【何カ所か18禁】鎮守様と異世界に

かんじがしろ

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制覇行進

160 仇討ち戦の影

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 眩しい朝日が窓から差し込む明るさで、鹿島は目を覚ました。
昨夜の同衾者ヒカリ皇后はすでにベッドから出たのか、鹿島だけが半身起き上がり、大きく腕を伸ばしたのちにベッドから降りた。

 下半身だけの下着姿で鹿島は寝室横のシャワー室へ向かい、全身に冷たい水シャワーを浴びてただ洗い流しだけで済ませた。

 食堂ではサニーとヒカリ皇后に、イザベラ女王に憑依している瞬間移動念力魔法使いキク精霊を除いた六人の精霊たちも席にいて、鹿島が現れてから一緒に朝食を始めるためか静かにお茶を飲んでいた。
鹿島は今までは白雪姫との行為時には何も感じなかったが、昨夜のフローレン精霊が憑依したヒカリ皇后との行為後に、不義罪悪感に襲われた事で、咄嗟にサニーの表情に見入り、不機嫌がないかを観察しながら席に着いた。

 白雪姫はヒカリ皇后にサニーが憑依した状態であったがために、罪悪感など起きようもなく鹿島自身も満足していたが、ヒカリ皇后にフローレン精霊が憑依した体を抱きしめることで、サニーの心が離れることへの不安がこみ上げていた。

 鹿島は落ち着かない気分のまま席に着き、サニーにチラリチラリと目線を向けた。
サニーは鹿島の目線に気づかぬふりして、運ばれてきたスープに匙を入れて口に運んでいる。

 朝食を終えた鹿島達はC-003号機に乗り込み、シャジャーイ王国国境へと向かった。

 鹿島はシャジャーイ王国国境上空から、眼下に見える避難民の数の多さに驚愕した。
「チョット、避難民の数、多くない?」とヒカリ皇后が呟いた。
「民族、、、大移動でも始まったのかしら?」と、サニーもおどけた声を出すほどの流民数である。

 ヒカリ自治区側ではすでに炊き出しが行われていて、流民受け入れを行っていた。
この大陸では各国の開墾率は低く、かなりの耕作向きの森や草原は存在しているが、いかんせん人口が少ない事が原因で、開墾が進まないのであった。

 鎮守聖国やヒカリ自治区の農業は機械化が進んではいるが、それでも人は足りているとの事はなかった。
ヒカリ皇后の希望で、C-003号機は炊き出しが行われている近くに降下した。

 流民のほとんどが着の身着のまま状態で衰弱し、やせ細ってしまった身体は食うや食わずの旅であった様子である。

 ヒカリ皇后は赤子を抱いた痩せ細った夫人に声かけて、「母乳回復。」と唱えた。
六人の精霊たちも翅を服の柄にして収め、赤子や子供達に老人達へ回復魔法を施しだした。

 C-003号機の操縦席から離れた鹿島は状況を理解し、急ぎチンジュ女神教会本部に連絡して、シャジャーイ王国から逃れ来る流民を、ヒカリ自治区やビクトリー女王国の国境道路、及び検問所での流民治療を要請した。

 鹿島は更に自治区長グレイドルーとイザベラ女王に無線連絡を行い、流民の保護を最優先してほしいと要請した。
自治区長グレイドルーとイザベラ女王の返事では、すでに活動中だとの事であり、自治区長グレイドルーにおいては予想以上の流民の多さに驚き、国境沿いへの派遣衛生兵を増強中であり、イザベラ女王の報告では、すでに一個師団が流民受け入れ活動中とのことであった。

 鹿島は後部室座席に座り安どの息を吐くと、同時に目の前の機内壁景色がゆがみだした。
空間が揺れているのかと驚いていると、
「突然お邪魔します。」との声とともに、黒い翅をはばたかせたイザベラ女王が現れた。
現れる一瞬前、身構えた鹿島はイザベラ女王の羽ばたく黒い翅ですべてを理解した。
すなわち、鹿島はせいぜい十メートル間の瞬間移動しかできないが、キク精霊の得意魔法瞬間移動念力は鹿島の体液で驚異的力を得て進化し、移動距離を伸ばしたのだと理解した。

