【何カ所か18禁]女神の伴侶戦記

かんじがしろ

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49女神の半身

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 ムー帝国司法官裁判所から帰ってきたマーガレットは、その夜、心身ともに疲れた身体をベッドに投げ出して眠りについた中で、夢に現れたガイア女神と名乗る、燃える髪の毛と赤い微粒子に包まれた少女から話しかけられた。

「我が半身となれる人よ、我が半身となって、わが子を産め。
父親は、我が伴侶である、シン.カシマである。
子供が産まれたら、千年間老化のない生を与える。その後は、好きな名目を持つ神となれる。」

 マーガレットは胸の鼓動で目を覚ますと、部屋中を赤く染めている多くの微粒子が浮遊していた。

「綺麗な光。」
と言って、手を差し伸べると、赤い微粒子が手のひらだけでなく、身体中にまとわりだした。

 マーガレットは、まとわりついた赤い微粒子から、心の不安と身体中を、心地良く揉み解して貰っているように感じた。

「これも夢?」
と言って、心地良いきもちのまま再び寝入った。

 朝、体の軽さを実感しながら目を覚ましたマーガレットは、部屋中に浮遊している微粒子と、まとわりついている微粒子を見ながら、昨夜の事は夢ではなく、現実だったなのではとも思えた。

 戦略作戦室に向かうマーガレットは余りにも体の軽さに、子どもの頃、野山を駆け回っていた時期を思い出していた。

 今ではとても野山を駆けまわるなど無理だと思っていたが、今は何の苦のなく走り回れそうに感じながら、足は快適なステップを踏んでいた。

 マーガレットが戦略作戦室のドアを開けると、深刻な顔をしたパトラとテテサが居て、それを心配そうにマティーレが眺めていた。

 マーガレットに顔を向けたパトラは、表情を変えることなくマーガレットの目を見据えている。

 テテサは唇を強く結んで、空いている自分の前の席に促した。

 四人は暫く沈黙していたが、
「皆、どうしたの?変だよ!」
と、マティーレは沈黙に耐えられないとの態度で叫んだ。

「マティーレ。貴方は、ホルヘさんと結婚するのですか?」
と、にこやかな顔でテテサはマティーレに尋ねた。
「ど、ど、どうして、一昨日の事をテテサが知っているの?」
「どうして、知ったかですか、、、。私とマーガレットにパトラは、ガイア女神様の半身に指名されたが、貴女だけ指名できない理由は、既にあなた達の子供ができた為だそうです。」
「まだ一昨日前なのに、既に子供ができたと?」
「ガイア女神様が、断定しました。」

 マーガレットとパトラは立ち上がって、
「夢の話しか?」
と二人がハモッた後に、二人は顔を向き合いながら、また、部屋の中は沈黙が続いた。

 静寂を破ったのがパトラであった。
「閣下は、伴侶になることを承諾していたのか?」
「ガイア女神様は指名するだけです。伴侶さまの承諾などいりません。」
「閣下が、承諾などしないと言ったら?」
「伴侶様の相手に、、、乗り移るだけです。」

 パトラは黙想していたが、
「私の秘密の計画を、バラします。
来月、私の百八十歳の誕生日とエルフ二十支族の内、三支族を治めるハン・パトラの宣言日はすでに伝えてありましたが、
よかよの儀式も行う予定です。相手はカシマ閣下です。」

「よかよのぎしき?」
と、マーガレットは怪訝な顔をしたが、テテサとマティーレは驚きの顔をした。
「やっちゃうの!」
と、マティーレは目を丸くした。
「下品な言葉。」
と、テテサは顔をしかめた。
「何の事?説明してほしい。」
とマーガレットは皆を見回した。

 パトラは真っ赤な顔をしていて、テテサとマティーレは微笑んでいた。

「四日夜の儀式の略ですが、夜火与の儀、良可夜の儀、夜華様の儀、いっぱい意味と呼び名があります。」
とテテサが説明しだした。

「何のための儀式ですか?」

「エルフ種族の女性が、子供を授かれる年齢になった事で、子供の授かる最初のチャンスです。」
と、マティーレは顔を赤くして、パトラに顔を向けた。

「半身の事には関係なく、私は、必ず授かります。」
と、パトラは力強く宣言した。
「私も、半身になります。」
と、テテサも宣言した。

 無言でパトラとテテサを見比べているマーガレットに、三人の目が集中した。
「私の世界では、貞操を重んじていて、一夫一妻制が基本ですから、、、、。」
「降りると?」
「は、、、。いいえ、、、。おりたくはないが、、、。閣下の、、、子供は欲し、、、ぃ。だから、、、おりたくない!」
と、マーガレットは顔を赤くした。
「では、三人は、半身になることに決定ですか?」
とマティーレは三人を見比べした。

