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国興し
50 円卓会議前
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爆撃機の操縦席には鹿島がいて、サニーは副操縦席を陣取り、鎮守様は補助席を引き出して二人の後ろに座っている。
「念力通信映像から感じていたが、鎮守様は容赦ないな~。触らぬ神に祟りなしとは真実であったのか?」
「あ奴らは、一応交渉をしていたようでしたが、チンジュサマは、交渉は無意味だと思われたのですか?」
「奴らの心の中は、ねじ伏せて、命令するだけのつもりだったからね。」
「奴らは、交渉などするつもりは無かったと?」
「言葉では、交渉だと見せかけていたが、腹の中では問答無用と、王命であると言って、抑え込むつもりだったのよ。」
「想いを読んだと?」
「タローちゃん。あなたは神社にお詣りした時には、願い事を口にしないでしょう。」
「胸で思い、口には出さない。」
「胸で思いは伝わると信じているからでしょう。だから、私は、その期待に応えるのです。」
「あ、私がタローの胸の思いをわかるのと、一緒なのだ。」
「相手が私に注目しているのなら、胸の思いは声として届くわ。」
「鎮守様と交渉するなど、無謀か。」
「フフフ、、、そうね。」
「ヒカリ王女には、教えるのですか?」
「もちろん。伝えるわ。」
「兄の死は、ショックだろ~。」
「案外、ほっとするかもよ。」
「え、????」
「結果は御覧じろ、ですわ。」
「細工は流々仕上げを御覧じろ。と聞こえるが?」
「フフフフ。」
と鎮守様は含み笑いをするだけで、返事はしなかった。
鎮守様の含み笑いを何とか読み取ろうと、鹿島とサニーが沈黙しだすと、
「二人の力では、私の胸の内を覗く事は無理よ。それよりもタローちゃんに提案があるの。」
「提案?神命でなく?」
「私は、家族に命令などしないわ。」
「提案の内容は、、、、?」
「緊張するほどのことではないわ。
一つは、国名が妖精国では、変でしょう。鎮守聖国では、どうでしょうか。」
「この惑星を守る、鎮守になれと?」
「タローちゃんとA―110号の精神は、完全に融合し合ったようね。」
「頭の回転が、良くなったとの意味だろうか?」
「そうです。二つ目は、鎮守聖国の兵は、すべて聖騎士団員です。」
「各教会に派遣された聖騎士団は、ほかの国から見た場合、他国の兵となってしまいますが?」
「敵対国からすれば、そうなるが、友好国からしたら、援軍と扱ってもらえるわ。」
「友好国を庇護するとの名目ですか?」
「いいえ、教会を庇護するとの名目ですわ。」
「なんか、歴史で学んだ、教会の名を語った国の侵略名目の様な、、、。」
「それも、結果は御覧じろ、ですわ。」
鹿島は釈然としないまま、「頭の回転が、良くなった」と肯定された事にも、いささか傷がついた思いであった。
爆撃機は、鹿島の傷ついた心を乗せたまま神降臨街に着いた。
神降臨街に鎮座した空母艦の呼び名は、今ではチンジュ女神教会と呼ばれていた。
チンジュ女神教会の円卓会議室では、鹿島とサニーは鎮守様を挟むように座っていた。
出席者は各部署の主だった面々が揃った。
国の運営責任者として、軍事責任者エントツ、行政責任者アチャカ、財務担当トニーヤマは固まって並んでいる。
名前なき薬師精霊と、五人の教官妖精も出席しているが、鹿島の隣を五人が争っていた。
新たに現れた賢者とC-002号は並んで座っていた。
シンデレラは、ポツリと独りぼっちの席にいた。
ヒカリ.オハラ王女とマリー.ゴールドルルは、何故か不安げに離れた席に座っていた。
ヒカリ王女の不安は見知らない人が多いだけではなく、鎮守様からの告白話があった後での、重大発表があるので客人として出席してほしいとの要請であった。
第一王子を殺めたことを聞いた瞬間は驚いたが、従妹であるビクトリー王国公女アントワのときのような寂しさは感じなかったし、ましてや怒りさえも湧かなかった。
