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16 未知の祝福
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ヤンが席の用意が出来たと、鹿島を呼びに来た。
二つの席にトーマスとヤンが並び、対面に一つの席が置いてあった。
ビリーとポール等二人は、歩哨なので席に背を向けている。
トーマスは黙想している様子であるが、
ヤンは顔を赤くして落ち着きがない。
ポールは鹿島に気づき、少し怯えた様に敬礼をする。
トーマスとヤンは鹿島に気づき、すぐに立ち上がって、
「ご足労かけて申し訳ありません。」
と、一礼した。
鹿島は席に回り込み、子たち達の方に目をやると、
子供達二人によるダーホー解体が見えた
男の子は鹿島と目が合うと走り寄って来て、
「肉を焼きたいので、火をつけてほしい。」
鹿島は傍のビリーに声掛けして、
バーベキューセットを用意するよう言うと、
ビリーは目を白黒させて啞然としている。
「どうした!用意してやれ。」
突然にビリーは、無言のまま駆け出して行った。
目の前の三人は、口を開けたまま茫然自失している。
「さて、始めようか。」
トーマスは顔を赤らめながら、ゆっくり声で会話を始めた。
「子供達と意思疎通ができて、会話しているように見えるのですが?」
「俺は少し地球星訛りだが、
普通の銀河連合標準語が通じているみたいだね。」
「隊長が子供と話している時、
銀河連合標準語で話してはいないのです。」
「じゃ~、俺は何語で話していると?」
「子供達と、同じ言葉です。」
「君たちは、子供達の言葉が解らないと?」
皆が頷く。
「コーA.I、俺には全く理解できないし、ましてや、説明もできない。何か説明できるか?」
コーA.Iは、教師のような話声で自信たっぷりげに、
「人間が新たな言語を覚えるのは、学習する必要があります。
学習した言語を使うとき、学習した事を思い出します。
自分の言葉は、生活の中でインプットされています。
コンピューターでしたらプログラムを作成し、
インプットするだけで済みます。
インプットされたら、普通に使います。
使えることに疑問は起きません。
閣下の中に、いつの間にか言語がインプットされたとしか思えません。
子供達との会話が出来る言語は、既に普通として閣下の中にあるので、疑問に思わないで使っていると思います。」
「違う言語を、切り替えようと思わずに自然にできていると?」
「出来ています。」
「原因は?」
「閣下の変化したことを、順に伝えます。
子供を抱えての走りは、約百メートル走って十秒弱です。
戦闘中、一敵から二敵の胸に刃を刺した時、
ロングジャンプした距離は、六メートルありました。
子供と運んだ爬虫類は約百二十キロの重さだと推測しましたが、
一人で引く場面がありました。
そして、子供達との会話。
閣下に原因が思い当たる事が有りましたら、
閣下は、体験と、推測できる範囲を説明すべきです。」
鹿島は、腕を組んで考え込んだ。
周りの空気が重い、脳筋ムキムキ娘がこの場にいたらジョークがあり、癒されたかもと、鹿島は隊員たちの顔を一人一人見渡すが、
皆は鹿島の言葉を期待するように構えている。
鹿島は重い奴らばかり連れて来てしまったものだと想いながら、
体験と疑問点を略式にだが、順に話しだした。
「高エネルギー塊が俺に衝突した時、
【六常の仁、礼、信、義、智、絆、を持つものよ、世に平和と安泰を成して。
仁、礼、智、信、孝、節、悌(てい)、義、絆、九つの徳を持て、我が伴侶となる愛しい人。】
と、俺は俺に独り言を言いながら、
魂の遊離と言うか俺自身と言うべきかは?わからない。
宙に浮いている状態からみんなの行動を眺めていたが、
気が付いた時には,
トーマスとビリーに引きずられていた。
回復したその後偵察に向かいながら、
一メートルはジャンプ出来ると思う位に体が軽いと感じた。
高エネルギー塊が俺に衝突した時と同じような話声が、
耳からでなく脳内感覚的で、石の中から子供達の会話が何故か、
頭の中で響き渡るように聞けた。
子供達の会話の中に、
俺たちは『ガイア様に愛された人』と、言葉が出たが、
それも理解できない。
高エネルギー塊はガイア様と呼ばれているようだが、
はっきりしない。」
