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制覇行進

146 結婚式

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 天上何処までも雲一つない晴天の下、空に打ちあがる紅白花火煙は鮮やかな祝いを晴れやかに彩っていた。

 大型オープンカーの前列には鹿島とサニーが乗り、後部座にはイザベラ女王とヒカリ王女が並んでいた。
三人の花嫁たちを乗せた大型オープンカーが宮殿を出ると、色とりどりの花吹雪の中、、沿道を埋め尽く居並ぶ熱狂した観衆が、三人の花嫁たちに歓喜の声援を上げ始めた。
式祭壇場として設けられた野外スタジアムでは、抽選で当たりくじを引いた観衆で埋め尽くされていた。

 円形の野外スタジアムはサッカースタジアムにも劣らない広さで、観客席も数千人分もあり、すり鉢型に盛り上がっていた。

 鹿島の左横にはサニーが腕を組み、右側にはヒカリ王女とイザベラが並んでスタジアム通路を進むと、どこまで青い晴天下のスタジアム中央には紅白日章クロスの式祭壇が設けられていた。

 式祭壇の前にはシンデレラ司祭長が居て、その後ろには一段高い椅子に鎮守様が座していた。
そしてなぜかシンデレラの斜め後ろには、キルオシ帝国第三皇子エルドレッド.ジュニア.キルオシことハクバと、シンデレラ司祭長の兄たち護衛も三人並んでいる。

 大きな花束を抱えたサニーは若葉繫る花嫁衣裳であり、腰ひもリボンの先を引いているのは身体中を葉っぱで覆い、翅で飛翔しながら六人の兵隊人形妖精が率いていた。

やはり大きな花束を抱えたヒカリ王女は白い花嫁衣裳であり、腰ひもリボンを持っているのは火魔法が得意の翅を翻したサクラと、サクラ配下の翅を翻した赤色兵隊人形妖精が続き、並んで進むイザベラ女王は赤色花嫁衣裳で、腰ひもリボンの先を、同じ様に翅を翻した六人の精霊達も飛翔しながら持っていた。

 花婿と三人の花嫁たちはシンデレラ司祭長の居る式祭壇前に並び恭しく頭を下げると、
「花婿は、妻に誠実であり、妻を守る義務をチンジュ女神様に誓いなさい。」
「伴侶たちの幸せを第一とし、伴侶たちを一生涯守る事をチンジュ女神様に誓います。」

「花嫁は花婿から一生涯幸せとなる権利を得、守って貰う事をも要求できます。花嫁は夫に誠実で尽くす事を誓えますか?」
「一生涯尽くします。」
とサニーは返事し、ヒカリ王女は、
「我が身、我が生涯はチンジュ女神様に誓い、タロー様一筋です。」
「チンジュ女神様に誓い我が身、我が生涯全てをタロー様の為に、お使いしてください。」と、イザベラ女王も応じた。

 鹿島は三人の薬指に指輪を押込み、三人の花嫁も誓いの言葉を述べながら、鹿島の指にそれぞれの指輪を並べた。
「花婿は、花嫁達から全てを奉げられた事を確認しました。チンジュ女神様から祝福を受けなさい。」

 スタジアム天上を覆うほど飛翔した妖精たちが現れると、金色銀色の粉雪が四人の頭上から降り注ぎ、
「誓いは聞いた。タローちゃん、おめでとう。みんなを大事にしなさい。サニーちゃんの一途は誉でしょう。
ヒカリちゃんも大切な人と、いつまでも一緒にいなさい。イザベラちゃん、理想と違うことが起きても、あなたの大事な幸せ気持ちは続くでしょう。祝福加護の強化。」
と鎮守様は椅子に座ったまま、片手をあげて微笑むと、金色銀色の粉雪は鹿島と三人の花嫁に浸透し、さらにリボン持ち達にも浸透して消えていった。

 スタジアムの観覧席にいた群衆は精霊様と、文化の違う結婚式に固唾を飲んで声一つ上げることなく見ていたが、鎮守様のささやきで喉奥で押さえていた歓声を吐き出すことが出来、スタジアム内に怒涛の唸り歓声を響かせた。

 三人の花嫁たちが花束を天高く放り投げると、「風魔法。」とサニーが叫んだ。
花は観客席へ幅広く落ちていくと、観客席では黄色い声が響き渡った。

 結婚式典が終わり、鹿島と三人の花嫁たちは精魂尽きた様子で、だらしなくソファーでくつろいでいた。
六人の精霊達は鹿島と三人の花嫁たちとは違いチョコレートをほおばり、さらに薬師精霊特性回復薬をも飲んでいた。

 六人の精霊達は鹿島伝授のジャンケンで、何やら殺気立った勝負をしだしていた。
最初に勝ったのは、どうやら瞬間移動念力使いキクのようであった。
「あたしが一番!ババ~特性強化薬の出番だ!」
とキクは小瓶を掲げて叫んだ。
「え~、ズルい!」
「皆もでしょうが?全員ババ~に、特性強化薬を頼んだのを知っているわよ。」
と、キクは胸をそらした。

 キク以外の五人の精霊たちは輪を組み、何やら相談しだした。
「例え、最初に懐妊しても、その後は、私たちの番でいいのでしょう。」
と、シャクヤクは不満げにキクに詰め寄った。
「それは、タローやイザベラちゃん次第でしょう。」
「その時懐妊したとしても、その後まで憑依をしないでよ。」
「私はフローレンと違い、寛大だから、譲ってあげるわ。」
「チンジュ女神様に誓いなさい。」
「チンジュ女神様に誓います。」
「主様にも誓いなさい。」
「サニー主様にも誓います。」
といって、五人の精霊たちはキクを伴いサニーのそばに行き、
「私の時、懐妊したとしても、その後まで憑依をしないで、みんなにもチャンスを上げます。」
と、キクはサニーにひざまずいた。

 サニーは突然の申し出に戸惑い、
「何の真似?」
サニーは六人の精霊達からの説明を受け、
「そうね~?双子か六つ子の可能性だってあるわね。」
「え~。六つ子?」
「可能性の話よ。」
六人の精霊達はポケットからチョコを取り出し、再び薬師精霊特性回復薬をも飲みだした。
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