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制覇行進
194 必要な組織
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神降臨街に帰ってた鹿島は残り書類の承諾印を終えて、エントツ軍務大臣とパトラ情報長官からの報告書類を見比べていた。
「優先順からしたら、当然、情報局か。」
と呟きながら立ち上がると、来客用の長テーブルにはいろんな甘味茶菓子が並び、その両側にある長ソファーでは六人の精霊たちがせわしげに菓子をほおばっていた。
しかしながら、ヒカリ皇后は心配げに、長ソファーの中央に座って居るサニーに見入っていた。
サニーは菓子に手を付けてる様子はなく、物思いに更けていた。
「サニーどうしたの?」
「あの枯れ木魔物は、、、間違いなく私に名を名付けた、大精霊様生みの老樹だった。」
「消えたはずなのに、なんで生きていたのだろう。」
と、横からサクラ精霊も同意した。
サニーはサクラの言葉に応じることなく沈黙したのち、
「今思えば、あの時、、、私が巨木枯れ木魔物は大精霊様生みの老樹に似ていると想い、注視している時に逃げ出した。そんな感じがする。」
「その訳は?」
「、、、、、、。」サニーは再び沈黙しが、後ろに鹿島立っているのに気づき、
「お出掛け?」と言って立ち上がった。
「いや、隣りに、伝達要件を頼みに行こうと。」
「なんだ。」と言って再び着席し、テーブルの菓子を頬張りだした。
鹿島は部屋の雰囲気からして、エントツ軍務大臣との会談場所にはふさわしくないと判断し,
「あ、やっぱり、エントツ軍務大臣の部屋へ行ってくるわ。」
と言ってドアに向かうと、全員は無言で片手を上げただけであった。
鹿島がエントツ軍務大臣執務室をノックしながら、
「鹿島です。」
と声掛けすると、床に敷いているのは厚い絨毯のはずなのに、走る靴音が聞こえるとすぐにドアが開いた。
「閣下!呼び出し伝達をして頂けたなら、こちらから伺いましたのに。」
「いや、俺のところは騒がしい。」
「あ、なるほど。それは理解できます。」と、エントツ軍務大臣はうなだれた。
「あ、理解?何かあったのか?」
「あ、いえ、特に何も、で、どのようなが用件でしょうか?」
と、執務机の前にあるテーブルソファーに案内した。
「あ、この二枚の書類の件です。」
「その二枚の書類、内容は想像できます。」
「なら、情報局からの報告に対して、どのような対策を行っていますか?」
「暗殺者の一級対象者イザベラ女王とホルヘ公爵には、すでに連絡してありますし、
三級対象者ヒカリ自治領の行政責任者への護衛を申し込んだところ、黒ボーボアの髭手袋の追加だけでよいとの事だったので、二十双送りました。
二級対象者は陛下とわれら三人らしいが、陛下へは連絡するだけに留めました。
私たちの護衛を妖精様たちに頼んだのですが、必要経費がわれらの給金を上回る事で、十日間で断念しました。」
「あ、それで、騒がしいことを、理解するといったのか?」
「はい、何分にも経験いたしました。」
「しかし、みんな護衛費用はまさか自腹ではないよな、国の必要経費だろう。」
「え、個人の護衛は自腹でしょう。」
「でも、君たちは全員公人だろう。」
「意味が不明です。」
「以前、行政官や官使に官僚達は公僕だといったよね。」
「はい、そのように努めています。」
「なら、行政官や官使に官僚達の身に危険が及ぶなら、国の経費で守ってやる必要があるだろう。」
「初めて聞く内容ですが、それは閣下のお考えでしょうか?」
「俺の故郷では、当たり前のことだ。」
「え、そんなことが当たり前ですと?」
「国を運営し、国民を守っている公務員を誰が守るのだ?」
「各自の自己責任です。」
「政府首脳及び公人の警護法を、すぐに法整備しろ。」
「具体例が無いので、すぐには無理です。」
鹿島は直ぐにC-002号に連絡し、
「セキュリティポリスの制度と、運営及び義務に、採用者条件総てをインプットしたAIを、首脳会議に出席させろ。」
「一時間後に送ります。その際、C-003号機もお返しします。」