と鹿島は鹿島なりに話した。
総司令官から、
「答えは、子供達が知っているかも?」
鹿島は頷いて、みんなの顔を見回すが、
皆は鹿島のことを心配している眼をしているが、
状況を理解できないのか、誰も声をかける者がいないので、
鹿島は仕方なしに子供達を呼びに行く事にした。
「ヤン、子供達に何か飲み物を、用意しておいてくれ。」
と言った鹿島は肩を落として、子供達を迎えに行った。
子供達はビリーから渡されたのかホークを使い、
皿の上の焼いた肉を頬張っている最中であったが、
鹿島は子供達に話を聞きたいので、
椅子に座って食べようと誘い、皆のところへ向かった。
席の場所には、折りたたみ式の小さなテーブルがあり、
オレンジジュースとぶどうジュースが置いてある場所に、
鹿島は子供たちに座るようニコニコの顔で伝えた。
「私は、鹿島と言います。君たちは?」
「僕はアーマート、妹がマクリー」
「私達は遠い国から来たので、何もわからない。
君たちの知っている事を教えてほしい」
「いいよ。おじさん(ガイア様に愛された人)?」
「ガイア様に愛された人とは?」
「おじさんの中にガイア様が入ったでしょう。僕たち見ていたよ。」
「赤く輝いていたのは、ガイア様なの。」
「おばあちゃんに聞いたとおりの、赤く輝きながら燃えている人。」
「おばあちゃんは、ガイア様に会ったことがあるの。」
「昔からある言い伝えだよ、いい子にして、正しいことをしていれば、ガイア様に会えると。」
「ガイア様に愛された人になると、どうなるの?」
「いっぱい力を授かるらしいよ。」
「どんな力?」
「解らない。」
「どうして君たちは、岩の中へ居られるの。」
「見られてしまったね。内緒にしてくれる。猫亜人なら出来るよ。」
「会話も聞こえたよ。」
「え!テレパシーは兄妹同士だけだよ。
やっぱり叔父さんガイア様に愛された人だよねー。」
どうも子供達の話は曖昧である。
鹿島は、【我が伴侶となる愛しい人。】と、(ガイア様に愛された人)の言葉は同じ意味かな?と思いながらも、
燃える髪の毛の少女の言った【我が伴侶】の言葉は、
軽い言葉ではないだろうとも感じていた。
猫亜人の子供達の話から、鹿島が推測できたことは、
高エネルギー体は、
赤く輝く燃える人でガイア様と呼ばれるらしいが、
ガイア様と呼ばれる未知の物に、身体に入られた人は、
ガイア様に愛された人になるらしい。
ガイア様に愛された人になると、未知の力が貰えるらしい。
未知の力とは、この惑星の言語を理解して話すことができて、
超人的なスピードと、
跳躍力が突然に開花したことであろうと推測した。
鹿島は猫亜人種の能力を加えて、
全ての知り得た事を輸送艦に報告したが、自分の理解出来ない能力は、ガイア様に力を授かったのではとの思いが込みあがってきて、
ガイア様を受け入れることにしたが、
その想いはコーA.Iとの会話では秘密にした。
鹿島は偵察隊全員を集合させると、
子供達の名前と分かった事全てを話してから、
みんなからの質問に対しては、推測を交えながらの説明となった。
脳筋部類の鹿島では、
推測をしながらの説明は神の奇跡としか感じないので、
「俺の頭では説明できないのだ。結論はコーA.Iの解明を待とう。」
鹿島の故郷地球日本地区では八百万の神々がいるので、
新しい一柱が増えたと思い、ガイア様とやらを敬うことにした事は、この場でも口に出さなかった。
このことでも、絶対一神教を崇拝する者には理解されないだろう。
日は高いけど、鹿島は早めの睡眠を取りたくなり、
六時間後歩哨を交替することをトーマスに伝えると、
目覚ましを六時間後に合わせ終えてポットのベッドへ倒れ込んだ。
腕時計の軽い目覚まし振動で目を覚ました鹿島は、
赤らめ薄明かりを不思議に思い、周りを見回すと、
身体中に赤色微粒子がくっついているのに驚き、急ぎ身体を起こすと、赤色微粒子は身体から離れてポットの壁に全て消えていった。
ポットの中は、本来のベージュ色の薄明かりに戻っている。
鹿島は改めて昼間の出来事は、
夢でないことを確認させられたので、この出来事を、
新しい神様の祝福と思うことにした。
もう何があっても驚かないことに仕様と思う、
鹿島は自分に苦笑いした。
鹿島は軍靴を探すためにベッドの足元に目をやると、
床に子供達が寝ているのに気づいたが、
二人とも熟睡しているのを不思議に思い、
