【何カ所か18禁]女神の伴侶戦記

かんじがしろ

文字の大きさ
上 下
49 / 181

47特使の談話

しおりを挟む
 イアラ女王の下へカントリ王国国境沿いの村や町が、頻繫に盗賊団に頻繁に襲われだしたとの報告がなされてきた。

更に女や子供達も、度々誘拐されだされたとの報告が追加されて来るので、
イアラ女王は急ぎ対策を講じた。

 イアラ女王は盗賊団に備えて、一個連隊の一万人を急遽、国境守備隊に編入させると、
国境沿いに駐屯地砦を追加配置した。

 国境守備隊の報告では、盗賊団を捕らえるために現場に急行するが、
盗賊団は国境線を超えて、カントリ国へ逃げ込んで行くが、警備隊は構わず越境して追いかけるが、必ずそこには、カントリ国境守備隊が待ち受けていて、
盗賊団を捕獲するのを妨害してくるとの事である。

 国境沿いの村や町を安堵させるために、カントリ国に特使の派遣を決定した。

 特使は、盗賊団の捕獲協力を仰いだが、カントリ国の女性たちを騙し誘拐して奴隷とされて被害にあった彼女等に、
サンビチョ特使は、謝罪しろとの要求を受けてきただけであった。

 再度、特使を派遣して、サンビチョ国においては、人身の売買禁止を厳格に取締まり、
誘拐された人、騙された人を保護するために法の強化を約束して、被害にあった人には、労いの言葉を託したが、

ハラグ王の人気を確保するためか、
サンビチョ特使は、ハラグ王に被害者のための謝罪言葉を要求されて、
労うの言葉は謝罪の言葉に変更されてしまい、サンビチョ特使は謝罪の言葉を述べさせられた。

 謝罪の言葉の内容は、カントリ国の調査に基づき、
被害者の売買は人権の尊重を無視する事著しく、サンビチョ国境警備隊の管理下で売買なされた為におきたことであり、直接、間接にサンビチョ国は関与していた。

 サンビチョ国境警備隊の管理下で、売買なされた事であると証言したのは、
サンビチョ国の奴隷商人であるらしい。

 カントリ国の調査結果としては、サンビチョ国の売春宿での生活は、
強制的な状況下での痛ましさで、心身に渡り癒しがたい傷を負わされたとの事である。

サンビチョ特使は労いの言葉が変形させられたが、
国境沿いの村や町の安全を確保する為と、被害者の気持ちを憐れんで、
サンビチョ特使は妥協した。

「売春宿における生活は、強制的な状況下での痛ましいものであった。
数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負わされた方々に対して、
保護できなかったことに、心からお詫と反省の気持ちを申し上げます。」
との表現をサンビチョ特使は強制させられた。

 特使は、カントリ国都の教会司祭長の前で謝罪の言葉とさせられたが、
それでも慰謝料に関しては、捕虜との交換において解決済みと突っぱねた。

 イアラ女王はこの談話に添った形での、サンビチョ国内の売春宿の一斉調査に乗り出した所、カントリ国の主張通り売春宿の環境は最悪で、
自由行動は制限されるなど最悪であったのに加えて、
稼ぎはすべて搾取されていた証拠をもって、売春宿経営者すべての財産を没収した。

没収した財産は囲われていた女性に分配して、女性たちを自由の身にした。

 しかしながら、調査を免れた売春宿の経営者は店をたたみ、
女性ごと既に国外に逃げ走っていた。

 カントリ国都の教会司祭の報告に、テテサは苦悩していた。

 一番の問題は、他の国にあまり聞かない、身内の人身売買禁止の法律が緩いカントリ国の責任は重大であるが、強制被害者及び親や兄弟に親戚と女衒らに騙されて、
苦界に落とされたのであれば、それらに加わったものらが犯罪者であり、
サンビチョ国の責任までは追及できないが、何故かサンビチョ国の特使は国の責任を認めてしまったようである。

