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4章 商人ピエールの訪れ
80.包丁は仕舞って!!
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屋敷に戻ると、穂花達は既に戻って来ていた。
俺の想定通り、特に問題もなく西側の魔物を処理してくれたようだ。
俺はヒアを背負ったまま屋敷に入る。
「おかえりなさい!あれ、どなたですか?」
「遅かったな。てか、どこで拾ったんだ?そんな可愛い子」
「おかえ・・・ハルくん、それ誰なの?」
俺が屋敷に帰って来たのに気づいた3人は、まず俺が背負っている人物を見て三者三様の反応をした。
ルルはともかく、暎斗は女の子が道端にでも落ちているものだと思っているのか?
それなら頭のネジが外れている。
見てくれる医者はいないから、残っているポーションを飲ませよう。
まあ冗談はそれくらいにして、俺は穂花から目が離せない。
明るく出迎えてくれたと思ったら、いきなり底冷えする様な声でヒアについて聞いてくる。
まず、どうして包丁を手に持っているのかを聞きたい。
料理中だったんだよね?
でも持ち方がヤバい。
料理する時の持ち方ではない。
俺が連れてきたとは言え初対面だからね、警戒してるだけだよね?
だから殺気は抑えていただきたい。
穂花を落ち着かせるのに大分苦労したが、なんとか説明する事ができた。
ヒアが暗殺者だという事は伏せて事情を説明した。
「その子の事は分かったけどピエールと魔物の大群はどうなったんだ?」
「魔物にピエールを襲わせてピエールは死んだ。魔物はピエールの用心棒がほとんど処理してくれた」
「ラウトさんって魔物を操れるんですか?」
「いや、ピエールと同じように魔石でおびき寄せただけだよ」
「ピエールは自業自得だな」
「西側はどうなったの?途中までは知ってるんだけど」
俺は西側がどのように決着がついたのか気になってそう聞く。
「それがよぉ、ほとんどの冒険者が慌てて東側に走っていちゃって、俺たちが残りを処理したんだよ。俺は東側はラウトがいるから大丈夫って言ったんだけど、聞かねぇんだよ」
「・・・そりゃそうだろう」
暎斗は不満そうに話すが、仲間がひとり東側にいるから大丈夫って言われて信じる冒険者はいない。
それに気づかない暎斗に俺は呆れるしかない。
同じように暎斗を呆れて顔で見ていた穂花も口を開く。
「私は東側に来て欲しいって何度も頼まれたのが大変だったかな。私は西側に残るって言ったんだけど、なかなか納得してくれなくて・・・」
「それは災難だったねー」
「むぅー、こうなるのは分かってたでしょ?」
穂花は頬を膨らませて膨れっ面になる。
確かにそうなるだろうなと思っていたが、どうしようもなかったのだ。
「ごめんごめん」
そこで会話を聞いていたルルが口を開く。
「はぇーそうなんですか?私は一度も他の冒険者に話しかけられませんでした。それに東側に冒険者が行ってしまってたのも気がつきませんでした」
ルルのマイペースさは今日も絶好調らしい。
ルルが何も考えず縦横無尽に動き回って魔物を倒していたのは予測に難くない。
それについていける冒険者は穂花たち以外にはいなかったのだろう。
だが、そのおかげでルルの穂花達に匹敵する異常な実力はある程度知られずに済んだかも知れない。
もしルルがAランク相当の実力を持っていると知られていたら、今回、名目的には何もしていない俺とパーティーを組んでいるのは不自然に映るだろう。
もし、何か言われる事があったら少しは俺の力を見せても良いかも知れない。
とにかく、これでピエールの脅威は去った。
ちなみにスーから不動産屋の店主が大赤字により破産したというのは聞いていた。
まあ、そうだろう。
東側の魔物が現れなかったのだ、装備品はほとんど売れなかった事に違いない。
ようやく俺にも平穏が訪れそうだ。
(そろそろ冒険者のランクを本格的に上げるのも良いかもな)
ルルと俺の実力ならすぐに穂花達に追いつけるだろう。
それに組織も拡大したい。
やる事はたくさんありそうだ。
俺の想定通り、特に問題もなく西側の魔物を処理してくれたようだ。
俺はヒアを背負ったまま屋敷に入る。
「おかえりなさい!あれ、どなたですか?」
「遅かったな。てか、どこで拾ったんだ?そんな可愛い子」
「おかえ・・・ハルくん、それ誰なの?」
俺が屋敷に帰って来たのに気づいた3人は、まず俺が背負っている人物を見て三者三様の反応をした。
ルルはともかく、暎斗は女の子が道端にでも落ちているものだと思っているのか?