 パトラとテテサは強く頷くが、マーガレットは、まだ割り切れないのか、申し訳ないように小さく頷いた。

 外交の憂いもしばらく無い様子なので、亜人協力国では滞っていた内政に集中しだした。
 
大河沿いの石壁は滝の近くまで伸びて、石壁内の広さは二十万キロメートル平方までになったので、そこを第三区と名付けて、大河沿いを工業地帯と定めたが、
第三区の石壁内の猛獣や魔獣の駆逐は、まだ完全には終わってなかった。
 
 第三区の開発に伴い、製材所の建設が次々と建てられた。

それに伴い、魔石を内蔵した炭素鋼のチェーンソーも大量に量産されていた。

 併合した国から五千の兵を屯田兵として呼び、
順次受け入れ態勢ができ次第、
五万人の屯田兵を、闇の樹海の開墾に呼ぶ計画がなされた。

併せて工場労働者の募集を行い、第三区の開発を行うことに決めた。

 第一区は丸太杭壁内であり、第二区は第一次石壁工事内と決めた。
第三区は第一次石壁工事の外であり、第二次石壁建設内である。

 第三区の開発に並行して、一次石壁沿の第三区の区画整理された土地に、
集合住宅を並べて、第三区の開発及び工場労働者の、住居専用地域に指定した。

 一次石壁沿の第三区に十万人分の集合住宅が完成したあたりで、
大河沿いの軽工場建設もある程度完成したが、まだまだ重工業化と呼ぶには未熟であるので、重工業に向かっての計画は、急ピッチで進められていた。

 第三区の開発により、大量に製材された木材により、
各城壁門から丸太杭までの商店街が建て並び、消費者のニーズに応えていた。

 猫種族とエルフ種族の住居周りでも商店街が建ち並び、貨幣流通が盛んになった。
 
 第三区の開発労働者の住居専用地域に、怪しげな風俗店が次々に増えていくとの情報に、
亜人協力国の衛卒兵長官の大蛇丸は、繁華街となった集合住宅の一角を踏査しだしたが、協力証言者を特定できず、捜査は難航している様子である。

 亜人協力国においては、人権保護のために売春禁止法がある。

 居酒屋や風俗店は許可制で、強制労働は厳しく監視されているはずであるが、
神降臨街の遊郭は閉鎖されたが、良からぬ噂は広がるばかりである。

 五万の屯田兵と労働者のはけ口は必要であるが、法は法である。

 腐ったリンドは周りのりんごも腐らせながら、類は類を呼び裏世界ができていく。

 長官の大蛇丸は、捜査の糸を手繰っていくと、途中で必ず切れてしまうらしいので、
不思議に思っているようで、それはあたかも影だけを追っている感じらしい。

 運営委員会は、衛卒長官の大蛇丸に被害者を募らせたが、
未だに被害者は一人も現れないとのことで、
屯田兵と労働者に被害がないので、必要悪と認めるか運営委員会も悩みだした。

 しばらく被害者が名乗り出るまで様子みとして、繁華街に駐在所を置くことにした。
 
 サンビチョ王国の元イアラ女王は、叔父のヘレニズに知事職を譲り、
六十人の女傑騎士団を率いて降臨街に帰って来てから、
元航宙隊コンピューター技官グレンであった国勢調査省の下で、
国勢調査部治安維持隊となり、六十人の女傑騎士団を率いて、
法を守る番人である入国管理局の役目を司どった。

 今日も、パトラは鹿島の部屋で、老樹霊からのちょっかいを回避するとの名目で、夕飯の食事をしていた。

「閣下、来月の予定覚えていますか?」
と、パトラの怪しい眼差に、鹿島はぎくりとさせられたが、
「勿論、六月十二日の貴女の誕生日で、六月十六日は、マーガレットの誕生日です。プレゼントの希望はありますか?」
「プレゼント?何ですか?」
「我らの元の国では、誕生日祝いとして、モノを送る習慣があるのです。」
「閣下のチェーンソー剣が欲しいです。」
「尾刃剣の方が切れ味鋭いでしょう。」
「我が家の家宝にしたいと思います。」
「俺は波動する尾刃剣が気に入っているから、進呈しましょう。」
「ありがとうございます~。」