「で、何かわかったのか?」
「以前、サニー様が軍隊魔蜂の女王に対して使った魔法も、反物質的効果ではとの疑問も出ました。」
「あ、それはまたの機会で頼む。今は要人警護法の成立と、その運営方法が急務だ。」
「了解しました。」
鹿島の指示を聞いていたエントツ軍務大臣は、
「聞きなれない言葉が出ていましたが、意味はおおむね理解しました。が、その制度は親衛隊や衛士兵の仕事です。」
「要人警護員は特別に訓練された格闘及び武道家であり、わが身より要人の肉の盾となり、要人の命を守る事を優先できる者達だ。」
「長い歴史の国では、その制度は熟していますが、まだ若い我らが国では、たしかに劣っていると言えます。」
「新しい、古いは関係ない。その制度と関わる者達の、やりがいある職場にすることだ。」
「それ相応の報酬を用意せよと。」
「それも含め、名誉と安定した地位の保証だ。」
「では、一時間後に、全員を会議室に招集します。」
「でわ、その時に軍事費の増額も話し合おう。」
「良しなに頼みます。」
円卓会議室にて、鹿島の横にはサニーとヒカリ皇后が座り、なじみのメンバー、アチャカ首相、トニーヤマ財務大臣、エントツ軍務大臣にチャップリ元帥とパトラ情報局長が居て、各大臣や事務局長の肩書名札の者達は、鹿島にとっては見覚えはあるが、名前と顔が一致してなかったと気が付いていた。
各情報を統括し、軍事顧問も兼ねるZ-998号が立ち上がり、
「王閣下からの勅命による、要人警護法の成立説明と運用方法及び、訓練全般を説明いたしますが、
その前に、なすべき課題が盛り沢山あります。
1, 衛士兵の各専門職分担による機構の改革。
2, 事件の共有認識のための統括機構構築。
以上を満たせる組織を創る必要があります。
その組織の一部に、要人警護部を設けることです。」
「つまり、警察機構のことか?」と鹿島は尋ねた。
「まさにその通りです。」
「警察機構?」
誰もが聞きなれない言葉を反復しだした。
「警とは、備え守ることであり、察とは、完璧に調べ事であります。
つまり、警察とは、国民の生命及び財産犯罪の捜査被疑者の捕縛及び社会の秩序維持、
さらに国家の統治権に基づき、国民への命令権、強制執行権を有した組織でもある。」
「つまり、国家の裏組織ですか?」と、一部の参加者から質問が出た。
「れっきとした表組織であり、善良者にとっては正義の味方であり、犯罪者には鬼の追跡者となる。」
「ではやはり、衛士兵だ。」
「確かに衛士兵の仕事も含まれてはいるが、国という広範囲で活動するには、今の衛士兵組織では不可能です。」
会議場がざわめきだすと、鹿島は立ち上がり、
「警察機構の一部に、要人警護が含まれると思ってよいのか?」
「警察官の中から選びぬいた一級格闘及び武道家な中から、義務責任感優秀な者達を選別することから始めたいです。」
会場は鹿島の警察ありきでの質問に対し、その念頭発言で警察機構の成立は決定したと受け止めた。
「では、警察の責任者はどのような者に?」
との衛士兵を統括しているチャップリ元帥は尋ねた。
「今の衛士兵の中から、責任感の強い堅物が理想です。」
と、Z-998号は応えた。
「つまり、権力者に媚らず、金になびかない者、、、と。」
「更に、正義感と達成努力者を兼ね備えているなら、理想です。」
「そんな聖人みたいな奴が居ると?」
「あなた、チャップリ元帥がその理想者です。」
「まことに光栄だが、俺の体は一つだ。」
「そうだ!今軍にとって、チャップリ元帥は譲れない。」
と、エントツ軍務大臣はエントツ軍務大臣が警察の責任者に移動することに、真っ先に反対した。
「では、選別者対象を軍にも広げて、チャップリ元帥の人選に任せます。」
鹿島はZ-998号の意図するところは、ほかの推薦者をけん制してると感じ、
「では、以後、警察組織責任者はチャップリ元帥に一任し、Z-998号はそのものと打ち合わせてくれ。」
「その際は、総括管理者であるエントツ軍務大臣とチャップリ元帥の同席を、希望します。」
「だそうだ、エントツ軍務大臣とチャップリ元帥殿。」
「受けたまりました。」
