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制覇行進
207 ヒカリ皇后の武人開化
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ヒカリ皇后は転び叫んでいる三人の元親衛隊騎士に気づいていたが、あえて無視する様に、リルドラと二人の治安隊員たちに治療回復魔法で手当てしだした。
三人は聖女と名高い治療回復魔法使いの元王女、ヒカリ皇后に恵みを求めて縋り付く様に涙顔をさらしたからといって、ヒカリ皇后は三人に治療回復魔法など「具の骨頂」との気持ちであった。
とはいうものの、やはりいくばくかの哀れさも感じていた。
「確か、王宮の後宮境渡り廊下で、私の付き騎士の甲冑を脱ぎ、身体じゅうを卑猥な身体検査したおり、
グローリー男爵の息子、近衛騎士団所属ヒローと、
インバー準男爵の息子、近衛騎士団所属インポイに、
ランイン準男爵の息子、近衛騎士団所属コーシクと名乗った愚劣な奴らだったか?
約束通り名前は覚えておいたぞ。」
当時の状況を確認をし、どの様な懺悔の言葉が返ってくるかとの期待があったが、
「当時、われら近衛騎士団は王族の警備警護の職務上、厳しく検査する必要があった。
なのに、警備警護対象の王族であらせられる元王女様から、過激な行為であったと、受け取られていたとは心外であり、感謝されはしても、批判される筋合いはないはずです。」と、青色吐息で言い訳した。
ヒカリ皇后は三人に品悪い激しく唾棄するしぐさをしてから、仕方なしに三人の治療回復に向かおうと立ち上がった時、サニーは鋼鉄ワニ族男の振り回す大剣との交戦中であり、いつもは傍にいるはずの鹿島がいない事でサニーの苦戦に気づいた。
ヒカリ皇后はサニーの窮地と三人の元親衛隊騎士の窮地を天秤にかけ、迷うことなくサニーのもとへ駆け出した。
元親衛隊騎士三人は今の今まで忘れていたが、元王女から「約束通り覚えておいたぞ。」との言葉で、
この地の元領主グレイドル.ゴールドル伯爵の娘マリーを、下着姿にして卑猥な身体検査を行い、なおかつヒカリ王女をも侮辱したのを思い出した。
にもかかわらず、元近衛騎士団所属ヒローは、当時としては凶器の有無を調べることは当たり前の行為であり、凶器ではないと普段は認められていても、持ち物が凶器に準ずると判断する場合があった。
故に身体検査は必要な職務であり、そのついでに楽しむ事も、役得であるとの近衛騎士団の一致した思いであった。
ゆえに、その行為を正当と主張した言葉が、「感謝されはしても、批判される筋合いはない。」と述べるに至った理由だった。
しかしながら、元王女が唾を吐いた行為に、元近衛騎士達は理由がわからないので反省の気持ちなど起きようも無く、ただ、治療回復を受けられないと理解し絶望した。
サニーの周りにはすでに五人の精霊達が集まっていて、鋼鉄ワニ族又四郎に向かって銃を連射していた。
だが、鋼鉄ワニ族又四郎は一瞬仰け反り倒れるが、すぐに回復して起き上がり、六人に反撃しだしていた。
ヒカリ皇后はサニーや五人の精霊達の素早い動きについていけない状態で、繰り出す尾刃剣と髭手袋槍は後手後手であった。
サニーの「くらえ!」との声が響くと同時に、
「お前らはワニ野郎の退路を塞いでおれ!足手まといになるので、決して前には出るな!」
