17 / 28
17、ルグランへ帰る
しおりを挟む「おねーさん、こちらにエール2つね!!」
「はいよ!!エール2つね!!」
賑やかな店内に威勢の良い声が幾つも響く。
「久乃ちゃんって言うの?可愛いね。こんなに可愛いのにA級って凄く無い??」
「アンタ何言ってんの。久乃はもうすぐS級よ。今のうちだけよ。こうやって飲めるのは。」
「もうやめてアリス。こんな所で。」
今日は隣町のギルドと合コンだ。
メンバーの中にアリスの幼馴染が居るらしく今日の運びとなった。
自己紹介の後、自然な流れでそれぞれの得意な武器や今までの依頼の話になって行った。
アリスの幼馴染はジョーさんと言った。私より3つ上らしい。中々のハンサムさんだ。ちなみにジョーさんは私と同じA級との事。
「久乃ちゃん、また一緒に組まない?俺、頑張るからさぁ。」
「んもぅ、ジョーさん酔ってますね。私なんて弱いですよ?他の人をあたった方が良いです。」とここは謙遜して置いた。
「何言ってんの久乃。貴女、剣聖仕込みの剣捌きじゃない。」とこの話を終わりたいのにアリスが中々終わらせてくれない。
「そうそう、みんな聞いた?」と遠くの席から声がした。確か。。。ミハエルさんだったかな?
「ルグランって凄く若い人が増えてるんだって。この国から出てルグランに行った人が何人か居るんだってさ。何でも福祉制度が充実して安心して暮らせるらしいよ。」と大声で話していた。
ふうん、リヒト様頑張ってるんだ。
そう呟きながらおつまみを口に入れた。
それをエールで流し込む。うまい!!
「久乃ちゃん良い飲みっぷり。」とジョーさんが感動している。
「久乃ちゃん、僕と結婚してルグランに行かない?」と誘って来た。
「私なんかジョーさんに勿体無いです。お断りします。」と言って置いた。その言葉を言い終わると同時に
「ダメだ、久乃は僕と所帯を持つからね~。」と場違いな声がした。えっ、誰?
声のした方を向くとトールさんが立っていた。
「酷いよ久乃。僕と言うものがありながらこんな所に来るなんて。」
「えっ、久乃、トールさんと出来てたの?言ってくれたら誘わなかったのに。」とアリスに言われた。
「いやいや、出来てません。トールさんそんな事言うの辞めて下さい。誤解されたく無いんです。」と本人の前でハッキリと言った。
「まあまぁ、今日は久乃は飲みすぎてるよ。アリス、連れて帰るわ。」と久乃の手を引っ張って店の外へ連れ出した。
「困ります。トールさん。私は今は誰とも付き合うとか考えられません。」とトールを見てはっきりと言った。
「それは分かってるよ。でも真剣に僕の事を考えて欲しい。じゃあ。」とそう話すと手をひらひらと振りながら帰って行った。
「まぁ、飲み過ぎてるのは事実だけどね。ちょっと散歩がてら帰ろうっと。」とゆっくりと自分のアパートまで帰って行った。
次の日、懐かしい人から手紙が届いた。どうしてこの住所がわかったのか?
それはハリーだった。マンチェスター国で別れて以来だった。
内容によるとハリーの彼氏とは上手く行ってて今度ルグラン王国へ家族の顔を見がてら帰ろうと思っている。
自分もルグランから出た人間だが家族は別だ。短い期間だが一緒に帰らないか?特にハルには家族が良い思い出が無いのも分かっている。
でも一度で遠くからでも良いから顔を見に帰ってみないか?
そんな内容だった。
久しぶりにエメラルドとしての気持ちが出てくる。このハリーの申し出は嫌じゃ無いみたい。
ちなみにこの住所はギルドに尋ねた。
ハリーのお店に以前一緒に活動した人がお客様で来店したらしくって話を聞いてもしかしたらと思ったらしい。
正直どうしようかと思った。でも一度ぐらいこの世界の親の顔を見るのも良いかなぁ。と思ったのも事実だ。ルグランを追われた時は本当にバタバタしてたからなぁ。
一度帰ってみるか。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】失恋した者同士で傷を舐め合っていただけの筈だったのに…
ハリエニシダ・レン
恋愛
同じ日に失恋した彼と慰めあった。一人じゃ耐えられなかったから。その場限りのことだと思っていたのに、関係は続いてーー
※第一話だけふわふわしてます。
後半は溺愛ラブコメ。
◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ホット入りしたのが嬉しかったので、オマケに狭山くんの話を追加しました。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
溺愛される妻が記憶喪失になるとこうなる
田尾風香
恋愛
***2022/6/21、書き換えました。
お茶会で紅茶を飲んだ途端に頭に痛みを感じて倒れて、次に目を覚ましたら、目の前にイケメンがいました。
「あの、どちら様でしょうか?」
「俺と君は小さい頃からずっと一緒で、幼い頃からの婚約者で、例え死んでも一緒にいようと誓い合って……!」
「旦那様、奥様に記憶がないのをいいことに、嘘を教えませんように」
溺愛される妻は、果たして記憶を取り戻すことができるのか。
ギャグを書いたことはありませんが、ギャグっぽいお話しです。会話が多め。R18ではありませんが、行為後の話がありますので、ご注意下さい。
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
【完結】伯爵の愛は狂い咲く
白雨 音
恋愛
十八歳になったアリシアは、兄の友人男爵子息のエリックに告白され、婚約した。
実家の商家を手伝い、友人にも恵まれ、アリシアの人生は充実し、順風満帆だった。
だが、町のカーニバルの夜、それを脅かす出来事が起こった。
仮面の男が「見つけた、エリーズ!」と、アリシアに熱く口付けたのだ!
そこから、アリシアの運命の歯車は狂い始めていく。
両親からエリックとの婚約を解消し、年の離れた伯爵に嫁ぐ様に勧められてしまう。
「結婚は愛した人とします!」と抗うアリシアだが、運命は彼女を嘲笑い、
その渦に巻き込んでいくのだった…
アリシアを恋人の生まれ変わりと信じる伯爵の執愛。
異世界恋愛、短編:本編(アリシア視点)前日譚(ユーグ視点)
《完結しました》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる