87 / 117
5章 冒険者らしい活動もしようよ!!
86.粉々にするの好きだね
しおりを挟む
村長に見送られながら外に出るが、とても時間を無駄にした気分だ。
流れで村長の説明を聞いたものの、この村の近くに来た時点で魔物の正体は分かっていた。
正体はポイズンフロッグ。
体長は最大で60センチくらい。
雑食でよく農家に害を成し、討伐依頼がギルドに届く魔物の一種だ。
また、その名の通り体の表面にかなり強い毒を持っているため、なお厄介である。
幸いにも、このカエルは交戦的な魔物ではないので、毒を飛ばしてきたり噛み付いてきたりはしない。
まあ、地球で言うクラゲみたいな存在で、食べたり触ったりしなければ問題ない。
とは言え、触るのNGだと打撃を得意とするルルは戦力にならない。
「ルル、いい報告と悪い報告どっちを先に聞きたい?」
「いい報告からが良いです!」
「これから相手する魔物は空は飛ばない」
「わぁ本当ですか!」
「でも触ると死ぬ」
「・・・えぇー!?じゃあ私何もできないじゃないですか」
「悪い報告だったでしょ?」
「プラマイで言うとマイナスの気分ですぅ」
まあ、今回ばかりは仕方ない。
ルルが物理攻撃のそれも打撃以外に攻撃手段を持たないが故のことだ。
そう言う意味では暎斗や穂花はメインの攻撃手段の他にもいくつか攻撃する手段を持っている。
ルルも得意な分野同士なら実力が拮抗しているが、こう言う所は冒険者歴の長い穂花達の方が一歩リードしている。
「今回は俺がやるよ」
「でも・・・」
「パーティーって互いのできない部分を補うものだから気にしなくて良いよ」
「そうですね!じゃあお願いします!!そのかわり、ラウトさんが出来ない事は任せてくだ・・・」
俺の言葉に納得したのか元気よく返事をしてくれたのだが、その言葉は不意に止まる。
「ちょっと待ってください!ラウトさんに出来ない事なんてないじゃないですか!!」
おっと、痛い所を突かれた。
確かに俺ひとりで何とかなる時も多い。
けど、俺にも出来ないことはある。
例えば‥‥‥う~ん‥‥‥あっ!
「そんな事ないよ。ほら、俺だって楽器とか使えないし」
「楽器は冒険者に必要ないです!!」
ルルは更に何かを思い出して言葉を続ける。
「あっそれと思い出しました!前に貰った報酬の事ですが、半額の20%は10%です!!」
まさかそんな前のことを覚えているとは思わなかった。
ちなみに俺はルルに言われるまで忘れていた。
「最近はラウトさん達のおかげでお金にも余裕ができて改めて考えたんです。私はラウトさんから色々と貰いすぎてます!!何かで返したいです!」
ルルは会った時よりも賢くなっているらしく、色んなことに気づくようになった。
そろそろルルも穂花や暎斗のみたいに俺を疑うようになるかも知れない。
「その気持ちは嬉しいけど、返す相手が違うよ」
「えっ?」
「ルルが冒険者になったのは貧しい村を救うためだよね?なら貧しい村のために余ったお金を使うべきだよ。よって、今日の討伐を任せるのはおかしくない」
「分かりました!!」
結論はひどく強引すぎるが、ルルは納得してくれたらしい。
何を分かったのか聞いてみたいくらいだ。
今回、俺が分かったことはルルが賢くなったと言うのは勘違いだったことだけだ。
全くもって無駄な会話をしていると、ポイズンフロッグの巣へと到着していた。
一見何の変哲もない木々があるだけだが、至る所にポイズンフロッグがいる。
「本当にここら辺にいるんですか?」
ルルは辺りを見回してそう言う。
俺も目では見えていないので、魔力探知がなければルルと同意見だっただろう。
だが、どのポイズンフロッグの反応も微動だにしない。
変に思って鑑定の魔法で調べてみると、ポイズンフロッグは夜行性で、昼は木のうろで眠っていることが分かった。
俺はポイズンフロッグが眠る木のうろに近づく。
ここにポイズンフロッグがいることをルルにジェスチャーで伝える。
「どうするんですか?」
ルルが小声で聞いてくる。
「こうするんだよ」
俺は水魔法を使って木のうろに水を注ぐ。
すぐに一杯になって水が溢れてきたので、近くの丈夫な葉っぱで蓋をする。
これも鑑定で分かったのだが、意外にもポイズンフロッグは水に溺れるらしい。
まあ、蓋をした時点で魚だろうといずれ酸欠で死ぬが、ポイズンフロッグの場合は普通に溺死するらしい。
数分でポイズンフロッグの死体が浮いてきた。
触れないし触りたくないので放置する。
ここでルルが口を開く。
「これなら私も出来ませんか?」
そう言えばそうかも知れない。
戦闘になるもんだと思っていたが、これなら触れる必要はない。
水魔法ならルルにも適正があるし可能だろう。
「やってみなよ」
「はい!!」
俺はルルにポイズンフロッグがいる木のうろを教えて見守る。
ルルは穴を覗き込むが、ポイズンフロッグは擬態しているため見えなかったらしい。
みることを諦めてルルは手をうろに向けて魔力を高める。
そして
ーーーヴォォォン!!!