何時の間にか隊長リルドラも参戦していて、二人の治安隊兵も続いて参戦していたが、隊長リルドラの指示が出たことで、遠巻きながらも退路を塞ぐ様に身構えていた。
隊長リルドラは気合と叫びを続けながら、鋼鉄ワニ族又四郎の喉下胸部分に、尾刃槍を突き刺した。
隊長リルドラは、「チェッ、ずれたか。」と叫んで槍を引いたが、槍は引けども押せども、全く槍先を動かすことができなくなった。
隊長リルドラは尾刃槍を諦め、すぐさま尾刃剣を抜いて青く発動させた。
サニーはこのままでも負けはしないと判断したが、しかしながら、このままの攻撃のままでは埒が明かないと判断した。
とりわけ、「厄介な奴。」との言葉を残して鹿島のもとへ空間移動した。
ヒカリ皇后は隊長リルドラの「足手まといになるので、決して前には出るな!」との言葉で、みんなの戦いを眺めている状態になりながらも、鋼鉄ワニ族又四郎の動きを鹿島の思考目で見ていた。
隊長リルドラは再び鋼鉄ワニ族又四郎に切りかかり、大剣を二つに切断した。
鋼鉄ワニ族又四郎は驚きながらも、胸に刺さった尾刃槍を引き抜くと、その槍で反撃しだした。
鋼鉄ワニ族又四郎の槍さばきは上々の鍛錬者のようで、隊長リルドラは鋼鉄ワニ族又四郎の懐に入れないでいた。
ヒカリ皇后は空間移動で鋼鉄ワニ族又四郎の前に現れ、槍柄に尾刃剣を滑らせると槍を持つ両手の指を切断した。
更に、「つばめ返し!」と叫んで、逆胴斬りで刃を返したが、切り裂いた感覚がないことでそのまま空間移動して、鋼鉄ワニ族又四郎の前から消えた。
鋼鉄ワニ族又四郎は両掌から湧き出る泡を見つめると、何事もなかった様に尾刃槍を拾った。
「母様。その剣に、私が憑依しましょうか?」と、
銀色妖精ツボミが声がけした。
「剣に憑依できるの?」
「出来るよ。ボーボアのしっぽなら、金剛石みたいに固くも出来るし、刃から樹液をまき散ら垂らすことだってできるよ。」
「金剛石みたいに、、、、なるのなら、なんでも切れると理解できるが、刃から樹液をまき散ら垂らす意味は?」
「切ったところから、石化させる。」
「え、石化が可能なの?」
「私は妖精よ。私の一部分は樹液だよ。」
「あっそうなの。樹液は妖精の一部分なんだ。」
【ちがう】とヒカリ皇后に憑依中のキク精霊は内側から叫んだ。
【普通の妖精も精霊も、樹液の一部などで、、、ない.】
「だって、」とヒカリ皇后は銀色妖精ツボミにキク精霊の思いを伝えた。
「母様の言い方がおかしいです。妖精の身体一部分に樹液があると言ったのです。」
【それも違う。私たちには樹液などない。】
ヒカリ皇后は銀色妖精ツボミの言わんとしていることは理解できるが、キク精霊の思いをも強く感じていた。
「また精霊様たちの知らない事が又もや出たわね。ま、その話はサニー様を交えて話ししましょう。今は目の前の敵を石化することが急務だ。」と、
ヒカリ皇后は銀色妖精ツボミが憑依した尾刃剣を再び発動すると、尾刃剣は銀色に輝いた。
「あ、タロー様の神剣みたいな色合いだけど、より輝きが明るい。」と、
ヒカリ皇后は銀色に輝いた鏡尾刃剣に見入った。
ヒカリ皇后は再度空間移動して前回と同じ様に槍柄に尾刃剣を滑らせると、槍を持つ鋼鉄ワニ族又四郎の両手の指を切断し、「つばめ返し」と叫んで逆胴斬りした。
「手ごたえあり!」と叫ぶと、