エントツ軍務大臣とチャップリ元帥は閉鎖しだした軍や衛士兵組織の人事に活を入れ、広い範囲で優秀者を探して登用する機会を、多くの者たちに与えるのだと感じた。
会議参加者にはZ-998号の用意した警察法の書類を渡され、警察機構の一部に要人警護法も含まれていることを確信した。
警察法は全会一致で可決された。
「つぎは、チャップリ元帥軍事予算の増額について、王陛下から伝えたいことがあるとのことです。陛下、お願いします。」
との会議議長アチャカ首相が声掛けした。
「じつは、これから話すことは皆に関係ないと思うでしょうが、この惑星に住む人類及び亜人に生ある生き物にとって、将来脅威となる敵が現れる可能性が推測される。
ので、その対策と備えの為に、砂漠大陸の調査が必要になった。
砂漠大陸に渡るルートは大河向こうの国々を通るしかない。
ので、そのルート確保なためには武力が必要になるかもしれない、
その為には、軍の補強と予算が必要である。
検討願いたい。」
「砂漠大陸の調査には、いかほどの軍隊を想定いたしていますか。」
「最低でも十万、もしかしたら敵の状況により、五十万になるかもしれない。」
「それだけの軍が動くと、各国からの反発が予想されますが。」
「平和的に話し合うつもりだが、99パーセントむりだろうな~。」
「それだと、今の軍事費は国家予算の十パーセントだが、国家予算をもう回る可能性があると?」
「今は何も言えないが、敵の勢力次第ではそれもあり得る。」
「予算を削って、敵の脅威が強大であった場合、われらが軍は潰される可能性がありますか?」
「それほどの脅威だと推測しているので、それは大いにあり得る。」
「では緊急補正予算の法整備を行います。」
「頼みます。あ、それと、俺の個人財産も真っ先に緊急補正費用に当ててくれ。」
国家予算の半分程ありますが。」
「え、なしてそんなにある。」
「大精霊様も含め、建国以来、ほとんど使っていませんので。」
「それでも多いだろう。」
「魔物や魔獣にボーボアの素材売却も含まれていますが、工場からの製品の利益はすべて閣下名義です。」
「あれれれ~。俺の知らないところで、俺の懐は潤っていたのか。」
「同じ様に、大精霊様もです。」
「じゃ~、サニーの分も補正予算に回そう。」
「私はそんなお金など見たこともないので、いいわよ。」
軍事補正予算はあっさりと片付き、軍事補正法案は成立した。
会議が終わり、会議室には鹿島達とエントツ軍務大臣とチャップリ元帥が残り、
「警察組織責任者の心当たりはあるのか?」と、エントツ軍務大臣がチャップリ元帥に声がけした。
「何人かの顔が浮かんだが、決めかねている。」
「なら、その調査をパトラ情報長官に相談したら?」
「パトラ情報長官も候補者の一人だ。」
「それはまずい、絶対まずいぞ。」
「なして?」
「情報局は軍組織から独立させて、情報省に引き上げたいのだ。」
「しかし、軍も新たな組織においても、情報局は絶対に必要だ。」
「だけど、情報局も警察機構と同じように組織化しないと、この先混乱が起きるし、対応に支障が出る。」
「また閣僚の同意を得る会議か。予算や縄張り意識で難題だな。」
「ここは、閣下の鶴の一声で乗り切ろう。」
とエントツ軍務大臣は言って、鹿島の方へ顔を向けた。
「閣下!閣下は以前、情報を制する者は世界を制すると、おっしゃっていましたですね。」
「あ~。俺のいた故郷では、指導者の心得だった。」
「情報局も、警察機構と同じように改革したいのですが?」
「ま、常に変動する社会においては、一番に改革を行うべきだろう。」
「情報局を情報省に格上げ願いたい。」
「円卓会議の承諾が必要でしょう。」
「成立は難しいかと、たとえ成立するとしても、かなりの期間が消費されます。」
「俺の勅旨が必要だと。」
「是非に、お願いします。」
「前例にならないか?」
「緊急な前例なら、実行すべきです。」
「確かに、情報局の活用を理解できない人には、不要の部署に思えるだろうな。」
「承諾していただけると?」
「俺も常に変化する情報に対し、常に最新の情報は軍隊同様必要だと思う。」
「早速、警察機構と同じようにZ-998号の指導を仰ぎ、情報省格上げの、勅旨を行います。」