ただ、吹き出物が取れたときの同じ感動が湧いたが、それは悟られないよう深く沈めていた。
「念力通信映像から感じていたが、鎮守様は容赦ないな~。触らぬ神に祟りなしとは真実であったのか?」
「あ奴らは、一応交渉をしていたようでしたが、チンジュサマは、交渉は無意味だと思われたのですか?」
「奴らの心の中は、ねじ伏せて、命令するだけのつもりだったからね。」
「奴らは、交渉などするつもりは無かったと?」
「言葉では、交渉だと見せかけていたが、腹の中では問答無用と、王命であると言って、抑え込むつもりだったのよ。」
「想いを読んだと?」
「タローちゃん。あなたは神社にお詣りした時には、願い事を口にしないでしょう。」
「胸で思い、口には出さない。」
「胸で思いは伝わると信じているからでしょう。だから、私は、その期待に応えるのです。」
「あ、私がタローの胸の思いをわかるのと、一緒なのだ。」
「相手が私に注目しているのなら、胸の思いは声として届くわ。」
「鎮守様と交渉するなど、無謀か。」
「フフフ、、、そうね。」
「ヒカリ王女には、教えるのですか?」
「もちろん。伝えるわ。」
「兄の死は、ショックだろ~。」
「案外、ほっとするかもよ。」
「え、????」
「結果は御覧じろ、ですわ。」
「細工は流々仕上げを御覧じろ。と聞こえるが?」
「フフフフ。」
と鎮守様は含み笑いをするだけで、返事はしなかった。
鎮守様の含み笑いを何とか読み取ろうと、鹿島とサニーが沈黙しだすと、
「二人の力では、私の胸の内を覗く事は無理よ。それよりもタローちゃんに提案があるの。」
「提案?神命でなく?」
「私は、家族に命令などしないわ。」
「提案の内容は、、、、?」
「緊張するほどのことではないわ。
一つは、国名が妖精国では、変でしょう。鎮守聖国では、どうでしょうか。」
「この惑星を守る、鎮守になれと?」
「タローちゃんとA―110号の精神は、完全に融合し合ったようね。」
「頭の回転が、良くなったとの意味だろうか?」
「そうです。二つ目は、鎮守聖国の兵は、すべて聖騎士団員です。」
「各教会に派遣された聖騎士団は、ほかの国から見た場合、他国の兵となってしまいますが?」
「敵対国からすれば、そうなるが、友好国からしたら、援軍と扱ってもらえるわ。」
「友好国を庇護するとの名目ですか?」
「いいえ、教会を庇護するとの名目ですわ。」
「なんか、歴史で学んだ、教会の名を語った国の侵略名目の様な、、、。」
「それも、結果は御覧じろ、ですわ。」
鹿島は釈然としないまま、「頭の回転が、良くなった」と肯定された事にも、いささか傷がついた思いであった。
爆撃機は、鹿島の傷ついた心を乗せたまま神降臨街に着いた。
神降臨街に鎮座した空母艦の呼び名は、今ではチンジュ女神教会と呼ばれていた。
チンジュ女神教会の円卓会議室では、鹿島とサニーは鎮守様を挟むように座っていた。
出席者は各部署の主だった面々が揃った。
国の運営責任者として、軍事責任者エントツ、行政責任者アチャカ、財務担当トニーヤマは固まって並んでいる。
名前なき薬師精霊と、五人の教官妖精も出席しているが、鹿島の隣を五人が争っていた。
新たに現れた賢者とC-002号は並んで座っていた。
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ヒカリ.オハラ王女とマリー.ゴールドルルは、何故か不安げに離れた席に座っていた。
ヒカリ王女の不安は見知らない人が多いだけではなく、鎮守様からの告白話があった後での、重大発表があるので客人として出席してほしいとの要請であった。
第一王子を殺めたことを聞いた瞬間は驚いたが、従妹であるビクトリー王国公女アントワのときのような寂しさは感じなかったし、ましてや怒りさえも湧かなかった。
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