空間移動で逃げることなく、刃剣を斬り上げた体制のまま停止画面のごとく微動だにしないでいた。
鋼鉄ワニ族又四郎は又もや不敵に笑いながら槍を拾おうと屈んだが、そのまま胴体が滑り落ちた。
鋼鉄ワニ族又四郎の指からも腹部からも泡が湧き出ないだけでなく、傷口周りから灰色になりながら石化し始めた。
鋼鉄ワニ族又四郎は石化しだして動けないながらも、「再生再生」と叫びながら身上下二つの石像となった。
石化の最中に鹿島はサニーに抱かれて現れた。
「なになに、何事が起きた!」
と、鹿島はヒカリ皇后のそばに駆け寄って、鱗甲冑姿にもかかわらずけがや傷がないかを確認しだした。
「して、何でワニ族は再生しないで、石化したの?」
ヒカリ皇后は銀色に輝いている鏡尾刃剣に向かって、
「ツボミちゃん。出てらっしゃい。」
と声を出すと、鏡としては用をなさ無くなった尾刃剣の輝きは青色に戻っていた。
周りにいる皆はヒカリ皇后の言葉と、尾刃剣の輝き色が変わったことの意味が理解できずに、
「なななな、なんなの!」と全員が叫んだ。
「私の娘、ツボミちゃんが尾刃剣に憑依して、大木の樹液をワニ族男にすり込んだのだ~!一件落着!」
と、銀色妖精ツボミを左手に乗せて右手に鏡尾刃剣を握り、自慢げに歌舞伎俳優みたいな見得を切った。
みんなはヒカリ皇后が見得を切る艶姿に度肝を抜かれた様子で、啞然としていた。
治安部隊長リルドラと隊員二人は、森の中で検分をしていた。
「隊長。元親衛隊騎士三人はすでにこと切れていますし、冒険者風の二人と例の商人は葉っぱを握りしめたまま、石つぶてみたいな凶器で、穴だらけになっています。」
との報告を、隊長リルドラは意識遠くで聴きながらも、
ヒカリ皇后は深窓の令嬢として育ち、剣術は身を守る為に指導されたとしてもまさか一流武人として戦い勝つまでになり、王族の王女として表面上はお淑やかであったとの印象が、走馬灯のごとく印象画面が次々と流れた。
しかしながら、あろうことか、傾奇者と批判される見えを切る性格に変わってしまったヒカリ皇后を、不思議そうに見ていた。
ヒカリ皇后は後回しにした元親衛隊騎士達の治療回復に向かうと、既に三人は絶命したと、隊長リルドラから知らされた。
然るに、ヒカリ皇后は哀れなとの思いが過ったが、すでにこと切れたと知った時でさえ罪悪感は起きなかった。
そして、デンシャ車両内では、タブレットパソコンの画面を見つめているマリーは、ヒカリ皇后が兄であるリルドラが苦戦している鋼鉄ワニ族男に挑んでいく度、脱水症状を起こしたのか、顔と首周りが汗びっしょりとなっていて、周りには多くの気力回復薬の入っていたであろう瓶が転がっていた。
そして、ヒカリ皇后が見えを切った瞬間、
「よかった~。」と言いながら全身の力が抜けた様に崩れ落ちた。
三人は聖女と名高い治療回復魔法使いの元王女、ヒカリ皇后に恵みを求めて縋り付く様に涙顔をさらしたからといって、ヒカリ皇后は三人に治療回復魔法など「具の骨頂」との気持ちであった。
とはいうものの、やはりいくばくかの哀れさも感じていた。
「確か、王宮の後宮境渡り廊下で、私の付き騎士の甲冑を脱ぎ、身体じゅうを卑猥な身体検査したおり、
グローリー男爵の息子、近衛騎士団所属ヒローと、
インバー準男爵の息子、近衛騎士団所属インポイに、
ランイン準男爵の息子、近衛騎士団所属コーシクと名乗った愚劣な奴らだったか?
