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18-2 猫亜人集落
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鹿島は子供達の姉猫亜人女性マティーレを伴い、マーガレットのいる作戦室に向かった。
鹿島はマーガレットにマティーレを紹介して、ここで働きたいとの希望を伝えた。
マーガレットは微笑みながら、
「どうして此処で働きたいのですか?」
「此処にはガイア様に愛されている人が居るから、安全な場所だと確信しています。私は料理も農作業もできます。住まわせていただけませんか?」
「もちろん。喜んで部屋も用意しますし、食事の材料も毎日用意します。ここでは女性の方に重労働などさせません。」
鹿島はこれまでの経験から、マーガレット総司令官が親切そうに微笑みで承諾したので、“女の親切○○目当?”と、怪しい計算をしたように感じた。
鹿島は、矢張りマーガレットは、自分では思い付けない戦略的な考え中で、マティーレの申し込みを承諾したのだと思っていた。
マーガレットはマティーレに親切にすることで、言語の取得や猫亜人との交流を行い、この大陸の文化や教育の調査も出来るし、生活上の知恵も授かれるだろうから、あわよくば猫亜人住民を移住させる勧誘も行えるかもと期待している様子で、鹿島の感じた事とは程遠かったが、感は当たっていた。
マーガレットはマティーレとのコミニケションでは、絶対的な信頼関係の構築に努めて、猫亜人や他の種族の情報を聞き出す事に努めた。
猫亜人の生活は、時々罠に一角獣が掛かるが、農産物の生産と川魚の捕獲を糧としているらしくて、裕福とは思えない生活のようであり、人間種族との交流はなく、ただ薬草に詳しい耳長種族のみとは、敵対する事は無くて良好な関係である様子だ。
マティーレの説明では、耳長種族は牧畜民で狩りも得意らしいが、猫亜人同様に耳長種族も人間種族を大変嫌っているとも、付け加えられた。
その後マーガレットは、マティーレに料理のレシピと調味料を教えながら、現地の語学力を付けていった。
マーガレットの言語学習のお陰で、乗員と陸戦隊は毎日マーガレットとマティーレの、温かな美味しい手料理を頂ける恩恵を授かった。
そして、皆が最も驚いたことは、森跡地の耕作地に奇跡が起きた事である。
陸戦隊が森跡地に銀河連合から持ち込んだ種をまいて、果樹園の木々と農作物の作付けを行うと、果樹は日に日に伸びてひと月位で枝葉は大きく茂り、まさかのふた月で花が咲いたのである。
麦、イモ類、に至ってもふた月で収穫出来た。
葉物野菜も半月ぐらいで、収穫出来るまでに育つのである。
果樹園の花に妖精の様なハチドリが現れて、蜜を吸い果樹に巣を作った。
巣の形は卵柄で、大きさは幅四十センチ位である。
そして果樹園の花は連続絶え間なく咲き実を付けていく。
マーガレットはマティーレの心が開いてきた頃に、マティーレと今後の関係と報酬の話し合いから始めて、どの様な希望があるのか聞き出した。
マーガレットは、今はまだ金がなく報酬を払えないことを告げて、用意できる物で何か欲しいかを聞いてみた。
マティーレは、よく切れるナイフが欲しいと懇願して来た。
猫亜人集落では現金収入のない生活で、ナイフは貴重なものなのに、手伝うだけでアーマートやマクリー共に、ナイフを貰ったとの事を聞き出していて、自分も欲しいとのことである。
そして、マーガレットの今後の計画である、猫亜人移住者の話をマティーレの方から相談された。
「樹海の森跡地は広いし、作物は特に育ちがよいので早く収穫出来るようで、多くの収穫量を見込めるうえに、川には多くの魚がいる豊かな環境であり、肉は食べきれないほど守り人たちが狩ってくる。周りは高い丈夫な壁があるので安全であるので、ここは理想以上の生活ができる場所です。猫亜人種族の移住を許可してください。」