何で帰らなかったのかと聞くには、
かわいそうだと思って子供達を順にベッドへ寝かした。
帰れなくなった理由は、陽が落ちでしまい危険となったことで、
誰かが鹿島のポットに案内したのだろうと思った。
ボックスから毛布を出して子供達に掛けて、
緩んでいる防護服のベルトを締め直すとポットの外へ出た。
ポットの外は月と星明りで満遍なく明るいようだが、
影の部分は不気味な暗さを醸し出している。
初めて降り立った惑星で感じるのは不気味な闇であり、
そこから発せられている、監視されている感覚を感じるからであろう。
鹿島は星空を見上げると、故郷地球よりも一回り大きめの月は、
到来者達を監視しているようにも思えた。
草原は月明かりでも足元は暗いので、
鹿島は腕のライトを照らして担当歩哨を探していたら、
片目に赤外線機能付暗視鏡を付けたトーマスが現れた。
「隊長、ご苦労様です、私はこのままで二時間後にポールと交代です。子供達は隊長がポットに入ったあと、居なくなりました。」
「子供達は俺のポットで寝ているよ。」
「いつの間に?」
鹿島がポットに入った後、歩哨番でない者は子供達がいなくなる前から、鹿島のポットの前でくつろぐようにしていたとの事で、
トーマスは不思議だと言い出した。
「奇跡が起きても、不思議が起きても、もう驚かない。
子供達はきっと壁から入ったのだろう。」
「隊長。また神の話しですか、まだ少しお疲れでは?」
「身体も頭も、すっきりしている。
リラックスクラブを体験した後みたいだ。」
「隊長はいつも、奇跡も不思議も無い、それは敵の戦術だ。何かが変だと思わなければならないと、いつも言っていましたのでは?」
「確かに、しかし、俺の身体の変化は非現実的だが、
現実と受け止めざるを得ない。」
「現実です。」
「では、俺のことの解明は、総司令官とコーA.Iに任せよう。アーマートとマクリーのことは目を覚ましたら聞いてみる。」
二人は話を打ち切り、円陣に並んだポットの周りをまわると、
偵察に専従する為に左右に分かれた。
鹿島はゆっくりと歩き、立ち止まっては暗視鏡から周りを見回りながら、周りの状況の確認をしだした。
もう少し歩いたらトーマスと会える頃だと思いながら周りを警戒している最中に、輸送艦から通信が入った。
「四足歩行生命体の熱感地反応あり、
西より十七頭確認、距離四百メート位。」
円陣に並んだポットの中広場に鹿島が入ると、
直ぐにトーマスも入ってきた。
トーマスは、
「遠視暗視鏡は私が運びます。」
と言って、機器類置き場へ向かった。
鹿島は西側隙間から外に出て、
暗視鏡を目一杯遠視に絞り込み注視した。
動物体特有の白く光目が上下しながら、
森の方からダーホーの骸に向かっているのが確認できた。
森の中から現れた、新たなる危険な動物との顔合わせの様子である。
「体型はコヨーテ、鼻だけが豚似です。」
トーマスの声に、鹿島は犬の豚顔を想像したら、
ブルドックの顔が出て来てにやけ顔になった。
鹿島はブルドックの顔を想像しながらにやけている。
遠視用暗視鏡を覗いているトーマスから代わってもらい覗くと、
口の上部分は盛り上がり豚鼻であるが、
残念ながらブルドックでは無かった様子である。
「アーマーの話だと、石を取らないと魔物が来ると言っていたが、
あれは魔物では無いのか?」
「次から骸は焼却しないと、いけませんね。」
「うん、次からは焼却しよう。」
その後コヨーテ似は満腹したのか、
残りの骸を森の中に引きずり込んで行った。
トーマスとポールが歩哨番を入れ替わった。
ポールは口数少ない陸曹の中で、端に位置する位の寡黙な男であるが、鹿島は現状心理を聞き出したいので話しかけた。
ポールには故郷に恋人が居たらしいが、
しかしながら陸戦隊の帰還率は三割以下である旨を指摘されて、
帰ってこられるのか、帰ってこないのか心配したくないので、
もう連絡しないよう言われたと寂しく下を向いた。
「でも、隊長と一緒なら、
どんな過酷な状態でも死なないと思っています。
みんなと一緒なのですから、この星で希望を持ちます。」
「すまない、これからもよろしく、協力してくれ!」
ポールも鹿島の笑顔に安心したのか、満面の笑顔を鹿島に返したが、本心は鹿島の変化をかなり心配している様子である。
二つの席にトーマスとヤンが並び、対面に一つの席が置いてあった。