 イアラ女王は、被害者は確かに居るので、まずは第一にその救済を急ぐべきであると思った。

 ガイア教会内では反テテサ派の調査中であるが、テテサはガイア教会司法長官メイディを急遽呼出して、売り買された娘たちの調査を命じた。

 司法長官メイディは、各地に散らばっている聖騎士団二百名を、神降臨街に呼び寄せて、九人の司法官の下に編成した。

 そんな中でカントリ国から、亜人協力国中央銀行に融資の申し込みが成されて、
マティーレ総裁は、年五パーセントの金利を提案したところ、
サンビチョ国には一パーセントに対して、カントリ国には五倍もの金利だと怒りだした。

 亜人協力国は、サンビチョ都城壁外での戦闘においては、宣戦布告なしにカントリ国兵を殺傷して、余すさえ、まだ同盟関係のなかった犯罪国家サンビチョ国に加担して、
多くのカントリ国兵を捕虜となし、虐め苦しめた責任があると亜人協力国を批判してきた。

 カントリ国の娘たちに同情していたマティーレであったが、
カントリ国兵を捕虜とした理由は、多くのサンビチョ国住人を救う為の行為であったと怒り、融資の相談に訪れたカントリ国の行政官を追い払った。

 カントリ国の行政官は、悪態をまき散らしながら、ぞんざいな態度で引き揚げていったようである。

 マティーレはカントリ国行政官の態度から、融資にそれ程積極的でなく、
訪れた理由は他にあるような感じがして、マーガレットに相談したところ、
運営委員会員の知っている互いの情報内容を、
運営委員会全員は、カントリ国の情報を、共有する必要があると判断した。

 ガイア教会司法長官メイディを加えた、運営委員召集が行われた。
 
 マティーレは、カントリ国の行政官の態度を不審に思ったと、理由を説明した。

「彼らが本当に融資を求めてきたのか、断られるのを見越しての態度は、何を目的として訪れたのか、不明です。」

 テテサは暗い顔で、
「サンビチョ国とカントリ国の対立は、正常な国同士であれば、トラブル事ではないが、
イアラ女王様の政治力の弱さと、善意を示したなら、善意が返ってくると思ってしまう心を、ハラグ王は政権の日が浅く、人気を確保したいハラグ王に付け込まれてしまった。
これが原因です。しかしながら一般的には、ハラグ王の主張に同情が集まります。」

「イアラ女王は嵌められたと。」
と、もろにパトラは嫌な顔をした。

「そうです。ほって置いても良かった事であるが、捕虜を返還するにあたり、
自国民の被害者に対する名目が必要で、カントリ国の条件を受け入れた時点で、
被害者の補償責任問題と捕虜交換で終わった話が、イアラ女王は被害者の気持ちを思い、
自国の管理の甘さを認めて、謝罪してしまった様子です。」

「イアラ女王であれば、当然の行動ですね」
と、マーガレットはあきれたような顔で、天井を見つめた。

「ハラグ王はかなり狡猾な男だな」
と、鹿島は吐き捨てた。

「カントリ国が融資を求めてきた理由の推測は?」
と、本題に戻るようマティーレは発言した。

 テテサは立ち上がり、
「推測ですが、司法長官メイディの調査において、カントリ国の主張は、
根拠の薄い主張であろうと思われるようです。
その対策に、亜人協力国を巻き込もうと、先手を打ちに来たかもしれません。
調査結果をメイディから説明します。」
と、希望を持った顔で、司法長官メイディに顔を向けた。