「よかよのぎとは、何のことだ?」
「四日夜の儀式の略ですが、夜火与の儀、良可夜の儀、夜華様の儀、いっぱい意味があり、その時の気分で呼び名が変わります。」

「よくわからんが、宴会、楽しみにしています。」
「よ、か、よ、の儀式も、楽しみにして欲しいです。」

 来月は、パトラの百八十歳の誕生日とエルフ二十支族の内、三支族を治めるハン・パトラの宣言日である。

 鹿島は、パトラからの誕生日招待とハン・パトラの宣言日の報告を受けながら、共に、夕食を終えてくつろいでいた。

「ぱっぱかぱ~ン。美魔女参上」
と、布一枚に首と腕の部分だけに穴をあけただけの姿で、老樹霊美魔女が現れた。

 鹿島達は、そんな彼女?を無視し続けた。
「あ~無視しないで。今日はお願いに来たの。聞いて、聞いて下さい。」

 二人は相手したくなさそうに、
「今日は何用?」
「友達を二人連れてきたの、話を聞いてあげて。」
と、言って、指を鳴らした。

 身を一枚の布でまとっただけの、二人の娘が床に畏まり現れた。
「闇の樹海に二万年住んでいる老木です。お見しりおきください。」
「闇の樹海の老樹霊が何用でお越しですか」
と、老木の丁重なる言葉に、パトラは引きこまれた様子で丁寧に尋ねた。

「闇の樹海の伐採をやめてほしいのです。隣に控えているのが、一万年老木です。
まだ一万年は生き永らえます。」
「お互いに利害が交差してしまったようですね。我々だけでは、決めかねます。」

「我らが生き永らえる間は、パトラ様が半身となった暁には、娘と息子をお守りします。」
「私の娘と息子?」
「私は、空間次元の未来の時間を知ることができます。あなたは二人の母親です。」

パトラはその言葉を聞いて、
「子供が授かると?」
と言って、鹿島を見つめると、闇の樹海の老樹霊は、その目先を肯定するように頷いた。
「もう一人の人種も息子たちです。その子達も守るとお伝えください。」

「それだけではないぞ。一万年老木、出しなさい。」
と、美魔女が催促すると、美貌な娘は二つの革袋を出して、
「千枚の金貨でございます。お納めください。」
と、差し出した。

 パトラは金貨に興味を示さず、
「私の子供は双子ですか?」
「はい、娘と息子です。」

「マーガレットも妊娠すると?」
「間違いございません。」

「テテサは?」
「神の化身となる娘が産まれます。」

「老樹霊の望みは?」
「私と一万年老木から、半径一キロメートル前で、伐採の進行を止めてください。」
「努力しよう。明日、運営委員会で提案して、希望に沿うよう努力します。
老樹霊様たちもお越しください。」
「有難うございます。必ずお伺いします。」
と、二人は立ち上がった。

 鹿島は老樹霊が、金貨を千枚持っていることを不審に思い訊ねた。
「この金貨はどこで用意できたのですか?」
美魔女は得意げに、
「二人を誘って、男どもから戴いた。」
「繫華街で?」
「企業秘密です。」
「老樹霊様。子供達をお守りくださるなら、金など必要ないのです。」

 パトラは、絶対一神教にも拘らず、老樹霊に受胎予知されたことで、
老樹霊をも敬っている。
ガイア様の庇護を忘れたのであろう、完全に舞い上がっている。

「われらも金は必要ないが、最悪の樹海に住む老樹霊の提案で、われらの生きる土地を買うためです。
迷惑でしたら、二度と行いませんが、だけども人が規律であるためには、必要悪も必要です。」

 鹿島個人は若者の暴走を防ぐ為にも、老樹霊の行いには賛成だが、パトラ達の手前、素知らぬ顔で沈黙を守った。
 
 その夜のパトラは、騒がしいくらいに舞い上がって帰っていった。
子供の名前を決めるために、子供達の名付け親を、エルフ長老達の中から選別しだした。

 小ホール室で鹿島を加えて運営委員四人と、布一枚をまとった老樹霊六人が対面した。

 テテサが口火を切り、
「老樹霊は三人と聞いていましたが、三人増えた訳は?」
「石壁の外に生息してるいが、石壁の中伐採が終わると、次は石壁の外に進出してくるでしょう。」
「当然です。」