ビリーとポール等二人は、歩哨なので席に背を向けている。
トーマスは黙想している様子であるが、
ヤンは顔を赤くして落ち着きがない。
ポールは鹿島に気づき、少し怯えた様に敬礼をする。
トーマスとヤンは鹿島に気づき、すぐに立ち上がって、
「ご足労かけて申し訳ありません。」
と、一礼した。
鹿島は席に回り込み、子たち達の方に目をやると、
子供達二人によるダーホー解体が見えた
男の子は鹿島と目が合うと走り寄って来て、
「肉を焼きたいので、火をつけてほしい。」
鹿島は傍のビリーに声掛けして、
バーベキューセットを用意するよう言うと、
ビリーは目を白黒させて啞然としている。
「どうした!用意してやれ。」
突然にビリーは、無言のまま駆け出して行った。
目の前の三人は、口を開けたまま茫然自失している。
「さて、始めようか。」
トーマスは顔を赤らめながら、ゆっくり声で会話を始めた。
「子供達と意思疎通ができて、会話しているように見えるのですが?」
「俺は少し地球星訛りだが、
普通の銀河連合標準語が通じているみたいだね。」
「隊長が子供と話している時、
銀河連合標準語で話してはいないのです。」
「じゃ~、俺は何語で話していると?」
「子供達と、同じ言葉です。」
「君たちは、子供達の言葉が解らないと?」
皆が頷く。
「コーA.I、俺には全く理解できないし、ましてや、説明もできない。何か説明できるか?」
コーA.Iは、教師のような話声で自信たっぷりげに、
「人間が新たな言語を覚えるのは、学習する必要があります。
学習した言語を使うとき、学習した事を思い出します。
自分の言葉は、生活の中でインプットされています。
コンピューターでしたらプログラムを作成し、
インプットするだけで済みます。
インプットされたら、普通に使います。
使えることに疑問は起きません。
閣下の中に、いつの間にか言語がインプットされたとしか思えません。
子供達との会話が出来る言語は、既に普通として閣下の中にあるので、疑問に思わないで使っていると思います。」
「違う言語を、切り替えようと思わずに自然にできていると?」
「出来ています。」
「原因は?」
「閣下の変化したことを、順に伝えます。
子供を抱えての走りは、約百メートル走って十秒弱です。
戦闘中、一敵から二敵の胸に刃を刺した時、
ロングジャンプした距離は、六メートルありました。
子供と運んだ爬虫類は約百二十キロの重さだと推測しましたが、
一人で引く場面がありました。
そして、子供達との会話。
閣下に原因が思い当たる事が有りましたら、
閣下は、体験と、推測できる範囲を説明すべきです。」
鹿島は、腕を組んで考え込んだ。
周りの空気が重い、脳筋ムキムキ娘がこの場にいたらジョークがあり、癒されたかもと、鹿島は隊員たちの顔を一人一人見渡すが、
皆は鹿島の言葉を期待するように構えている。
鹿島は重い奴らばかり連れて来てしまったものだと想いながら、
体験と疑問点を略式にだが、順に話しだした。
「高エネルギー塊が俺に衝突した時、
【六常の仁、礼、信、義、智、絆、を持つものよ、世に平和と安泰を成して。
仁、礼、智、信、孝、節、悌(てい)、義、絆、九つの徳を持て、我が伴侶となる愛しい人。】
と、俺は俺に独り言を言いながら、
魂の遊離と言うか俺自身と言うべきかは?わからない。
宙に浮いている状態からみんなの行動を眺めていたが、
気が付いた時には,
トーマスとビリーに引きずられていた。
回復したその後偵察に向かいながら、
一メートルはジャンプ出来ると思う位に体が軽いと感じた。
高エネルギー塊が俺に衝突した時と同じような話声が、
耳からでなく脳内感覚的で、石の中から子供達の会話が何故か、
頭の中で響き渡るように聞けた。
子供達の会話の中に、
俺たちは『ガイア様に愛された人』と、言葉が出たが、
それも理解できない。
高エネルギー塊はガイア様と呼ばれているようだが、
はっきりしない。」
と鹿島は鹿島なりに話した。
総司令官から、
「答えは、子供達が知っているかも?」
鹿島は頷いて、みんなの顔を見回すが、
皆は鹿島のことを心配している眼をしているが、
状況を理解できないのか、誰も声をかける者がいないので、
鹿島は仕方なしに子供達を呼びに行く事にした。
「ヤン、子供達に何か飲み物を、用意しておいてくれ。」