ルルが生み出した水魔法は木の幹もろとも粉々にしてポイズンフロッグを消し飛ばした。
「綺麗に消せました!!」
ルルはとても清々しい笑顔で言う。
いや、成功じゃないからね?
て言うか、粉々にするの好きだね。
でも、今回は前回と違って結果オーライにもなってない。
何せ周りにいたポイズンフロッグが目を覚ましてしまったのだから。
俺は魔力探知で動き始めた反応を見てため息をついた。
流れで村長の説明を聞いたものの、この村の近くに来た時点で魔物の正体は分かっていた。
正体はポイズンフロッグ。
体長は最大で60センチくらい。
雑食でよく農家に害を成し、討伐依頼がギルドに届く魔物の一種だ。
また、その名の通り体の表面にかなり強い毒を持っているため、なお厄介である。
幸いにも、このカエルは交戦的な魔物ではないので、毒を飛ばしてきたり噛み付いてきたりはしない。
まあ、地球で言うクラゲみたいな存在で、食べたり触ったりしなければ問題ない。
とは言え、触るのNGだと打撃を得意とするルルは戦力にならない。
「ルル、いい報告と悪い報告どっちを先に聞きたい?」
「いい報告からが良いです!」
「これから相手する魔物は空は飛ばない」
「わぁ本当ですか!」
「でも触ると死ぬ」
「・・・えぇー!?じゃあ私何もできないじゃないですか」
「悪い報告だったでしょ?」
「プラマイで言うとマイナスの気分ですぅ」
まあ、今回ばかりは仕方ない。
ルルが物理攻撃のそれも打撃以外に攻撃手段を持たないが故のことだ。
そう言う意味では暎斗や穂花はメインの攻撃手段の他にもいくつか攻撃する手段を持っている。
ルルも得意な分野同士なら実力が拮抗しているが、こう言う所は冒険者歴の長い穂花達の方が一歩リードしている。
「今回は俺がやるよ」
「でも・・・」
「パーティーって互いのできない部分を補うものだから気にしなくて良いよ」
「そうですね!じゃあお願いします!!そのかわり、ラウトさんが出来ない事は任せてくだ・・・」
俺の言葉に納得したのか元気よく返事をしてくれたのだが、その言葉は不意に止まる。
「ちょっと待ってください!ラウトさんに出来ない事なんてないじゃないですか!!」
おっと、痛い所を突かれた。
確かに俺ひとりで何とかなる時も多い。
けど、俺にも出来ないことはある。
例えば‥‥‥う~ん‥‥‥あっ!
「そんな事ないよ。ほら、俺だって楽器とか使えないし」
「楽器は冒険者に必要ないです!!」
ルルは更に何かを思い出して言葉を続ける。
「あっそれと思い出しました!前に貰った報酬の事ですが、半額の20%は10%です!!」
まさかそんな前のことを覚えているとは思わなかった。
ちなみに俺はルルに言われるまで忘れていた。
「最近はラウトさん達のおかげでお金にも余裕ができて改めて考えたんです。私はラウトさんから色々と貰いすぎてます!!何かで返したいです!」
ルルは会った時よりも賢くなっているらしく、色んなことに気づくようになった。
そろそろルルも穂花や暎斗のみたいに俺を疑うようになるかも知れない。
「その気持ちは嬉しいけど、返す相手が違うよ」
「えっ?」
「ルルが冒険者になったのは貧しい村を救うためだよね?なら貧しい村のために余ったお金を使うべきだよ。よって、今日の討伐を任せるのはおかしくない」
「分かりました!!」
結論はひどく強引すぎるが、ルルは納得してくれたらしい。
何を分かったのか聞いてみたいくらいだ。
今回、俺が分かったことはルルが賢くなったと言うのは勘違いだったことだけだ。
全くもって無駄な会話をしていると、ポイズンフロッグの巣へと到着していた。
一見何の変哲もない木々があるだけだが、至る所にポイズンフロッグがいる。
「本当にここら辺にいるんですか?」
ルルは辺りを見回してそう言う。
俺も目では見えていないので、魔力探知がなければルルと同意見だっただろう。
だが、どのポイズンフロッグの反応も微動だにしない。
変に思って鑑定の魔法で調べてみると、ポイズンフロッグは夜行性で、昼は木のうろで眠っていることが分かった。
俺はポイズンフロッグが眠る木のうろに近づく。
ここにポイズンフロッグがいることをルルにジェスチャーで伝える。
「どうするんですか?」
ルルが小声で聞いてくる。
「こうするんだよ」
俺は水魔法を使って木のうろに水を注ぐ。
すぐに一杯になって水が溢れてきたので、近くの丈夫な葉っぱで蓋をする。
これも鑑定で分かったのだが、意外にもポイズンフロッグは水に溺れるらしい。
まあ、蓋をした時点で魚だろうといずれ酸欠で死ぬが、ポイズンフロッグの場合は普通に溺死するらしい。
数分でポイズンフロッグの死体が浮いてきた。
触れないし触りたくないので放置する。
ここでルルが口を開く。
「これなら私も出来ませんか?」
そう言えばそうかも知れない。
戦闘になるもんだと思っていたが、これなら触れる必要はない。
水魔法ならルルにも適正があるし可能だろう。
「やってみなよ」
「はい!!」
俺はルルにポイズンフロッグがいる木のうろを教えて見守る。
ルルは穴を覗き込むが、ポイズンフロッグは擬態しているため見えなかったらしい。
みることを諦めてルルは手をうろに向けて魔力を高める。
そして
ーーーヴォォォン!!!
