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国興し
41中央砦
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鎮守様と誘拐犯人タイガーが乗った幌馬車は、国境監視中央砦の門に入ると門はすぐさま閉ざされ、槍や剣にコンパウンドボウを持った大勢の兵に取り囲まれた。
「女神様をどこに連れて行く気だ!」
と、砦の隊長に成ったチャップリは、剣先を幌馬車の操舵席にいるタイガーに向けた。
タイガーは剣先と槍鉾を向けられたことよりも、鎮守様を誘拐したことが国境沿いの砦にすでに知られていることに驚いた。
タイガーはコンパウンドボウの威力を、自身の体で既に経験させられ済みであったので、無駄な抵抗はできないと悟り、剣を腰から外すと静かに操舵席から降りた。
鎮守様も異変に気が付いた様子で、ホロを開いて荷台の後部から降りてきた。
「チャップリ守備隊長殿、警備ご苦労様です。申し訳ありませんが、私共を通していただけませんか?」
と、にこやか顔で頭を下げた。
幌馬車を取り囲んでいた兵たちは、鎮守様の美貌に顔を高揚させてまじまじと見つめていた。
チャップリも顔を高揚させながらも、仕事は忘れていなさそうで、
「女神様が誘拐されたとの連絡を受け、待機していました。お身体は大丈夫ですか?」
「ありがとう。私は大丈夫よ。」
「これからどこかに行かれる、予定でしょうか?」
「タイガー殿が、ミミズ街のナントン領主屋敷に案内してくれるらしいのです。その後は、おそらく、、、オハラ王国首都に行くでしょうね。」
「そんな馬鹿な事、承諾できません。」
「では、タローの承諾があれば、通してもらえますか?」
「もちろん。お館様の命令は、絶対です。」
「では、既に陽は傾きだしていますので、今夜はここで一泊できますか?」
「是非、そうしてください。その間にお館様と連絡を取ります。」
「タローとの連絡は、夕方にならないと、連絡できないでしょう。」
「今お館様は、何処かにお出かけだと?」
「タローとサニーは、ボーボアにかかりっきりでしょうから。」
「ボーボアと、戦っていると?」
「既に二頭のボーボアを仕留め終わり、その処置にかかりっきりでしょう。」
「矢張り、俺らのお館様はすごいや。」
とチャップリはこぶしを握り締めて、ガッツポーズをしだした。
タイガーは武装解除されて何処かに連れ去られたが、鎮守様はチャップリの案内で、ベッドだけが置いてある部屋に案内された。
部屋は綺麗に掃除されてはいるが、窓にはカーテンもなく空漠とした部屋である。
「何もない部屋ですが、必要なものは用意します、何なりとお申し付けください。」
鎮守様はしばらく間をおいて、
「机と椅子をお願いします。」
「かしこまりました。すぐに用意させます。食事も部屋に運んできます。」
「食事はみんなと一緒でいいわ。」
「女神様と一緒の食事は、みんなが混乱状態になってしまいます。」
鎮守様はチャップリの言葉に首をかしげたが、すぐに意味を理解した様子で、
「私の容姿はタロー好みだが、他の人にも好まれるとは、嬉しいわ。」
と言って満面笑顔になった。
チャップリは、何の疑問もなくつい気持ちのまま、
「女神様は容姿を、、、お館様好みに、、、したので、、、なられたのですか?」
「そうよ。」
チャップリは顔を高揚させると、何かを感じて、逃げるように慌てて部屋から飛び出した。
部屋から飛び出たチャップリは、
「俺のときめきは、お館様に対する不忠になる。冷静になるのだ俺。」
と全身に力を込めて呟いた。
鎮守様は鹿島とサニーからの念力通信から思考を読み取り安堵して机に向かうと、今後の指示を母艦のコンピューターに遠隔操作してプログラムしだした。
カジマとサニーは鎮守様からの念力通信を受け、何が目的なのかを問うと、