「よく来てくれた。嬉しいです。」
といって鹿島がイザベラ女の肩を引き寄せると、イザベラ女王は体を硬直させたが、鹿島は構わず身体を抱きしめて唇を合わせた。

鹿島は長い接吻の後、
「会いたかったので、嬉しいです。」と鹿島は微笑んだ。
「わたくしは、、、用事があってお伺いしたのですが、頭が真っ白になって、、、要件を忘れてしまいました。」
といって、初夜行為時の異物侵入残影を感じてしまい、逸物残影を搾り出す様に太ももを強く内側に絞り込んだ。
が、下半身の力が抜けた様子で、イザベラ女王は鹿島の腕に身を預けた。

 鹿島はイザベラ女王を抱いて機内席に座らせると、後部貨物置場から紙パックのジュースとチョコレートを取り出し、小さなテーブルをつかんでイザベラ女王の前に置いた。
自身もテーブル前の席の向きを一回転させて、イザベラ女王と向き合う様に着席した。

 イザベラ女王はストローを使い一口飲み終えると、
「軍兵糧として送っていただいた、この紙パックの中にジュースがあるのは理解できたが、ストローの意味がみんな理解できなかったのよ。」
と言って微笑むと、要件を思い出したのか真剣顔な表情になり、
「我が国の掴んだタイガー. シャジャーイ軍の内部事情と、シャジャーイ王国内の事情を伝えに参りました。」
「では、私も知らされた情報を話そう。タイガー殿が戦を始めたのは父親の仇である叔父を打ち取ると宣言し、一部の地区ではビクトリー女王国特使の仇とも言っているらしい。
だが、奪い取った領地や町で農奴解放や農地改革を行いながらも、その支配地を任された新しい支配者は、元悪らつ馬賊や任侠を語る元悪族暴力集団指導者ばかりらしいので、住民からの評判は最悪の様子らしい。」

「タイガー殿は目先の敵を打ち滅ぼすのに精いっぱいの様子なのか、支配地域は弟のヤスゴロー.ドモヤスが采配しているらしいです。元裏家業の渡世人のヤスゴロー.ドモヤスの配下は元が悪童不良たちらしく、古い法律を蒸し返して権力を振りかざす、悪行三昧の乱暴者ばかりです。」
「タイガー殿は、追い出した領主や地主代わりの行政官達の悪辣を知らない。とのことか?」
「戦場で戦うのは主にタイガー殿配下の騎士たちであり、ヤスゴロー.ドモヤスとその配下達は後衛担当らしいです。更に我が国やキルオシ帝国の、山賊や裏家業者に不良冒険者などが集結して、ヤスゴロー.ドモヤスの配下になっている様子です。」

「タイガー殿はヤスゴロー.ドモヤスの配下達を、支配者に任命していると?」
「タイガー殿は自分の配下を、行政官に任命したいが、戦続きの為に戦専門の配下を削ことが出来ないのではないでしょうか。」
「ほぉ~。」と鹿島は大きく息を吐き、
「タイガー殿は我が国からの援軍を断ってきたらしいが、再度検討するべきか。」

「もう一つ、大きな情報があります。そのために相談に来ました。」
と言って、イザベラ女王が険しい表情になった事で、鹿島は流民の多さの出来事核心を推測できるのではとの思いで、身を固くして緊張しながらイザベラ女王の目を見据えた。

「ヤスゴロー.ドモヤス宰相の名で、我が国に条件付きの援軍要請が届きました。」
「なに!」
「条件は我が国が敵対しないで、友好同盟関係をして頂けるなら、国境であるアコー伯爵領地と避難民の譲渡です。」
「なぜに?ヤスゴロー.ドモヤス宰相の名なのだ?」
「使節人の言い方だと、内政、外交はヤスゴロー.ドモヤス宰相の担当で、タイガー殿は戦に専念したいがためらしいです。」
「タイガー殿は目一杯の戦なので、ほかのことに気が回らないとのことか?いや、、、まさか、ヤスゴロー.ドモヤス宰相との個人密約ではないだろうな?」
「ヤスゴロー.ドモヤス宰相の名での条件なので、そこが曖昧なのです。」
「では同じ条件で、グレイドル自治区とキルオシ帝国との接触も、、、あり得るか?」
「可能性があると思い、調査中です。」
「ヤスゴロー.ドモヤス宰相の名での条件なのか、、、知りたい。」
「最優先事項でしょう。」

 鹿島はヤスゴロー.ドモヤス宰相の本意を調べる必要を感じた。
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