「樹海の生あるものは全て、ガイア様の加護受けた人には抵抗できません。
我らも生きているのです。ご理解下さい。」

「コーA.I闇の樹海の広さは?」
「21、400k㎡です。」
「闇の樹海に生息している老樹霊は、何体程ですか?」
「正確にはわかりませんが、三十体以上と思われます。」
「七千平方キロメートルに一体ですか?」
「その割に、この亜人協力国の近くの樹海には、老樹霊が多いようですが?」
「ここらは土壌環境が特別に良いのです。」
「あなた方は、男の精気を吸いつくして、身を肥やしにするので危険すぎます。」
「それは噂話でしょう。事実は生きる希望をなくした男に、生きる喜びを与えたつもりが、なお一層の絶望に落としてしまいました。
私が人種を知らなさ過ぎたのが原因です。」
と、二万年老木老樹霊は話し出した。

「その話を詳しく説明していただけますか?」
「その男は、親友に恋人を寝取られて、絶望の淵に立っていました。
一人で危険な樹海に入り、魔獣や猛獣のえさになる運命でしたが、
私は哀れに思い、私の根元まで導き守りました。
私の枝木に生息している、多くの妖精ハチドリの蜜を与え、男の欲望を目覚めさせて、
生きる希望を与えて樹海の外まで送りました。
男は再度現れて、精根尽きるまで快楽の夢だけを要求し続けるだけで、妖精ハチドリの蜜を拒否して、私の根元で快楽の夢におぼれたまま静かに眠り、息を引き取りました。
男は息を引き取る前に、人種の中に戻りたくないと言っていましたが、真相はわかりません。」

 鹿島はその男を理解できないが、
「馬鹿な男て~奴の行動でしょう。恋人への未練が強くて、全てが信じられないことに、絶望したんだろう。」

 みんなは理解できないと首を傾げたが、男の清算行動は、
時々理解出来ないバカ事もある例だろうと、鹿島は「男って野郎は?」で納得した。

「老樹霊に危険はないと、言われるのですか?」
「受け取り方次第でしょう。」
「第三区での怪しげな風俗店に関係しましたか?」
「金貨が必要でした。」
「あなた達の生息地を確保するためですね。」
「そうです。」
「亜人協力国の法律は、ご存じなかったのですか?」
「必要悪も必要でしょう。」
「法律を守らない、裏世界ができてしまいます。」
「我らが、裏の世界をコントロールできるかもしれません。」
「だから、魔女と自称するものがいるのですね。」
「嘘、ぶいているだけです。人が増えると、社会からはみ出る人は必ず出ます。
そして裏社会ができていきます。
我らでしたら、その裏社会をコントロール出来ます。」

 運営委員会の話をまとめることが必要になり、会談は休憩時間を宣言した。
鹿島は老樹霊たちを別室に案内した。

 老樹霊による被害がなく、罰する事はできないが継続する事は見逃せないし、
裏社会の情報を知ることが出来るのは、神降臨街にとってもメリットがある。
 
運営委員会か出した結論は、石壁内に中にすでに住んでいるので、
住民として保護する義務が生じている。

 法事国家としては、 (疑いは罰せず)を実行しなければならない。

 裏社会の情報を提供させる義務を負わせるためには、
老樹霊達をイアラの治安維持隊に、組み込む必要があると全員が認めた。

 老樹霊との二度目の会談が始まり、
「闇の樹海に生息する老樹霊の宿る老木から、可能な範囲で半径千五百メートルまでを自然保護区として、丸太杭で隔離する法律にて保護します。
石壁内の老樹霊は亜人協力国の住民と認めて、他の老樹霊の住処は同様に丸太杭工事を行い、住民と認めて保護します。
亜人協力国の住民である老樹霊は、イアラの治安維持隊の傘下に入り、
それに協力する事と、亜人協力国の国是に従い、個人の尊厳を第一として、
法を守ることを約束できますか?」

「半径千五百メートルを所有できるのであれば、異存はございません。
法を守ることを約束します。」

 欠陥だらけの約束ではあるが、双方の利益は保護された。

だけども老樹霊の件は片付いたが、怪しげな風俗店の噂は、未だ消えることはなかった。
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