約束通り名前は覚えておいたぞ。」
当時の状況を確認をし、どの様な懺悔の言葉が返ってくるかとの期待があったが、
「当時、われら近衛騎士団は王族の警備警護の職務上、厳しく検査する必要があった。
なのに、警備警護対象の王族であらせられる元王女様から、過激な行為であったと、受け取られていたとは心外であり、感謝されはしても、批判される筋合いはないはずです。」と、青色吐息で言い訳した。
ヒカリ皇后は三人に品悪い激しく唾棄するしぐさをしてから、仕方なしに三人の治療回復に向かおうと立ち上がった時、サニーは鋼鉄ワニ族男の振り回す大剣との交戦中であり、いつもは傍にいるはずの鹿島がいない事でサニーの苦戦に気づいた。
ヒカリ皇后はサニーの窮地と三人の元親衛隊騎士の窮地を天秤にかけ、迷うことなくサニーのもとへ駆け出した。
元親衛隊騎士三人は今の今まで忘れていたが、元王女から「約束通り覚えておいたぞ。」との言葉で、
この地の元領主グレイドル.ゴールドル伯爵の娘マリーを、下着姿にして卑猥な身体検査を行い、なおかつヒカリ王女をも侮辱したのを思い出した。
にもかかわらず、元近衛騎士団所属ヒローは、当時としては凶器の有無を調べることは当たり前の行為であり、凶器ではないと普段は認められていても、持ち物が凶器に準ずると判断する場合があった。
故に身体検査は必要な職務であり、そのついでに楽しむ事も、役得であるとの近衛騎士団の一致した思いであった。
ゆえに、その行為を正当と主張した言葉が、「感謝されはしても、批判される筋合いはない。」と述べるに至った理由だった。
しかしながら、元王女が唾を吐いた行為に、元近衛騎士達は理由がわからないので反省の気持ちなど起きようも無く、ただ、治療回復を受けられないと理解し絶望した。
サニーの周りにはすでに五人の精霊達が集まっていて、鋼鉄ワニ族又四郎に向かって銃を連射していた。
だが、鋼鉄ワニ族又四郎は一瞬仰け反り倒れるが、すぐに回復して起き上がり、六人に反撃しだしていた。
ヒカリ皇后はサニーや五人の精霊達の素早い動きについていけない状態で、繰り出す尾刃剣と髭手袋槍は後手後手であった。
サニーの「くらえ!」との声が響くと同時に、
「お前らはワニ野郎の退路を塞いでおれ!足手まといになるので、決して前には出るな!」
何時の間にか隊長リルドラも参戦していて、二人の治安隊兵も続いて参戦していたが、隊長リルドラの指示が出たことで、遠巻きながらも退路を塞ぐ様に身構えていた。
隊長リルドラは気合と叫びを続けながら、鋼鉄ワニ族又四郎の喉下胸部分に、尾刃槍を突き刺した。
隊長リルドラは、「チェッ、ずれたか。」と叫んで槍を引いたが、槍は引けども押せども、全く槍先を動かすことができなくなった。
隊長リルドラは尾刃槍を諦め、すぐさま尾刃剣を抜いて青く発動させた。
サニーはこのままでも負けはしないと判断したが、しかしながら、このままの攻撃のままでは埒が明かないと判断した。
とりわけ、「厄介な奴。」との言葉を残して鹿島のもとへ空間移動した。
ヒカリ皇后は隊長リルドラの「足手まといになるので、決して前には出るな!」との言葉で、みんなの戦いを眺めている状態になりながらも、鋼鉄ワニ族又四郎の動きを鹿島の思考目で見ていた。
隊長リルドラは再び鋼鉄ワニ族又四郎に切りかかり、大剣を二つに切断した。
鋼鉄ワニ族又四郎は驚きながらも、胸に刺さった尾刃槍を引き抜くと、その槍で反撃しだした。
鋼鉄ワニ族又四郎の槍さばきは上々の鍛錬者のようで、隊長リルドラは鋼鉄ワニ族又四郎の懐に入れないでいた。
ヒカリ皇后は空間移動で鋼鉄ワニ族又四郎の前に現れ、槍柄に尾刃剣を滑らせると槍を持つ両手の指を切断した。
更に、「つばめ返し!」と叫んで、逆胴斬りで刃を返したが、切り裂いた感覚がないことでそのまま空間移動して、鋼鉄ワニ族又四郎の前から消えた。
鋼鉄ワニ族又四郎は両掌から湧き出る泡を見つめると、何事もなかった様に尾刃槍を拾った。
「母様。その剣に、私が憑依しましょうか?」と、
銀色妖精ツボミが声がけした。
「剣に憑依できるの?」
「出来るよ。ボーボアのしっぽなら、金剛石みたいに固くも出来るし、刃から樹液をまき散ら垂らすことだってできるよ。」