それなら頭のネジが外れている。
見てくれる医者はいないから、残っているポーションを飲ませよう。
まあ冗談はそれくらいにして、俺は穂花から目が離せない。
明るく出迎えてくれたと思ったら、いきなり底冷えする様な声でヒアについて聞いてくる。
まず、どうして包丁を手に持っているのかを聞きたい。
料理中だったんだよね?
でも持ち方がヤバい。
料理する時の持ち方ではない。
俺が連れてきたとは言え初対面だからね、警戒してるだけだよね?
だから殺気は抑えていただきたい。
穂花を落ち着かせるのに大分苦労したが、なんとか説明する事ができた。
ヒアが暗殺者だという事は伏せて事情を説明した。
「その子の事は分かったけどピエールと魔物の大群はどうなったんだ?」
「魔物にピエールを襲わせてピエールは死んだ。魔物はピエールの用心棒がほとんど処理してくれた」
「ラウトさんって魔物を操れるんですか?」
「いや、ピエールと同じように魔石でおびき寄せただけだよ」
「ピエールは自業自得だな」
「西側はどうなったの?途中までは知ってるんだけど」
俺は西側がどのように決着がついたのか気になってそう聞く。
「それがよぉ、ほとんどの冒険者が慌てて東側に走っていちゃって、俺たちが残りを処理したんだよ。俺は東側はラウトがいるから大丈夫って言ったんだけど、聞かねぇんだよ」
「・・・そりゃそうだろう」
暎斗は不満そうに話すが、仲間がひとり東側にいるから大丈夫って言われて信じる冒険者はいない。
それに気づかない暎斗に俺は呆れるしかない。
同じように暎斗を呆れて顔で見ていた穂花も口を開く。
「私は東側に来て欲しいって何度も頼まれたのが大変だったかな。私は西側に残るって言ったんだけど、なかなか納得してくれなくて・・・」
「それは災難だったねー」
「むぅー、こうなるのは分かってたでしょ?」
穂花は頬を膨らませて膨れっ面になる。
確かにそうなるだろうなと思っていたが、どうしようもなかったのだ。
「ごめんごめん」
そこで会話を聞いていたルルが口を開く。
「はぇーそうなんですか?私は一度も他の冒険者に話しかけられませんでした。それに東側に冒険者が行ってしまってたのも気がつきませんでした」
ルルのマイペースさは今日も絶好調らしい。
ルルが何も考えず縦横無尽に動き回って魔物を倒していたのは予測に難くない。
それについていける冒険者は穂花たち以外にはいなかったのだろう。
だが、そのおかげでルルの穂花達に匹敵する異常な実力はある程度知られずに済んだかも知れない。
もしルルがAランク相当の実力を持っていると知られていたら、今回、名目的には何もしていない俺とパーティーを組んでいるのは不自然に映るだろう。
もし、何か言われる事があったら少しは俺の力を見せても良いかも知れない。
とにかく、これでピエールの脅威は去った。
ちなみにスーから不動産屋の店主が大赤字により破産したというのは聞いていた。
まあ、そうだろう。
東側の魔物が現れなかったのだ、装備品はほとんど売れなかった事に違いない。
ようやく俺にも平穏が訪れそうだ。
(そろそろ冒険者のランクを本格的に上げるのも良いかもな)
ルルと俺の実力ならすぐに穂花達に追いつけるだろう。
それに組織も拡大したい。
やる事はたくさんありそうだ。
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