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2章 幼女な神様と2人旅
21.幼女が賭場に行きたいらしいのだが
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翌日、オレ達は朝食を済ませると、すぐ紹介屋に向かった。
紹介屋の場所はレティシアに教えてもらったから、迷うことはない。
紹介屋に着くと、店の横にある大きな掲示板に貼られた、沢山の紙に目を引かれる。
何かと気になり、見てみると全て依頼書だった。
「ここから自分で依頼を探すってことか……?」
「そうだぜ」
オレの呟きを聞いていた一人の男が、声を掛けてきた。
そちらを見ると、男は鎧を装備して武器を携えていた。
オレ達と同じように魔物の討伐依頼を探しているのかも知れない。
「ここの店主は面倒臭がりでよぉ。客に依頼を選ばせるんだ。変わってるって言うか何というか……」
男はそう非難する。
ただ、オレとしては命に関わる依頼もあるのだから、他人に選ばせるより自分で選びたいと言う気持ちがあるため賛同はしなかった。
「貼ってある依頼書を店主に持っていけば良いんだよな?」
「そう言うことだ」
男はそう言うと、オレ達から離れていった。
「ディラン、討伐依頼はこの辺なのだ!」
掲示板を端から探していると、スヴィエートがオレを呼んだ。
「探してる蟲の魔物の討伐依頼はあったか?」
「うむ、この二つがそうなのだ!」
スヴィエートは二つの依頼書を指差して言う。
見れば討伐依頼と原因調査の依頼が並んで貼られていた。
どちらも街の自警団から出された依頼らしい。
「どっちを受けるのだ?」
スヴィエートは首を傾げて尋ねてくる。
「……こっちだろうな」
オレは少し迷って討伐依頼を受けることにした。
目的としては原因調査の方が近いのだが、お金が心許ないから報酬の良い討伐依頼を選んだ。
詳しく依頼書を見ると、二日後に自警団が団員を含めた討伐隊を組むらしく、それに参加する形になるようだ。
オレはその依頼書を紹介屋の店主に持っていく。
店主は、かなり歳をとった男だった。
「この依頼を受けるんじゃな。危険のある仕事じゃが、大丈夫かの?」
しわがれた声で店主は聞いてくる。
「大丈夫だ」
「そうかい。紹介料は二千リルじゃ」
オレは金を支払い、店主のサインを依頼書に書いてもらう。
このサインがないと依頼書の効力を発揮しないため、掲示板に貼られた依頼書を盗んでも意味がない。
依頼書を受け取り、紹介屋を後にした。
「依頼は明後日か……。それまでは時間が空いたな。街を観光でもするか」
「ならば我は賭場に行ってみたいのだ!昨日、宿にいく途中で見かけたぞ」
スヴィエートは唐突に、賭場へ行きたいと言う。
オレも賭場があるのは知っていたが、スヴィエートが興味を示すのは意外だった。
「賭け事をしたいのか?そうなら諦めてくれ、金がない」
「違うぞ。我は心が読めてしまうから賭け事が成立しないのだ。それより、今夜、賭場で闇市が開かれるらしいのだ。賭場にいる人間の心を読んだ時に知ったのだ」
「へぇ。なるほど、それで闇市なら神珠が売られるかもって思った訳か……」
スヴィエートにしては良い情報を拾ったものだ。
「なら、行ってみるか!」
「うむ!」
だがこの時の判断を、後にオレは後悔することになる。
紹介屋の場所はレティシアに教えてもらったから、迷うことはない。
紹介屋に着くと、店の横にある大きな掲示板に貼られた、沢山の紙に目を引かれる。
何かと気になり、見てみると全て依頼書だった。
「ここから自分で依頼を探すってことか……?」
「そうだぜ」
オレの呟きを聞いていた一人の男が、声を掛けてきた。
そちらを見ると、男は鎧を装備して武器を携えていた。
オレ達と同じように魔物の討伐依頼を探しているのかも知れない。
「ここの店主は面倒臭がりでよぉ。客に依頼を選ばせるんだ。変わってるって言うか何というか……」
男はそう非難する。
ただ、オレとしては命に関わる依頼もあるのだから、他人に選ばせるより自分で選びたいと言う気持ちがあるため賛同はしなかった。
「貼ってある依頼書を店主に持っていけば良いんだよな?」
「そう言うことだ」
男はそう言うと、オレ達から離れていった。
「ディラン、討伐依頼はこの辺なのだ!」
掲示板を端から探していると、スヴィエートがオレを呼んだ。
「探してる蟲の魔物の討伐依頼はあったか?」
「うむ、この二つがそうなのだ!」
スヴィエートは二つの依頼書を指差して言う。
見れば討伐依頼と原因調査の依頼が並んで貼られていた。
どちらも街の自警団から出された依頼らしい。
「どっちを受けるのだ?」
スヴィエートは首を傾げて尋ねてくる。
「……こっちだろうな」
オレは少し迷って討伐依頼を受けることにした。
目的としては原因調査の方が近いのだが、お金が心許ないから報酬の良い討伐依頼を選んだ。
詳しく依頼書を見ると、二日後に自警団が団員を含めた討伐隊を組むらしく、それに参加する形になるようだ。
オレはその依頼書を紹介屋の店主に持っていく。
店主は、かなり歳をとった男だった。
「この依頼を受けるんじゃな。危険のある仕事じゃが、大丈夫かの?」
しわがれた声で店主は聞いてくる。
「大丈夫だ」
「そうかい。紹介料は二千リルじゃ」
オレは金を支払い、店主のサインを依頼書に書いてもらう。
このサインがないと依頼書の効力を発揮しないため、掲示板に貼られた依頼書を盗んでも意味がない。
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オレも賭場があるのは知っていたが、スヴィエートが興味を示すのは意外だった。
「賭け事をしたいのか?そうなら諦めてくれ、金がない」
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「へぇ。なるほど、それで闇市なら神珠が売られるかもって思った訳か……」
スヴィエートにしては良い情報を拾ったものだ。
「なら、行ってみるか!」
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だがこの時の判断を、後にオレは後悔することになる。
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