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第32話 子供達を紹介してもらいました。後編
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「え、なんで……こ、こんなところにいねーよ。」
そりゃ急に言われたら驚くよね。
「本気で言ってんのか?」
なんか、ポールさんの声がいつもより低い。
「ポール。相手は子供だよ。」
「そんなの関係ない。俺はな、嘘つきが一番嫌いなんだ。ほら、今ならまだ許してやるから本当のこと言えるか?」
「……」
ポールさんの表情が見えないからなんとも言えないけど、すごく怖い気がする。迫力だけはびんびんに伝わってくる。
「そうか。残念だ。」
ポールさん、何する気?
「ごめんなさい!」
え?少年が謝った?
「謝るようなことしたのか?」
「ポール達があまりにサトさんと仲よさそうだったから……俺らのこと、もう構ってくれなくなるんじゃないかって思って。それでサトさんがいなくなればって思って……」
それってつまり嫉妬ってこと?
「それで、サトちゃんをどうしたって?」
「魔法使って、傷つけた。」
すごい。素直に話してる。
「え?傷つけた?」
ポールさんとフレデリックさん、ハモってるよ。
「で、傷ついたサトちゃんはどこにいるって?」
「……」
「言えないのか?」
「……もう生きてないかもしれない。」
「は?」
「俺らの全力ぶつけたから。風の剣とか水の剣とか。それ、もろに食らってたし……」
「食らった?サトちゃんが?」
「食らった?サトさんが?」
また2人してハモってるよ。
「う、うん。最初はバリア張ってたみたいで効かなかったけど、途中からは。」
「そうか。で、どこにいるんだ?」
「……あそこ。」
足跡が近づいてくる音がする。これはどういう反応が正解なんだ?死んでるって思われてるよね?
「サトちゃん。大丈夫?」
うぁ。ポールさんが真面目に問いかけてる。何このギャップ。
「えっ…と」
「しゃべらなくていいから。見た目ではよくわからないけど、どこが痛む?」
え、なんかすごい心配してくれるじゃん。ちょっと恥ずかしくなってきた。
子供達も心配そうな顔で見てくれてるし。
「サトちゃん。ごめん、どこ怪我してるかわかんないから、ちょっと触るよ。痛かったらごめん。」
「あ、どこも痛くないです。」
「え、でもさっき子供達が。」
「回復魔法使わせてもらいました。はい。」
「よかった。無事で。」
「え?」
ポールさん?なんで抱きしめるの?
「いいかお前ら、サトちゃんはな、俺たちの命の恩人なんだ。サトちゃんがいなかったら、俺やフレデリックは生きてここにいなかったし、お前らと一緒にご飯作れなかったんだぞ。それに、何を心配してるかわかんないが、俺たちはお前らを絶対に見放さないし、それはサトちゃんも一緒だ。それに、言ったよな?安易に人を傷つけるなって。そんなことばっかしてたら、自分に返ってくんぞ。」
ポールさんの言葉はみんなの心に刺さってるみたい。すごいな。私の言葉は全然刺さらなかったのに。信頼がそれだけたまってるってことだよね。尊敬する。
「ごめんなさい!」
「ごめんなさい!」
みんなやっぱり根は素直で良い子達なんだな。
「サトちゃん。こいつらこう言ってるけどどうする?」
「みんな反省してるみたいだし、さっきポールさんが言ったみたいに、これからは、安易に人を傷つけないって約束してくれるなら、許す!」
「だってさ。お前らどうすんの?」
「約束する。」
「よし。今の言葉、胸に刻めよ。じゃ、一件落着ってことで、俺らはそろそろ時間だから帰るな。」
「サトちゃん。なんか悪かったな。」
「なんでポールさんが謝るんです?」
「いや、俺らが離れた隙にこんなことになっちまって。」
「何事もなかったんですから良かったですよ。それに、みんなこれからは安易に人を傷つけないって約束してくれましたし。むしろ良かったんじゃないですか?」
「サトさん。本当にもう痛みとかはないですか?」
「はい。大丈夫です。食らったときは痛すぎましたけどね。本当、あれは大人以上の実力があるんじゃないですか?」
「まぁああいった環境ですからね。強くないと生きていけないっていうのもあって、みんなそれなりに強いですね。」
「力は仲間を守るために使えっていつも言ってんだけどな~。まぁサトちゃんが無事でよかったわ。でもなんで食らったの?サトちゃんなら余裕だったろうに。」
「うーん。攻撃が当たれば話を聞いてくれるかなって思っちゃったんですよね。でも、意味なかったです。彼らにとって私はいきなり来た怪しい部外者ですもんね。」
「まぁ~、彼らも信じる連中を間違えれば命に関わる世界で生きてるからな。」
「ましてや、サトさんみたいないい人なら、なおさらかもしれませんね。」
そりゃ急に言われたら驚くよね。
「本気で言ってんのか?」
なんか、ポールさんの声がいつもより低い。
「ポール。相手は子供だよ。」
「そんなの関係ない。俺はな、嘘つきが一番嫌いなんだ。ほら、今ならまだ許してやるから本当のこと言えるか?」
「……」
ポールさんの表情が見えないからなんとも言えないけど、すごく怖い気がする。迫力だけはびんびんに伝わってくる。
「そうか。残念だ。」
ポールさん、何する気?