「頼む。」との返事を聞き取ったのかが疑わしい程に、エントツ軍務大臣はチャップリ元帥の手を引き、会議室から出ていった。
「優先順からしたら、当然、情報局か。」
と呟きながら立ち上がると、来客用の長テーブルにはいろんな甘味茶菓子が並び、その両側にある長ソファーでは六人の精霊たちがせわしげに菓子をほおばっていた。
しかしながら、ヒカリ皇后は心配げに、長ソファーの中央に座って居るサニーに見入っていた。
サニーは菓子に手を付けてる様子はなく、物思いに更けていた。
「サニーどうしたの?」
「あの枯れ木魔物は、、、間違いなく私に名を名付けた、大精霊様生みの老樹だった。」
「消えたはずなのに、なんで生きていたのだろう。」
と、横からサクラ精霊も同意した。
サニーはサクラの言葉に応じることなく沈黙したのち、
「今思えば、あの時、、、私が巨木枯れ木魔物は大精霊様生みの老樹に似ていると想い、注視している時に逃げ出した。そんな感じがする。」
「その訳は?」
「、、、、、、。」サニーは再び沈黙しが、後ろに鹿島立っているのに気づき、
「お出掛け?」と言って立ち上がった。
「いや、隣りに、伝達要件を頼みに行こうと。」
「なんだ。」と言って再び着席し、テーブルの菓子を頬張りだした。
鹿島は部屋の雰囲気からして、エントツ軍務大臣との会談場所にはふさわしくないと判断し,
「あ、やっぱり、エントツ軍務大臣の部屋へ行ってくるわ。」
と言ってドアに向かうと、全員は無言で片手を上げただけであった。
鹿島がエントツ軍務大臣執務室をノックしながら、
「鹿島です。」
と声掛けすると、床に敷いているのは厚い絨毯のはずなのに、走る靴音が聞こえるとすぐにドアが開いた。
「閣下!呼び出し伝達をして頂けたなら、こちらから伺いましたのに。」
「いや、俺のところは騒がしい。」
「あ、なるほど。それは理解できます。」と、エントツ軍務大臣はうなだれた。
「あ、理解?何かあったのか?」
「あ、いえ、特に何も、で、どのようなが用件でしょうか?」
と、執務机の前にあるテーブルソファーに案内した。
「あ、この二枚の書類の件です。」
「その二枚の書類、内容は想像できます。」
「なら、情報局からの報告に対して、どのような対策を行っていますか?」
「暗殺者の一級対象者イザベラ女王とホルヘ公爵には、すでに連絡してありますし、
三級対象者ヒカリ自治領の行政責任者への護衛を申し込んだところ、黒ボーボアの髭手袋の追加だけでよいとの事だったので、二十双送りました。
二級対象者は陛下とわれら三人らしいが、陛下へは連絡するだけに留めました。
私たちの護衛を妖精様たちに頼んだのですが、必要経費がわれらの給金を上回る事で、十日間で断念しました。」
「あ、それで、騒がしいことを、理解するといったのか?」
「はい、何分にも経験いたしました。」
「しかし、みんな護衛費用はまさか自腹ではないよな、国の必要経費だろう。」
「え、個人の護衛は自腹でしょう。」
「でも、君たちは全員公人だろう。」
「意味が不明です。」
「以前、行政官や官使に官僚達は公僕だといったよね。」
「はい、そのように努めています。」
「なら、行政官や官使に官僚達の身に危険が及ぶなら、国の経費で守ってやる必要があるだろう。」
「初めて聞く内容ですが、それは閣下のお考えでしょうか?」
「俺の故郷では、当たり前のことだ。」
「え、そんなことが当たり前ですと?」
「国を運営し、国民を守っている公務員を誰が守るのだ?」
「各自の自己責任です。」
「政府首脳及び公人の警護法を、すぐに法整備しろ。」
「具体例が無いので、すぐには無理です。」
鹿島は直ぐにC-002号に連絡し、
「セキュリティポリスの制度と、運営及び義務に、採用者条件総てをインプットしたAIを、首脳会議に出席させろ。」
「一時間後に送ります。その際、C-003号機もお返しします。」
「で、何かわかったのか?」
「以前、サニー様が軍隊魔蜂の女王に対して使った魔法も、反物質的効果ではとの疑問も出ました。」
「あ、それはまたの機会で頼む。今は要人警護法の成立と、その運営方法が急務だ。」
「了解しました。」