「金剛石みたいに、、、、なるのなら、なんでも切れると理解できるが、刃から樹液をまき散ら垂らす意味は?」
「切ったところから、石化させる。」
「え、石化が可能なの?」
「私は妖精よ。私の一部分は樹液だよ。」
「あっそうなの。樹液は妖精の一部分なんだ。」
【ちがう】とヒカリ皇后に憑依中のキク精霊は内側から叫んだ。
【普通の妖精も精霊も、樹液の一部などで、、、ない.】
「だって、」とヒカリ皇后は銀色妖精ツボミにキク精霊の思いを伝えた。
「母様の言い方がおかしいです。妖精の身体一部分に樹液があると言ったのです。」
【それも違う。私たちには樹液などない。】
ヒカリ皇后は銀色妖精ツボミの言わんとしていることは理解できるが、キク精霊の思いをも強く感じていた。
「また精霊様たちの知らない事が又もや出たわね。ま、その話はサニー様を交えて話ししましょう。今は目の前の敵を石化することが急務だ。」と、
ヒカリ皇后は銀色妖精ツボミが憑依した尾刃剣を再び発動すると、尾刃剣は銀色に輝いた。
「あ、タロー様の神剣みたいな色合いだけど、より輝きが明るい。」と、
ヒカリ皇后は銀色に輝いた鏡尾刃剣に見入った。
ヒカリ皇后は再度空間移動して前回と同じ様に槍柄に尾刃剣を滑らせると、槍を持つ鋼鉄ワニ族又四郎の両手の指を切断し、「つばめ返し」と叫んで逆胴斬りした。
「手ごたえあり!」と叫ぶと、
空間移動で逃げることなく、刃剣を斬り上げた体制のまま停止画面のごとく微動だにしないでいた。
鋼鉄ワニ族又四郎は又もや不敵に笑いながら槍を拾おうと屈んだが、そのまま胴体が滑り落ちた。
鋼鉄ワニ族又四郎の指からも腹部からも泡が湧き出ないだけでなく、傷口周りから灰色になりながら石化し始めた。
鋼鉄ワニ族又四郎は石化しだして動けないながらも、「再生再生」と叫びながら身上下二つの石像となった。
石化の最中に鹿島はサニーに抱かれて現れた。
「なになに、何事が起きた!」
と、鹿島はヒカリ皇后のそばに駆け寄って、鱗甲冑姿にもかかわらずけがや傷がないかを確認しだした。
「して、何でワニ族は再生しないで、石化したの?」
ヒカリ皇后は銀色に輝いている鏡尾刃剣に向かって、
「ツボミちゃん。出てらっしゃい。」
と声を出すと、鏡としては用をなさ無くなった尾刃剣の輝きは青色に戻っていた。
周りにいる皆はヒカリ皇后の言葉と、尾刃剣の輝き色が変わったことの意味が理解できずに、
「なななな、なんなの!」と全員が叫んだ。
「私の娘、ツボミちゃんが尾刃剣に憑依して、大木の樹液をワニ族男にすり込んだのだ~!一件落着!」
と、銀色妖精ツボミを左手に乗せて右手に鏡尾刃剣を握り、自慢げに歌舞伎俳優みたいな見得を切った。
みんなはヒカリ皇后が見得を切る艶姿に度肝を抜かれた様子で、啞然としていた。
治安部隊長リルドラと隊員二人は、森の中で検分をしていた。
「隊長。元親衛隊騎士三人はすでにこと切れていますし、冒険者風の二人と例の商人は葉っぱを握りしめたまま、石つぶてみたいな凶器で、穴だらけになっています。」
との報告を、隊長リルドラは意識遠くで聴きながらも、
ヒカリ皇后は深窓の令嬢として育ち、剣術は身を守る為に指導されたとしてもまさか一流武人として戦い勝つまでになり、王族の王女として表面上はお淑やかであったとの印象が、走馬灯のごとく印象画面が次々と流れた。
しかしながら、あろうことか、傾奇者と批判される見えを切る性格に変わってしまったヒカリ皇后を、不思議そうに見ていた。
ヒカリ皇后は後回しにした元親衛隊騎士達の治療回復に向かうと、既に三人は絶命したと、隊長リルドラから知らされた。
然るに、ヒカリ皇后は哀れなとの思いが過ったが、すでにこと切れたと知った時でさえ罪悪感は起きなかった。
そして、デンシャ車両内では、タブレットパソコンの画面を見つめているマリーは、ヒカリ皇后が兄であるリルドラが苦戦している鋼鉄ワニ族男に挑んでいく度、脱水症状を起こしたのか、顔と首周りが汗びっしょりとなっていて、周りには多くの気力回復薬の入っていたであろう瓶が転がっていた。
そして、ヒカリ皇后が見えを切った瞬間、
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