と言った鹿島は肩を落として、子供達を迎えに行った。
子供達はビリーから渡されたのかホークを使い、
皿の上の焼いた肉を頬張っている最中であったが、
鹿島は子供達に話を聞きたいので、
椅子に座って食べようと誘い、皆のところへ向かった。
席の場所には、折りたたみ式の小さなテーブルがあり、
オレンジジュースとぶどうジュースが置いてある場所に、
鹿島は子供たちに座るようニコニコの顔で伝えた。
「私は、鹿島と言います。君たちは?」
「僕はアーマート、妹がマクリー」
「私達は遠い国から来たので、何もわからない。
君たちの知っている事を教えてほしい」
「いいよ。おじさん(ガイア様に愛された人)?」
「ガイア様に愛された人とは?」
「おじさんの中にガイア様が入ったでしょう。僕たち見ていたよ。」
「赤く輝いていたのは、ガイア様なの。」
「おばあちゃんに聞いたとおりの、赤く輝きながら燃えている人。」
「おばあちゃんは、ガイア様に会ったことがあるの。」
「昔からある言い伝えだよ、いい子にして、正しいことをしていれば、ガイア様に会えると。」
「ガイア様に愛された人になると、どうなるの?」
「いっぱい力を授かるらしいよ。」
「どんな力?」
「解らない。」
「どうして君たちは、岩の中へ居られるの。」
「見られてしまったね。内緒にしてくれる。猫亜人なら出来るよ。」
「会話も聞こえたよ。」
「え!テレパシーは兄妹同士だけだよ。
やっぱり叔父さんガイア様に愛された人だよねー。」
どうも子供達の話は曖昧である。
鹿島は、【我が伴侶となる愛しい人。】と、(ガイア様に愛された人)の言葉は同じ意味かな?と思いながらも、
燃える髪の毛の少女の言った【我が伴侶】の言葉は、
軽い言葉ではないだろうとも感じていた。
猫亜人の子供達の話から、鹿島が推測できたことは、
高エネルギー体は、
赤く輝く燃える人でガイア様と呼ばれるらしいが、
ガイア様と呼ばれる未知の物に、身体に入られた人は、
ガイア様に愛された人になるらしい。
ガイア様に愛された人になると、未知の力が貰えるらしい。
未知の力とは、この惑星の言語を理解して話すことができて、
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跳躍力が突然に開花したことであろうと推測した。
鹿島は猫亜人種の能力を加えて、
全ての知り得た事を輸送艦に報告したが、自分の理解出来ない能力は、ガイア様に力を授かったのではとの思いが込みあがってきて、
ガイア様を受け入れることにしたが、
その想いはコーA.Iとの会話では秘密にした。
鹿島は偵察隊全員を集合させると、
子供達の名前と分かった事全てを話してから、
みんなからの質問に対しては、推測を交えながらの説明となった。
脳筋部類の鹿島では、
推測をしながらの説明は神の奇跡としか感じないので、
「俺の頭では説明できないのだ。結論はコーA.Iの解明を待とう。」
鹿島の故郷地球日本地区では八百万の神々がいるので、
新しい一柱が増えたと思い、ガイア様とやらを敬うことにした事は、この場でも口に出さなかった。
このことでも、絶対一神教を崇拝する者には理解されないだろう。
日は高いけど、鹿島は早めの睡眠を取りたくなり、
六時間後歩哨を交替することをトーマスに伝えると、
目覚ましを六時間後に合わせ終えてポットのベッドへ倒れ込んだ。
腕時計の軽い目覚まし振動で目を覚ました鹿島は、
赤らめ薄明かりを不思議に思い、周りを見回すと、
身体中に赤色微粒子がくっついているのに驚き、急ぎ身体を起こすと、赤色微粒子は身体から離れてポットの壁に全て消えていった。
ポットの中は、本来のベージュ色の薄明かりに戻っている。
鹿島は改めて昼間の出来事は、
夢でないことを確認させられたので、この出来事を、
新しい神様の祝福と思うことにした。
もう何があっても驚かないことに仕様と思う、
鹿島は自分に苦笑いした。
鹿島は軍靴を探すためにベッドの足元に目をやると、
床に子供達が寝ているのに気づいたが、
二人とも熟睡しているのを不思議に思い、
何で帰らなかったのかと聞くには、
かわいそうだと思って子供達を順にベッドへ寝かした。
帰れなくなった理由は、陽が落ちでしまい危険となったことで、
誰かが鹿島のポットに案内したのだろうと思った。
ボックスから毛布を出して子供達に掛けて、