と言い出した。
マティーレにとってここは理想郷と思えたようで、うまくほかの亜人に宣伝してもらえたら、多数の猫亜人参加移住者が集まるのではと、期待させられるマティーレの感想である。
「マティーレがそう思っても、貴女の仲間が私たち人族の住んでいる所へ、来てくれるとは思えないのだが?」
「マーガレットは私と対等に接してくれて、他の人も優しい人たちだと、みんなに教えてあげます。」
「私たちの条件は子供達の教育と、互いに尊敬し合う事を誓い合い対等です。よろしいですか?」
「それは私たちにも、非常に喜ばしいことです。ここは、ガイア様に愛された土地だと言う事を、村の人には解って貰えるでしょう。」
とマティーレは強調した。
仮設外壁工事完成ひと月後位で、鹿島は作戦室の総司令官からの呼び出しで出掛けた。
そこには、マティーレとマーガレットが待っていた。
「マティーレの集落の人々を、ここに移住して頂く為に、マティーレと集落に行きます。
ご了解ください。」
鹿島は護衛とジープの運転を含めて、トーマスと三人の隊員たちを付けた。
マティーレの説明では、猫亜人集落の生活は自給自足で、食糧はいつも不足がちの生活らしい。
おまけに、怪獣や猛獣が時折出没するのだとの事らしく、移住希望者はかなりの数になるかもとの事である。
マーガレットはマティーレを同伴して、集落での初会合に向かった。
ジープでの集落へ向かう道のりは、岩山を避け倒木をずらしながら、藪を切り開かなければ通れない大変な思いであったが、護衛の陸戦隊三名の努力で無事に着いた。
マーガレット達が猫亜人集落に着いたとき、マティーレが連絡をしていたにも拘らず、誰の迎えも無いうえに猫亜人の姿もない。
落胆しているマティーレの案内で、集落の中程にある住居らしき四角い建物の前に着いた。
入り口も窓も無い、辛うじて屋根近くに十センチ四方の、明かり取りらしき穴が幾つか付けられている。
マティーレは一軒の家の前で、壁に向かって内に声を掛けると、直ぐに壁を抜けて壁内に入っていた。
暫くして、マティーレに伴われたマティーレと同じ年頃の女性と、ごつい体系の中年男性の猫亜人が壁の中から現れた。
女性はフーズと名乗り、中年男性はマティーレの叔父でトドと名乗った。
マティーレは砦での生活で感じた体験を元に、非常に生活しやすいことを説明したとのことである。
マーガレットとトーマス等は、トドの案内で集落中央の広場に着いた。
トドから広場に待機させられたのち暫くすると、長老らしきグループが現れた。
そしていつの間に現れたのか、マーガレット達は大勢の猫亜人に取り囲まれてしまった。
無人だと思った集落には、予想外の百人以上が現れたのには驚かされたようである。
そこでもマティーレは再度事実だけの話しをして、何故移住すべきかを説明し終わると、皆はここを捨てて移住するべきと強調した。
マティーレの話を聞いてだれも疑わないのは、猫亜人にとって嘘を付く事はタブーらしい。
しかしながら、猫亜人同士の会話では、闇の樹海には魔物が出ると言い合っている。
マーガレットも会話に加わり、
「魔物が出ても、私達は倒せるだけの力がある。」
と、言い切った。
しかし、猫亜人同士以外の言葉は信用されてない様子である。
マーガレットは防御力を確かめてもらうため、再度出直しして見学希望者を基地の中へ案内することを伝えると、明日必ず迎えに来ると猫亜人住人全員に伝えた。
マーガレットは翌日、高機動型トラックを用意して再度猫亜人集落に向かった。
二十人以上を招待できると思ったが、人種族には警戒が強い為か、長老五名とトド以下三名だけがトラック荷台に乗り込んできた。
