【何カ所か18禁】鎮守様と異世界に

かんじがしろ

文字の大きさ
上 下
160 / 212
制覇行進

158 政務から逃げたヒカリ王女

しおりを挟む
 イザベラ女王はホルヘ公爵宰相からアクコー王の往生を聞き終えると口を強く結んでいたが、何かを悟った様子で肩の力を抜き口元を緩めた。
「叔父上様の気持ちは?」
「爽快です。」
「なれば、、、ムホー.マツゴロー男爵の行為は不問となされると?」
「そういう事です。」
「では、私もムホー.マツゴロー男爵の行為に感謝しよう。」
「丸腰無抵抗を宣言したアクコー王を、いたぶり殺したムホー.マツゴロー男爵殿には悪名が付いてしまったが、私にとっては名誉に傷がつかず、アントワの無念を晴らせたことでは、感謝している。」
すっきりとした表情のホルヘ公爵宰相に、イザベラ女王は微笑んで頷いた。

 集落を中心に森の東側に展開している三万の兵への撤退を指示連絡を、イザベラ女王はムホー.マツゴロー男爵伝令に命じた。

 オハラ王宮の制圧が終わったとの連絡で、イザベラ女王はデンシャ車両に乗り込みオハラ王宮へと向かった。

 イザベラ女王はデンシャ車両内でヒカリ王女からの連絡を受け、戦勝祝いと結婚祝いの引き出物として、ビクトリー女王国が占拠した場所はすべて譲るとの通達を受けた。

 イザベラ女王はヒカリ王女がオハラ首都を手放す心境の変化を考えると、オハラ王族聖女突撃騎馬隊が同族で兄になるアクコー王に敵対したことを、オハラ首都の守備兵や住民からの反発を恐れての事だと悟った。

 聖女突撃騎馬隊は既にオハラ王族のヒカリ王女から離れ、現時点では名目上ビクトリー女王国の配下であったが為に、同族殺しの汚名を避ける処置としてビクトリー女王国に帰属する希望者には、退職金を送るとの事である。

 デンシャ車両に同乗しているタワラボシ.ゲンバは、ヒカリ王女が決断したのは当然の処置だと心得ていた。
なぜならば、オハラ貴族領地は既に平定されていて、衛士兵としては聖女近衛兵だけで事足りることを知っていたからである。

 さらに驚きのことが知らされた。
オハラ王国はビクトリー女王国が占拠した場所以外全てを、鎮守聖国へ併合したとの連絡である。
ちなみに、オハラ国が鎮守聖国へ併合した事により、地図上からオハラ王国の名前は消滅してしまったのである。

 ヒカリ王女は鎮守聖国ヒカリ聖女皇后陛下の名称で呼ばれるとの事と、イザベラ女王の鎮守聖国での呼び名は、イザベラ軍神皇后陛下との事であるとまで知らせてきた

「従姉妹殿は政務から逃げやがった。」と、イザベラ軍神皇后陛下はほぞをかんだ。
「何か悔しげなことがあったのでしょうか?」
とホルヘ公爵宰相がイザベラ女王に微笑むと、「従姉妹殿が、、、。」と言って、口をつぐんだ。
「女王陛下は常に、何時でも鎮守聖陛下のもとへ、転移できますでしょう。」
「だよねー。そうだよ!独り占めなんかに負けられないわ。」
と言って立ち上がってこぶしを強く握り締め直した。

 オハラ王宮に着いたイザベラ女王は、すぐさま占領地の管理を第一師団に任せ、第二師団と第三師団に元聖女突撃騎馬隊改め特別攻撃騎馬師団はそれぞれ、ワンべ王国とツール王国にスリーヤ王国との国境に砦を築くように命じた。

 残りの第四師団はシャジャーイ王国との国境へと向かわせた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

処理中です...