鹿島の指示を聞いていたエントツ軍務大臣は、
「聞きなれない言葉が出ていましたが、意味はおおむね理解しました。が、その制度は親衛隊や衛士兵の仕事です。」
「要人警護員は特別に訓練された格闘及び武道家であり、わが身より要人の肉の盾となり、要人の命を守る事を優先できる者達だ。」
「長い歴史の国では、その制度は熟していますが、まだ若い我らが国では、たしかに劣っていると言えます。」
「新しい、古いは関係ない。その制度と関わる者達の、やりがいある職場にすることだ。」
「それ相応の報酬を用意せよと。」
「それも含め、名誉と安定した地位の保証だ。」
「では、一時間後に、全員を会議室に招集します。」
「でわ、その時に軍事費の増額も話し合おう。」
「良しなに頼みます。」
円卓会議室にて、鹿島の横にはサニーとヒカリ皇后が座り、なじみのメンバー、アチャカ首相、トニーヤマ財務大臣、エントツ軍務大臣にチャップリ元帥とパトラ情報局長が居て、各大臣や事務局長の肩書名札の者達は、鹿島にとっては見覚えはあるが、名前と顔が一致してなかったと気が付いていた。
各情報を統括し、軍事顧問も兼ねるZ-998号が立ち上がり、
「王閣下からの勅命による、要人警護法の成立説明と運用方法及び、訓練全般を説明いたしますが、
その前に、なすべき課題が盛り沢山あります。
1, 衛士兵の各専門職分担による機構の改革。
2, 事件の共有認識のための統括機構構築。
以上を満たせる組織を創る必要があります。
その組織の一部に、要人警護部を設けることです。」
「つまり、警察機構のことか?」と鹿島は尋ねた。
「まさにその通りです。」
「警察機構?」
誰もが聞きなれない言葉を反復しだした。
「警とは、備え守ることであり、察とは、完璧に調べ事であります。
つまり、警察とは、国民の生命及び財産犯罪の捜査被疑者の捕縛及び社会の秩序維持、
さらに国家の統治権に基づき、国民への命令権、強制執行権を有した組織でもある。」
「つまり、国家の裏組織ですか?」と、一部の参加者から質問が出た。
「れっきとした表組織であり、善良者にとっては正義の味方であり、犯罪者には鬼の追跡者となる。」
「ではやはり、衛士兵だ。」
「確かに衛士兵の仕事も含まれてはいるが、国という広範囲で活動するには、今の衛士兵組織では不可能です。」
会議場がざわめきだすと、鹿島は立ち上がり、
「警察機構の一部に、要人警護が含まれると思ってよいのか?」
「警察官の中から選びぬいた一級格闘及び武道家な中から、義務責任感優秀な者達を選別することから始めたいです。」
会場は鹿島の警察ありきでの質問に対し、その念頭発言で警察機構の成立は決定したと受け止めた。
「では、警察の責任者はどのような者に?」
との衛士兵を統括しているチャップリ元帥は尋ねた。
「今の衛士兵の中から、責任感の強い堅物が理想です。」
と、Z-998号は応えた。
「つまり、権力者に媚らず、金になびかない者、、、と。」
「更に、正義感と達成努力者を兼ね備えているなら、理想です。」
「そんな聖人みたいな奴が居ると?」
「あなた、チャップリ元帥がその理想者です。」
「まことに光栄だが、俺の体は一つだ。」
「そうだ!今軍にとって、チャップリ元帥は譲れない。」
と、エントツ軍務大臣はエントツ軍務大臣が警察の責任者に移動することに、真っ先に反対した。
「では、選別者対象を軍にも広げて、チャップリ元帥の人選に任せます。」
鹿島はZ-998号の意図するところは、ほかの推薦者をけん制してると感じ、
「では、以後、警察組織責任者はチャップリ元帥に一任し、Z-998号はそのものと打ち合わせてくれ。」
「その際は、総括管理者であるエントツ軍務大臣とチャップリ元帥の同席を、希望します。」
「だそうだ、エントツ軍務大臣とチャップリ元帥殿。」
「受けたまりました。」
エントツ軍務大臣とチャップリ元帥は閉鎖しだした軍や衛士兵組織の人事に活を入れ、広い範囲で優秀者を探して登用する機会を、多くの者たちに与えるのだと感じた。
会議参加者にはZ-998号の用意した警察法の書類を渡され、警察機構の一部に要人警護法も含まれていることを確信した。