鎮守様からの答えは、「布教活動です。」との返事であった。
母艦のコンピューター室にはだれもいないが、せわしなく変則な光の点滅と音が響いていた。
「女神様をどこに連れて行く気だ!」
と、砦の隊長に成ったチャップリは、剣先を幌馬車の操舵席にいるタイガーに向けた。
タイガーは剣先と槍鉾を向けられたことよりも、鎮守様を誘拐したことが国境沿いの砦にすでに知られていることに驚いた。
タイガーはコンパウンドボウの威力を、自身の体で既に経験させられ済みであったので、無駄な抵抗はできないと悟り、剣を腰から外すと静かに操舵席から降りた。
鎮守様も異変に気が付いた様子で、ホロを開いて荷台の後部から降りてきた。
「チャップリ守備隊長殿、警備ご苦労様です。申し訳ありませんが、私共を通していただけませんか?」
と、にこやか顔で頭を下げた。
幌馬車を取り囲んでいた兵たちは、鎮守様の美貌に顔を高揚させてまじまじと見つめていた。
チャップリも顔を高揚させながらも、仕事は忘れていなさそうで、
「女神様が誘拐されたとの連絡を受け、待機していました。お身体は大丈夫ですか?」
「ありがとう。私は大丈夫よ。」
「これからどこかに行かれる、予定でしょうか?」
「タイガー殿が、ミミズ街のナントン領主屋敷に案内してくれるらしいのです。その後は、おそらく、、、オハラ王国首都に行くでしょうね。」
「そんな馬鹿な事、承諾できません。」
「では、タローの承諾があれば、通してもらえますか?」
「もちろん。お館様の命令は、絶対です。」
「では、既に陽は傾きだしていますので、今夜はここで一泊できますか?」
「是非、そうしてください。その間にお館様と連絡を取ります。」
「タローとの連絡は、夕方にならないと、連絡できないでしょう。」
「今お館様は、何処かにお出かけだと?」
「タローとサニーは、ボーボアにかかりっきりでしょうから。」
「ボーボアと、戦っていると?」
「既に二頭のボーボアを仕留め終わり、その処置にかかりっきりでしょう。」
「矢張り、俺らのお館様はすごいや。」
とチャップリはこぶしを握り締めて、ガッツポーズをしだした。
タイガーは武装解除されて何処かに連れ去られたが、鎮守様はチャップリの案内で、ベッドだけが置いてある部屋に案内された。
部屋は綺麗に掃除されてはいるが、窓にはカーテンもなく空漠とした部屋である。
「何もない部屋ですが、必要なものは用意します、何なりとお申し付けください。」
鎮守様はしばらく間をおいて、
「机と椅子をお願いします。」
「かしこまりました。すぐに用意させます。食事も部屋に運んできます。」
「食事はみんなと一緒でいいわ。」
「女神様と一緒の食事は、みんなが混乱状態になってしまいます。」
鎮守様はチャップリの言葉に首をかしげたが、すぐに意味を理解した様子で、
「私の容姿はタロー好みだが、他の人にも好まれるとは、嬉しいわ。」
と言って満面笑顔になった。
チャップリは、何の疑問もなくつい気持ちのまま、
「女神様は容姿を、、、お館様好みに、、、したので、、、なられたのですか?」
「そうよ。」
チャップリは顔を高揚させると、何かを感じて、逃げるように慌てて部屋から飛び出した。
部屋から飛び出たチャップリは、
「俺のときめきは、お館様に対する不忠になる。冷静になるのだ俺。」
と全身に力を込めて呟いた。
鎮守様は鹿島とサニーからの念力通信から思考を読み取り安堵して机に向かうと、今後の指示を母艦のコンピューターに遠隔操作してプログラムしだした。
カジマとサニーは鎮守様からの念力通信を受け、何が目的なのかを問うと、
鎮守様からの答えは、「布教活動です。」との返事であった。
母艦のコンピューター室にはだれもいないが、せわしなく変則な光の点滅と音が響いていた。
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