「ごめんなさい!」
え?少年が謝った?
「謝るようなことしたのか?」
「ポール達があまりにサトさんと仲よさそうだったから……俺らのこと、もう構ってくれなくなるんじゃないかって思って。それでサトさんがいなくなればって思って……」
それってつまり嫉妬ってこと?
「それで、サトちゃんをどうしたって?」
「魔法使って、傷つけた。」
すごい。素直に話してる。
「え?傷つけた?」
ポールさんとフレデリックさん、ハモってるよ。
「で、傷ついたサトちゃんはどこにいるって?」
「……」
「言えないのか?」
「……もう生きてないかもしれない。」
「は?」
「俺らの全力ぶつけたから。風の剣とか水の剣とか。それ、もろに食らってたし……」
「食らった?サトちゃんが?」
「食らった?サトさんが?」
また2人してハモってるよ。
「う、うん。最初はバリア張ってたみたいで効かなかったけど、途中からは。」
「そうか。で、どこにいるんだ?」
「……あそこ。」
足跡が近づいてくる音がする。これはどういう反応が正解なんだ?死んでるって思われてるよね?
「サトちゃん。大丈夫?」
うぁ。ポールさんが真面目に問いかけてる。何このギャップ。
「えっ…と」
「しゃべらなくていいから。見た目ではよくわからないけど、どこが痛む?」
え、なんかすごい心配してくれるじゃん。ちょっと恥ずかしくなってきた。
子供達も心配そうな顔で見てくれてるし。
「サトちゃん。ごめん、どこ怪我してるかわかんないから、ちょっと触るよ。痛かったらごめん。」
「あ、どこも痛くないです。」
「え、でもさっき子供達が。」
「回復魔法使わせてもらいました。はい。」
「よかった。無事で。」
「え?」
ポールさん?なんで抱きしめるの?
「いいかお前ら、サトちゃんはな、俺たちの命の恩人なんだ。サトちゃんがいなかったら、俺やフレデリックは生きてここにいなかったし、お前らと一緒にご飯作れなかったんだぞ。それに、何を心配してるかわかんないが、俺たちはお前らを絶対に見放さないし、それはサトちゃんも一緒だ。それに、言ったよな?安易に人を傷つけるなって。そんなことばっかしてたら、自分に返ってくんぞ。」
ポールさんの言葉はみんなの心に刺さってるみたい。すごいな。私の言葉は全然刺さらなかったのに。信頼がそれだけたまってるってことだよね。尊敬する。
「ごめんなさい!」
「ごめんなさい!」
みんなやっぱり根は素直で良い子達なんだな。
「サトちゃん。こいつらこう言ってるけどどうする?」
「みんな反省してるみたいだし、さっきポールさんが言ったみたいに、これからは、安易に人を傷つけないって約束してくれるなら、許す!」
「だってさ。お前らどうすんの?」
「約束する。」
「よし。今の言葉、胸に刻めよ。じゃ、一件落着ってことで、俺らはそろそろ時間だから帰るな。」
「サトちゃん。なんか悪かったな。」
「なんでポールさんが謝るんです?」
「いや、俺らが離れた隙にこんなことになっちまって。」
「何事もなかったんですから良かったですよ。それに、みんなこれからは安易に人を傷つけないって約束してくれましたし。むしろ良かったんじゃないですか?」
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「はい。大丈夫です。食らったときは痛すぎましたけどね。本当、あれは大人以上の実力があるんじゃないですか?」
「まぁああいった環境ですからね。強くないと生きていけないっていうのもあって、みんなそれなりに強いですね。」
「力は仲間を守るために使えっていつも言ってんだけどな~。まぁサトちゃんが無事でよかったわ。でもなんで食らったの?サトちゃんなら余裕だったろうに。」
「うーん。攻撃が当たれば話を聞いてくれるかなって思っちゃったんですよね。でも、意味なかったです。彼らにとって私はいきなり来た怪しい部外者ですもんね。」
「まぁ~、彼らも信じる連中を間違えれば命に関わる世界で生きてるからな。」
「ましてや、サトさんみたいないい人なら、なおさらかもしれませんね。」
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