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第6段階 part2

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 私は今、散歩中である。
アレンとお父様が私をつまみ出してお話し中のため。
アレン様は結局、罠にかからず……お楽しみ頂いたようだ。私の罠はまだまだのようだ。あーあ
「……ん?なんか石がいっぱい落ちてる……」
なんか、歩いてたら石に出会いました。
「でも、なんか不自然?」
石は一列に置かれていた。しかも、形はほぼ一緒。
いきなりだけど皆さん、『水切り』かな……知ってます?海とか湖とか川とか!平たい丸い石で遊ぶやつ。
「フッフッフ。腹いせに水切りでもしてやろ……」
さぁ、始まりました!水切り選手権!
……まぁ、そんなこんなで一列になっていた、平たい丸い石を全て近くの『湖』に打ち込んだ。
アレン様への悔しさを満タンに詰め込んで。
 その後は屋敷に帰って昼食となった。ところで……さぁ……
 ねぇ、ひとつ聞いていい?何でアレン様とお父様はご機嫌なわけ?にっこにこしてるんだけど……
「お父様、アレン……何か良いことあった?」
「「いや、別に?」」
二人同時に答えた。息ぴったしである。なんなの?……はぁ、まぁ……いっか。
あ……そういえば
ボソッ「あいつら警備につき出さなきゃ」
ピリッ
ん?あれ?今、一瞬何か空気が……
「ユナ。」
!……や……ヤバい。今、口に出てた……
「な……何?アレン。」
ほんっとにヤバい。あの……あのねアレン様のお顔が……地獄。にっこり笑ってるよ。
「今、なんて?」
「あ……あぁ。お部屋に戻ろうかなぁ……なんて」
「ふーん。で?なんて?」
アレン様は笑っております。もの凄くにっこりと笑っております。ちなみに……皆さん、私の今の状況知ってます?
アレン様が魔法の鎖で私を拘束なさってます。
「早く言わないと……言わせるよ?」
「ヒッ……言います。許して……」
もう……降参である。私は罠にかけた暗殺者のことを片っ端から話すこととなった。
「ユナ……連れておいで?」
「はい……」
アレン様、ほんっとに怖い!恐怖!
私は、捕まえた暗殺者を魔法で拘束して連れてきた。
「……ユナ。君さ、ほんとに面白いね。」
面白いと口にしたアレン様。真顔である。うわぁ……絶対怒ってる。そんな緊迫した中で空気を読まない、暗殺者が生意気にも口を開いた。
「ハッハッハ!お前は終わりだ!『逆殺姫』!」 
ん?『逆殺姫』……は?私、そう呼ばれてるの?
「失礼ね!殺してないもん!まぁ、ちょっとは……ねぇ死にかけてた人もいた……けどさ。殺してないから!」
「はぁ……ユナ……君ね。それはひとまず置いといて。おい、暗殺者どういう意味だ?」
「あぁ、風の貴公子か。ちょうどいい。お前も終わりだなぁ。」
……アレン様、見たこともないほど。言ってしまえばゴミを見るような目でにらんだ。
「耳でも悪いのか?どういう意味だと聞いてる!」
「そんなに知りたいか?まぁ、どうせ全員お陀仏なんだ。教えてやる。」
「早く言え」
「必死だな。教えてやるさ!ここはな、後30秒もすれば吹き飛ぶんだ!もう既に仕掛けている。ほら、後10秒だぞ?」
アレンは私を抱き上げた。どうやら、空へ逃げるつもりらしい。でも……ごめんね。アレン……ここ『罠屋敷』なんだよね。
「……ほんとに君は。抜かりないな……」
アレンは私を抱き締めた。そして……次の瞬間……私は視界と言葉を失った。


重なった唇に私は驚きしかなかった。でも、どこか切なく悲しくて。まるで……死ぬときは一緒だとそう言われているようで。押し退ける力なんてあるはずもなく。
その時、私は気づいたのだ。
あーあ。ゲームさまさまだなぁ。私
「アレンが好きなのか……」


「!……」




私の『スローライフ計画』第6段階。思わぬ障害発生である。『恋』という名の。一番恐れていたものだ。



あぁ……てか私キ……キスしてるの?恥ずかしいんですけど……
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