ルルが生み出した水魔法は木の幹もろとも粉々にしてポイズンフロッグを消し飛ばした。
「綺麗に消せました!!」
ルルはとても清々しい笑顔で言う。
いや、成功じゃないからね?
て言うか、粉々にするの好きだね。
でも、今回は前回と違って結果オーライにもなってない。
何せ周りにいたポイズンフロッグが目を覚ましてしまったのだから。
俺は魔力探知で動き始めた反応を見てため息をついた。
0
お気に入りに追加
1,028
あなたにおすすめの小説
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
元四天王は貧乏令嬢の使用人 ~冤罪で国から追放された魔王軍四天王。貧乏貴族の令嬢に拾われ、使用人として働きます~
大豆茶
ファンタジー
『魔族』と『人間族』の国で二分された世界。
魔族を統べる王である魔王直属の配下である『魔王軍四天王』の一人である主人公アースは、ある事情から配下を持たずに活動しいていた。
しかし、そんなアースを疎ましく思った他の四天王から、魔王の死を切っ掛けに罪を被せられ殺されかけてしまう。
満身創痍のアースを救ったのは、人間族である辺境の地の貧乏貴族令嬢エレミア・リーフェルニアだった。
魔族領に戻っても命を狙われるだけ。
そう判断したアースは、身分を隠しリーフェルニア家で使用人として働くことに。
日々を過ごす中、アースの活躍と共にリーフェルニア領は目まぐるしい発展を遂げていくこととなる。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
竜神の巫女~前世人間、今ドラゴン(♀)。拾った王子をとことん庇護します~
二階堂吉乃
ファンタジー
前世人間であったルナは最強の生物・竜(ドラゴン)に転生していた。竜として100年ほど生きた頃、死にかけた男を拾う。ルナは彼を“お世話”しようと思いついた。しかし竜の姿では手当てができず、仕方なく人間化。彼女は竜神の巫女を名乗り、せっせとお世話をする。実は男は国を追われたジョン王子だった。
怪我も治り国へ戻ると言うジョンを見送り、ルナは暫しの間眠りにつく。4年後目覚めると、ジョンは見事国を取り戻し王となっていた。偶然その事を知ったルナは即位の式典に向かう。
代々の竜が溜め込んだ金銀財宝やチート能力を惜しみなく発揮し、ジョンを助るルナ。ただし一旦眠りにつくとなかなか目覚めない。会うたびに老けるジョン。すれ違ってるんだかなんだか、ジョン王の巫女への恋は続く。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
ある日仕事帰りに神様の手違いがあったが無事に転移させて貰いました。
いくみ
ファンタジー
寝てたら起こされて目を開けたら知らない場所で神様??が、君は死んだと告げられる。そして神様が、管理する世界(マジョル)に転生か転移しないかと提案され、キターファンタジーとガッツポーズする。
成宮暁彦は独身、サラリーマンだった
アラサー間近パットしない容姿で、プチオタ、完全独り身爆走中。そんな暁彦が神様に願ったのは、あり得ない位のチートの数々、神様に無理難題を言い困らせ
スキルやらetcを貰い転移し、冒険しながらスローライフを目指して楽しく暮らす場を探すお話になると?思います。
なにぶん、素人が書くお話なので
疑問やら、文章が読みにくいかも知れませんが、暖かい目でお読み頂けたらと思います。
あと、とりあえずR15指定にさせて頂きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる