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制覇行進

104 果報は突然に

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 月明かりの中、勝利に沸く街の喧騒雄叫びは、静かなゴールドル邸宅の窓を揺らすほどとどろいていた。

 ガウンをまとったヒカリ王女が部屋から出て鹿島の部屋へ向かっていると、
(ヒカリちゃん、右手右足、同時に前へ進めているが、大丈夫ですか?)
と、すでに憑依しているサニーが声がけした。
「あ、でも大丈夫です。右、左、右、左、、、、。」
と言いながらも互いの足がもつれあい、転んでしまった。
(大丈夫ですか?日を改めましょうか?)
「ころんじゃいました。でも大丈夫です。行きましょう。右、、、左、、、。右、左、右、左。今度は大丈夫です。」
(別に歩き方など、どうでもいいけどさ。もう少し、リラックスすべきだわ。)
と、サニーもかなり緊張しているが、それを隠すようにあきれ風の言葉を投げかけた。

 ヒカリ王女は鹿島の部屋扉の前に立ち、大きく息を吸って扉をノックした。
「あ、サニーが帰ってきたわ。」
「あ~あ、あと一回りだったのに。」
と、妖精たちから不満声が出た。
鹿島はサニーの意識を感じながらも、何でノックするのだろうと不思議に思いながら妖精達の声を無視し、「空いているよ。」といって扉を見つめた。

 鹿島は扉を開けて入ってきたのがヒカリ王女の体系で、顔はどことなくサニーの面影が出ていたので驚きの声を上げた。
「サニー、、、、いや、ヒカリ殿?いや、やっぱりサニーだ。憑依生命進化人か?」
「ヒヒヒ、サニー見参~。」といって歌舞伎型の見えを切った。
「おい。ヒカリ殿の体で遊ぶなよ。」
ヒカリ王女は鹿島の声を無視して、
「ヒカリちゃんの部屋には、特別なケーキと焼き菓子があるわよ。」
と、七人の妖精に話しかけると、七人の妖精達はトランプを投げ出し、一目散に通路へ飛翔していった。
「よし!これで邪魔者はいなくなったな。」
といってヒカリ王女は扉の鍵を閉めた。
「ヒカリ殿の体では、上品なしゃべり方をした方が良くないか?」
「今日は、意識も身体もみ~んな、私のものだからいいのだ~。」
「で、それで何が目的なの?」
「タローと今夜つがいになるのだ~!」
「は、へ、ひ?つがいって何?」と鹿島は首を傾けた。
(おい。タロ~はつがいを知らないぞ。)
(人種の場合は、表現言葉が、違うのです。)

 ヒカリ王女の中のサニーは、鹿島に通じる言葉を探し、
「タローのタネを、ヒカリちゃんが欲しいのだ。」
と、微笑んだ。
「で、何でサニーが、憑依する必要があるのだ?」
「不義密通にならないのだ。」
「は~、不義密通か、確かに、俺らは伴侶だからな。」
「そうだ。私達は伴侶なのだ。」
「で、ヒカリ殿が、、、了解していると?」
「ヒカリちゃんから、欲しいとの申出だ。身体はヒカリちゃんだが、意識は私だ。不服?」
「不服などない。ヨロ、、、、、しく。」
「今、喜んでと言おうとした?」
「はい。」
「怒りたいが、タローがこれからは、だれかれとなく、欲情しないように、ヒカリちゃんの体で私が相手をしてあげます。」
「宜しくお願い致します。」
と、鹿島は満面の笑顔が出るのを必死に抑えたのは、このチャンスを逃したくないと思ったからである。

 鹿島は互いにテーブルに座り向き合っている態勢から、ヒカリ王女顔のサニーをどのような言葉でベッドへ誘おうかと思案しだした。
鹿島にすれば、それなりにお金で解決していたので、相手のリードで事は運んだが、二人に嫌がられない方法を模索しだした。

 鹿島は地球ではそれなりの遭遇とチャンスはあったと思いながらも、断られるのが怖くて行動できなかったことを、今更ながら後悔していた。
A―110号はそれなりの物を持ってはいるが、すべての思考は戦闘だけに特化していた。

 そして、鹿島は絶望な出来事を思い出した。
風呂上りの後、パトラの目線に気づき、つい、言ってしまった。
「俺の逸物、すごいでしょう。」
「凄いです。」と言って、パトラは逃げるように部屋から飛び出ていった出来事である。

「やっぱり、暴走しそうだから、、、、。ではベッドへ行きましょうか。」
と、サニーが声掛けした。
鹿島は(しまった。読み取られたか。)と後悔したが、すでに遅かったようである。
「本当に、オスの本能そのままだったのね。」
と、ヒカリ王女の顔で半目をして鹿島をにらんだ。

 鹿島は期待と不安ごっちゃまぜの心境で上着を脱ぎだすと、
「きれいに洗ってきてよね。」
とサニーは鹿島に声がけした。

 鹿島は慌てて上着を羽織り直し、通路に飛び出して浴場へ向かった。
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