヤンに接吻をしてしまった。
巴姫の持つ爆裂魔法を石の中に閉じ込めた手榴弾の爆裂は、
巴姫の指先をも含めた全身に快感が走り、しびれさせた様子である。
巴姫は快感をヤン殿に伝えたいが、伝える表現言葉が思い浮かばないのか、快感表現を伝えるために唇を合わせてしまったが、
そのことで更に全身に快感を増幅させられていた。
性のエクスタシーは打ち上げ花火でも起こると例えられるが、
その状態なのかと鹿島は卑猥な想像をしている。
巴姫の興奮状態は、ヤン以外周りに人が見えてない行動である様で、
巴姫の行動に皆は魂を抜かれたごとく静寂になり、
身動きできないのか唖然としている。
それでも白石はいくらか冷静なのか、
「姫君殿下があの様にはしたない事をしているのに、
なぜ止めない!お前! 切腹ものだぞ!」
「姫様があんな事などした事が無いので、
どうすればよいのかわかりません。」
蘭丸は白石から咎められている様子で、
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