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銀嶺の章
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鳥居をくぐり歩き出す。白猫の姿はもう見えることなく、私は独りただただ歩いていく。やっぱりちょっと怖いけど…でももうここまで来たから。長く歩いたのか後ろにはもう鳥居と階段しか見えないようになっていた
「……う~やっぱり怖い。白猫ちゃーん。戻って来てよー…って言っても無駄だよね」
独りは怖い。怖いし…寂しい。こんな状況なのに…いやこんな状況だからなのか現実がフラッシュバックしてきて…ふつふつと頭によぎる。暖かかった祖父母はもういないということ。それが鮮明に。とても仲が良かった祖父母…おじいちゃんが先に亡くなってからは、おばあちゃんも心を病むようになり、ついに後を追って行ってしまった。悲しくて寂しかったけど…でもここまで暖かく育ててくれた。私を受け入れてくれた。ここに居ていいんだって…そう言ってくれたから。もう充分だと思った。こんなこと思ったら不謹慎かも知れないけど、これで二人共また一緒に入られるようになったんだよね。二人共寂しくないよね。それなら…私は充分だと。だから、二人共私なんて気にしなくて良いからいつも通り仲良く暮らしてほしい。そう思う
「……私は…大丈夫だから」
言い聞かせるように吐く言葉。その声はとても弱々しい。私に残されたものは何だろう。私の存在は…何処にあるんだろう。誰の記憶に残ってるんだろう。私はこれから先何を思って生きればいいのかな。そう思って気持ちは沈んだ
私は……何なんだろう。
寂しさは消えない。悲しさも苦しさも消えない。あぁ…心が死にそうだ。私の中で、何かが崩れていく気がした。でも…その時また…『音』が響き出した。今度は鈴の音でも猫の声でもない。心地良い…歌のようなそんな音
チリンッチリンッ
『おいで おいで 迷い子よ 鈴の音鳴る方へ
おいで おいで こちらにおいで
悲しみ 苦しみ 背負う子よ
今ひとたび 休みにおいで
神の膝下 神隠し 神の膝下 神隠し
さぁ 鳥居 くぐり 休みにおいで』
チリンッチリンッ
声に導かれるように進んで行くと、目の前に大きな鳥居が現れた。その鳥居の中は淡く光っていて先が見えない。ここが何かの入口だと言うことは分かるけど…怖いな。そう思うのに何故か足は不思議と進み、淡い光の中へ進んで行く。今も声は…唄は微かに聞こえるが段々と遠くなって行くのが分かる。
チリンチリン
『おいで おいで さぁ 今ひと度の休息を』
遠く微かに聞こえたその声は…そう…言っていた気がした…
「ん……」
何…ここ。何だか騒がしい。たくさんの人の声がする。私…今寝てる?草…の上だよね。いつの間に、鳥居をくぐって…
「ぇっと、ここ…どこ?」
目が覚めた時には、見に覚えのない草むらにいた。いつの間にかここに寝てたみたいで…周りを見渡しても、もうあの鳥居はない。あんなに大きかったのに、今は何も見えない。それに、ここは…いったいどこなんだろう。ここはなんて言うか…歴史の教科書に出て来そうな感じ…そう今どきの乙女ゲームで昔を再現してるけど…現代のものもいくつか混じった感じの。それにもっと不思議なのは…みんな服が入り混じってること。着物もあれば、現代のスーツ?みたいなのを着てる人もいる
「…何ここ?」
私は途方にくれながらも、立ち上がり少し歩くことにした。普通なら悪目立ちしそうだけど…この雰囲気だと大丈夫そう…
私はとりあえず歩いていく。女性も男性もいるけど…ある一定の場所まで行くと分かれ道があるみたいで男性はいつの間にか消えてしまった。女性しか周りにはいなくなったけど…その女性たちの顔は歓喜に満ち溢れていて幸せそうだ
「はいはい、こんばんは!そこの綺麗な奥さん、よってかない?うちには良いの揃ってるよ!さぁ見てって上げてくださいな」
「あらぁ~お上手ね。今日はここにしようかしら」
「お!ありがとうございます!さぁさ、どうぞこちらへ。お荷物お持ちしますよ!」
息のいい声が響く。古い作りだけど、何処か綺麗なその建物には美しく着飾った男性?が座っていた。
ここって…何だか花街みたい。女の人じゃなくて男性だけど…
綺羅びやかで眩しいその場所は…私には何処か場違いな気がして…しばらく歩いた所の隅の草むらに座り込んだ。私…何しに来たんだろ。歩きすぎて足は痛いし、怖くて手は震えてる。独りっていう苦しさもまだ消えてなくて胸の痛みは残ったままだ
「もぅ…疲れたな…」
もう、疲れた。ここが何処だか分からないし…白猫ちゃんもいないし。どうせもう夜だから、泊まるとこないし。もう…いや…私は身を丸めてうずくまった
「…君、どうしたんだい?」
いきなり響いた声に私は驚いて後ろを見る
「…え?あ…あの」
そこには優しそうな男性がいて、心配そうな顔でこちらを見つめていた。
▼ ⛩優しそうな男性の問いに答える
⛩顔を背け無視する