マーガレットは進行中の石壁建設工事を見てもらう為に、トラックは大石を避けながら低い立木を踏み倒して、小高い所から現在工事中である十五メートル高さの石壁を遠望してもらい、
「幅広五メートル、高さ十五メートルで、一辺三キロメートル四方に石を積み上げた防護壁を建設中です。」
と、説明したが、何故か皆は実感なさそうである。
あまりにも関心無さそうなので、マーガレットは説明をやめてその場を離れた。
マーガレットは意図的に守り人の強さをアピールする為に、コーA.Iの指示する場所に出没した魔獣や猛獣を仕留めながら、守り人トーマス等の力を見せつけた。
荷台の猫亜人は仕留めた獲物に駆け出して行きながら、
「守り人だ!伝説の守り人!」
と叫びながら獲物の解体を始めた。
砦の中に入りマティーレの説明で、現在ひと月後の耕作中の畑に案内したら、実り豊かな麦と作物に驚き、ひと月で既に野菜に種をつけているのには驚愕していた。
果樹園の中へ向かうと、猫亜人皆は車を止めろと騒ぎ始めた。
やおや皆はトラック荷台から飛び降りて、大きく茂っている枇杷の葉をむしり取り、コップの様な形を作ると各ハチドリの巣へ向かい、巣の底に穴を開けて葉っぱのコップを充てている。
巣の中から黄金色の花蜜が滴り流れて落ちてきた。
花蜜の滴りが止まるとそばの枝を切り取り、開けた穴に差し込んでいく。
巣に栓をしているようであるが、マーガレットは蜜の取り出し方にも感動したが、その多さの蜜にも驚いた。
長老の一人が、
「妖精ハチドリが人の住む所で巣を作り、ましてや老樹以外の場所に巣を造るとは奇跡だ。ここは間違いなくガイア様に愛された土地だ!」
「それに守り人もいる」
と驚愕の叫びを響かせると、皆が口々に実り豊かな土地と頑丈な壁に守られた環境に、これ以上の場所はあり得ないと褒めだした。
マーガレットは猫亜人の移住は確定したと思えたので、森を切り開いた壁側に案内すると、ここに自由に家を建てて土地を耕作するように伝えた。
耕作されたもので、自分で使用する以外の残った作物は、守り人の取り分を除いた、残り分をお金で支払うとも約束した。
「住む場所を提供されたうえに耕作地をいただき、それに守ってもらいながら、
耕作した物から、お金をいただけるのであれば、俺は移住する!」
と、トドは名乗り出た。
作物の販売は砦の責任者に任されて、配当分配の件は後日とした。
配当分配の件は、今後の住民を増やすに置いては大事な事であるが、税の徴収は国の地盤であり、街や交通網等の整備を進めていかなければならない事である。
周りの国々の制度を調査して、税制度を決めなければならない課題である。
身の丈以上の収入は身を亡ぼすと言われているが、猫亜人の生活を壊すことなく、収入の安定に努め無ければ成らないのが基本であろう。
マーガレットの課題は余りにも多いが、コーA.Iがいるので心強い想いであり、コーA.Iに頼らなければならないだろう。
マーガレットは自分だけの背中では重すぎると、誰かを会計係担当者にしなければと悩みだしたようである。
マーガレットは猫亜人との数度の会合で、移住合意したとの連絡を鹿島は驚愕の思いで受けた。
何と、一度に三百人予の移住である。
鹿島は、マーガレットの頭脳明晰手腕を再度認めて、外交交渉をも委託したくなった。
そして、マーガレットの頭脳明晰手腕によって、三百人予の移住は無事に完了した。
三百名以上の新しい住民の移住が無事に終わり、学校の建設を猫亜人に委託して、報酬額と支払いは未定のままだが、教室の教師をフーズに頼んだら、子供達への愛情と感動を、溢れさせて承諾してもらった。
教科書はマティーレの協力でコーA.Iが文字を覚えて、既にプログラム作成されている教科書を作製した。
マティーレは今やマーガレットの秘書であり、弟と妹を使い料理担当も担っているうえに、コーA.Iの教師でもある。