警察法は全会一致で可決された。
「つぎは、チャップリ元帥軍事予算の増額について、王陛下から伝えたいことがあるとのことです。陛下、お願いします。」
との会議議長アチャカ首相が声掛けした。
「じつは、これから話すことは皆に関係ないと思うでしょうが、この惑星に住む人類及び亜人に生ある生き物にとって、将来脅威となる敵が現れる可能性が推測される。
ので、その対策と備えの為に、砂漠大陸の調査が必要になった。
砂漠大陸に渡るルートは大河向こうの国々を通るしかない。
ので、そのルート確保なためには武力が必要になるかもしれない、
その為には、軍の補強と予算が必要である。
検討願いたい。」
「砂漠大陸の調査には、いかほどの軍隊を想定いたしていますか。」
「最低でも十万、もしかしたら敵の状況により、五十万になるかもしれない。」
「それだけの軍が動くと、各国からの反発が予想されますが。」
「平和的に話し合うつもりだが、99パーセントむりだろうな~。」
「それだと、今の軍事費は国家予算の十パーセントだが、国家予算をもう回る可能性があると?」
「今は何も言えないが、敵の勢力次第ではそれもあり得る。」
「予算を削って、敵の脅威が強大であった場合、われらが軍は潰される可能性がありますか?」
「それほどの脅威だと推測しているので、それは大いにあり得る。」
「では緊急補正予算の法整備を行います。」
「頼みます。あ、それと、俺の個人財産も真っ先に緊急補正費用に当ててくれ。」
国家予算の半分程ありますが。」
「え、なしてそんなにある。」
「大精霊様も含め、建国以来、ほとんど使っていませんので。」
「それでも多いだろう。」
「魔物や魔獣にボーボアの素材売却も含まれていますが、工場からの製品の利益はすべて閣下名義です。」
「あれれれ~。俺の知らないところで、俺の懐は潤っていたのか。」
「同じ様に、大精霊様もです。」
「じゃ~、サニーの分も補正予算に回そう。」
「私はそんなお金など見たこともないので、いいわよ。」
軍事補正予算はあっさりと片付き、軍事補正法案は成立した。
会議が終わり、会議室には鹿島達とエントツ軍務大臣とチャップリ元帥が残り、
「警察組織責任者の心当たりはあるのか?」と、エントツ軍務大臣がチャップリ元帥に声がけした。
「何人かの顔が浮かんだが、決めかねている。」
「なら、その調査をパトラ情報長官に相談したら?」
「パトラ情報長官も候補者の一人だ。」
「それはまずい、絶対まずいぞ。」
「なして?」
「情報局は軍組織から独立させて、情報省に引き上げたいのだ。」
「しかし、軍も新たな組織においても、情報局は絶対に必要だ。」
「だけど、情報局も警察機構と同じように組織化しないと、この先混乱が起きるし、対応に支障が出る。」
「また閣僚の同意を得る会議か。予算や縄張り意識で難題だな。」
「ここは、閣下の鶴の一声で乗り切ろう。」
とエントツ軍務大臣は言って、鹿島の方へ顔を向けた。
「閣下!閣下は以前、情報を制する者は世界を制すると、おっしゃっていましたですね。」
「あ~。俺のいた故郷では、指導者の心得だった。」
「情報局も、警察機構と同じように改革したいのですが?」
「ま、常に変動する社会においては、一番に改革を行うべきだろう。」
「情報局を情報省に格上げ願いたい。」
「円卓会議の承諾が必要でしょう。」
「成立は難しいかと、たとえ成立するとしても、かなりの期間が消費されます。」
「俺の勅旨が必要だと。」
「是非に、お願いします。」
「前例にならないか?」
「緊急な前例なら、実行すべきです。」
「確かに、情報局の活用を理解できない人には、不要の部署に思えるだろうな。」
「承諾していただけると?」
「俺も常に変化する情報に対し、常に最新の情報は軍隊同様必要だと思う。」
「早速、警察機構と同じようにZ-998号の指導を仰ぎ、情報省格上げの、勅旨を行います。」
「頼む。」との返事を聞き取ったのかが疑わしい程に、エントツ軍務大臣はチャップリ元帥の手を引き、会議室から出ていった。
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