【⛩優しそうな男性の問いに答える】を選択
その男性は、たどたどしく口を開こうとする私の前にしゃがみ込み…答えを持つように優しく微笑んだ
「……う~やっぱり怖い。白猫ちゃーん。戻って来てよー…って言っても無駄だよね」
独りは怖い。怖いし…寂しい。こんな状況なのに…いやこんな状況だからなのか現実がフラッシュバックしてきて…ふつふつと頭によぎる。暖かかった祖父母はもういないということ。それが鮮明に。とても仲が良かった祖父母…おじいちゃんが先に亡くなってからは、おばあちゃんも心を病むようになり、ついに後を追って行ってしまった。悲しくて寂しかったけど…でもここまで暖かく育ててくれた。私を受け入れてくれた。ここに居ていいんだって…そう言ってくれたから。もう充分だと思った。こんなこと思ったら不謹慎かも知れないけど、これで二人共また一緒に入られるようになったんだよね。二人共寂しくないよね。それなら…私は充分だと。だから、二人共私なんて気にしなくて良いからいつも通り仲良く暮らしてほしい。そう思う
「……私は…大丈夫だから」
言い聞かせるように吐く言葉。その声はとても弱々しい。私に残されたものは何だろう。私の存在は…何処にあるんだろう。誰の記憶に残ってるんだろう。私はこれから先何を思って生きればいいのかな。そう思って気持ちは沈んだ
私は……何なんだろう。
寂しさは消えない。悲しさも苦しさも消えない。あぁ…心が死にそうだ。私の中で、何かが崩れていく気がした。でも…その時また…『音』が響き出した。今度は鈴の音でも猫の声でもない。心地良い…歌のようなそんな音
チリンッチリンッ
『おいで おいで 迷い子よ 鈴の音鳴る方へ
おいで おいで こちらにおいで
悲しみ 苦しみ 背負う子よ
今ひとたび 休みにおいで
神の膝下 神隠し 神の膝下 神隠し
さぁ 鳥居 くぐり 休みにおいで』
チリンッチリンッ
声に導かれるように進んで行くと、目の前に大きな鳥居が現れた。その鳥居の中は淡く光っていて先が見えない。ここが何かの入口だと言うことは分かるけど…怖いな。そう思うのに何故か足は不思議と進み、淡い光の中へ進んで行く。今も声は…唄は微かに聞こえるが段々と遠くなって行くのが分かる。
チリンチリン
『おいで おいで さぁ 今ひと度の休息を』
遠く微かに聞こえたその声は…そう…言っていた気がした…
「ん……」
何…ここ。何だか騒がしい。たくさんの人の声がする。私…今寝てる?草…の上だよね。いつの間に、鳥居をくぐって…
「ぇっと、ここ…どこ?」
目が覚めた時には、見に覚えのない草むらにいた。いつの間にかここに寝てたみたいで…周りを見渡しても、もうあの鳥居はない。あんなに大きかったのに、今は何も見えない。それに、ここは…いったいどこなんだろう。ここはなんて言うか…歴史の教科書に出て来そうな感じ…そう今どきの乙女ゲームで昔を再現してるけど…現代のものもいくつか混じった感じの。それにもっと不思議なのは…みんな服が入り混じってること。着物もあれば、現代のスーツ?みたいなのを着てる人もいる
「…何ここ?」
私は途方にくれながらも、立ち上がり少し歩くことにした。普通なら悪目立ちしそうだけど…この雰囲気だと大丈夫そう…
私はとりあえず歩いていく。女性も男性もいるけど…ある一定の場所まで行くと分かれ道があるみたいで男性はいつの間にか消えてしまった。女性しか周りにはいなくなったけど…その女性たちの顔は歓喜に満ち溢れていて幸せそうだ
「はいはい、こんばんは!そこの綺麗な奥さん、よってかない?うちには良いの揃ってるよ!さぁ見てって上げてくださいな」
「あらぁ~お上手ね。今日はここにしようかしら」
「お!ありがとうございます!さぁさ、どうぞこちらへ。お荷物お持ちしますよ!」
息のいい声が響く。古い作りだけど、何処か綺麗なその建物には美しく着飾った男性?が座っていた。
ここって…何だか花街みたい。女の人じゃなくて男性だけど…
綺羅びやかで眩しいその場所は…私には何処か場違いな気がして…しばらく歩いた所の隅の草むらに座り込んだ。私…何しに来たんだろ。歩きすぎて足は痛いし、怖くて手は震えてる。独りっていう苦しさもまだ消えてなくて胸の痛みは残ったままだ
「もぅ…疲れたな…」
もう、疲れた。ここが何処だか分からないし…白猫ちゃんもいないし。どうせもう夜だから、泊まるとこないし。もう…いや…私は身を丸めてうずくまった
「…君、どうしたんだい?」
いきなり響いた声に私は驚いて後ろを見る
「…え?あ…あの」
そこには優しそうな男性がいて、心配そうな顔でこちらを見つめていた。
▼ ⛩優しそうな男性の問いに答える
⛩顔を背け無視する
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その男性は、たどたどしく口を開こうとする私の前にしゃがみ込み…答えを持つように優しく微笑んだ
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