「結論から申します。強制もしくは誘拐と主張している五十人余の娘たちを調査した結果、
三名の原因は調査できていないが、その他の被害者が主張している事と、
司法官の調査結果は大きく違います。
ほとんどの被害者は、男友達と時同じに逃げ隠れしている場合が多く、
男友達の居場所を突き止め、被害者と一緒に故郷から出たとの証言を確認しました。
原因は色々ですが、全員が生まれ故郷から逃げるために利用されたと、証言しています。
騙されたと主張している被害者は、親兄弟は女衒の正体を知っての上で、
金を受け取ったようです。
売られた先は、高値の付くサンビチョ国に多く集まったようでした。
売られた先の環境は最悪で、自由行動は制限され、
歩合給であるがいろんな名目で差し引かれて、稼ぎはほとんど搾取されるので、
彼女等の受け取る金額は雀の涙ほどでした。
細かく説明はできますが、一応書類にしたのちに再度報告します。」

テテサは憂鬱な顔で、立ち上がり、
「これらの調査結果が、カントリ国側に漏れていると思います。
カントリ国側の主張は、正義を盾に責めようとしているので、司法官の調査は不利と思い、亜人協力国はサンビチョ国を特別に優遇していて、国同士の癒着を確認するために、訪れたと思います。
亜人協力国と司法長官メイディの聖騎士団は一心同体であるので、
聖騎士団の調査は、信用できないと主張するためでしょう。」

と、テテサは推測しているようである。

「カントリ国側は、ガイア教会の司法官に判定をゆだねると聞いていたが、どのように収めるのですか」

と、鹿島は訊ねにくいことを、あえて訊ねた。

「現在のところ、最初の同意である捕虜交換と被害者の補償は、
すでに解決されたことであるが、ガイア教会としては、
カントリ国の罪人奴隷以外の人身売買を禁止するなら、
カントリ国とサンビチョ国の被害者を買った業者による資金調達後、
女性のための被害者基金を作り、被害者の補償を後押ししたいと思っています。
サンビチョ国も被害者を買った業者を調べて、財産を凍結して、
差し押さえて資金の確保に協力して貰います。」

と、司法長官メイディは明白に答えたが、サンビチョ国の奴隷商人の証言を危惧して、

「サンビチョ国の奴隷商人の証言は、かなりの比重を占めるかもしれません。」
と追加発言をした。

 鹿島はカントリ国の要求とは、かなりかけ離れているように感じた。

 そのやり取りの最中に、修道士となったカサチーがノックして会議室に現れた。
席についているテテサとメイディの間に入り、小声で報告しているようである。

 メイディはテテサの了解と取り、立ち上がった。
「報告します。サンビチョ国からカントリ国に逃げた売春宿の経営者の所へ、
多くの女性に被害にあったとの証明書を、売り出しているようです。」

「監視衛星で記録します。場所を詳しく特定できませんか?」
と、マーガレットは叫んだ。

メイディは怪訝そうに、
「監視衛星とは?」
「ガイア様の使徒です。」
と、当然のようにテテサは応えた。

それで納得したのか、メイディとカサチーは席を立ち、
「協会に戻り、売春宿の経営者等のいる場所を詳しく調べてまいります。」
と、言って、作戦室から出ていった。
「イアラ女王に連絡して、売春宿の経営者の身柄を確保するよう要請しよう。」
と、テテサは発言した。

みんなと一緒で、テテサもイアラ王女に肩入れしたい様子である。

 鹿島は直ぐにコーA.Iを通して、サンビチョ宮殿に赴いているムースンに連絡をした。

連絡内容は、サンビチョ国で調べた、売春宿の経営者の身柄確保と、
逃亡した経営者らの関係者を含めた者達の名簿と、
サンビチョ国が知りえた全ての情報を送るように指示した。

裁判が行われた場合は決して妥協しないで、捕虜交換ですべてが解決していると、
主張するようアドバイスして欲しいとも伝えた。

 此れは、亜人協力国と神降臨街の教会を巻き込もうと画策した、
カントリ国との戦いでもある。

 売られた喧嘩なら受けて立つと、打てる手はすべて打つと、運営委員会の決意でもあった。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

改造空母機動艦隊

蒼 飛雲
歴史・時代
 兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。  そして、昭和一六年一二月。  日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。  「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...