マーガレットは、現金の収入を急がなければならないし、負担だけが増えていった。
鹿島はマーガレットにマティーレを紹介して、ここで働きたいとの希望を伝えた。
マーガレットは微笑みながら、
「どうして此処で働きたいのですか?」
「此処にはガイア様に愛されている人が居るから、安全な場所だと確信しています。私は料理も農作業もできます。住まわせていただけませんか?」
「もちろん。喜んで部屋も用意しますし、食事の材料も毎日用意します。ここでは女性の方に重労働などさせません。」
鹿島はこれまでの経験から、マーガレット総司令官が親切そうに微笑みで承諾したので、“女の親切○○目当?”と、怪しい計算をしたように感じた。
鹿島は、矢張りマーガレットは、自分では思い付けない戦略的な考え中で、マティーレの申し込みを承諾したのだと思っていた。
マーガレットはマティーレに親切にすることで、言語の取得や猫亜人との交流を行い、この大陸の文化や教育の調査も出来るし、生活上の知恵も授かれるだろうから、あわよくば猫亜人住民を移住させる勧誘も行えるかもと期待している様子で、鹿島の感じた事とは程遠かったが、感は当たっていた。
マーガレットはマティーレとのコミニケションでは、絶対的な信頼関係の構築に努めて、猫亜人や他の種族の情報を聞き出す事に努めた。
猫亜人の生活は、時々罠に一角獣が掛かるが、農産物の生産と川魚の捕獲を糧としているらしくて、裕福とは思えない生活のようであり、人間種族との交流はなく、ただ薬草に詳しい耳長種族のみとは、敵対する事は無くて良好な関係である様子だ。
マティーレの説明では、耳長種族は牧畜民で狩りも得意らしいが、猫亜人同様に耳長種族も人間種族を大変嫌っているとも、付け加えられた。
その後マーガレットは、マティーレに料理のレシピと調味料を教えながら、現地の語学力を付けていった。
マーガレットの言語学習のお陰で、乗員と陸戦隊は毎日マーガレットとマティーレの、温かな美味しい手料理を頂ける恩恵を授かった。
そして、皆が最も驚いたことは、森跡地の耕作地に奇跡が起きた事である。
陸戦隊が森跡地に銀河連合から持ち込んだ種をまいて、果樹園の木々と農作物の作付けを行うと、果樹は日に日に伸びてひと月位で枝葉は大きく茂り、まさかのふた月で花が咲いたのである。
麦、イモ類、に至ってもふた月で収穫出来た。
葉物野菜も半月ぐらいで、収穫出来るまでに育つのである。
果樹園の花に妖精の様なハチドリが現れて、蜜を吸い果樹に巣を作った。
巣の形は卵柄で、大きさは幅四十センチ位である。
そして果樹園の花は連続絶え間なく咲き実を付けていく。
マーガレットはマティーレの心が開いてきた頃に、マティーレと今後の関係と報酬の話し合いから始めて、どの様な希望があるのか聞き出した。
マーガレットは、今はまだ金がなく報酬を払えないことを告げて、用意できる物で何か欲しいかを聞いてみた。
マティーレは、よく切れるナイフが欲しいと懇願して来た。
猫亜人集落では現金収入のない生活で、ナイフは貴重なものなのに、手伝うだけでアーマートやマクリー共に、ナイフを貰ったとの事を聞き出していて、自分も欲しいとのことである。
そして、マーガレットの今後の計画である、猫亜人移住者の話をマティーレの方から相談された。
「樹海の森跡地は広いし、作物は特に育ちがよいので早く収穫出来るようで、多くの収穫量を見込めるうえに、川には多くの魚がいる豊かな環境であり、肉は食べきれないほど守り人たちが狩ってくる。周りは高い丈夫な壁があるので安全であるので、ここは理想以上の生活ができる場所です。猫亜人種族の移住を許可してください。」
と言い出した。
マティーレにとってここは理想郷と思えたようで、うまくほかの亜人に宣伝してもらえたら、多数の猫亜人参加移住者が集まるのではと、期待させられるマティーレの感想である。
