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18、殿下とポテト三昧と。
しおりを挟むアトラス殿下は2日ほど経つとすっかり元通りになった。しっかり食事も召し上がれるようになり、部屋の中を自由に歩き回られるようになった。
そんなある朝、「オフェーリア、そんな格好でどこ行くんだ?」
とアトラス殿下に聞かれたので、「お母様と皆んなで畑をしに行くんですよ。何かありましたらお父様かお兄様にお伝えくださればと思います。」と答えた。
しばらく考えていたアトラス殿下は何を思ったのか「私にも畑を教えて貰えないか?」と言い出した。
一体どうしたのだろうか?「えっ、そんな事とてもとてもさせられません。」と断ると、
「少しだけで良い。頼む!」とお願いされた。
仕方ないので、「わかりました。ただ楽しい物では無いですよ。それでもよろしければ。」と提案して、
アトラス殿下に一回、農作業をやってもらってから判断をしてもらおうと考えた。
お母様とアトラス殿下と3人で畑へと向かった。
すでに何名かは作業を始めている。
念のため周りの皆んなにはアトラス殿下の事はすぐに伝えて置いた。
暑い日差しの中、土を耕し、畝をつくりと根気の居る作業が続くが、黙々と作業をしアトラス殿下は音を上げなかった。
それにはオフェーリアを始めその場にいた皆んなは驚いた。
そんな作業を何時間やっていたのか?
そろそろ休憩でも。と思ったので日陰にシートをひき休憩の用意をし始めた。暑い日なので冷たく冷やしたレモネードも用意した。
「殿下、休憩にしませんか?」と声をかけると「あぁ、わかった。ありがとう。」と返事があったので殿下の飲み物も用意した。
「殿下、良かったらこちらをどうぞ。冷たくて美味しいですよ。」とレモネードを薦めた。
「これは、、、、確かに美味しいな。甘すぎずさっぱりしている。うん、うまい。」
とごくごくと飲み干してしまった。
「おかわりどうですか?」と聞くと「あぁ頼む。」とコップを差し出してきた。2杯目はゆっくりと飲んでいた。
飲みながら神妙な顔で殿下が話し出した。
「・・・知らなかったとは言え、我々はこう言った人々の苦労の上に毎日の糧を得ているのだな。」と独り言のように呟いた。
「これからは食事を残さず戴くとしよう。勉強になった。」
ふふふっ、とつい親目線でアトラス殿下を見てしまうオフェーリア。
(王子様がこう言った事を体験されるって大きな出来事だよなぁー。)と真紀ちゃんもしんみり話してた。
◇◇◇
その日の晩御飯はオフェーリアがポテト三昧を披露していた。
フライドポテトから始まり、ベーコンポテト、バター焼、炒め物などポテト三昧だ。
おまけにポテトサラダも入れといた。マヨネーズ作るの大変だったけど、うまく言いくるめてアトラス殿下に手伝わせた。
「お前、絶対俺を王子だと思ってないだろぅ。。。」とぼやいてた。
初めて食べたマヨネーズに感動した殿下は「是非ともレシピを教えてくれ。」と言っていた。
ポテト料理は以外と男性陣から大好評だった。
アトラス殿下が一言ボソッと「帰りたくない。」と呟いていた。
次の日の朝、王宮からお迎えがきた。家族総出でお見送りだ。
「皆の物、大変世話になった。礼を言う。
オフェーリア、また来ても良いか?」
と聞いて来たのでお父様、お母様に一瞬目配せしてから
「ぜひとも。今度は体調が良い時にどうぞ。ここの土地は景色が良い所が多い上に特産物も美味しい物が多いのですよ。」と話した。
アトラス殿下は、
「畑仕事も楽しかったよ。次の機会もぜひ手伝わせて欲しい。」とその場にいた全員に伝え帰っていった。
アトラス殿下の乗った王宮の馬車を見送りながら(やれやれだったな、オフェーリア。)と真紀ちゃんが言ってたので
「まぁ、お元気になられたのなら良かった。」と2人脳内会話をしていた。
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