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6、いよいよ学校へ

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真紀ちゃ~ん、どうしよう。明日は入学式だよぅ。

(そんなん知らんがな)

そんな事言わずにさぁ~。チェンジしよう?

(あほか、自分で何とかしぃ)

会話の通り明日から私も学生さんです。
その前に入学式です。
緊張してます。
いけないですが口から何か出てしまいそうです。

真紀ちゃんには既に見放された模様。


私たち地方出身の貴族はその地位に関わらず寮生活になる。一応小さいけど個室が貰える。これは嬉しいし助かった。真紀ちゃんと会話しやすいからだ。

なんだかんだで入学式の朝、食堂の朝ごはんもそこそこに学校へ向かった。

制服は可愛い。天気は良い。その2点だけでテンションを上げて会場まで歩いている。途中の掲示板にクラス分けがあった。
クラス分けの隣にテスト順位が張り出されていた。

そういえば説明会で学力診断受けらさせられたなぁ。と思いつつ見てみた。

・・・・私、2位だった。

えっ、と思ったが真紀ちゃんが(私がついているならホラ5番以内やろ。)と呟くのが聞こえた。

私、あのテスト、チェンジした覚え無いんだけど。あれは私の実力だ。真紀ちゃんじゃない。はず。

なのでもちろん最上位のクラスに入ってた。ちなみに1位は第4王子のアトラス様だ。

あっそうだ、第3王子は確か我が家に来てくれてたなぁ。晩御飯、美味しいって褒めてくれたっけと思い出す。

とりあえず入学式の会場に着くと、係員に案内されて席に着く。しばらくして全員揃うといよいよ入学式が始まった。

学校長の挨拶や来賓の挨拶、続いて生徒会長の挨拶、そして新入生の挨拶が始まった。

ステージの上を見てみた。

あれがアトラス王子か。あまりお兄さんと似てないみたい。お兄さんは色白で金髪の青い目が特徴だったけど、アトラス様は赤い髪、やや色黒で全体的にエキゾチックな雰囲気がある。

もちろん兄弟揃ってタイプの違うイケメンだ。
(あれが弟か。似てへんなぁ。)
と真紀ちゃんも呟いていた。

そんな事思いながらアトラス様を見ていたが、バチっと目があってしまった。気のせいか見つめられている気がする。

びっくりしてさっと目を逸らし、下を見ていた。なんだか視線をずっと感じる。
私、自意識過剰では無いよね?

入学式が終わりクラスへ移動した。

私のクラスはだいたい20名ぐらい。比率は少し男の子の方が多い。かなぁ。

先生が来られた。若い男の先生だ。

とりあえず順番に自己紹介する。
私の番が来たので小さな声で
「クローデイ領から来たオフェーリア=シェイファーです。」と挨拶して置いた。

なんだろ、アトラス様がやはり見ている気がする。不躾なぐらい見られている。顔が赤くなる。


すかさず先生が
「アトラス王子、オフェーリア嬢に穴が空きます。」と注意されていた。


ますます注目されて穴があったら入りたくなった。
(そんなん考えんとき)と真紀ちゃんが呟いた。

休み時間になり私は心細い面持ちで座って居た。

(あんた他の子に話しに行かんの?ボッチやん)と真紀ちゃんにけしかけられるが、いや、でも、、、、ともじもじと動けなかった。


その時だった「あんたがオフェーリア嬢か?」と目の前にアトラス王子が立っていた。
ざわつくクラス内。

その他堂々とした佇まいに怯えてしまった。「・・・はい。」

「ちょっと話がある。席を外してくれ。」と言われアトラス王子の後に続き教室から出た。

しばらく歩き人気のない中庭に出た。

「オフェーリア嬢、まずはこんな事をしてすまなかった。謝らせてくれ。」と、頭を下げられた。

素直に相手を見て自分の非を認める所は好感が持てる。

「あっ、はい。謝意は受けとりました。ところでどう言ったご用件でしょうか?全く心当たりが無いのですが、、、」と目を見て話し出した。

そう話すオフェーリアがアトラスを見つめるとアトラスが「うっ。」と目を逸らせた。

「その、、、綺麗な瞳だな。」とボソッと言った。
「・・・レオンが言った通りだ。」


「呼び出したのは他でも無い。済まないが私を助けて欲しい。」

「えっ、それはどうしてですか?」

「実は、今度の週末、隣国から私の幼馴染が来る。私と幼馴染はとにかく食べるのが好きでお互いの国へ遊びに行くと各々の趣向を凝らしておもてなしをする。」

「今回は私がホストだ。もう著名な料理人はあらかた腕を奮って貰っている。もう受けて貰える人が居ない。そこでオフェーリア嬢、どうか頼めないか?レオンからその腕前は聞いている。もちろん相応の謝礼はする。」と、こちらを見て困ったように話した。

「・・・無理です。私は何一つ知らない田舎者です。それに厨房に入って腕をふるうのは正直可能でしょう。でも国家資格も持たない者が厨房で調理に携わると言うのは賛同しかねます。」

「それに殿下に恥をかかせるわけにはいきません。どうか他を当たって下さい。」
とその場を失礼した。



しかし私は本当に何も知らなかったのだ。

アトラス王子は嫌がれば嫌がるほど燃え上がる男だという事を。

その日からアトラス王子は私に付き纏いだしたのだ。

朝、寮を出る時はアトラス殿下に出待ちされ、お昼ご飯を食べようと学食に向かうと手を引かれ隣へ座らされた。
もちろん、帰りは寮まで送られた。

これには参ってしまった。
私は2日で根を上げて「お辞め下さい、殿下。わかりました。わかりました。」
と帰り道の寮の前で両手を上げ降伏した。

にた、と笑う殿下。「そうか、引き受けてくれるか。」気のせいかしら殿下の後ろから黒いオーラが見える。私、判断誤った?

「でも殿下、どうなっても知りませんよ。後で泣き言言わないで下さいね。」とせめてもと念を押した。

「で、いつなんですか?晩餐は?」と聞くと明後日だと言う。

「じゃあ明日学校が終わったら王宮の厨房へ連れて行って下さい。もちろん学校から王宮までの送り迎えは頼みますよ。あと今回が最初で最後です。次は無いですよ。」と伝え寮に帰った。
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