「マティーレがそう思っても、貴女の仲間が私たち人族の住んでいる所へ、来てくれるとは思えないのだが?」
「マーガレットは私と対等に接してくれて、他の人も優しい人たちだと、みんなに教えてあげます。」
「私たちの条件は子供達の教育と、互いに尊敬し合う事を誓い合い対等です。よろしいですか?」
「それは私たちにも、非常に喜ばしいことです。ここは、ガイア様に愛された土地だと言う事を、村の人には解って貰えるでしょう。」
とマティーレは強調した。
仮設外壁工事完成ひと月後位で、鹿島は作戦室の総司令官からの呼び出しで出掛けた。
そこには、マティーレとマーガレットが待っていた。
「マティーレの集落の人々を、ここに移住して頂く為に、マティーレと集落に行きます。
ご了解ください。」
鹿島は護衛とジープの運転を含めて、トーマスと三人の隊員たちを付けた。
マティーレの説明では、猫亜人集落の生活は自給自足で、食糧はいつも不足がちの生活らしい。
おまけに、怪獣や猛獣が時折出没するのだとの事らしく、移住希望者はかなりの数になるかもとの事である。
マーガレットはマティーレを同伴して、集落での初会合に向かった。
ジープでの集落へ向かう道のりは、岩山を避け倒木をずらしながら、藪を切り開かなければ通れない大変な思いであったが、護衛の陸戦隊三名の努力で無事に着いた。
マーガレット達が猫亜人集落に着いたとき、マティーレが連絡をしていたにも拘らず、誰の迎えも無いうえに猫亜人の姿もない。
落胆しているマティーレの案内で、集落の中程にある住居らしき四角い建物の前に着いた。
入り口も窓も無い、辛うじて屋根近くに十センチ四方の、明かり取りらしき穴が幾つか付けられている。
マティーレは一軒の家の前で、壁に向かって内に声を掛けると、直ぐに壁を抜けて壁内に入っていた。
暫くして、マティーレに伴われたマティーレと同じ年頃の女性と、ごつい体系の中年男性の猫亜人が壁の中から現れた。
女性はフーズと名乗り、中年男性はマティーレの叔父でトドと名乗った。
マティーレは砦での生活で感じた体験を元に、非常に生活しやすいことを説明したとのことである。
マーガレットとトーマス等は、トドの案内で集落中央の広場に着いた。
トドから広場に待機させられたのち暫くすると、長老らしきグループが現れた。
そしていつの間に現れたのか、マーガレット達は大勢の猫亜人に取り囲まれてしまった。
無人だと思った集落には、予想外の百人以上が現れたのには驚かされたようである。
そこでもマティーレは再度事実だけの話しをして、何故移住すべきかを説明し終わると、皆はここを捨てて移住するべきと強調した。
マティーレの話を聞いてだれも疑わないのは、猫亜人にとって嘘を付く事はタブーらしい。
しかしながら、猫亜人同士の会話では、闇の樹海には魔物が出ると言い合っている。
マーガレットも会話に加わり、
「魔物が出ても、私達は倒せるだけの力がある。」
と、言い切った。
しかし、猫亜人同士以外の言葉は信用されてない様子である。
マーガレットは防御力を確かめてもらうため、再度出直しして見学希望者を基地の中へ案内することを伝えると、明日必ず迎えに来ると猫亜人住人全員に伝えた。
マーガレットは翌日、高機動型トラックを用意して再度猫亜人集落に向かった。
二十人以上を招待できると思ったが、人種族には警戒が強い為か、長老五名とトド以下三名だけがトラック荷台に乗り込んできた。
マーガレットは進行中の石壁建設工事を見てもらう為に、トラックは大石を避けながら低い立木を踏み倒して、小高い所から現在工事中である十五メートル高さの石壁を遠望してもらい、
「幅広五メートル、高さ十五メートルで、一辺三キロメートル四方に石を積み上げた防護壁を建設中です。」
