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2章 幼女な神様と2人旅
23.厄介な貴族に絡まれたんだが
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闇市の会場は、千人くらい簡単に入ってしまいそうな大規模なオークション場になっていた。
オークションに参加している二、三百人くらいの人達が、中央のステージを囲むように立っている。
それを離れて見物する人間もかなりの数がいた。
そんな見物人に紛れて、オレ達はステージを見る。
ステージには大きな絵画が並べられていた。
どれも高そうな絵ばかりだ。
「今は装飾品がオークションにかけられてるみたいだな。神珠が出品されているとしたらマジックアイテムの括りか?」
「うむ。だが、見た目は水晶に近いから宝石と間違われる可能性もあるのだ」
「いずれにしても、まだ先だな」
オレは会場の入り口に置いてあったオークションの進行予定表を見て言う。
それによると、宝石類がオークションにかけられるのは今日の最後、マジックアイテムに至っては明日らしい。
「そう長い時間はいられないだろうから、出品されるものの保管庫を探すか……」
「それが良さそうなのだ」
スヴィエートを連れているため、どうしても視線を集めてしまう。
スヴィエートがナイトを頭に乗せている事も目立つのに拍車をかけていた。
オレ達はステージに出品されるのを待つのではなく、保管されている場所を探すべく行動を開始する。
保管庫に易々と入れるはずもないが、近くまで行けば神珠が持つエネルギーを感知できるらしい。
とりあえず、オレ達はステージの近くまで行ってみることにした。
「100万!」「105万だ!」「108万ッ!」
ステージに近づくにつれ熱心な参加者が増え、周囲の熱気に圧倒される。
密集する人の間をかいくぐって、ステージ袖の下あたりに来た。
ステージ袖から出品されるものが出てくるので、この近くに保管庫があるはずだ。
「どうだ?感じるか?」
「いや、感じないのだ。でも、それなりにエネルギーを持ったマジックアイテムの反応はあるから、保管庫はここで間違いないのだ」
「なら出品されてないって事だな。まぁ、そう簡単に見つかるものじゃないか……。よし、引き上げるぞ」
「うむ」
「おい!そこの愚民!!」
オレ達が立ち去ろうとした時、知らない男に引き止められた。
そいつはジャラジャラと宝石をあしらった服を着ていた。
まるで「私は貴族だ」と宣言してるみたいだ。
「この厳正なるオークションに、なぜ貴様らのような薄汚い連中が参加している!!」
「闇市に厳正さなんてあるのか?」
「うるさい!……ん?オイ、そこの幼女」
「我か?」
「そうだお前だ、その頭に乗せているのはウルフだな」
「そうなのだ、可愛いだろう」
「確かに良く調教されているな。よし、そのウルフを寄越せ。そうしたら今日の所は見逃してやる」
男は唐突にそんな事を言い出した。
そして、何の躊躇いもなくナイトに手を伸ばした。
あたかも既に自分の物だと言わんばかりだ。
当然スヴィエートはそれを拒む。
「何をするのだ。ナイトは渡さないぞッ!」
「ッ!断れるとでも思っておるのか!?私を誰だと思っている!!」
「いや……知らないのだ」
スヴィエートは冷静に返す。
そりゃ名乗られていないし、知らないのは当たり前だ。
だが、男はその反応に激怒する。
「私の名前も知らないだと!?この国の公爵だぞ!!世間知らずにも程があるだろう!お前たちは森にでも住んでたのか?」
「その通りだが……」
「馬鹿にしおって!!」
正直に答えたのだが、公爵様はご立腹らしい。
さっさと立ち去りたいのだが、なかなか難しそうだ。
オークションに参加している二、三百人くらいの人達が、中央のステージを囲むように立っている。
それを離れて見物する人間もかなりの数がいた。
そんな見物人に紛れて、オレ達はステージを見る。
ステージには大きな絵画が並べられていた。
どれも高そうな絵ばかりだ。
「今は装飾品がオークションにかけられてるみたいだな。神珠が出品されているとしたらマジックアイテムの括りか?」
「うむ。だが、見た目は水晶に近いから宝石と間違われる可能性もあるのだ」
「いずれにしても、まだ先だな」
オレは会場の入り口に置いてあったオークションの進行予定表を見て言う。
それによると、宝石類がオークションにかけられるのは今日の最後、マジックアイテムに至っては明日らしい。
「そう長い時間はいられないだろうから、出品されるものの保管庫を探すか……」
「それが良さそうなのだ」
スヴィエートを連れているため、どうしても視線を集めてしまう。
スヴィエートがナイトを頭に乗せている事も目立つのに拍車をかけていた。
オレ達はステージに出品されるのを待つのではなく、保管されている場所を探すべく行動を開始する。
保管庫に易々と入れるはずもないが、近くまで行けば神珠が持つエネルギーを感知できるらしい。
とりあえず、オレ達はステージの近くまで行ってみることにした。
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密集する人の間をかいくぐって、ステージ袖の下あたりに来た。
ステージ袖から出品されるものが出てくるので、この近くに保管庫があるはずだ。
「どうだ?感じるか?」
「いや、感じないのだ。でも、それなりにエネルギーを持ったマジックアイテムの反応はあるから、保管庫はここで間違いないのだ」
「なら出品されてないって事だな。まぁ、そう簡単に見つかるものじゃないか……。よし、引き上げるぞ」
「うむ」
「おい!そこの愚民!!」
オレ達が立ち去ろうとした時、知らない男に引き止められた。
そいつはジャラジャラと宝石をあしらった服を着ていた。
まるで「私は貴族だ」と宣言してるみたいだ。
「この厳正なるオークションに、なぜ貴様らのような薄汚い連中が参加している!!」
「闇市に厳正さなんてあるのか?」
「うるさい!……ん?オイ、そこの幼女」
「我か?」
「そうだお前だ、その頭に乗せているのはウルフだな」
「そうなのだ、可愛いだろう」
「確かに良く調教されているな。よし、そのウルフを寄越せ。そうしたら今日の所は見逃してやる」
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そして、何の躊躇いもなくナイトに手を伸ばした。
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当然スヴィエートはそれを拒む。
「何をするのだ。ナイトは渡さないぞッ!」
「ッ!断れるとでも思っておるのか!?私を誰だと思っている!!」
「いや……知らないのだ」
スヴィエートは冷静に返す。
そりゃ名乗られていないし、知らないのは当たり前だ。
だが、男はその反応に激怒する。
「私の名前も知らないだと!?この国の公爵だぞ!!世間知らずにも程があるだろう!お前たちは森にでも住んでたのか?」
「その通りだが……」
「馬鹿にしおって!!」
正直に答えたのだが、公爵様はご立腹らしい。
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