緩んでいる防護服のベルトを締め直すとポットの外へ出た。
ポットの外は月と星明りで満遍なく明るいようだが、
影の部分は不気味な暗さを醸し出している。
初めて降り立った惑星で感じるのは不気味な闇であり、
そこから発せられている、監視されている感覚を感じるからであろう。
鹿島は星空を見上げると、故郷地球よりも一回り大きめの月は、
到来者達を監視しているようにも思えた。
草原は月明かりでも足元は暗いので、
鹿島は腕のライトを照らして担当歩哨を探していたら、
片目に赤外線機能付暗視鏡を付けたトーマスが現れた。
「隊長、ご苦労様です、私はこのままで二時間後にポールと交代です。子供達は隊長がポットに入ったあと、居なくなりました。」
「子供達は俺のポットで寝ているよ。」
「いつの間に?」
鹿島がポットに入った後、歩哨番でない者は子供達がいなくなる前から、鹿島のポットの前でくつろぐようにしていたとの事で、
トーマスは不思議だと言い出した。
「奇跡が起きても、不思議が起きても、もう驚かない。
子供達はきっと壁から入ったのだろう。」
「隊長。また神の話しですか、まだ少しお疲れでは?」
「身体も頭も、すっきりしている。
リラックスクラブを体験した後みたいだ。」
「隊長はいつも、奇跡も不思議も無い、それは敵の戦術だ。何かが変だと思わなければならないと、いつも言っていましたのでは?」
「確かに、しかし、俺の身体の変化は非現実的だが、
現実と受け止めざるを得ない。」
「現実です。」
「では、俺のことの解明は、総司令官とコーA.Iに任せよう。アーマートとマクリーのことは目を覚ましたら聞いてみる。」
二人は話を打ち切り、円陣に並んだポットの周りをまわると、
偵察に専従する為に左右に分かれた。
鹿島はゆっくりと歩き、立ち止まっては暗視鏡から周りを見回りながら、周りの状況の確認をしだした。
もう少し歩いたらトーマスと会える頃だと思いながら周りを警戒している最中に、輸送艦から通信が入った。
「四足歩行生命体の熱感地反応あり、
西より十七頭確認、距離四百メート位。」
円陣に並んだポットの中広場に鹿島が入ると、
直ぐにトーマスも入ってきた。
トーマスは、
「遠視暗視鏡は私が運びます。」
と言って、機器類置き場へ向かった。
鹿島は西側隙間から外に出て、
暗視鏡を目一杯遠視に絞り込み注視した。
動物体特有の白く光目が上下しながら、
森の方からダーホーの骸に向かっているのが確認できた。
森の中から現れた、新たなる危険な動物との顔合わせの様子である。
「体型はコヨーテ、鼻だけが豚似です。」
トーマスの声に、鹿島は犬の豚顔を想像したら、
ブルドックの顔が出て来てにやけ顔になった。
鹿島はブルドックの顔を想像しながらにやけている。
遠視用暗視鏡を覗いているトーマスから代わってもらい覗くと、
口の上部分は盛り上がり豚鼻であるが、
残念ながらブルドックでは無かった様子である。
「アーマーの話だと、石を取らないと魔物が来ると言っていたが、
あれは魔物では無いのか?」
「次から骸は焼却しないと、いけませんね。」
「うん、次からは焼却しよう。」
その後コヨーテ似は満腹したのか、
残りの骸を森の中に引きずり込んで行った。
トーマスとポールが歩哨番を入れ替わった。
ポールは口数少ない陸曹の中で、端に位置する位の寡黙な男であるが、鹿島は現状心理を聞き出したいので話しかけた。
ポールには故郷に恋人が居たらしいが、
しかしながら陸戦隊の帰還率は三割以下である旨を指摘されて、
帰ってこられるのか、帰ってこないのか心配したくないので、
もう連絡しないよう言われたと寂しく下を向いた。
「でも、隊長と一緒なら、
どんな過酷な状態でも死なないと思っています。
みんなと一緒なのですから、この星で希望を持ちます。」
「すまない、これからもよろしく、協力してくれ!」
ポールも鹿島の笑顔に安心したのか、満面の笑顔を鹿島に返したが、本心は鹿島の変化をかなり心配している様子である。
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しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
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