と、説明したが、何故か皆は実感なさそうである。
あまりにも関心無さそうなので、マーガレットは説明をやめてその場を離れた。
マーガレットは意図的に守り人の強さをアピールする為に、コーA.Iの指示する場所に出没した魔獣や猛獣を仕留めながら、守り人トーマス等の力を見せつけた。
荷台の猫亜人は仕留めた獲物に駆け出して行きながら、
「守り人だ!伝説の守り人!」
と叫びながら獲物の解体を始めた。
砦の中に入りマティーレの説明で、現在ひと月後の耕作中の畑に案内したら、実り豊かな麦と作物に驚き、ひと月で既に野菜に種をつけているのには驚愕していた。
果樹園の中へ向かうと、猫亜人皆は車を止めろと騒ぎ始めた。
やおや皆はトラック荷台から飛び降りて、大きく茂っている枇杷の葉をむしり取り、コップの様な形を作ると各ハチドリの巣へ向かい、巣の底に穴を開けて葉っぱのコップを充てている。
巣の中から黄金色の花蜜が滴り流れて落ちてきた。
花蜜の滴りが止まるとそばの枝を切り取り、開けた穴に差し込んでいく。
巣に栓をしているようであるが、マーガレットは蜜の取り出し方にも感動したが、その多さの蜜にも驚いた。
長老の一人が、
「妖精ハチドリが人の住む所で巣を作り、ましてや老樹以外の場所に巣を造るとは奇跡だ。ここは間違いなくガイア様に愛された土地だ!」
「それに守り人もいる」
と驚愕の叫びを響かせると、皆が口々に実り豊かな土地と頑丈な壁に守られた環境に、これ以上の場所はあり得ないと褒めだした。
マーガレットは猫亜人の移住は確定したと思えたので、森を切り開いた壁側に案内すると、ここに自由に家を建てて土地を耕作するように伝えた。
耕作されたもので、自分で使用する以外の残った作物は、守り人の取り分を除いた、残り分をお金で支払うとも約束した。
「住む場所を提供されたうえに耕作地をいただき、それに守ってもらいながら、
耕作した物から、お金をいただけるのであれば、俺は移住する!」
と、トドは名乗り出た。
作物の販売は砦の責任者に任されて、配当分配の件は後日とした。
配当分配の件は、今後の住民を増やすに置いては大事な事であるが、税の徴収は国の地盤であり、街や交通網等の整備を進めていかなければならない事である。
周りの国々の制度を調査して、税制度を決めなければならない課題である。
身の丈以上の収入は身を亡ぼすと言われているが、猫亜人の生活を壊すことなく、収入の安定に努め無ければ成らないのが基本であろう。
マーガレットの課題は余りにも多いが、コーA.Iがいるので心強い想いであり、コーA.Iに頼らなければならないだろう。
マーガレットは自分だけの背中では重すぎると、誰かを会計係担当者にしなければと悩みだしたようである。
マーガレットは猫亜人との数度の会合で、移住合意したとの連絡を鹿島は驚愕の思いで受けた。
何と、一度に三百人予の移住である。
鹿島は、マーガレットの頭脳明晰手腕を再度認めて、外交交渉をも委託したくなった。
そして、マーガレットの頭脳明晰手腕によって、三百人予の移住は無事に完了した。
三百名以上の新しい住民の移住が無事に終わり、学校の建設を猫亜人に委託して、報酬額と支払いは未定のままだが、教室の教師をフーズに頼んだら、子供達への愛情と感動を、溢れさせて承諾してもらった。
教科書はマティーレの協力でコーA.Iが文字を覚えて、既にプログラム作成されている教科書を作製した。
マティーレは今やマーガレットの秘書であり、弟と妹を使い料理担当も担っているうえに、コーA.Iの教師でもある。
マーガレットは、現金の収入を急がなければならないし、負担だけが増えていった。
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